Sun 121202 パリは暖かい 暖かすぎる クリスマスのノートルダム(パリ速攻滞在記2) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 121202 パリは暖かい 暖かすぎる クリスマスのノートルダム(パリ速攻滞在記2)

 12月22日、パリの空港に到着してみると、おやおや、驚くほど暖かい。あんまり暖かいので、思わず「ニャゴニャゴ」「にゃごぴぃ」と唸りそうなほどである。このごろ自宅でお酒を飲みながらネコたちと話す頻度が高くなって、「日本語よりもまずネコ語」という不思議な状態になっている。
 「そんなにネコと仲がいいなら、何でナデシコの入院中にパリ短期速攻滞在なんかを決行するの?」という疑問はマコトにもっともである。パリに着いた途端にネコ語が口をついて出るようでは、ナデシコの心配でもしながら、ニャゴと一緒に東京でうずくまっているべきなのかもしれない。
ノートルダム1
(到着直後、夜のノートルダムを訪ねる)

 しかしそのとき忘れてほしくないのは「ネコたちと仲がいい」と「ネコにベッタリ」は全く別次元だということである。ネコとは、「自分からはベッタリしていたいけれども、自分にベッタリされるのはキライ」という生物である。仕事の疲れでネコにベッタリしたくなるのは、ネコからすれば迷惑千万。「放っといてくれませんか」と言われかねない。
 そういうことになればクマ蔵としてもショックだから、ネコにベッタリ頼って寄りかかるより、サッサとパリに出かけることにする。ナデシコの手術は、成功。お腹を切って、膀胱を切って、中からシュウ酸カルシウムのジャリジャリした結石を3個も摘出した。あとは手術の傷口がキレイに癒えるのを待つばかりである。
コンシェルジェリー
(シテ島、コンシェルジュリー付近のセーヌ河。エッフェル塔の明かりが見える)

 ここまでくれば、術後の経過はお医者さんに任せるしかない。今井君なんかが代々木上原でトグロを巻いていたって、ナデシコに好ましい変化があるものでもないじゃないか。ニャゴ君は「腎臓ケア」の新しいゴハンをモリモリ食べつづけながら、「クマどん、ここは思い切ってパリに行ってきなさい」と白い顔に真っ赤な口を見せながら、ニヤリと笑ってアクビした。
 こういうわけで、パリ・シャルルドゴール空港に到着したクマ蔵の第一声は「うにゃにゃ、にゃごにゃご、こりゃ暖かいな」だった。もちろん、ホントに口に出して言ったりしたら、周囲の乗客がドン引きする。あくまで心の中での「にゃごにゃご」だったに過ぎない。
カルチェラタン
(カルチェラタン方面の明かりと、夜のセーヌ河)

 暖かい理由は2つある。①実際に暖かい ②暖房を遠慮なく使っている、この2点である。①のほうは、おそらく温暖前線通過の直後だったせい。ロシアでマイナス50℃とか、旭川でマイナス30℃とか、北半球が軒並み歴史に残る大寒波のクリスマスを迎えようとしているのに、「フランスやイタリアは暖冬」という不思議な冬である。
 ②の「暖房♨遠慮なし」については、「日々是節電」「暖房は控えめに」の節度ある日々を送る我々日本人からみると、「おやおや、20世紀の日本かい?」「エネルギー効率のこともチャンと考えないとね」という感じである。
ノートルダム2
(ノートルダムもクリスマス仕様である)

 その後のパリ滞在で、オペラ座もポカポカ、ホテルもポカポカ、カフェもポカポカ、どこもかしこもあんまりポカポカ過ぎて、赤外線コタツの中で暮らしているみたいである。窓を開けなきゃ、暑くて心まで蒸れていく。
 発電政策のこともあり、「電力は潤沢に存在する」「電気はジャブジャブ使うべし」という感覚なのかもしれないが、「冬に室内で大汗をかく」「冬なのに扇風機がほしい」「冬なのにやたら喉がかわく」という状況は、我々日本人からするといかにも昭和っぽい大昔の感覚である。
ノートルダム3
(夜のノートルダム寺院で 1)

 空港からのタクシーは、パリの夕方の大渋滞にハマってしまった。宿泊先はシャンゼリゼ・ジョルジュサンク(GEORGE V)付近。そうなると、タクシーはどうしても高速道路から凱旋門周辺の大渋滞を抜けて行かなければならない。
 ドライバーのオジサマがいかにも不機嫌に、周囲のクルマに向かって罵声をあげる。うにゃにゃ、暖かすぎてアタマもカッカしちゃうんじゃないかね。しかも、凱旋門をグルリと回るあたりは、クルマの運転が無法地帯的になって、みんな好き放題に&好き勝手に行きたいほうに行こうとする。
ミサ1
(ノートルダム、12月24日のスケジュール)

 凱旋門を過ぎても、そこはクリスマス直前のシャンゼリゼである。大渋滞には変わりない。しかもここからは、クルマ以外に歩行者も、好き放題&好き勝手戦線に加わってくる。オジサマの怒りが頂点に達するころ、何とか無事にホテルに到着できた。
 今回のホテルは、シャンゼリゼからホンの数歩だけ奥に入ったプチホテル。モト個人の大邸宅をホテルに改装して営業している。シャンゼリゼ至近だから、窓からの眺めは全く期待できないが、短期滞在・速攻型の旅の時は、眺めよりも至便性優先なのは言うまでもない。
ミサ2
(ノートルダム、12月25日のスケジュール)

 ホテル到着が18時だったから、これから3~4時間、夜のパリを散策してこようと思う。何しろ冬至のパリだ。17時にはもうすっかり真っ暗になっていたが、もう勝手知ったるパリどんだ、深夜までズンズン歩き回っても何の問題もない。
 GEORGE Vのメトロ駅までは徒歩30秒。しかし今夜はまず回数券10枚(カルネ)を買いたいから、徒歩5分のエトワール駅まで行く。何のことはない、凱旋門の真下の駅である。パリ到着直後に激しく降っていた雨もこの頃にはすっかり上がって、夜の散策には最高の雰囲気になっていた。
ノートルダム4
(夜のノートルダム寺院で 2)

 まず目指したのは、もちろんノートルダムである。おお、何と信心深いクマだろう。実際には、この時間で普通に中に入れるのはノートルダム以外に考えられないからであるが、とにかく諸君、パリに到着して「何はともあれお寺参り」だなんて、こんな偉いクマさんは、大っきな動物図鑑を通読しても、そうカンタンに見つかるものではない。
 夕方の雨がよほど激しかったらしく、ノートルダムの前の地面はぬかるんでいる。世界中から集まった善男善女と、キリストさまのことなんかどうでもいいからパシャパシャ写真を撮ることがイノチの貪欲な観光客で、ぬかるんだ寺院前はもう大混雑である。
自分撮り
(ノートルダムのクマ男)

 分厚い雲に覆われた夜空に、パリの街明かりが反射して、空はキレイなオレンジ色に染まっている。ライトアップされたノートルダムはそのオレンジの夜空を背景にして、おおありがたや♡ありがたや、乱暴でイヤしいクマさんからみても、そのありがたさは欧米世界でも群を抜く。
ノートルダム5
(夜のノートルダム寺院で 3)

 教会の内部に入ってみると、そのありがたさはクリスマスに向かってイヤ増しに増している。12月24日と25日の2日間、ミッドナイトミサを含めて延々とミサが続く。もう準備万端整って、大量の善男善女が詰めかけてももう大丈夫というところ。祭壇の後方には、たくさんのロウソクが灯されたあたりに、可愛らしい人形たちのクリスマスデコレーションも完成していた。

1E(Cd) Stan Getz & Joao Gilberto:GETZ/GILBERTO
2E(Cd) Keith Jarrett & Charlie Haden:JASMINE
3E(Cd) Ann Burton:BLUE BURTON
4E(Cd) Harbie Hancock:MAIDEN VOYAGE
5E(Cd) Miles Davis:KIND OF BLUE
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