Sun 121028 特別編 コロン劇場 8年の戦友 パリージャ(ンラゼマ地球一周記16) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 121028 特別編 コロン劇場 8年の戦友 パリージャ(ンラゼマ地球一周記16)

 現在このブログに執筆中の「ンラゼマ地球一周記」の「特別編」を書いて、東進の「TOSHIN TIMES 学力増進号」に掲載することになった。題して「やっぱり地球は丸かった」、サブタイトル「東回りズンズン地球一周記」。原稿を提出したのは10月15日、ちょうど先月の今頃のことである。
 さすがに予備校の発行する情報紙だから、サトイモ男爵の暢気で怠惰な旅の話だけで終わるわけにはいかない。コラム「発音をよくする毎朝の習慣」や、「入試問題にチャレンジ」のコーナーもある。早稲田大文学部2012年の問題をホンの少し改題して掲載した。
東進タイムズ表拡大
(TOSHIN TIMES 学力増進号)

 東進スタッフは、念には念を入れて丁寧に丁寧に仕事をするから、「入試問題にチャレンジ」のコーナーがあれば、「その解説授業をWeb上で見られるようにしたらスバラシイじゃないか」ということになる。10月18日、今井君は吉祥寺スタジオでその15分番組を収録した。受験生諸君は、東進HPでどうぞ。
 この「TOSHIN TIMES 学力増進号Vol.36」をどこで手に入れられるかは、今井君にはよくわからない。しかし少なくともvol.36というからには、今までに「vol.1」から「vol.35」までもあったわけである。「鉄人28号」がいるなら、「鉄人1号」から「鉄人27号」までが存在したはずなのと、理屈は全く同じである。
東進タイムズ全体
(オモテ)

 するとボクチンのサトイモ頭に「じゃ、これからもこういうのをたくさん書かせてもらおうかな」という思いがムクムクと湧き上がる。
 今回も「海外レポート『地球一周』編」というサブサブタイトルつきなんだから、「イスタンブール編」「モスクワ&サンクトペテルブルク編」「リオデジャネイロ&サンパウロ編」があってもいいわけだ。情報誌への連載形式だってかまわない。
東進タイムズ裏
(裏面には「コラム」と「チャレンジ」も掲載)

 さて、9月4日午後、雨模様のブエノスアイレスをうろつきながら、クマ蔵は「今日はコロン劇場のVISITA GUIADAに参加することにしよう」と思い立った。英語で言えばGUIDED TOURのことである。ホントはガイドなしで自由に回りたいが、ガイド付きなければ劇場に入れてもらえないんだから、是非もない。
 外は、ますます雨が強くなる。今井君の折りたたみ傘は、2005年2月8日、代ゼミ最後の授業が終わった後に、新宿高島屋の東急ハンズで購入。すでにいくつも穴が開いている。さすがに今回の地球一周後には断捨離の予定である。
 すでに傘として機能しないものを、それでも「傘」として外国旅行に持参する。この辺りが今井君の馬鹿なところであり、サトイモ男爵の優しいところである。ホントは断捨離なんかしたくない。
コロン劇場1
(コロン劇場、客席。猛烈にオペラが観たくなった 1)

 最初に役立ってくれたのは、2005年2月9日の夕暮れ、ベルリンの旧東ベルリン地区。東西冷戦の象徴「ベルリンの壁」が残るあたりで、壁一面に描かれた壁アートが、ドイツの2月の冷たい雨に濡れていた。
 あれからこの傘は、いったいいくつの国、いくつの街を訪れたことだろう。雨が降ってもメッタに傘をささず、傘はあくまで飾りとして持参するに過ぎない今井君に「ほら、ワタクシを使えばいいじゃん」「何のためにワタクシを持参したのでございますか?」と、盛んに自らの存在をアピールし続けた。
コロン劇場2
(コロン劇場、客席。猛烈にオペラが観たくなった 2)

 実際にこの傘を開いて使用したのは、スコットランドのウィンダミアとエジンバラ。ハンガリーのブダペスト。フランスのニースとマントン。そのぐらいではなかったか。クマ蔵どんは、少々の雨なら傘をさすより濡れて歩くほうが好き。傘クンには、なかなか活躍の機会がない。
 しかしとにかく8年、同じ傘と付き合った。8年行動をトモにすれば、もう間違いなくこの傘は親友であり戦友である。穴が開いたからと言って、大切な戦友を異国の地に断捨離なんか出来るものではない。それを思うと、やっぱり涙が抑えきれない。
コロン劇場3
(コロン劇場、入場してすぐの光景)

 さて、VISITA GUIADAのほうは、約1時間、英語圏のヒトビト20名ほどと一緒に薄暗い劇場を回った。大人しいヒトが多かったが、それでもガイドが質問すれば手をあげて積極的に答え、感動すれば大きな溜め息をつく。大人しいと言っても、日本人とは大人しさの質が違うのだ。
 はるかな天井桟敷を見上げながら、「次の旅行ではオペラをタップリ観ますかね」と心を決めた。ブエノスアイレス・コロン劇場は、世界3大劇場のうちの1つ。残る2つはパリのオペラ座とミラノのスカラ座である。
コロン劇場4
(コロン劇場VISITA GUIADA、今井君の次のグループの人々)

 そして偶然にも、次の旅行はパリに決めている。今年は12月下旬まで講演会が立て込んでいるから、恒例の冬の外国旅行は、期間を10日前後に短縮せざるを得なくなった。短い旅行なら、乗り継ぎなし=直行便で1発の目的地がいい。ならば、久しぶりのパリがいいだろう。
 というわけで、さっそくパリのオペラ座を検索。新オペラ座でオペラ、古いオペラ・ガルニエでバレエ、合計5公演の観劇三昧を決定した。今井君の行動計画は、常にかくも激しい疾風怒濤なのである。
地下鉄構内
(ブエノスアイレス地下鉄、7月9日通り駅の光景)

 午後4時、GUIDED TOURから解放されたクマ君は、ノソノソとメシに向かって行動を開始する。目指すは、もちろんまたまたエスタンシア。この雨だ。とにかく暖かい場所で温かいものが食べたいじゃないか。エスタンシアなら、ウェイターたちの歓迎ぶりも温かい。冷たい雨の中、黒く丸いクマさんは、転がるように店を目指した。
 コロン劇場からエスタンシアまでは、7月9日通りを横断するだけである。しかしこの7月9日通りは、誰もが呆然とするほど広大である。12車線だったか16車線だったか、どんなに歩くのが速い人でも、青信号1回で渡りきるのは困難。下手をすれば2回も赤信号に変わる。クマはそこを転がるように走り抜けたのである。
お肉
(昨日の巨大ステーキの思い出が、今井君を魅了する)

 アルゼンチンのヒトは、ステーキ屋で「パリージャ」というものを食べる。ウシの臓物の盛り合わせである。盛り合わせられた臓物の一つ一つが巨大なので、写真の掲載は憚られるのだが、ま、1回だけ許してもらおう。気の弱い人は、今すぐ目を閉じるか画面を手で隠すかしたまえ。
パリージャ
(パリージャ。臓物の盛り合わせである)

 臓物に隠れて、巨大なステーキも顔を出す。しかしステーキまで掘り下げるには、どうしてもグロい臓物の山をかきわけて進まなければならない。
「これは腸かな?」
「これは3つ目の胃かな? 4つ目の胃かな?」
「これは、ナニ? 肝臓?膵臓?はたまた腎臓?」
と自問自答しながら、地下はるかな深みに潜むステーキを目指すのは、やっぱり気の弱い日本人には酷である。
エスタンシア
(午後4時、店内はガランとしている)

 やっぱりアルゼンチンに行ったら、普通のステーキを注文するのが無難であるね。硬いワシワシ感なら、ビフェ・デ・ロモ。アブラが多くて「噛まないうちに融けちゃった」でないと気に入らない人はビフェ・デ・チョリソ。和牛ほどではないけれども、噛まなきゃいけない回数はビフェ・デ・ロモの半分ぐらいで済む。
オムレツ
(オムレツ、アルゼンチンスタイル)

 この日のエスタンシア訪問は、もう3回目である。アルゼンチン独特のオムレツなども注文してみた。昨年12月のマドリードで食べたトルティージャよりも、ポテトが少なくてハムやソーセージが多いようである。うむ。たいへん旨いが、お肉とオムレツでお腹がすっかりパンパンだ。
ワイン&キルメス
(今日もまた、キルメスとサンフェリペ)

 ウェイターたちもクマどんを記憶してくれている。午後4時、中途半端な時刻にやってくる、中途半端な日本人。飲む酒も同じだ。さぞかし記憶に残りやすいだろう。
 どう中途半端かというに、クマのようにもサトイモのようにもキウィのようにも見え、明らかに日本人ではあるが、何となく中東系の人物にも見えないこともない。こりゃなかなか念の入った中途半端ぶりでござるよ。

1E(Rc) Solti & Chicago:DEBUSSY/LA MER・PRÉLUDE A L’APRE MIDI D’UN FAUNE & RAVEL/BOLERO
2E(Rc) Bernstein & New York:/SHOSTAKOVITCH SYMPHONY No.5
3E(Rc) Rozhdestvensky & Moscow Radio:BARTOK/DER WUNDERBARE MANDARIN & TWO RHAPSODIES FOR VIOLIN & ORCHESTRA
4E(Rc) Darati & Detroit:STRAVINSKY/THE RITE OF SPRING
5E(Cd) 東京交響楽団:芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽・エローラ交響曲
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