Thu 120926 マリアンヌちゃんに、南米での無事を祈願する(ンラゼマ地球一周記5) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 120926 マリアンヌちゃんに、南米での無事を祈願する(ンラゼマ地球一周記5)

 8月30日、ニューヨーク滞在3日目の午後、お腹の中はデカいステーキと我が友♡コールド・ビアでタップタプ。「さてこれからどうしますかね?」であるが、今井君としては、ニューヨークでどうしてもまた1度お船に乗っておきたい。
 マンハッタンは河と海に囲まれた島であって、お船はたいへん重要な交通機関である。「ニューヨークに来てお船に乗らなかった」というのは、「香川県に行ってウドンをすすらなかった」「広島でお好み焼きを食べなかった」「秋田でキリタンポ鍋をつつかなかった」と同等の手抜き。そんなのは人生最大の手抜きであると、サトイモ軍曹は信じている。
マリアンヌ1
(マリアンヌ「私についていらっしゃい!!」 1)

 ニューヨークでお船に乗るとすれば、まず1番に思い浮かぶのがスタテン島へのフェリーである。マンハッタンの最南端バッテリーパークから、大きな黄色いお船が30分に1本の頻度で出ている。往復するだけで満足なら、このフェリーが一番カンタンだ。
 ただし、スタテン島に到着した時の「何もすることがない」という唖然&呆然を覚悟しなければならない。諸君、スタテン島では、ホントに何一つすることがない。あえて言っても、「帰りの船を待つ」という必然的な行動の選択肢だけである。
 売店でスカスカに乾いたサンドイッチを買い、「おーい お茶」のペットボトルが平然と並んでいることに感激しつつ、ただひたすら帰りの船を待つ。5年前の冬、クマ蔵はあまりの寒さに震えながら、「どうせ何もしないのなら、日本で冬眠していたほうがよかったな」と、苦い後悔に苛まれた。
人々1
(マリアンヌを慕うヒトビト 1)

 今回、たった3日しか滞在にないのに、またあのスタテン島の船着き場で唖然&呆然とするのも考えものである。そこで、キウィ将軍は第2の選択肢「自由の女神を拝みに行く」を選択した。女神様の足許なら、カフェもある。カフェがあれば、我が友コールド・ビアにもありつけるだろう。
 アメリカは、キリスト教徒が圧倒的に多いんだから、ホントならマリア様とかジーザスどんのありがたいお姿があって当然なのに、自由の女神どんは、フランス共和国を擬人化した象徴・マリアンヌちゃんである。ドラクロア「民衆を導く自由の女神」をモデルにしているらしい。
 民衆を導く女神さまなのだから、彼女を拝むときは必ず後ろから拝むべきである。世界史の教科書を引っ張りだして、ドラクロアの絵を確認してみたまえ。彼女の正面に立つということは、彼女および民衆の敵の位置に立つことになる。
マリアンヌ2
(マリアンヌ「私についていらっしゃい!!」 2)

 民衆を導いて敵と戦う彼女の、緊張感あふれる怒りの表情を確認したまえ。コワくてコワくて、サトイモ大将はとても正面から彼女に戦いを挑むことはできない。かよわく愚直な民衆の一人として、「導いてくんろ」「助けてくんろ」「弱いアッシたちを、自由の国に連れていってくんろ」とツブヤキつつ、あくまで女神様の後ろから歩んでいくべきである。
 すると、ツブヤキは別のツブヤキを生み、ツブヤキの蓄積は大きく膨らんでドヨメキに姿を変え、ドヨメキは雪崩を打って抑圧者をヒトノミに飲み込んでいく。フランス革命もアメリカの独立も、ツブヤキの集合体であるドヨメキの勝利であって、アラブの春やジャスミン革命の構造も全く同じことである。
マリアンヌ3
(マリアンヌ「私についていらっしゃい!!」 3)

 ドラクロアの絵では、その辺がちょっとズレている気がする。銃や剣をかまえて女神の後ろからついていく民衆が、あまりに勇ましく描かれすぎているんじゃないか。むしろ「導いてくんろ」「アッシらを自由の国に連れて行ってくんろ」という愚直な信仰が画面に溢れているほうが、ホントの革命の実像に近いように思う。
 ま、難しい話はヤメにして、キウィ男爵の心の中を描写すれば、
「女神さまよ、これからアッシはアルゼンチンに行きますだ。おっそろしいアルゼンチンで、ボクチンを無事に導いてんろ」
「アッシは明日から世にもおっそろしい犯罪都市に旅しますだが、どうか一つ、どうか一つ、アッシを守ってくれましねえだか?」
「おねげえしますだよ」「たのんますだよ」
「おお、ありがてえ&ありがてえ」
「何とか無事に日本に帰れますように、たのんますだ&たのんますだ」
「なんまんだぶ&なんまんだぶ」「なんまんだぶ&なんまんだぶ」
以上、神仏習合のお手本のような、マコトに情けない弱気の虫に、今井君は心臓の奥まで蝕まれていた。
人々2
(マリアンヌを慕うヒトビト 2)

 しかしこれでもう大丈夫だ。気高い女神マリアンヌどんが、サトイモ軍曹の守護神として、純金のかがり火を高く掲げてくれているのである。かつて英雄マゼランでさえ、半周しただけでフィリピンの地に無惨に倒れる運命になった、大っきな&大っきな地球。大胆にもこれを反対回りに一周しちゃおうという企てには、どうしてもマリアンヌちゃんの守護が必要だ。
マリアンヌ4
(マリアンヌのアンヨ)

 彼女の可愛いアンヨを、ちょっと見てご覧なさいまし。こんな立派な靴を履いていらっしゃる。靴を作ったのは誰だ? この靴で踏みつけられたのは誰だ? ま、別に誰でも同じことだが、今や今井君が心から期待するのは、ブエノスアイレスで今井君の旅を台無しにしようと手ぐすね引いている悪者たちを、マリアンヌちゃんがこの猛々しい靴で蹴散らしてくれることだけである。
遠ざかる
(マリアンヌから遠ざかる)

 マリアンヌどんの足許を去って、サトイモ軍曹は再びバッテリー・パークに戻った。さっき目星をつけておいた「COLD BEER」の看板に引き寄せられたのである。
 真夏のNYでこれほどの快晴。「タクラマカンの大砂漠でもこれほどの酷暑はあり得ないだろう」と思うほどの炎暑。その炎暑&酷暑の真っただ中で、女神の足許では「BEER sold out」の無慈悲な看板が、キウィ男爵を絶望させていたのだ。
ロウワーマンハッタン
(ロウワーマンハッタンの風景)

 ニューヨークのCOLD BEERは、ただの「コールド・ビアー」ではない。どれほど冷たいか、どれほど冷たくて旨いか、渇いたヒトビトの喉をどれほど潤すか、それをヒトビトに告知するために、「Cold」という形容詞を引き伸ばせる限り長—く引き伸ばして、
「コーーーーーゥルド、ビア!!」
「コーーーーーゥルド、ビア!!」
「コーーーーーゥルド、コーーーーーゥルド、ビア!!」
なのである。
地下鉄駅
(バッテリー・パークの地下鉄駅)

 ミネラルウォーターの場合でも全くいっしょで、「コーーーーーゥルド、ワダ!!」に変わる。「ワダ」とはもちろん「和田」じゃなくて「ウォーター」のアメリカ発音であるが、売っているのがアフリカ系の人でも、トルコ系の人でもインド系の人でも、とにかく「コーーーーーゥルド、ワダ!!」と絶叫されただけで、ただのお水とは違う魔法のお水な気がしてくるから、マコトに不思議なものである。
コールドビア
(COLD BEERの看板)

 こうしてサトイモ軍曹は夕暮れせまるNYのバッテリー・パークで、はるか地平線に小さく佇む自由の女神どんを拝みながら、再び南米の旅の無事を祈願した。うにゃにゃ、明日の昼にはどうしてもホテルをチェックアウトして、恐ろしい治安情報テンコモリのアルゼンチンに向かわなければならないのである。

1E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.1 & No.4
2E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.2 & No.6
3E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.3, No.5 & No.8
6D(Dmv) BEN-HUR ②
total m138 y1563 d9457