Wed 120919 また旅行記で失礼 往→往→往 折返点のない旅(ンラゼマ地球一周記1) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 120919 また旅行記で失礼 往→往→往 折返点のない旅(ンラゼマ地球一周記1)

 さて、今日から「ンラゼマ地球一周記」を書き始めようと思う。また旅行記が始まって、予備校講師の身辺雑記にしか興味のないヒトビトにはマコトに申し訳ないが、何しろ今井君の興味はそこに凝縮されているのだから、許していただくしかない。
 2012年8月28日から9月13日までの17日間かけて、サトイモ大将は地球を東へ東へと回って日本に戻ってきた。マゼランはスペインから西へ西へと地球を回って、「なるほどやっぱり地球は丸いや」と自分で確かめてみた。ならば今井君は東へ東へと回ってみようじゃないか。
カウボーイ
(NYタイムズスクウェア NAKED COWBOY)

 西へ西へと進めば元に戻れることはマゼランが16世紀に実地で証明。しかしもしかしたら、東へ東へと進んでもモトに戻れないかもしれない。そういうシュールな立体を想像できるかね?
 ドストエフスキーの主人公の1人によれば、「ユークリッド幾何学に支配された我々の頭では、神のことは理解できない」(カラマゾフの兄弟、次男イワンのセリフ)のであるが、「西に回ったら元に戻る、東に向かったら異次元に行きつく」、そういう世界を想像することは、理系の諸君、可能だろうか。
M&M's自由の女神
(NYタイムズスクウェア M&M'sのセクスィー自由の女神)

 「旅」とは、帰ることを前提にした行動。「冒険」もまた、帰り着くことを強烈に希求する行動。帰り着くことを放棄した空間移動を「放浪」と呼ぶ。ならば「東に向かって異次元をさまよう可能性」を知りながら出発するクマ蔵は、いま放浪を求めているのであろうか。
 諸君、ボクチンはたいへん軟弱な人間なので、放浪はイヤでござる。苦しいことや痛いことやツライことは、一切を拒絶するのでござる。高邁な理想を掲げて世界の果てを放浪する、そのたぐいの激しい修行は、もっと精神力の強いエラいオカタにお任せする。
 だから、これは放浪ではない。ま、旅であり冒険である。いつものヨーロッパ旅行が「往」と「復」の2本立てで構成される線対称なイメージの旅なのに対して、今回の地球一周は「復」の要素の欠如した、ひたすら「往」→「往」→「往」の連続である。
Ms. Brown
(M&M'sの新キャラクター。キャリアウーマンのMs.Brown)

 どこかでUターンするのではない。ひたすら「往」で、押して押して押しまくって、その結果として、出発点から強烈に希求しつづけた「故郷への帰還」を果たすことになる。ある意味で、人生の理想形なのかもしれない。
 途中で臆病風を吹かせて「もうこの辺で故郷に帰ろう」ということもない。明治大のラグビーみたいに、前へ、ひたすら前へ。中国の国歌みたいに「前進、前進、前進、進!!」。進みまくって目的を果たせるなら、ホントにホントに、人生の理想の模型みたいな冒険である。
 マゼランの反対向きだから、出発前に自ら「ンラゼマ地球一周記」と名づけた。そして今その一周記を書きはじめたことからも明らかなように、サトイモ大将は「ひたすら前へ」の強行突破の果て、みごと東京への帰還を果たしたのである。今日から執筆するのは、その「折り返し点のない旅」の記録である。
ブルックリンブリッジ1
(ブルックリンブリッジ。ブルックリン側のハイストリートから)

 8月28日午前8時、キウィ閣下は成田空港にヌッと姿を現した。ここから17日間、英語圏→スペイン語圏→ドイツ語圏と歩き回るわけだから、さすがにいつもの旅よりも緊張感が大きい。
 オカネの両替だって面倒だ。ドルやユーロなら何ということもないが、アルゼンチンのペソは日本では買うことができない。
 しかし現地へ行ってからでは、日本円からの両替は面倒くさそうだ。「短時間誘拐」「空港周辺での強盗の頻発」など、物騒な治安情報が目いっぱい&種々雑多に飛び交う中、ブエノスアイレスの両替所でウロウロ&オロオロしたくないから、とにかくここで何とかしていきたい。
遠い自由の女神
(ブルックリンブリッジからの遠い女神)

 ドルからペソなら現地で両替できるが、その場合もドルの新札が望ましい。結婚式のお祝いじゃあるまいし、いちいち新札というのも変な話だが、まあ銀行のヒトにそう言われれば従うしかない。 「アルゼンチンではクレジットカードは使わないほうがいい」「お店のヒトに一瞬でもクレジットカードを預けるのはモッテノホカ」という情報もあり、ブエノスアイレスの8日間のために、100ドルの新札を8枚用意。1日1枚=8000円。若干ぜいたくだが、安心料も含めて、そういう計算にした。
ブルックリンブリッジ2
(ブルックリンブリッジ。マンハッタン側は工事の最中だった)

 ニューヨークまでは、ANAで行く。その後ブエノスアイレスまではUA。ブエノスアイレスからフランクフルトまではルフトハンザ。フランクフルトから東京は再びANA。「スターアライアンス・ゴールドメンバー」の特典を使いまくり、ただでさえデカイ顔をさらにデカくして、グルっと地球を一周しようと企んだわけだ。
 デカイ顔をしてチェックインしたら、デカイ顔の効用には驚くべきものがあって、無料でビジネスクラスにアップグレードしてもらえた。あれまあ、うれしや、夢ではないか。夢でないことを祈りつつ、いったん目を伏せてから、もう一度お姉さんと目を合わせてみると、優しくニッコリ頷いてくれた。
 エコノミークラス、しかも徹底的に安い「スーパーエコ割」で予約して、そのくせニューヨークまでビジネスに乗る。がっはっは。いったいいくら得したんだ? デカイ顔の効用は、前代未聞にデカイのである。
搭乗券
(ビジネスクラスに無料アップグレードしてもらえた)

 スターアライアンス・ゴールドメンバーは、「プレミアムエコノミーに空席があれば、無料でアップグレードいたします」の対象。しかしプレミアムエコノミーとビジネスクラスじゃ、グリーン車と指定席ぐらいの違いがござる。メシだって、席の広さだって、虚栄心の満足度だって、天と地の差でござる。
 チェックイン・カウンターのお姉さんは「あいにく本日はエコノミーが満席でございまして」「ビジネスクラスでよろしゅーございますか?」と申し訳なさそうにお辞儀までしてくれたが、お辞儀したいのはサトイモ閣下のほうである。いんにゃ、むしろお姉さんに熱く右手を差し伸べて、熱く熱く握手を交わしたい。
 「往→往→往」で押しまくるオッカナビックリの冒険の冒頭に、こんな花やかなハナムケを与えてくれたお姉さん。その優しい笑顔が、天使のようであり、「天女のごとし」であり、光り輝くマドンナの笑顔に見えた。
ビジネスクラス
(フルフラットになるビジネスクラスシート。今井君のアンヨが写っておるね)

 成田発、8月28日11時。12時間を夢心地のビジネスクラスで過ごして、ニューヨークには8月28日11時着。あれま、そんじゃ、出発と到着で日付も時刻も同じじゃないか。日付変更線を跨ぐと、同じ1日をもう1回過ごせるというラッキーな事態になるのでござる。
 JFK空港からタクシーで市内に入り、予約しておいたホテルにチェックイン。正午にもなっていなかったのに、実にすんなりチェックインできた。これもまた、キウィ閣下の魔法のカードのおかげである。キウィ閣下には魔法のカードが何枚もあって、どこに行っても破格の扱いを受けるが、別にオカネをタップリ払ったわけじゃない、旅の頻度の問題なのである。
豪華絢爛
(朝食でさえ絢爛豪華でござる)

 早速、定番観光地の散策に出る。タイムズスクウェア。ブルックリンブリッジ。2007年12月、2週間滞在したニューヨークは厳寒であったが、8月末のニューヨークはまだ真夏の酷暑の真っただ中である。街の趣も当然まったく違う。
 タイムズスクウェアをウロウロしていたら、マリオットホテルの中の劇場でミュージカル「エビータ」を上演中なのに気がついた。エビータは、アルゼンチンの実在の女性。売れない貧しい女優から、一気に大統領夫人にまで昇りつめた。
 これからブエノスアイレスを旅する者として、予習のためには最高のミュージカルである。迷わず翌日20時からのチケットを購入。明日の夜の過ごし方が、これであっさり決まってしまった。

1E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
2E(Cd) Fischer & Budapest:MENDELSSOHN/A MIDSUMMER NIGHT’S DREAM
3E(Cd) Coombs & Munro:MENDELSSOHN/THE CONCERTOS FOR 2 PIANOS
4E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE 1/2
5E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE 2/2
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