Sat 120915 石川県羽咋で講演会 急行きたぐに 優秀な中3生の合宿で語ったこと | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 120915 石川県羽咋で講演会 急行きたぐに 優秀な中3生の合宿で語ったこと

 10月6日から7日にかけて、東京は秋の大雨になった。夜8時過ぎから降り出した大粒雨は、そのまま明け方まで降り続いた。NHKの天気図を見ると、全く同じ時間帯に石川県金沢の周辺でも豪雨になっていて、金沢の人たちのコトバを借りると「秋には滅多に経験しない豪雨」だったらしい。
 7日日曜日の今井君は、まさにその金沢で講演会。朝8時にタクシーで羽田空港に向かい、空港ラウンジで1時間ほどブログ記事を書いてから、9時45分のANA機で小松に向かった。
 飛行機は離陸から着陸まで大きく揺れた。機長のアナウンスによると「小松上空に活発な雨雲がある」とのことだったが、この時期の小松行きの窓からは、もし晴れていれば木曽や飛騨の山々が紅葉で真っ赤に染まっているのが見られるはず。マコトに残念である。
 小松に着いてみると、さっき上空から眺めた分厚い雲がウソだったかのような快晴である。いわゆる運動会日和の秋晴れであって、小松では明日8日に大きなマラソン大会が予定されているらしい。
 閑散とした小松駅で特急「しらさぎ」を待つ。今日の講演会会場は、金沢からさらに能登半島を奥のほうに北上した羽咋の町である。羽咋と書いて「はくい」と読む。もし羽咋の町がなかったら、羽咋の「咋」という文字もこの世に存在しないかもしれない、マコトに貴重な町である。
羽咋1
(石川県羽咋での講演会 1)

 小松駅のホームで「急行きたぐに」の表示を発見。おお、なつかしや、昭和の日本海沿岸を走り続けた「急行きたぐに」の痕跡が、こんな所にチャンと残っている。青森-大阪間を、15時間だか18時間だか、気の遠くなるような長時間を費やし、マジメにゆっくり着実に走り続けた。
 1968年、メキシコ・オリンピックの年に走りはじめ、2012年3月、定期列車としての運行を終了。何しろ日本海沿岸を延々と走るのだ。冬季には、大雪のせいで大幅な遅延を繰り返す。それでもあきらめない。まさに昭和日本の粘り強さの象徴である。
きたぐに
(小松駅で発見、急行「きたぐに」のプレート)

 1972年11月、青森行き下り「きたぐに」は、北陸トンネル内で列車火災を起こす。「食堂車が火元」ということは、何とこの列車にも食堂車が連結されていたのであるが、諸君、選りに選って当時日本で一番長かったトンネルの中で火災が発生とは、あまりに運が悪すぎる。30人が犠牲になった。
 乗客の中に、今井君の同級生のパパがいた。忘れもしない、「高井君」のパパであるが、秋田の国鉄職員である。深夜のトンネルの真っ暗闇で、数百人の乗客を誘導して避難。真の闇の中、「線路を手で触りながら逃げるんだ!!」と巧みに誘導。この列車火災で死者数が30人で済んだのは、高井君のパパの英雄的行動のおかげである。のちに国鉄総裁賞を受けている。
羽咋2
(石川県羽咋での講演会 2)

 そういうことを思い出しながら、サトイモ閣下は特急「しらさぎ」で一気に北上する。金沢で車内の乗客はほとんどが降りた。さらに七尾線を羽咋まで北上したのは、8号車では今井君一人である。黄色や橙の秋の花々が、通過する電車の風に揺れて、車窓はマコトに物悲しい。
 講演会場は「国立のと青少年交流の家」。ま、「人よりコンクリート」の時代に税金をタップリ投入して作った大きなハコモノである。国の方針はその後「コンクリートから人へ」に変わったが、自民党時代に作り放題に作られたコンクリートのハコモノだって、ケッコこうやって地元のヒトビトの幸福に役立っている。
国立のと青少年交流の家
(国立のと青少年交流の家)

 ここに集まっていたのが、金沢市周辺の優秀な中3生諸君。高校入試に向けての勉強合宿中である。10月6・7・8日、連休を利用した2泊3日の合宿で、金沢市内のトップ校合格を目指す。猛勉強の真っただ中に今井君が登場して、一気にモチベーションをアップさせようという企画である。
 講演前に、コッソリ教室を覗きにいった。今井君の苦手な理科・第一分野の授業である。担当の西野先生は、若いけれどもすでにベテランの風格が漂っている。気合いの入った授業であって、受講中の生徒たちも真剣そのもの。
 なんだ、これじゃわざわざキウィ男爵なんかが登場しなくたって、とっくに湯気を朦々と上げて盛り上がっているじゃないか。
羽咋でも爆笑
(石川県羽咋での講演会 3)

 生徒たちはチームAからチームFまで20人弱のチームに分かれ、小教室で授業を受けている。羽咋での今井講演会は、この生徒たちを大教室に集合させて実施。15時開始、16時半終了、出席者100名強。さっきまで授業をしていた先生がたも全員参加されたので、実際には120名ぐらいになっただろうか。
 中3生であるが、成績優秀者が多いらしく、普通の高2生並みのオトナの雰囲気である。女子の諸君なんか、もうすっかりオトナの表情で楽しそうに聞き入ってくれる。「おとなしい生徒が多いんで、心配です」と事前に先生がたに言われていたので、余りの反応の良さに思わず今井君のほうが慌ててしまうほどである。
羽咋3
(石川県羽咋での講演会 4)

 中学生たちは、如実に感じているんじゃないか。単語の発音練習はたくさんするが、文や文章の単位での発音練習(=音読)が欠けていることが、英語力の停滞の原因であることを、今井君に指摘される前にすでにウスウス気づいているんじゃないか。
 「発音がいい」という生徒でも、よく聞いてみるその発音は「サイボーグ的」。「サイボーグ的発音」が何なのかは、今井君の講演会に出ていただくしかないが、とにかく日本の中学生&高校生は発音が悪すぎる。いんにゃ、大学生だって社会人だって、みんな発音が異様である。
 その異様な発音をそのまま放置して、「長文読解だけは得意」「英作文とリスニングは得意」、そんなことがあるはずがない。文(=センテンス)単位や文章(=パッセージ)単位での発音練習(=音読)を徹底的に繰り返すことによってしか、今の英語力停滞を打開することはできない。
 こういう趣旨の話で、30秒に1回の大爆笑を交えながら大熱演する。大教室内のボルテージは限りなく上がって、クマ蔵どんの全身から大量の汗が吹き出す。シャツやワイシャツがビショビショという程度なら誰でもあるだろうが、この日のサトイモ大将はネクタイまで汗ビッショリになって、ネクタイをほどくのに四苦八苦したほどである。
羽咋の花束
(羽咋でもらった花束)

 終盤の今井君は、先生がたまで巻き込んでますます盛り上がる。
「せっかくの合宿だ。合宿中に英語の先生にお願いして、みんなで音読に励んだらどうだ?」。
「明日の朝、全員予定より30分早く起きて、合宿所の前で音読したらどうだろう」
「金沢への帰りのバスの中に、英語の先生が1人ずつ入って、合宿の仕上げに全員で声を合わせて音読に励んだらどうだろう」
 勉強時間がますます長くなってしまいそうな迷惑な提案かもしれないが、金沢の中3生100人は早くも
「やろうやろう」
「そりゃ面白そうだ」
「ぜったいやろう」
「音読を毎日の習慣にしちゃおう」
と、例外なく決意したようであった。
海遊亭
(金沢片町「海遊亭」。この店の2階で祝勝会)

 終了後、スタッフのクルマで金沢まで送ってもらった。高速道路に乗ると、車窓右側は日本海に沈む夕陽が美しい。夕陽の赤い色が、能登ではもうすっかり秋が深まっていたことを感じさせる。
 夜7時半から、金沢の有名な繁華街「片町」にて祝勝会。2年前にも招かれた名店「海遊亭」である。店の大将が豪快な人で、豪快に日本酒を飲む今井君をしっかり記憶してくれていた。「旨い日本酒、たくさん用意して待っておりました」とニコリとされれば、こんなに嬉しいことはない。
かに
(香箱ガニと土瓶蒸しの風景)

 香箱ガニ、土瓶蒸し、美味しゅうございました。最後に出されたアルコール40度の原酒、美味しゅうございました。ウォッカみたいにトロリと凍らせたのをグビグビやれば、「また明日も頑張ろう」と、再び決意が固まらないワケがない。
原酒
(原酒、40度)


1E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 6/9
2E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 7/9
3E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 8/9
6D(Pl) 2012/2013シーズン:リチャード三世:新国立劇場 中劇場
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