Thu 120913 ニャゴロワ近況 リチャード三世を観る 古いシェイクスピア全集と伯父 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 120913 ニャゴロワ近況 リチャード三世を観る 古いシェイクスピア全集と伯父

 しばらくネコたちの写真を掲載していない。カメラを向けると逃げ回る、写真のギライのナデシコはともかく、クマ蔵と人間並みに会話を交わし、深夜に酒を飲んでいるとお相伴に姿を現すほど人なつこいニャゴロワの写真を掲載していないと、「ニャゴは大丈夫なんですか?」と、マジメな顔で心配してくれる人もいる。
 諸君、心配はご無用である。ニャゴはまだまだ元気で、朝から晩までニャゴニャゴ走り回っている。腎臓病で「あと100日生きられるかどうか、わかりません」と獣医さんに宣告されてから、すでに600日が経過。しかし600日前とほとんど変わらない、白く美しい姿のままである。食欲も旺盛。食べるのに飽きれば、キウィ男爵とたくさんお話もする。
にゃご1
(テーブルの上から下界を睥睨するニャゴ)

 ところが10月2日朝、ニャゴロワの様子がどうしてもおかしいことに気がついた。腰か、後ろの脚が痛いらしく、マトモに真っ直ぐ歩けない。痛くてテーブルにも椅子にも飛び乗ることもできない。テーブルに飛び乗って下の世界を睥睨するのが大好きなネコなのに、である。
 お水を飲みに行くにも、ゴハンを食べに行くのも、脚を引きずり引きずり用心深く進んでいく。声もいつもより甲高く、か細く、哀れっぽくなって、「にゃご」というより「みー」と、子猫みたいにキレギレに呟いてみるばかりである。
にゃご2
(ニャゴ。元気がない 1)

 10月3日になっても、4日になっても、大好きなお酒の箱に入って、つまらなそうにジッとこちらをニラんでいる。ニラむのに飽きると、目を閉じて寝たフリをする。実際には眠ってはいなくて、ネコのくせに、イジらしくも、あくまで「寝たフリ」に過ぎない。
にゃご3
(ニャゴ。元気がない 2)

 2日と4日のクマ蔵どんは、吉祥寺のスタジオでずっと授業収録。あと、どうしても日本赤十字病院に行かなければならない用事もあって、ニャゴと一緒にいられない。出かけるサトイモ男爵を、ニャゴは箱の中からつまらなそうに見送るだけである。
 「いよいよ『あと100日の命』の終わりがやってきて、腎臓病が脚にきたかな」と、今井君は絶望的になった。ニャゴがかわいそうでかわいそうで、食べたものも吐きそうなほど心配。もう何も手につかない。
にゃご4
(ニャゴ。元気がない 3)

 ニャゴが一気に回復したのは、5日の朝から6日にかけてである。何事もなかったかのような平然とした表情でそこいら中を闊歩し、椅子にもテーブルにも飛び上がり、ナデシコと追っかけっこを開始。長いシッポもピンと真っ直ぐ上に立てて、すっかり上機嫌になった。
 6日夕方にはいよいよ調子に乗って、階段を猛スピードで駆け下りたり、重いカラダを揺すりながら駆け上がったりしはじめた。川越の講演会から帰ってきたクマ蔵を、「ご苦労」と出迎えてくれたわけである。ネコのクセにお出迎えなどというのは、いかにも人好きなニャゴロワどんらしい。
なでしこ1
(ニャゴの代理でテーブルを占領したナデシコ 1)

 猛スピードということになれば、身軽なナデシコの猛スピードにニャゴは全然かなわない。ナデシコのカラダのキレは、眺めているだけでホレボレするほどである。しかし大っきな白いネコが轟音を立てながらお出迎えに走り降りてくる姿は、まさに雪崩を思わせる。雪崩ちゃんは、こうしてすっかり元気を取り戻した。
 要するに、高い所から飛び降りた時に打撲したか、足の爪を痛めたか、そういう軽いケガに過ぎなかったのだ。やれやれ、安心安心。今井君が虎ノ門の名店に分厚い肉をワシワシやりに出かけられたのは、「ニャゴはまだまだ2年でも3年でも元気でいてくれそうだ」という大きな安心感のおかげだったのである。
なでしこ2
(ニャゴの代理でテーブルを占領したナデシコ 2)

 安心した今井君は、新国立劇場に芝居を見に行くことにした。代々木上原から初台の新国立劇場は、徒歩でも30分ほどしかかからない。ま、ご近所さんである。見に行ったのは中劇場で始まったばかりの「リチャード三世」。シェイクスピアでござるよ。
 今井君としては、シェイクスピアの中で一番好きなのは「ハムレット」。2番目が「リチャード三世」。どちらも中2になる前の春休みに読んで、シェイクスピアが大好きになった。
 諸君、今井君が初めて読んだ「ハムレット」は、伯父が大学生時代に買い集めた坪内逍遥訳のシェイクスピア全集のうちの1冊である。坪内逍遥なんだから、訳文は文語体。「中1から中2の春休みに、文語体のシェイクスピア」とは、いやはや、今井君って、やたらに早熟だったのであるね。
にゃご5
(今朝の元気なニャゴ。シッポもピンと立ててご機嫌だ 1)

 もっとも、13歳の春に文語のハムレットなんか読んで、何がどう面白かったのか、今ではサッパリわからない。昔から世の中の人はやたらにコドモの早熟を讃えるけれども、冷静な目で振り返ってみると、つくづく自分がイヤなコドモだったことを痛感する。
 例えば、カブトムシやクワガタを追いかけて夏休みを満喫すべき小学4年生が、日本経済新聞を毎日熟読し、そうかと思えばドストエフスキーに手を出して、罪や罰や神や自由についての果てしない議論に没頭する。今井君はそういう早熟のありかたに、周囲のオトナのマコトにイヤらしい関与を感じる。
にゃご6
(今朝の元気なニャゴ。シッポもピンと立ててご機嫌だ 2)

 13歳の今井君が文語のシェイクスピアに没頭しはじめたことに関しては、これはただの偶然であって、家の本棚に古びたシェイクスピア全集がズラリと並んでいたからに過ぎない。
 買い集めた伯父は、そのころ秋田大学助教授。直後に静岡大学教授に転じ、5年後には学部長、10年後には学長に選ばれた。学長を2期務めて退官。声は今の今井君にソックリ。今井君の母(快傑ババサマ)の兄であるが、電話がかかってくると、兄からの電話なのか、今井君からの電話なのか、ババサマにも瞬時に判断できないほどである。
チケット
(新国立劇場「リチャード三世」チケット)

 10月6日、川越の講演会から帰ってくると、この伯父についてきわめて残念な知らせが入っていた。事があまりに重大なので、今日このブログに書くことはできない。今井君はネコが大好きであるが、さすがに敬愛する伯父についての重大な知らせを、ネコの話と同列に論じることは出来ないのである。
 ただボクは、10月5日に新国立劇場でシェイクスピア「リチャード三世」を満喫し、13歳で文語シェイクスピアに没頭するキッカケになった伯父のことを、何となく思い出していた。今井君が「諸君」「諸君」とやたら「諸君」を連発するのも、シェイクスピアの影響。つまり伯父の影響でもあるのだ。
 ブログの方針として、「家族や友人のことは書かない」はずではあるが、明後日か明々後日には、伯父のことを短く書かなければならないかもしれない。ま、ここまで書けば察していただけるだろうが、現在の状況はきわめて重いのである。

1E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES 6/6
2E(Cd) Kempe & Münchener:BEETHOVEN/SYNPHONIE Nr.6
3E(Cd) Karajan & Wiener:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS 1/2
4E(Cd) Karajan & Wiener:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS 2/2
5E(Cd) Furtwängler & Vienna:BEETHOVEN/SYMPHONY No.7
total m65 y1490 d9385