Mon 120831 キウィと相似形の黒い繭 合流点パッサウのこと(ミュンヘン滞在記12) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 120831 キウィと相似形の黒い繭 合流点パッサウのこと(ミュンヘン滞在記12)

 こんなふうに毎日食べ歩きを続けていると(すみません、一昨日と昨日の続きです)、いろいろ怪しい人々とも遭遇する。もちろん怪しい中でも一番怪しいのはこのクマおじさんであって、そのことを真っ先に認めるのは、決してヤブサカではない。
 何しろ、自分の顔のカンペキな楕円形に驚く日々である。昔はもっとまん丸に近かったのだが、年をとるにしたがって顔が長く変形してきて、今や「ほぼキウィと相似形」と言うところまできた。
 毛の生え方、毛足の長さ、手触り、見た目から想像できる感触、その全てがキウィまたはサトイモであって、こんなに怪しい顔の持ち主には、地球を一周してもなかなか遭遇できるものではない。
 すると、「世界で一番の珍品は、地球なんか一周してみるより、鏡をのぞいたほうが手っ取り早く発見できる」という、マコトに深い哲学的な悟りに至る。同じ悟りを裏から言えば「一番遠いのは、自分の背中だ」ということにもなる。
 コロンブスもマゼランも、バスコ・ダ・ガマもマルコ・ポーロも、かつてヨーロッパの人間が見たこともない珍品を求めて東に西に旅立ったのであるが、最も深い神秘をたたえた生物とは、結局のところ自分自身だったのである。
 例えばこのクマ蔵の顔を「黒繭」と表現することも出来る。みよ、この黒いカンペキな繭玉を。カイコであれ、ヤママユガであれ、こんなに美しい曲線を描く繭玉を作った生物は、宇宙の歴史を無限にたどっても、今井クマ蔵をおいて他になさそうである。この辺で「クマ蔵 改め マユ蔵」と改名することも視野に入れながら、日々の講演会に励むことにしたい。
合流点1
(パッサウ、ドナウ河とイン河の合流点。左:ドナウの水は黒く、右:イン河の水は白い)

 あらま、話が大きくそれた。今井君はこうして自らたいへん怪しいオジサンであることを認めながら、ある夜の焼き肉屋での怪しい出会いについて、その観察の結果を詳細に語りたかったのだ。
 しかし、自分のキウィぶり&サトイモぶりに驚嘆し、こうして世にも深い考察を楽しんでいるうちに、その話に入っていくタイミングを逸してしまった。マコトに申し訳ないが、怪しい2人との出会いについては、また明日書くことにしたい。お楽しみにお待ちください。
パッサウ到着
(国境の町パッサウに到着)

 この2人のあまりの怪しさに憤然とした今井君は、「そうだ、ボクもこんなことしていちゃダメだ。食べ歩きなんかより、他にやることがあった」と気づいたのである。「じゃ、他にやることとは?」であるが、もう10日以上もホッタラカシになっている「ミュンヘン滞在記」の再開だ。そろそろ「ミュンヘン滞在記」に戻らないと、その存在さえ忘れられてしまうだろう。
 諸君、もう忘れちゃったかもしれないが、ミュンヘン滞在記はちょうど佳境に入ったところ。ミュンヘンからガルミッシュパルテンキルヘンに出かけて3000m級の山に登ったり、インスブルックやザルツブルグに日帰り旅行をして2日で国境(ドイツ-オーストリア間)を4回も跨いだり、まさに自由自在のクマさんぶりを発揮していたのである。
イン1
(南からくるイン河。水は白く、豊かである 1)

 5月22日、ザルツブルグから帰った翌朝、クマ蔵は「パッサウの町を見てこよう」と思い立った。パッサウは、ドイツの東の端っこ。すぐそこはチェコやオーストリアとの国境で、ホンの20年前までは東西冷戦の強烈な緊張が支配していた町である。
 この町で、西から流れてきたドナウ川と、南から流れ込むイン河が合流する。当然古代から交通の要衝であり、多くの戦争の舞台になった。古代ローマとゲルマン民族の対立点でもあったし、中世もルネサンス期も、第2次世界大戦から東西冷戦まで、2000年も対立の焦点であり続けた町などというのは、そんなにたくさんあるものではない。
イン2
(南からくるイン河。水は白く、豊かである 2)

 ミュンヘンから各駅停車の電車で2時間ほど。政治的なビラを車内で配っているちょっと感じの悪い青年集団が騒いでいたり、オッカナイ顔の警察官が乗り込んできてパスポートの提示を乱暴な口調で要求したり、さすがにこの辺りには、まだ東西対立の緊張の名残が残っているようである。
 インスブルックについて書いた時に何枚も写真を掲載したが、イン河の水はミネラルを含んで白く濁り、アルプスの雪解け水は豪快な水音を立てながら、北に向かって豊かに流れる。水量の豊富さは圧倒的で、西から来るドナウよりも遥かに優勢である。昨日のお相撲の白鵬がドナウなら、イン河の激しさはまさに日馬富士。うーん、例えが悪いかねえ。
ドナウにかかる橋
(パッサウ ドナウにかかる橋)

 合流点に行ってみると、南からのイン河は白く豪快にザブザブ流れ込む。東からのドナウは、黒ずんだ水が滔々と、少し澱んだように静かに流れている。ドナウの水が黒ずんでいるのもまたミネラル分のせいである。
 黒い水と白い水がカンタンに混じりあわずに、合流点からもなおしばらくは、左が黒、右が白、流れの真ん中での対立とせめぎ合いが続く。オーストリアからスロバキアへ、スロバキアからハンガリー、さらに旧ユーゴ圏からルーマニアへ。白と黒のせめぎ合いは、まだまだたくさんの国境を越えながら東に向かい、はるかな黒海まで続くのである。
ドナウ
(合流直前、黒く静かなドナウ)

 お、今日は短いね。これはいい兆候だ。確かクマ蔵は「ブログを短くしていきます」と宣言したんだった。しかし「リューアルとまでは行かなくても、せめてスリム化していきたいと思います」といくら宣言しても、どうしてもうまくスリム化が進まない。あっという間にスリム化して「最強ボディ」に変貌した友近どんみたいな、強固な意志がマユ蔵にはないのだ。
 それでも諸君、見てくれたまえ。いろんな新機軸がブログ画面に登場している。「旅行記」の欄、「ブログテーマ一覧」の欄。いろいろクリックして、遊んでみてくれたまえ。「速攻闘病記」「松和荘時代」など、最近このブログを読みはじめた読者にとっては、おそらく驚きの記事が並んでいる。
合流点2
(再び、合流点)

 スリム化については、もう少しだけ時間が欲しい。書きたいことがいくらでも湧いてくるのだ。何もしないで無為に過ごした日でも、頭は世界を駆け巡り、心は時空を自在に旅しているから、書くべきことは一向に減ってくれない。
 それを無理やり「書くな」「スリムになれ」「ダイエットしろ」と、膨張を続ける繭みたいな自分に命ずるのは、余りにも苦しいじゃないか。膨張して、黒繭が爆発でもしたら、いったいどうしてくれるんだ? そういう心境である。

1E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 1/2
2E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 2/2
3E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.1
4E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.2
5E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.3
total m155 y1425 d9320