Fri 120821 睡魔君との付き合い方 戦うより味方につけたまえ 旅の余韻から立ち直る | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 120821 睡魔君との付き合い方 戦うより味方につけたまえ 旅の余韻から立ち直る

 アルゼンチンからの帰国から24時間。今井君の頭はいまだに夢見心地であって、一向に現実に戻る気配がない。その証拠に、目覚めているのに心もカラダも「眠ろう&眠ろう、とにかく眠ろう」と、ひたすら睡眠の誘惑に負けようとする。
 むしろ睡眠の悪魔君を手招きして「どうしてキミはボクを睡眠に誘惑してくれないんだ?」と難詰する勢いである。この辺が「教師根性」というヤツであって、たとえ睡魔を相手にしても、睡魔君を畳に正座させ、睡魔君のクセにその本来の仕事をキチンとしていないことを自覚させるべく、優しいお説教につとめるのである。
中央駅
(旅の余韻1 フランクフルト中央駅での自分撮り。この直後、ちょっとした事件が発生したが、詳しくは旅行記で)

「ほら、睡魔君。ボクを眠らせようとキチンと努力してますか?」
「あらゆる手段を尽くしてでもボクに惰眠をむさぼらせなきゃ、キミは睡魔君の名に値しませんよ」
「おい、このヘチマめ。睡魔君のクセに、睡魔君の仕事ができないなんて、キミはただのヘチマだぞ(なお、「ヘチマ」という呼び方はドストエフスキー「カラマゾフ」から引用)」
「ボクは12時間×4回のフライトで心身ともに疲れきっているんです。睡魔君としては初心者コース。一番カンタンなカモですよ。オレオレ詐欺には『カモリスト』があるそうですが、いまのクマどんは『睡魔カモリスト』の中でトップノッチ。睡魔君、キミは初心者♡初級者ですらないんですか?」
「むしろボク自身が、キミより上手にボクを眠らせてみせましょうか?」
 うにゃにゃ、ベテラン講師というものはマコトにオソロシイもので、しまいには睡魔君にベテランのワザを誇示しはじめる。「ほらほら、こうすればカモはイチコロなんですよ、睡魔君」というわけである。
ライン川
(旅の余韻2 ライン河、ローレライでの自分撮り)

 ワザは単純にしてイージー。椅子に座ったままでも、ベッドにゴロリと転がっても、上を向いて、口を開けて、ワザとヨダレを一筋たらし、「うへ、眠いや。くじけそー♨」と一言唸るだけでいい。
 「またクダランこと書いて時間つぶしをしてるな、このヘチマめ」と言うなかれ。これでも今井君は一面にコケむしたベテラン講師として、「眠れぬ夜の対処法」を諸君に提示しているのだ。
ウルグアイ
(旅の余韻3 南米ウルグアイの風景)

 読者諸君は、まだ若い。高校生や中学生もいるだろうし、20歳代後半の大学院生、30歳代のビジネスマン、40歳代のママ、50歳代の教師もいらっしゃるが、年齢すでに数百歳を数えるクマ蔵から見れば、例外なくみんなが若い。「眠れぬ夜」という恐ろしくロマンティックな恐怖、闇と静寂に真綿で首をしめられる恐怖に、若い諸君が頻繁に苦しめられることを熟知しておる。
カミニート
(旅の余韻4 ブエノスアイレス・ボカ地区の風景)

 脱出法は、カンタンだ。まず、チャンと疲労すること。疲労の仕方は千差万別であって、10km走ってきてもいい。数学の計算問題を100問解いてもいい。英語の音読を3時間続けてもいい。単語集に掲載されている例文を1センテンス5回ずつ、200センテンス音読してみたまえ。ウワキがちの彼氏や彼女と3時間口ゲンカするより、ずっと健康に疲労できる。
ラプラタ河
(旅の余韻5 ラ・プラタ河の風景。この泥の河がアルゼンチンとウルグアイを隔てている)

 十分に疲労し、十分に退屈したら、必ず口に出して「うへ、疲れた」「ヘトヘトでござんす」「もうイヤでござる」「くじけそー♨」と呻くこと。特にこの最後の「くじけそー♨」が重要。♨マークがホントに目の前に出現して、ユラリ&フワリとアッタカ湯気をあげるほど、心の底から「♨♨くじけそー♨♨」と唸ってみるのだ。
 すると、あら不思議。その湯気が初心者の睡魔君を引きつける。睡魔君はスイマー君に変身、温泉の湯気の中をキミに向かって、一直線に泳いでやってくる。「おお、初級者ながら頼もしいヤツだ」。そう心に思いながら、ベッドにゴロンとなって上を向き、ワザとヨダレを一筋たらしてみたまえ。
本屋
(旅の余韻6 ブエノスアイレス「世界で2番目に美しい書店」。下のオペラホールが書店になっている。ステージはカフェ)

 諸君、この時プライドは一切不要でござる。キミはいま「眠れぬ夜」という恐ろしい妖怪と戦っている。頼れるのは、力不足の初級者睡魔君のみ。ヨダレの糸が睡魔君を一気に引きつけて、キミを温かく懐かしい眠りの世界へ導いてくれるはずだ。
犬
(旅の余韻7 南米では大型犬の放し飼いが目立つ)

 営業成績不振で、部内棒グラフはブービー賞。部長の明日の叱責がイヤで眠れない。明日がセンター試験。準備は万端のはずだが、わずかなミスで一年の努力がムダになりそうで、コワくて眠れない。ここまで、滑り止めのはずの大学も全敗。明日は最後の希望の第一志望校だが、すでに暗いアキラメが渦巻いて眠れない。
 そういう時、「くじけそー♨」の湯気とヨダレが、どれほど大きな力になってくれるか。やはりそういうことは、数百年のヨワイを重ね、さまざまな修羅場をくぐり抜けてきた今井ンゼラマ(昨日の記事参照)ぐらいでないと、アドバイスできない話である。
マンハッタン
(旅の余韻8 船からのNY・ロゥワーマンハッタン)

 もっとも、今井君みたいなベテランになると、睡魔からの立ち直りも早い。何しろ、9月16日からは約40回の講演会や公開授業が待っている。今年度分の授業収録も残っている。ニューヨーク→ブエノスアイレス→フランクフルトの余韻とヨダレに、いつまでもマミレているわけにはいかないじゃないか。
 そこで、今井君は立ち上がるのである。立ち上がったのは、14日午前6時半。おやおや、睡魔君の撃退もめっぽう早い。帰国が16時、成田空港でメシを食べて、代々木上原への凱旋が19時ちょうど。だから、たった帰宅後11時間で時差ボケと極度の疲労から立ち直り、睡魔君の誘惑をやすやすと振り切ったことになる。おお、立派&立派でござるね。
Ms. Brown
(旅の余韻9 NYの大好きなM&M'sショップには、知的女性総合職チャンが新登場。その名はMs.Brownである)

 成田でメシを食べたのは、「久々の炭水化物を待ちきれなかった」から。諸君、昨日の写真と旅程&献立表に明示した通り、17日に及ぶ地球一周ンゼラマの旅において、クマ蔵はほとんど炭水化物を摂取していない。
 ウシであろうとヒツジであろうとニワトリであろうと、ひたすら肉肉♨肉肉♨肉肉ワッシワシの連続。南米のウェイターたちでさえ、両手を大きく広げ肩をすくめて「付け合わせはいらないのか?」「サラダもいらないのか?」「肉だけワシワシなのか?」と驚くほど、肉とワインとビアの日々が続いた。
 もちろんそれは、「欧米の炭水化物がマズいから」に過ぎない。旨いものならムシャムシャやるのはヤブサカでないが、イタリアのパスタを除けば、欧米の炭水化物で旨いと思うものはない。ま、「ナンチャッテ和食」の炭水化物なら「面白くて話題性に富む」けれども、面白くてブログネタにはなっても、旨くないのは同じことである。
ブルックリン
(旅の余韻10 またまたブルックリンブリッジをわたった。2012年8月現在、一部工事中である)

 だから、成田に降りた直後の今井君は徹底的に炭水化物に飢えている。「コメ、コメ。コメを食わしてくれ」「麺をくれ。ウドンでも蕎麦でもラーメンでもいい。代わりに、国をくれてやるぅ!!(これはシェイクスピア「リチャード3世」ラストシーンのパロディ)」という勢い。
 成田でむさぼるように飲み込んだのは、ラーメン&餃子&チャーハン定食。横綱大関そろい踏みだったので、ついでに日本酒まで飲み干した。こりゃたいへんだ。1年のダイエットを1食で台無しにする暴挙だ。ただし諸君、その辺のことは明日の記事で詳述する。
 代々木上原凱旋後は、凱旋記念に冷えたビア2本を飲み干し、ちょっとゆっくりしてから、ブログを更新。うにゃにゃ、何てマジメで勤勉なクマなんだ。「くじけそー♨」な睡魔君への降参は、深夜までチャンと我慢したのである。

1E(Cd) Eschenbach:MOZART/KLAVIERSONTEN④
2E(Cd) Eschenbach:MOZART/KLAVIERSONTEN⑤
3E(Cd) Eschenbach:MOZART/KLAVIERSONTEN④
4E(Cd) Eschenbach:MOZART/KLAVIERSONTEN⑤
5E(Cd) Barenboim & Berlin:LISZT/ダンテ交響曲
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