Sun 120708 小さな戦闘にも一分の隙も許さない 合宿4日目の感激(カウントダウン5) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 120708 小さな戦闘にも一分の隙も許さない 合宿4日目の感激(カウントダウン5)

 長かった河口湖合宿も4泊5日の4日目がくると、講師としては「もう終わったも同然」というチョイと油断した気分になる。第1期の4日目は「でも、明後日からまた新しい生徒諸君を迎えてもう1セットこなさなきゃ」という緊張感があるが、第2期の4日目は、すでに前夜祭が始まりつつある解放感が、どう抑えても滲み出てしまう。

 ただしそれはあくまで講師の側の事情。生徒諸君は、過去3日間の疲労の蓄積が重くのしかかり、明朝の「修了判定テスト」に向かって緊張はますます大きくなる。修了判定テストは、もちろん初見の長文読解問題も出題される。一種の実力テストである。

 確認テストは9割以上がほとんどになり、満点の生徒もクラスの半数近くを占めるようになるが、最後の修了判定テストで満足できる得点が取れなければ、せっかくの合宿がデクレシェンドで終わってしまう。腰砕けのデクレシェンドは、講師としても絶対に避けたいのである。
BAD TORO
(気合いの入った今井君はBAD TOROのTシャツを持ち出す)

「そんなテスト、どうだっていいじゃん」というコドモっぽい無関心を示す生徒は一人もいない。そのあたりが、この8年間の東進生全体の成長ぶりを如実に感じるところ。以前の東進生には、今井君の受け持つハイレベルクラスでさえ、「テストの点数なんかでオレたちは燃えないぜ」という幼稚なヤカラが、どうしても数人紛れ込んでいたものである。

 オトナになればなるほど、また優秀であればあるほど、目先のテストの点数に激しく燃え上がるものである。目先の戦闘、一見ツマラン小競り合い、出城の奪いあい、そういう戦いに一分のスキもなく勝利を続けた先にしか、大きな勝利など存在しない。
床に届く
(優秀者表は、床に届くほうがむしろスタンダードになる)

「ちょっとぐらい負けてもいいんだ。小さな城を落としたって、大局に影響はないからな」などというのは、まだ精神的に脆い兵士に対する上官のメメシイ慰めに過ぎない。勝って、勝って、勝ちまくって、一貫した勝ちグセがついて、それでまたまだまだ勝ちまくって、常に一分のスキもない完全勝利を目指す。

 負けて言い訳、負けて負け惜しみ、そんな負けグセ人生に比較すれば、小さな戦闘だろうが、大局に影響がなかろうが、常に勝ち続ける人生のほうが圧倒的に楽しい。こんなに楽しいことはない。負けて、負けから立ち直るのに浪費される精神力に比較すれば、小さな戦闘の勝利を積み重ねるのに必要な力は、遥かに小さくて済むのである。
よいまち草
(毎年、H1クラスは宴会場「よいまち草」での授業である)

 今井君はこの話をする時に、いつもゲルマン民族の大移動を引き合いに出すことにしている。ゲルマン民族の「大移動」というと、まるでゲルマン民族がみんなで手をつないでワァーッと一斉に西に向かって歩き出したかのように錯覚するが、実際のゲルマン民族は、約100年間にわたってローマ軍との小競り合いに、一貫して勝利し続けただけなのだ。

 取るに足らない戦闘をないがしろにし、甘いマクロの夢ばかり説いて、ミクロの勝利を重ねる苦しい勤勉を捨て、「あれは小競り合いだから負けてもいい」「これも負けていい」「あれも負けてかまわない」と言い訳を重ねてダラしなく後退を繰り返せば、やがて怠惰と撤退と言い訳が習い性に変わる。大ローマ帝国が崩壊した原因は、小さな怠惰と撤退を続けたことである。
412号室
(クマ蔵は412号室のカギを握りしめて出陣する)

 もちろん、そんなヘンテコで妙竹林な例を持ち出すには及ばない。15戦全勝の悠然とした優勝は、13勝2敗での青息吐息の優勝とは、全く価値が違う。予備校講師が授業をして、生徒が「100%分かった」とニコニコしているのと、「だいたい理解できたかな?」とゴマカしてニヤニヤしているのとは、雲泥の違い。それと同じことである。
前期富士
(第1期、4日目朝の富士)

 というわけで、少なくとも今井君のハイレベルクラスでは、確認テストは常に満点を狙う。まとめテストでは意地でも満点を取る。もちろん修了判定テストでも、全員満点を目指す。とにかく一分のスキもなく満点を取り続ける。以上が至上命題である。スタッフも生徒も夢中だが、講師も4日目あたりから夢中すぎて目の前が赤くなってくる。
テープネコ
(セロテープ猫のTシャツ)

 その辺の気合いを、クマ蔵は服装で示そうとする。第1期の4日目は、マドリードで購入した「BAD TORO」の真っ赤なTシャツ。第2期の4日目は、セロテープを夢中で引っ張っる2匹の気合いネコのTシャツ。うぉ、これで気合いが入らないはずがない。

 しかし諸君、せっかくならボトムにも気合いを入れたくなるじゃないか。で、この8年間、合宿4日目のボトムは写真に示したオレンジ色のズンボを履くことに決めている。サンダルは、一昨年から写真のものを愛用中。このボトムで気合いが入らないような人間が、他にどうやったらパンパンに気合いが入ると言うんだね?
ボトム
(ボトム。オレンジのパンツと、サンダル)

 講師は目の前が真っ赤。着ている服も真っ赤。生徒もスタッフも目の前は真っ赤。これで何か文句マッカ? おっと間違い、文句アッカ? であるね。

 このぐらいクダランことを平気で言えるのも、全身マッカに染まっている証拠。むかしむかしマッハ文朱(ふみあけ)という女子プロレスの選手がいたが、今井君は今や「マッカくま蔵」または「マッカくま蔵」と化している。
まとめテスト
(クラス平均も班別平均も、たいへんなことになってくる)

 こうして、世間も目から見たら「ドーデモイイ」もいいところかもしれない「まとめテスト」は、80人のクラス平均が99点を超える。12~13人で1つの班を作っているが、班内平均が99.8点などということも、4日目には平気で頻発する。

「それはどうせテストが簡単すぎるんじゃないか?」という諸君。ではちょっと写真を見てくれたまえ。読解問題もバーンと遠慮なく出題されるのだ。制限時間だって15分しかない。これでクラス平均99点超などという事態を実現できるのは、さすがに我々の河口湖合宿ぐらいしか考えられない。
確認テスト全集
(まとめテストと確認テスト15回分。これを受けただけで、夏期講習テストゼミの1講座分のボリュームは十分ある)

 4日目の夕方が近づくと、優秀な生徒諸君の中には、「テキスト中の220の例文全部を、英文を見なくとも音読できる」という猛者も出現する。今井君が合宿初日にクラス全員の前で掲げた目標「220の例文を見ないで音読」、昔風の言葉で言えば暗誦、それをたった4日で達成したということである。

 今井君は自分が高校生の頃から「記憶力だけは誰にも負けない」と自負していたぐらいだから、4日で例文220を暗誦したからといって、それを別に超人的とは思わない。やれば誰でも出来ることだ。今井君は年齢573歳の超高齢グマではあるが、ホントにやる気なら、今だって4日もあれば英文500ぐらい簡単に暗誦してみせる。

 だって、別に超人的である必要はないのだ。たかが外国語である。「英語なんか、コトバなんだ。やれば、誰でもできるようになる!!」であり、「じゃあ、いつやるんだ? 今でしょう」である。今まさに目の前で「誰でもできること」を次々と達成していく生徒諸君を眺めているのは、胸のすく思いである。
すきやき天ぷら
(4日目の夕食。スキヤキと天ぷらの情景)

 この日の授業は、朝が「複合関係代名詞/疑似関係代名詞など」、午後が「比較」、夜が「仮定法」。相変わらず毎回の授業で速読用の長文読解問題と、ディクテーション5問とが追加される。生徒たちもこの日がヤマであることは熟知しているから、何とか自分で睡魔と戦えるようなオトナに成長している。

 夕食には、スキヤキと天ぷらが出る。「最後だから、頑張ってください」というホテル美富士園側の心意気である。生徒諸君は食事の場でも捲まず撓まず音読を続けているが、旅館の仲居サンたちは「オカワリいかがですか?」と声を張り上げて、生徒たちの間を熱心に歩き回ってくれる。あんまり生徒が夢中で勉強しているので、周囲の人々も思わず感激してしまうのだ。

1E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES②
2E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES③
3E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES④
4E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES⑤
5E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES⑥
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