Sat 120707 3日目、合宿はますます盛り上がる 講師の空き時間(カウントダウン6) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 120707 3日目、合宿はますます盛り上がる 講師の空き時間(カウントダウン6)

 合宿中は1つの授業が終わるたびに、約1時間の個別学習をはさんで確認テスト。確認テスト4回ごとに1回のまとめテスト。さらに毎朝の発音アクセントテスト。スタッフ6名に激励されながら、クラス約80名の生徒は懸命にスケジュールに追いついてくる。

 講師は授業をしているだけだから、そんなに疲労することはない。何しろ1日につき90分授業3コマだ。代ゼミにいた頃の夏休みは、90分×5コマ。駿台の頃の夏期講習なら、50分授業9コマ。どちらにしても7月から8月いっぱい、1日450分の授業をこなしていた。270分なら、お安いご用である。
第1期3日目の富士山
(第1期、3日目からは富士がキレイに姿を現した)

 スケジュール管理は徹底していて、食事の時間でも入浴の時間でも、何より重視されるのは時間厳守。合宿3日目になると、生徒たちもすっかり要領が飲み込めて、行動の一つ一つが素早くキビキビしてくる。ダラけているより、サッサと動いたほうがずっと楽しいことを体感するのである。

 私語厳禁も徹底。私語を交わすヒマがあったら、テキストの読解問題を1回でも2回でも音読したほうがいい。「よく頑張るね」と褒めてあげたくなるとしたら、講師がまだ素人の証拠。むしろ生徒たちは、ダラダラ私語を交わすより、1行でも2行でも無我夢中で音読を繰り返しているほうが、ずっと大きな幸せを感じるようになっている。
スケジュール
(合宿5日分のスケジュール表)

 ここまでくると、講師はもう余裕である。午前11時に1回目の授業が終わると、次の授業は2時だから、ここで3時間もヒマがある。今井君はこの3時間でゆっくりお部屋のお風呂に浸かり、持参したドストエフスキーを読み、ロビーに降りて新聞を読む。

 午後の授業が終わるのが16時。夜の授業は21時からだから、今度は5時間もヒマがある。うにゃにゃ。しかしここで講師が教室に出かけ、「質問があったら受け付けるぞ」「分からない所があったら、どんどん相談に来い」「どんな相談でもいいよ。遠慮なく聞きに来い」みたいな、妙な熱血講師的サービス精神は、決して発揮してはならない。
土偶君
(第1期、余裕の今井君。土偶のTシャツを着たりする)

 授業時間以外は、すべて6名のスタッフに預けるのがいいのだ。若いスタッフの睡眠時間は、この4泊5日で計10時間にも満たない。合宿に参加すると決めたときからその覚悟でいて、むしろ「ぜんぶ任せてもらいたい」「自分たちで一分のスキもなく運営したい」と熱望している。講師が余計な口出しをすれば、スタッフの成長の阻害要因になる。
成績優秀者1
(確認テスト9割以上の生徒を一覧表にして掲示する)

 生徒にしても同じことで、講師がしょっちゅう生徒たちにベタベタつきまとい、「あれをやってやろうか?」「これを教えてやろうか?」と、デレデレした熱血ぶりを見せつけようとすると、せっかくの合宿が台無しになる。

 個別学習の時間は、生徒にとってもスタッフにとっても独立と自立の練習の場なので、世の中に溢れている熱血講師ふうの態度は厳禁。生徒に時間厳守/私語厳禁を言い渡した以上、講師のほうでもデレデレ厳禁/ベタベタ厳禁である。
成績優秀者2
(優秀者一覧表。3日目には床に届くほどになる)

 個別学習の時間に質問なんか受け付ければ、人生相談だの恋愛相談だの、いまこの場で全く必要のない話で生徒の大切な時間を奪うことになる。講師とそんな話をしているヒマがあったら、やっぱり20行でも30行でも心をこめて音読したほうがいい。スタッフ同様、講師もそういう方針を貫かなければならない。
なまはげ君
(第2期、余裕の今井君。なまはげTシャツを着たりする)

 第2期の2日目、今井君はちょっと思い立って河口湖前の床屋さんに出かけた。髪もヒゲもダラしなく伸びてきたので、ここで気合いを入れなおすためにも、ビシッと5mmの丸刈りにしてもらおうと考えたのである。

 4時すぎ、授業が終わるとすぐに出かけた。河口湖駅前「梶原作男理容店」である。この床屋さんには、懐かしい思い出がある。4年前の合宿のとき、やっぱりクマどんは途中で丸刈りを決意し、床屋さんを捜して駅前をウロウロした。あのとき見つけたのが、「梶原作男」である。
丸刈り君
(合宿第2期2日目、5mmの丸刈り君。ますます気合いが入る)

 ところが4年前のあの日、店は開いていて店先のネジリ棒も回っているのに、店の中には誰もいない。最初は小さな声で「ごめんください」、次第に大きな声で「ごめんくださーい!!」と呼んでみたが、だれも出てくる気配がない。しかし、奥のほうでは明らかに人の気配がして、どうやらお昼ごはんを食べているらしい。

 なお、「ネジリ棒」というのは、床屋の店の前でクルクル回っている、赤と青と白のアイツのこと。昭和中期の随筆を読んでいると、「床屋のネジリ棒」という言葉が頻出する。
梶原作男理容店
(ついに「梶原作男理容店」へ。念願が叶った)

 だれもいない床屋の店先で、クマが大声で叫び続けているのも何だか怪しい話だから、4年前の今井君は一計を案じ、梶原作男どんの店先で、梶原作男どんに電話をかけてみた。店先に「お電話番号」を印刷したカレンダーがかかっていたので、その番号にケータイからかけてみたのである。

 すると、クマ蔵の目の前の電話がいきなり「トゥルルル、トゥルルル」と鳴り始めた。あらま、こりゃ困った。電話が鳴っているのに、その電話に出るヒトが店にいない。奥で昼食に舌鼓を打っていらっしゃる。

 あえて受話器をとるとしたら、店先に佇むクマ蔵しかいないわけであるが、何しろ電話をかけた張本人が、このクマ蔵である。自分でかけた電話に自分で出るというのも、またたいへんシュールなお話だ。

「もしもし」
「もしもし、梶原作男理容店ですか?」
「いいえ、クマ蔵ですが」
「あれれ、おかしいな。だってこの電話は梶原作男理容店のはずですよ」
「それが、ちょっと事情がありまして」
「ほぉ。どんな事情でしょうかね」
話の進行の仕方によっては、カンタンに「ゴドーを待ちながら」みたいなお芝居を作れそうだ。
第2期の富士山
(第2期、猛暑の富士に靄がかかる日々が多かった)

 あれから4年が経過した。あれはちょうどブログを始めた直後だったので、当時のアーカイブを読めば、この後の展開も分かるはずだが、結局4年前のクマさんは梶原作男理容店をあきらめ、駅からさらに200mほど離れた床屋さんに入ったのだった。オバサマが一人でやっている、昭和レトロな床屋さんだった。

 しかし更新1500回に近づいた2012年の今井君は、ついに念願の梶原作男さんと出会うことができた。お会いしてみると、60歳代後半、落ち着いた物腰の上品なオジサマであった。もう1人、パーマ中のお客さんがいたが、すぐに5mmの丸刈りを仕上げてくれた。おかげで、合宿の授業にますます気合いが入る。大いに感謝する次第である。
朝食
(朝食もしっかり)

 3日目の授業は、朝が「分詞」、昼が「関係代名詞」、夜が「会話読解問題特集2」。さすがに生徒たちの疲労はピークに向かいつつあって、90分授業の後半、疲れきったところで扱う速読用読解問題の解説は、さすがの大ベテラン♡今井君でも苦労する。

 どんなに面白く授業をしても、疲労のピークの生徒たちは、ふと緊張の糸が途切れて、気を失ったように眠りに落ちる。何しろこの3日、2時就寝→6時起床。1日20時間近い勉強が3日も続いたのだ。

 スタッフ3人が常に教室内を歩いて、居眠りを始めた瞬間に背中をたたいて起こして回る。しかし、集中しやすい文法問題やディクテーションならいざ知らず、読解問題となると凶悪な睡魔から身を守るのは容易なことではないのだ。

1E(Cd) Keith Jarrett & Charlie Haden:JASMINE
2E(Cd) Ann Burton:BLUE BURTON
3E(Cd) Harbie Hancock:MAIDEN VOYAGE
4E(Cd) Miles Davis:KIND OF BLUE
5E(Cd) Weather Report:HEAVY WEATHER
total m35 y1148 d9043