Tue 120703 東進河口湖合宿が始まる 往路の生徒たち 往路の講師たち ついに開講式 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 120703 東進河口湖合宿が始まる 往路の生徒たち 往路の講師たち ついに開講式

 7月下旬の今井君は、河口湖で10日間を過ごさなければならない。東進の夏期合宿に参加するのである。東進に移籍して8年目になるから、合計で80日を河口湖で過ごしたことになる。

 これは、十分に驚嘆すべきことである。1億2千万人もいる日本人の中で、「河口湖で80日」を達成した人がいったい何人存在するだろうか。金メダルとか銀メダルまでは行かないにしても、河口湖オリンピック委員会から銅メダルぐらい授与されてもいい記録である。
富士急1
(富士急「フジサン特急」 1)

 河口湖まで、生徒たちは貸し切りバスで向かう。首都圏の生徒も、奈良や静岡や長野の生徒も、朝早くバスに乗り込んで河口湖を目指す。首都圏の場合は、近隣の校舎をバスが回って生徒たちをピックアップしていくわけだ。

 ただし、バスの車窓を楽しんだり、「あーあ、これから5日、カンヅメで合宿か」とアンニュイな気分に浸ったり、そういう暢気なことはさせてもらえない。バスの中で過ごす時間も、ひたすら英単語のアクセントを学習する。河口湖到着の3時間後には、たったいま学習したアクセントについての小テストがあって、目標は「全員が満点」なのである。

 バスの中の学習も、東進独特=「ひたすら音読」である。語学に関する限り、音読ほど効果的な学習法は考えられないので、ましてやアクセントとか発音とか、音声に関わることを無言で黙々と勉強してもキチンとした効果は期待できない。身体や脳に刷り込んで本能に近いものにするには、とにかくひたすら声に出す。
富士急2
(富士急「フジサン特急」 2)

 今井君なんかは、バスの運転手さんが気の毒になる。「予備校の合宿です」と伝達されれば、「そうか、予備校か。バスの中はきっとシーンと静まり返って、みんな参考書を開いて黙々と勉強するんだろうな」と予測する。しかし諸君、河口湖に向かうバスは、みんなで声を合わせて単語の発音練習に励む声が、延々と響き渡ることになる。

「なんで、こんなにうるさいの?」「こんなにうるさくて、勉強なんかできるはずがない」と、おそらく運転手さんは考える。「あんまりうるさくて、運転に集中できないぐらいだ」というのが本音かもしれない。

 しかし、スタッフも生徒たちも、かまわず夢中で発音練習を続ける。何しろ、「入試合格より、使える英語をカラダに刷り込むことが目標」と全員が心の底から理解しているのである。音読なしに、使える英語なんか身に付くはずがない。この徹底ぶりは、いわゆる3大予備校をのし歩いてきた今井君でも、東進以外では全く経験したことがない。
三つ峠駅
(富士急 三つ峠駅)

 一方、講師たちのほとんどは電車で河口湖を目指す。新宿から特急「かいじ」で山梨県大月まで1時間。中央線は八王子を出るといきなり深い山に入り、夏の青空とポッカリ浮かんだ白い雲と、夏の太陽に輝く深い緑の山を眺めながら、「あーあ、今年も始まっちゃいましたね」と頷きあって、ふと苦笑をもらす。
河口湖駅
(河口湖駅に着いた)

 ただし苦笑は浮かべているものの、実はみんなこれからの10日間が楽しみでならない。いまや予備校の授業の主流はスタジオでの収録授業であって、生徒の集団を前にした生授業というものは、次第に過去の遺物となりつつある。ひと昔前に収録授業に対して感じた違和感など、教師にも生徒にももう全く存在しない。

 しかし諸君、講師としては、やっぱり生授業が懐かしい。ほんの10年昔までは、200人も300人も、多い時には400人以上の生徒を目の前にして、毎日5コマ6コマの生授業をこなしていた。あの熱っぽさが好きで講師になった人たちがほとんどなのだ。

 いつもスタジオで1人きりで収録では、「どうしても寂しい」というのがホンネ。それがこれから10日間、ずっと目の前に100人近い生徒を座らせて、懐かしの生授業の熱気を満喫できる。講師の苦笑は、実は内面から滲みだす嬉しさ♡懐かしさをグッと押さえつけた結果の表情に過ぎないのだ。
美富士園で
(ホテル美富士園にて)

 生徒たちの合宿は4泊5日で終わる。しかしほとんどの講師はそれを2回こなしてから帰る。第1期が7月21日から25日。第2期が26日から30日。生徒とスタッフは完全に入れ替わるが、講師はそのまま10日居残って、2回分の合宿をこなす。

 最後はヘトヘトだが、7月30日の昼過ぎには「今年も楽しかったな」と、疲労で青息吐息でありながらも、超満足の溜め息をつく。繰り返すが、今井君はそういう7月下旬をこれで8回経験することになる。夏はここから始まるので、これなしには講師の夏は来ないのだ。

 大月で「かいじ」を降り、富士急のフジサン特急に乗り換える。ここからは山道を揺れながらどこまでも徐行が続き、河口湖までまた1時間かかる。車窓は、緑の田園風景と、近い山の深緑と、遠い山の爽やかな青、3色のグラデーションに変わる。
緑と深緑と青
(緑と深緑と青の風景)

 この風景は、おばあちゃんとおじいちゃんの家に遊びにいく夏休みの、マコトに懐かしい記憶とつながっている。すいか、かき氷、酔っぱらった親戚のオジサンの赤い笑顔、ブドウにモモ、川遊び、虫取り。幼い今井君は「植物採集に夢中」というちょっと変わったコドモであったが、懐かしさに全く変わりはない。

 新宿を午前9時に出れば、河口湖には昼前に着く。新宿西口から直通の高速バスも出ているが、バスの車窓はつまらない。高速道路の車窓というものは、国内でも海外でもソックリ似通っていて、旅情も感慨もちっとも高まってこない。
16.6℃
(第1期の開始日は、河口湖の気温16.6℃であった)

 今年の第1期、河口湖は異常な低温で始まった。駅前の温度計は16.6℃を示している。「夏期合宿」とはいうものの、気温は4月なみ。あるいは10月並み。冷たい雨が降り、霧まじりの雲が流れ、富士山は足許まで雲をかぶって、全く姿を見せようとしない。
富士山は雲の陰
(富士山は雲の陰に隠れていた)

 しかし心配はいらない。夏というものは、落ち着いて待っていれば必ずやってくるので、昨年も同様に第1期初日はビックリするほど涼しかったが、最終日25日には一気に暑さがよみがえり、大きな青い富士が姿を現したものである。

 一方、第2期開講日26日は、気温30℃まで上昇。湿度も上がって、富士山は靄の向こうに薄青く霞んで見えた。毎年、第1期は何となく大人しめに終わり、第2期がガーッと盛り上がってくるように感じるのは、天候と気温と富士の姿のせいなのかもしれない。
開会式前
(開講式前の大広間で全員起立して音読に励む 第2期)

 13時から、大広間に講師・スタッフ・生徒全員が出席して、15分ほどの開講式を行う。2000人を超える生徒が参加する河口湖合宿で、今井君担当の「ホテル美富士園」は第1期250人、第2期も250人。これにスタッフ全員を加えて、総員300人ほどの開講式はなかなかの壮観である。
開校式が始まる
(開講式が始まった 第1期)

 同宿の先生がたと相談して、開講式は「とにかく手早く終わる」。他の宿舎が30分かけるなら、我々は15分。開講式なんかで長々と喋っているヒマがあったら、単語を10個覚えるほうがいい。講師の長話にアクビしている時間があるなら、2ページでも3ページでも大きな声で音読するほうがいい。

 こういう我々のコンセプトは、バスの中も、開講式を待つ時間も、開講式そのものにも、しっかりと貫かれているのである。13時15分、開講式終了。おお、いよいよである。

1E(Cd) Stan Getz & Joao Gilberto:GETZ/GILBERTO
2E(Cd) Keith Jarrett & Charlie Haden:JASMINE
3E(Cd) Ann Burton:BLUE BURTON
4E(Cd) Harbie Hancock:MAIDEN VOYAGE
5E(Cd) Ashkenazy(p) Müller & Berlin:SCRIABIN SYMPHONIES 3/3
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