Fri 120622 今井君のニタニタ 大阪の旨い醤油ラーメン 京都のブカドンドンと祇園祭 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 120622 今井君のニタニタ 大阪の旨い醤油ラーメン 京都のブカドンドンと祇園祭

 日にちは遡るが、7月13日、大阪に向かう新幹線で往年の大投手・金田正一氏を発見。正確には新幹線ホームであるが、周囲の乗客たちの熱い視線を浴びて、手放しでニコニコしておられた。ご自分を指さしながら、野球解説でお馴染みの例の声で「知ってるの? 知ってるの?」と尋ねる笑顔がホントに嬉しそうである。
 今井君なんかも、街で「今井先生ですか?」と声をかけられたときは、あんなふうに無邪気にした方がいいんだろうねぇ。もともとたいへん内気な人間なので♡、声をかけられてもなかなか笑顔で爽やかに応じることが出来ない。引きつった顔でニヤニヤまたはニタニタするのが精一杯である。
金久右衛門1
(大阪道頓堀「金久右衛門」の醤油ラーメン。旨かった 1)

 小学校4年から6年の担任だった木内先生に「もっとニコニコしなさい」と口を酸っぱくして言われたけれども、児童会代表だか生徒会幹部だかが壇上に上がったステージで、今井君だけはどうしてもニヤニヤになり、ニタニタになる。先生に「みっともないわね」「ダラしないわね」と言われ続けながら中学生になった。
 木内先生は、女子体育がご専門だったらしく、学芸会だか文化祭だかの時でも、女子のダンスの指導にあたられた。いつも今井君と最もソリの合わないのが、その方面の先生がたであった。
「勉強の成績ばかりヤタラにいいのに♡、跳び箱3段とか4段にさえ苦労し、鉄棒のサカアガリさえ出来ない」
「成績がいいわりに、いつもフニャフニャして落ち着きがない」
「ニコニコしなさいと言っても、いかにもイヤらしいニヤニヤ顔か、何だかダラしないニタニタ笑いしか出来ない」
「ポケットに両手を突っ込んで、いつも猫背。オトナとキチンと目を合わせて話せない。またはアサッテの方を見ながら、ウワの空の受け答えをする」
「ハキハキしていない。言いたいことをハッキリ言わない。子供のクセに素直じゃない。何を考えてるんだかサッパリ分からない」
「なのにテストだけは常に満点。可愛げなんか、探してもちっとも見当たらない」
以上のような、ヒーローになりにくい子供、小学校の体育系の先生に一番嫌われそうなタイプ、悪役にされやすい子供であった。何しろ運動会の時に1番ウジウジしているんだから、先生がたに人気がなかったのも仕方ないことである。
 マトモに出場するのは徒競走とマスゲームだけ。朝のラジオ体操だって、昼過ぎのマスゲームだって、「今井さえいなければ全員キレイにそろうのに」という、マコトに申し訳ない状況であってみれば、本人としてもニヤニヤ笑いでニタニタうつむいている以外、どうにもならないじゃないか。
金久右衛門2
(大阪道頓堀「金久右衛門」、夜空に浮かぶ看板のネコが可愛い)

 ところが諸君、どうしたハズミか、中学入学後の今井君は、いきなり走るのが速くなる。徒競走なんか、放っておけばトップでゴールしかねない。最も得意なのがスタートダッシュである。短足の人間はスタートダッシュが得意、ストライドの長いヒトは中間疾走からラストスパートが得意。実に理屈にあった話で、今井君の超短足が超高速で回転するスタートダッシュは、他の追随を許さない。
 しかし一気にトップに立った若き今井君の脳裏を「このままではヒーローになっちゃうよ♨」という深い不安がよぎる。ヒーローになり慣れていない人間がヒーローになりかけた時、目の前に広がるクレバスのような心理の深淵の深さは、思わず身震いするほどのものである。
 そこで、ヒーローになれそうだがあえてヒーローにならない行動を、今井君はとるようになる。短足の高速回転で一気にトップに立つと、200m走の真ん中あたりまで来て、今井君は応援席に向かって派手に手を振るようになった。中1の時である。
 このフザけた行動に体育の先生は激怒するが、まあいいじゃないか。「変わったヤツ」「面白いヤツ」「成績がいいのはイヤらしいけど、まあ許してやってもいいヤツ」という評価が広がった。こうして超内気な今井君は「ニヤニヤ&ニタニタして陰気な感じではあるが、時々爆発的に面白くなるヤツ」に変わっていった。
金久右衛門3
(大阪道頓堀「金久右衛門」の醤油ラーメン。旨かった 2)

 今の今井君の基礎ができたのは、この時代である。ウジウジしている割にニタニタし、内気な割に突如として奇矯な行動に出る。そのギャップがヒトを驚かせ、驚かせれば驚かせるほど、何故か人気が急上昇した。
 そして人生の途中から、奇妙なぐらい硬派になった。暴力を伴う武闘派にはさすがに嫌悪感が先に立つが、コトバや態度は武闘派そのもの。講演会ともなれば、「英語マッチョめざして」「単語力と文法力は、基礎体力のようなもの」「1日30分以上の音読こそ日々の鍛錬。これなくして英語力の向上なし」と飽かず繰り返す。
 しかし、たとえ硬派に変身したとしても、小学生時代に先生たちに連日叱られながら刷り込まれてしまった「お前の笑いは、ニヤニヤまたはニタニタだ」「ニコニコ出来ない、ハキハキしない、ヒーローになりにくい人間だ」というコンプレックスが抜けない。ただ、むしろそれを武器にしてここまで戦ってきた、ないしは戦って来られたという自信が漲っている。
完食の図
(道頓堀、醤油ラーメン完食の図)

 こんなワケで今井君は、松戸駅前で声をかけてくれた「今井先生すかー? オレはいまそこのキャ○○ラで、客引きのバイトやってます」みたいな代ゼミのモト生徒にも(昨日の記事参照)、まだまだ期待を捨てないのである。
 人生なんか、直線的に夢や目的に向かって驀進するばかりではない。思いもかけぬ脱線があって、その脱線から立ち直るにもたいへんな努力が必要になる。いまその修正の努力の真っ最中にある若者をつかまえて、「何でオマエはこんなことやってるんだ」と叱責しても、仕方ないじゃないか。
 ボクチンとしては、「今井先生すかー」と声をかけてくれただけで十分だ。それだけで十分、8年前なり10年前なりに目指していた道に復帰する準備は出来ているじゃないか。そう心強く思うのである。
 何かどうしようもない理由で一度だけ脱線したものを、「一度脱線したんだから、もう価値がない」みたいな態度で突き放すのは、何度も脱線を繰り返してきた今井君にはどうしても出来そうにない。また、頑張りたまえ。早く元の道に復帰したまえ。そう願うだけである。
祇園1
(祇園祭真っ最中の京都、祇園風景 1)

 ところで、旭川でラーメンの味にハマってしまった今井君は、神戸講演会の後に大阪でトグロを巻き、「大阪で何とか旨い醤油ラーメンにありつこう」と懸命の努力をした。その結果たどり着いたのが、道頓堀「金久右衛門」である。これで「キングエモン」と発音するらしい。
 さすが大阪道頓堀であって、醤油ラーメンにも3段階を設定するヒツコサがいい。薄口のほうから、金醤油→紅醤油→黒醤油。黒はさらにいろいろ細分化されていて、「大阪ブラック」などという恐ろしげな濃いレベルまである。クマ蔵はほどほどな感じの「紅醤油・細麺」を注文した。
祇園2
(祇園祭真っ最中の京都、祇園風景 2)

 おお、これはいい。スープは今井君の求める通りの透明感。この間の札幌新千歳空港みたいに「甘酸っぱい」「リンゴの出汁」「生煮えのタマネギ」「トンコツを混ぜて濁ったスープ」みたいな、余計なお世話は1つもない。
 クマさんは、目の前に積まれた生ニンニクを、クルミ割り機みたいな器具で2つもクラッシュ。その上でスープを全て飲み干し、翌日昼過ぎまで自らのニンニク臭に苦しんだ。そのぐらい、ここのラーメンが気に入ったということである。
隠
(いつも祇園で入る店「隠」は予約でいっぱいだった)

 ついでだから、今井君は祇園祭の京都も訪れた。祇園祭の宵山だか宵々山だかで大混雑の京都である。大阪淀屋橋から、京阪電車で50分。大阪と京都の人しか分からないと思うが、「おけいはん」という正体不明の女子大生の案内で京都にたどりついた。
 京阪電車だから「おけいはん」。もう15年近く、いくら流行らなくても「おけいはんキャンペーン」は意地でも継続している。その粘り強さたるや、日本のあらゆる営業マンが見習うべき超ネバネバ、超ネーバネバである。
ギオンコーナー
(重要有形文化財・ギオンコーナー)

 しかし諸君、祇園祭の京都なんか、油断して訪ねてみると碌なことにはならない。ま、今井君だって人生のベテランだ。普通の混雑なら、とっくに覚悟は出来ている。ユカタ女子、ユカタ男子。汗臭いオジサン、口うるさいオバチャン。ありとあらゆるメンドクサイ人々で大混乱の京都なら、「おお、繁盛してますね」で済ませればいい。
くらした
(「隠」そばの「くらした」で何とかカウンター席が空いていた)

 しかしこの日はちょっと違う。ただでさえ大混雑の四条通りを、中国系のある宗教団体のデモンストレーションが占拠していたのである。デモ隊は、知恩院方面から八坂神社に降りる坂道を、ブラスバンドを先頭に降りてきた。
 ブカブカ、ドンドン、ブカドンドン。ブカブカ、ドンドン、ブカドンドン。余り上手くないチンドン屋な感じのブラスバンドだか、音量だけは人海戦術で誰にも負けない勢い。そのまま四条通りを長時間にわたって占領した。
 京都祇園祭、山鉾巡行が近づけば、観光客が期待するのは、あくまでコンチキチン、コンチキチン、コンチキチンである。まだ梅雨の雨を宿した重い曇天の下、憂愁をたたえたコンチキチンを求める人々の耳を、ブカブカドンドン&ブカドンドンが占拠する。おやおや、こりゃ興醒めもいいところだ。
くらした店内
(祇園「くらした」店内)

 デモ行進の人々には、やむを得ない事情もあるだろう。祇園祭を訪れたたくさんの中国人観光客に直接訴えかけたいという気持ちもあっただろう。だからまあ、「デモ自体は容認」ということにしよう。
 問題なのは、この行進を許可した日本の行政である。誰なの? せっかくのコンチキチンが、ブカドンドンに占領されるがままにしちゃったヒトは。大混雑の四条通りで、オジサマも、オバサマも、ユカタの若者たちも、そのことにみんな同じように怒り心頭に発していたようである。

1E(Cd) George Benson:THAT’S RIGHT
2E(Cd) George Benson:LIVIN’ INSIDE YOUR LOVE
3E(Cd) George Benson:LOVE REMEMBERS
4E(Cd) George Benson:STANDING TOGETHER
5E(Cd) Chicago:CHICAGO
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