Sun 120610 役立たない副詞情報が大好き ロンドン最終日(スコットランド周遊記24) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 120610 役立たない副詞情報が大好き ロンドン最終日(スコットランド周遊記24)

 賢明な読者はとっくに分かっているだろうが、このところの今井君はずっと悪ふざけを続けているのであって、「中身は全くないが、読めば面白さに顔が歪む」というテクニックのスイッチを連日ほぼ全開にしている。
 「何を書くか」ではなくて「どう書くのか」という問題である。WhatではなくてHowこそが重要。名詞より、副詞の勝負。20世紀後半に一世を風靡した、メンドクサイ文体論みたいなヤツである。
 もっとも、大学入試ではひたすらwhatを答えさせる問題が並ぶ。「理由は、何ですか?」「何を根拠に判断したのですか?」「何が述べられていますか?」。今日の熊本大学もその例に漏れない。「どんなふうにやり遂げましたか?」「どんな旅の仕方をしましたか?」などということは、まず設問になることはない。
ウェストミンスター
(ロンドン ウェストミンスター付近で)

 ま、それも仕方がないのだ。18歳の受験生を数千人、一緒くたに大教室に座らせて、「whatではなくhow」、そこまで高級な質問を浴びせることにはムリがある。
 「何を食べた?」なら「カレー」「ラーメン」「焼き肉」とすぐに答えられても、「どう料理してあった?」「どんな気持ちで食べた?」「食べたらどんな気分だった?」というhow系の設問に答えるのは難しい。
 Howで質問されたら、副詞で答えなければならない。副詞こそ、オトナの発言のレベルを決定づけるカギ。会話において相手を魅惑するのも、「参った」と降参させるのも、大キライにさせてしまうのも、おそらく「何」ではなくて「どんなふうに」なのだ。
土産物屋
(ロンドンのお土産屋で。こういうバカバカしいのも悪くない)

 日本の学部入試に、もちろんそこまで期待するのは酷である。以前も書いたことがあるが、教師の中にも「副詞なんかどうでもいい」「副詞は無視しちゃえ」「副詞とは、『副え物』という意味だ。漢字を見れば、無視していいことが分かる」と絶叫する者も少なくない。
 ラーメンでもカレーでも、「何を食ったか」だけが問題になり「どう食ったか」「どう感じたか」「どう店を出たか」は無視される。文化として非常に平面的であり、その部分は未発達のまま放置され、人々はそれをむしろ当然と考える。まだまだ成熟度は低いということである。
ニャゴライオン
(テムズ河のほとりで、ニャゴロワのパパに出会う)

 あれれ今井君、「1週間の告知」はどうしたの? おっとっと。おっとっとのおっとっと。ついつい忘れてしまうところだった。諸君、どうだね、このイヤらしい文体の乱舞は? 意味のないことを、意味のないままに、楽しく楽しくいくらでも書き連ねてみせる。そう断った上で、さらにそれをヤメずに延々と続ける。
 お笑い芸人で言えば、台本なし、中身なし、しかし2人のコトバと表情のカラミ合いだけで観客席を沸かせ続ける。これがなかなか難しい高等技術であることを納得するには、自分で試してみるしかない。
 試してみた多くのヒトがあきらめて、悔しまぎれに「何を書いてるんだか(話してるんだか)サッパリ分からない」と悪態のつもりで言い放つが、そんなの当たり前だ。もともと、howを弄んで楽しんでいるだけであって、何も書いてないし、何も話していないのである。
夜のビッグベン
(夜のテムズ河とビッグベン)

 さて、「スケジュールの告知」である。7月3日は吉祥寺スタジオで、熊本大学2012年問題解説。7月4日水曜日、昼過ぎからいきなり沖縄にビューンと飛んで(実はいまそのために羽田空港ラウンジにいます)、那覇で夕方から講演会がある。
 昨年の同時期にも講演会に呼んでくれた校舎である。沖縄の子供たちの学力向上に人生を賭けている、熱意溢れるスタッフの皆さんとの再会が楽しみだ。得に、代表と副代表の情熱と迫力は、1年経過しても印象が強烈に残っている。鉱脈を探して夢中のインディ・クマ蔵が、ますます夢中のレベルをアップさせる素晴らしい一夜になりそうだ。
ホースガード
(ロンドン ホースガード)

 沖縄から帰って、7月6日は再び吉祥寺スタジオに出かけ、岡山大学2012年度の問題解説。おそらく4時間ぐらいか。ちょっと変わった自由英作文の問題が特徴的な大学だから、さすがの今井君も解説に少し苦労しそうだ。
 「オレは天才だ。こんな素晴らしい英作文が書ける。どうだ!!」というならラクチンな話だが、クマ蔵の理想は「岡山大学を選択した受験生たちが、どう考え、どう書けば、合格答案になるか?」という責任感のある授業。ここでもまた「どう」=howの問題が前面に出てくるのである。
 7月7日土曜日は福岡、7月8日日曜日は山口県徳山で講演会の予定。福岡に2連泊して、徳山にも福岡から新幹線で往復する。福岡も山口も、梅雨後半の豪雨の被害が報告されている。無事に公開授業が出来ますように。懸命に神やホトケに祈るクマ蔵である。
鳥たち
(ロンドン セントジェームズパークで鳥たちと戯れる)

 で、ロンドン最終日であるが、クマ蔵の9月8日は結局「ロンドンぶらぶら歩き」に終始して終わりになった。「ぶらり途中下車の旅」ロンドン版であり、故・地井武男「ちい散歩」へのオマージュである。
 何しろ今回のロンドンはたった1日半だ。ムリしないでノンビリ。これもいいだろう。セントジェームズパークで鳥たちの写真を撮り、ホースガーズの交代式を口を開けて眺めているうちに昼を過ぎた。気がつくとバッキンガム宮殿。左に折れて、ビッグベンの足許からテムズ河沿いに、ぶらり。ぶらりぶらぶら、ぶらりぶら。そういうクダランことを続けていたら、夕暮れになった。
 夕食は今日もまたその辺のパブに入り、したたかに酔ってテムズの右岸に出た。すでに時刻は20時を過ぎている。ライトアップされたビッグベンの写真を河の向こう岸からとりまくり、ホテルリッツには22時前に戻った。どうやら、今回のアイルランド→スコットランド→ロンドン周遊は、この辺で終わりにしたほうがよさそうである。
パブ
(夕食は、パブで済ませる)

 2012年7月、ロンドンオリンピックがいよいよ20日後に迫ってきた。ロンドンへ出かけるヒトも少なくないだろう。もし今井君の旅行記からロンドン旅行のヒントを探したかったら、むしろ2008年ロンドン滞在記を熟読したほうがいい。いちばん右の欄「ブックマーク」から、一番下の「2008ロンドン」をクリックして「ウワバミ文庫」を開けば、一応チャンとしたロンドン情報が得られるようになっている。
 もちろんそんなこと言ったって、今井ブログのテーマはいつでも「whatではなくhow」だ。「何しようかな」「何食べようかな」の情報はほぼ皆無。そういうものを求めて読んでも、必要な情報は全く得られない。
 「どういう顔して歩いたら楽しいか」「どんなニヤニヤ笑いでパブに入ればいいか」、その種の、何にも役立たない話しか掲載されていないから、ぜひガッカリするためにのみ、クリックを重ねたまえ。
 人生の喜びの大半は、役に立たないバカ話から手に入る。お役立ち情報を求めてクチコミばかり読んでいるようでは、まだまだ人生のホントの妙味が分かっていないのだ。
ビッグベンアップ
(ビッグベンに別れを告げ、クマ蔵はイスタンブールに向かう)

 さて、それではいよいよ「2012年5月/イスタンブール紀行」が始まる。予告しておいた通り、7月上旬の開始である。
 諸君、宿題にしておいた「コンスタンティノープルの陥落」(塩野七生著/新潮文庫)は読破しましたか? 「期末テストがあって、ダメでした」「仕事が忙しくて、読めねえよ」「だって、5ページ読んだだけで睡魔に襲われるんです」。そういう人ばかりなんじゃないかと、大いに危惧するクマ蔵である。
 しかしだからこそ、今井君の「イスタンブール紀行」が本領を発揮する。地理も歴史も、西洋史も東洋史も、ヨーロッパ文学にも西アジア文学にも、ドシロートとしては最大限に精通したクマ蔵が、ドシロート流にイスタンブールの魅力を分からせてあげようというのだ。
 東洋と西洋の架け橋イスタンブール、中世と近代の架け橋コンスタンティノープル、古代と近代の架け橋ビザンティウム。難しいマトモな本が読破出来ないなら、クマ蔵と一緒に、この街を延々と2週間、無意味に歩き回ってみたまえ。
 日本人とトルコ人を足して2で割ってサトイモ化した今井君だからこそ、この不思議な街の魅力を実に巧みに伝えてあげられると信じている。おそらくあなたも「次は絶対イスタンブールね!!」「2週間は絶対イスタンブール滞在ね!!」と叫びだすはずだ。

1E(Rc) Corboz & Lausanne:VIVALDI/GLOLIA・ KYRIE・CREDO
2E(Rc) Elly Ameling & Collegium Aureum:BACH/HOCHZEITS KANTATE & KAFFEE KANTATE
3E(Rc) Backhaus:BACH/ENGLISH SUITE・FRENCH SUITE
4E(Rc) Ewerhardt & Collegium Aureum:HÄNDEL/オルガン協奏曲
5E(Rc) チューリッヒ・リチェルカーレ:中世・ルネサンスの舞曲集
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