Thu 120607 6月はクーラーを1回しか使わなかった 新国立劇場で「マノン」を観る | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 120607 6月はクーラーを1回しか使わなかった 新国立劇場で「マノン」を観る

 いやはや、ホントに驚くのであるが、今井君は6月いっぱいでクーラーを1回しか使わなかった。使ったのも、「ネコたちが可哀想だから」と考えた6月中旬の1日だけである。
 昼頃におうちを出て「帰りは夜遅くなる」と分かっていたある日、天気予報は「今日は最高気温が30℃になります。熱中症には注意してください」と連呼していた。窓を開けずに密閉した室内では、気温は室外より5~6℃は高くなる。
 35℃だの36℃だのの室内、しかもそよ風も吹かない密閉空間。そこに数時間にわたって放置されるネコたちのつらさを考えると、「ネコのお父さん」を自認する今井君は、どんな批判や冷笑や失笑の対象になろうとも、どうしてもクーラーのスイッチを入れずにいられなかった。
 しかしそれ以外は、今年クーラーを全く使っていない。これは、前代未聞の椿事である。そもそも秋田県人には、東北の人々の中では珍しい贅沢好きや見栄っ張りが多い。
マノン
(新国立劇場で「マノン」を観てまいりました)

 1世帯あたりのピアノ保有台数、日本一。1人あたりの美容室&理容室軒数も日本一である。夏場のクーラーの設定温度なんか、18℃とか20℃とか、この「もったいない」「ひたすら節電」の時代に、そういうことをしているヒトだっている。
 こういう気質は、江戸時代から明治時代にかけて、秋田藩→秋田県が今では信じられないほど豊かだったことに始まるらしい。
 金山/銀山/銅山その他、鉱物資源が「資源小国日本」の一地方と思えないほど豊か。鉛と硫黄と銅を豊富に含んだ魔法のような鉱石「黒鉱(くろこう)」が、県北部の小坂鉱山・・花岡鉱山・尾去沢(おさりざわ)鉱山から大量に産出して、秋田大学にはかつて「鉱山学部」という、日本史上ほとんど他に例を見ない学部まで作られた。
3階からの風景
(新国立劇場3階テラスから 幕あい、夏の涼風が心地よかった)

 石油クンなんか、自分で我慢できずに地面から滲みだし、河になって日本海に注いでいた。「草生津川(くそうず川)」というその河の名前については、すでにこのブログでも触れたことがある。ブログ内検索で検索してチョ。「くそうず」と検索すれば早速「草水」または「臭水」と出てくるとおり、「くそうず」は温泉と石油の両方を指すのである。
 こういう鉱産資源に加えて、もちろんコメは豊か、木材資源も豊かである。江戸時代、近隣諸藩の冷害と貧困に喘いだ人々が大量に秋田藩に流入する。その辺の歴史に、敵意や敵対や対立の暗い逸話が挿入されることには忸怩たる思いであるが、さすがに今日の短いブログの中にその話題を持ち込めるほど、今井君の筆の力は強くない。
 ただ、おそらく以上のような歴史のせいで、秋田県人の中には、いまだに派手好きなヒトが多い。「宵越しのカネは持たねえ」という江戸っ子気質が、今も根付いていたりする。ふと今井君の日々の生活を振り返ると、「どうやら、そういうことなのかねえ」と、マコトに申し訳ない気持ちにもなる。
にゃごどん
(6月下旬のニャゴロワどん)

 こういう贅沢なクマ蔵が、「今年はまだ1度もクーラーを使ってないな」と、7月1日に確認したのであるから、これはたいへんな椿事である。いつもの年なら、6月はクーラー大活躍の日々。ムシムシ→ベタベタ→ビチョビチョなのが6月。ムワムワする熱気が部屋にこもって、ふとティッシュで壁を撫でると、ティッシュは大根おろしみたいな感触に変わる。
 ところが、今年の6月は、ホントにクーラーを1回使っただけである。今井くん家は大邸宅であって♨、クーラーが合計7台も設置されている。その7台のクーラーのうち、6月に「ちょっと働いてくれないかね」と声をかけられたのが、例の「ネコのお父さん」の1台。しかも1回だけだ。
 他の6台は、「今年で、俺たちはもう用済みかな?」と夜中に呟きあっているかもしれない。クーラーでも、予備校講師でも、あんまり仕事が少なくて放っておかれると、みんな「もっと仕事がしたい!!」「こんなに有能なオレたちを放置するのは、いくら何でももったいないじゃないか?」と、叫びだすものである。
背景が白いと
(背景が白いと、どこがどうなっているのか判然としない)

 ましてや、代々木上原・今井邸は、有名な建築家の大先生が秋田杉と土壁を駆使してデザインした「呼吸する家」。「余計な水分は、床の杉と土壁の土が、吸ったり吐いたりしてコントロールしますから」という建築家のコトバに保証され、雑誌でも数回紹介された高級建築である♨ クーラーの出番は、ますます少なくなる。
 それにつけても、今井君は人類最大級の暑がり屋であり、人類史上最大級にワガママで忍耐力に欠ける。だから、2011年までの数年間、クマ蔵の書斎のクーラーは目一杯コキつかわれてきた。クーラーだけでは足りなくて、扇風機2台も導入。それでも足りなくて、一昨年からは有能な「除湿器」まで導入した。
書斎の風景
(「呼吸する家」の書斎風景。手前はエスプレッソマシン)

 そのうちで、今年ここまでに使用したのは、とりあえずまず除湿器。あとは扇風機2台のうち小型のほうの1台。ありゃりゃ、ホントにクーラーは1回も電源を入れていない。普段の贅沢な今井君を知るヒトには、これは奇跡以外の何ものにも見えないに相違ない。
 6月30日も、やっぱり今井君はクーラーを入れなかった、それどころか、窓を開け放っただけで「こりゃ、寒くないか?」とニャゴに問いかけ、ニャゴは「ゥンミー」とソプラノで答え、走り出てきたナデシコも「ゥンナー」と魅惑的なアルトで頷いた。もう正午近いのに、気温はサッパリ上がらない。
 この直後、クマ蔵は新国立劇場に出かけ、帰りには飲み会がある。オウチには誰もいなくなるので、夏の密閉された空間で、ネコ2匹で過ごさなければならない。いつもの年なら「ネコたちのためにクーラーを入れる」という贅沢を許してもらうことになる。
 しかし、まずニャゴに尋ねてみると「その必要はないようですね」とアゴが外れそうなアクビをし、ナデシコも黒い目で慎重に考えてから、「大丈夫のようでござる」と言い捨てて背中を向けた。うーん。この夏の涼しさを一番よく分かっているのは、ネコたちなのかもしれない。
黒目のナデシコ
(黒目のナデシコが控えめなアルトで「ゥンナー」と返事を返す)

 新国立劇場で観たのは、バレエ「マノン」。数百年前にアベ・プレヴォの原作の小説を岩波文庫で読んだ記憶はあるが、「バレエ」というもの自体がそもそも久しぶり。ベルリンのシュタッツ・オパーで観た「ジゼル」以来だから、バレエ独特のユルい時間の流れにどうも頭を合わせられない。
 しかし、①45分演じて25分幕あい、②45分演じて、また25分幕あい、③最後に30分演じて終演、そういう余裕タップリの構成のおかげで、いつの間にかバレエのリズムにクマの肉体がピッタリ合っていた。そりゃ、幕あいのたびに劇場のお外に出てビアを楽しんでいれば、リラックスの上にもリラックスして当然である。
すけさだ
(この夜の3次会は幡ヶ谷「祐定」。今日もまた、誰もいない)

 夜からは、西新宿の居酒屋「北海道」で飲み会。いやはや、久しぶりにこの手の居酒屋に入ると、若干の違和感を感じる。注文するツマミのアブラが、いちいちお腹にドカーンと来て、なかなかたくさん食べられないのである。
 普段なら焼き肉7~8人ぶん平らげて平気な顔のクマ蔵が、「冷奴」「ラーメンサラダ」「串焼き7本盛り」だけで「もう降参だ」「もう食べられません」と渋い顔でいたのだから、「お腹にドカーン」ぶりもハッキリわかる。こういう時は、飲むほうもサッパリ飲めなくて、ビール3杯、焼酎3杯で打ち止めになった。
しらすおろし
(幡ヶ谷「祐定」のしらすおろし。粗食での健康管理が大事だ♨)

 ただし諸君、今井クマ蔵を侮ってはイケナイ。まだまだ「2次会」「3次会」というものがある。2次会では、焼酎お湯割り4杯をカラッポにし、「納豆」3人前とポップコーン1ボール分を完食。3次会では焼酎の緑茶割りを4杯ウワバミのように飲み干した。何のことはない、渋谷区幡ヶ谷付近を午前3時まで飲み歩いて、焼酎だけでも一晩で11杯カラにした計算である。
 これにビア5~6杯が加わり、ついでだから深夜3時のコンビニで買ったサンドイッチも涼しい書斎でムザボリ食って、気がつけばすっかり明るくなった朝6時の書斎でPCのキーボードをたたいている。恐るべし、クマ蔵。恐るべし、今井君。そういう7月の始まりであった。

1E(Cd) Cecilia Bartoli:THE VIVALDI ALBUM
2E(Cd) Herb Alpert’s Tijuana Brass: WHIPPED CREAM & OTHER DELIGHTS
3E(Cd) Tsunehiko Kamijo:TSUNEHIKO KAMIJO
4E(Cd) SHOW WA! ギャグ・ジャンボリー
5E(Cd) Karajan&Berlin:HOLST/THE PLANETS
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