Wed 120606 ロンドンの雑踏で、東京オリンピックを夢みる(スコットランド周遊記22)
気がつけば明日から7月であって、来週からの今井君は日本列島を南へ北へ、那覇に福岡に山口に旭川、神戸に広島に伊勢に熊谷、「今ボクチンはどこにいるの?」という超多忙の日々が始まる。
そうかと思えば首都圏での講演会もあり、吉祥寺スタジオで、熊本大/広島大/岡山大/名古屋大入試の解説。これもまた「いまボクチンはどこ?」の原因になる。おやおや、10日間の河口湖もあれば、河口湖が終わった直後に「サントリーホール」なんてのもある。
(ロンドン ダブルデッカー・クラシック)
本日は午後から初台の新国立劇場に出かけ、夕方は飲み会。ブログ記事を短めに切り上げて、とっとと支度しないと間に合わない。もちろん「短めに切り上げて」などということは、几帳面なクマ蔵には無理であるが、ま、そういう意識だけはしっかりさせたほうがいい。
気がつけば、ロンドンオリンピックまでもう1ヶ月もないのだと言う。時間の経過するのはマコトに速いものである。ついこの間「ロンドンに決まった」というニュースを聞いて、みんな口を揃えて「なんでロンドン?」「どうしてパリじゃないの?」と首を傾げていたじゃないか。
(ロンドン 「ヘアスプレー」の広告のあるダブルデッカー)
思えばもう8年も前、2005年3月10日午後、今井君はマルセイユからTGVでパリに到着した。40日に及ぶ長いヨーロッパ周遊を、パリ滞在10日間で締めくくろうという計画だった。
その1ヶ月前の2月8日、冷たい雨の中で代ゼミ最終授業を終え、翌9日のスカンジナビア航空で、コペンハーゲンからベルリン入り。その後ミュンヘン→ウィーン→ヴェネツィア、さらにフィレンツェ→ローマ→ジェノバ→マルセイユ→パリと移動した。
パリに到着してみると、パリは大きなストライキの真っ最中。いきなり大規模なデモ行進の真っただ中に立たされて肝をつぶした。地下鉄もみんな止まって、タクシーさえマトモに走っていない。リヨン駅とオーステルリッツ駅の間を、クマ蔵君は途方に暮れてトボトボ歩き回った。
(ロンドン 「オペラ座の怪人」の広告のあるダブルデッカー)
しかし大規模ストライキの中でも、パリの人々はみんな余裕。エッフェル塔には「2012 PARIS」の文字。「2012年のオリンピックは、もうパリで決まり」「他の街なんかに負けるわけがない」という余裕が満ちあふれて、長い旅行の最終盤を迎えたクマ蔵なんかも、「ああ、そうなんだ、2012年はパリなんだ」と妙に納得したものである。
ところが、IOCの決定は「ロンドン」。あの頃は「は?なんでロンドン?」と多くのヒトが首を傾げたが、ホントに時の流れるのは速い。間違いなくあと1ヶ月で、ロンドンでオリンピックが始まるんでござるね。
(ウォータールー駅の「We will we will rock you」)
2009年、あの寒い夏を経験した今井君は、「本当に大丈夫?」「こんなに雨ばっかりの寒い夏にオリンピックをやって、みんな納得するの?」と疑い始めた。夏でもレインコートや防寒着が手放せないような気候で、選手たちはプールに飛び込み、歯を食いしばって42.195kmを走り抜くのだ。
ただ、9月7日にロンドンに着いてみて、「これならありかな?」という安心感に包まれたことも確かである。前の年、2008年のロンドン訪問はクリスマスの時期だったから、寒くて当たり前。2009年の夏は、「おや、ロンドンだけは快晴で、ここだけはホッと出来るほど暖かいんですね」と納得できた。
(夕暮れのウォータールー駅 1)
ロンドンがイングランドの首都になったのは、やはり偶然ではなかったのである。他の地域がどんなに雨に濡れていても、他の街がどんなに霧に閉ざされ重い雲に覆われていても、イングランドの中でロンドンだけは、明るい青空を仰ぐことが出来るのである。
ダブリン→ウィンダミア→エジンバラ、2週間にわたって雨と霧と雲と強風に耐えてきたクマにとって、ロンドンの青空と喧噪が嬉しかった。他の街のパブは静寂に閉ざされ、凍えた身体を黙りこくって暖める場所だったけれども、ロンドンのパブの喧噪は、南ヨーロッパのバルに決してヒケをとらない。
(夕暮れのウォータールー駅 2)
2階建ての真っ赤なバスはミュージカルの広告に覆われ、ウォータールー駅もヴィクトリア駅も、キングスクロス駅もチャリングクロス駅も、今井君の大好きな洪笑と雑踏に支配されている。こりゃいいや。
とにかく、まずパブで、冷えたビアでござるね。ラガービア、もちろんワンパイントでござるよ。いやはや、「キリッと冷えてて、実にうまい」と実感したのは、2週間ぶり。この2週間、スープで身体を暖めるほうが優先して、キリッと冷えたビアの旨さを心から実感できなかった。
9月7日の今井君は、昨年12月以来2回目の訪問となるパブ「シルバークロス」を選択。トラファルガースクエアのすぐそばである。諸君、オリンピックでロンドンを訪れる機会があったら、是非シルバークロスを試してみてくれたまえ。
(シルバークロスのフィッシュ&チップス)
別に、フードが旨いわけじゃない。フィッシュ&チップスは、ごらんの通り。その他なんだかよく分からないメトメトした料理も同じレベル。店員の応対は、料理と同じ程度であって、特筆すべきものは何もない。
しかし、そんなのはヨソの店だってみんな同じであって、「これは旨い!!」「ここは気持ちいい!!」と特筆すべき店なんか、探しているのは面倒だ。というより、そんなありふれた感動を求めているのは、旅の素人に過ぎない。
(シルバークロス)
ロンドンの店の楽しさは、とにかく入ってみること、とにかくガッカリしてみること、「何だこりゃ?」と失望のコトバを絶叫し、「何だこりゃ?」という呆気にとられたその驚きを、一瞬の間を置いて爆笑に変えることにある。
「何だこりゃ?」の失望が「何だこりゃ?」の爆笑に急激に変質するプロセスを、スローモーションで再現することが出来れば、キミにはおそらくシェイクスピアに負けない詩人の素質が備わっている。失望や落胆と、幸福な爆笑との距離は、驚くほど小さいのである。
(ロンドン THE HALL IN THE WALL 1)
さて、今井君はいま、東京でオリンピックがやりたくてやりたくてたまらない。ロンドンだって3回目だ。東京で2回目をやって悪いはずはない。ヨーロッパ中を旅しまくっている今井君が言うのだ。先進国のすべての大都市の中で、東京ほど美しい街は考えられない。
「そんなことより先に、もっとやるべきことがあるんじゃないでしょうか?」。おお、イヤだイヤだ。それって、宿題をやろうとしない息子や娘を叱りつける、ヒステリックなママのお小言の口調そのままじゃないか。
「そんなことより、宿題やったら?」なママ。「ツマランことしてないで、宿題をやれ」なパパ。「新幹線とかリニアとかより、他にやるべきことがあるんじゃないの?」「オリンピックより、もっとやるべき宿題が山積している」なマスメディア。みんな一緒でござる。
しかし、やるべきことがあろうがなかろうが、お祭りはメッタヤタラに楽しいものである。宿題があっても、ボクはサッカーやりたい。アタシはバンドやりたいし(Macくんは「鑓田医師」だが)、オレはダンスやりてぇ。「お祭りやサッカーより、宿題やれ」なんて、ずいぶんチマチマしてるじゃないか。
(ロンドン THE HALL IN THE WALL 2)
宿題なんか、お祭りやサッカーやダンスやバンドやったあとでいいんじゃないの? 長く教師を続けてきた今井君は、「宿題をたくさん出す先生って、どうなの?」という疑問をいだくようになった。宿題なしの教師のほうが、カッコいいんじゃないの?
宿題出さなきゃ、生徒の学力あげられない? 宿題出さないと、保護者の信頼を得られない? 「これも宿題だ」「あれも宿題だ」じゃ、先生、ホントにチャンと教えられてんの? 宿題出すより、授業だけで理解させ、授業だけで定着させ、授業以外の時間は生徒を学校の勉強から解放してあげるべきじゃないかい?
今の日本や今の東京に、「オリンピックより他にやるべきことがある」のは、百も二百も三百も承知。千も万も承知の上で、でも大っきなお祭りやりたいねぇ。世界中のヒトに、美しい東京の街を見せたいねえ。日本中の青年諸君に、訪れた世界のヒトのためにボランティアしてほしいねぇ。
そして、お祭りが終わってみたら、「あれれ、宿題は自然に出来ちゃってた!!」「やるべきことのうちいくつかは、いつの間にか終わってた」という驚きでいっぱい。受験勉強だって、予備校の授業だって、理想はそういう話に似ているのではあるまいか。
1E(Cd) Molajoli & Teatro alla Scala di Milano:LEONCAVALLO/I PAGLIACCI
2E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 1/2
3E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 2/2
4E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 1/2
5E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 2/2
total m38 y987 d8882
そうかと思えば首都圏での講演会もあり、吉祥寺スタジオで、熊本大/広島大/岡山大/名古屋大入試の解説。これもまた「いまボクチンはどこ?」の原因になる。おやおや、10日間の河口湖もあれば、河口湖が終わった直後に「サントリーホール」なんてのもある。
(ロンドン ダブルデッカー・クラシック)
本日は午後から初台の新国立劇場に出かけ、夕方は飲み会。ブログ記事を短めに切り上げて、とっとと支度しないと間に合わない。もちろん「短めに切り上げて」などということは、几帳面なクマ蔵には無理であるが、ま、そういう意識だけはしっかりさせたほうがいい。
気がつけば、ロンドンオリンピックまでもう1ヶ月もないのだと言う。時間の経過するのはマコトに速いものである。ついこの間「ロンドンに決まった」というニュースを聞いて、みんな口を揃えて「なんでロンドン?」「どうしてパリじゃないの?」と首を傾げていたじゃないか。
(ロンドン 「ヘアスプレー」の広告のあるダブルデッカー)
思えばもう8年も前、2005年3月10日午後、今井君はマルセイユからTGVでパリに到着した。40日に及ぶ長いヨーロッパ周遊を、パリ滞在10日間で締めくくろうという計画だった。
その1ヶ月前の2月8日、冷たい雨の中で代ゼミ最終授業を終え、翌9日のスカンジナビア航空で、コペンハーゲンからベルリン入り。その後ミュンヘン→ウィーン→ヴェネツィア、さらにフィレンツェ→ローマ→ジェノバ→マルセイユ→パリと移動した。
パリに到着してみると、パリは大きなストライキの真っ最中。いきなり大規模なデモ行進の真っただ中に立たされて肝をつぶした。地下鉄もみんな止まって、タクシーさえマトモに走っていない。リヨン駅とオーステルリッツ駅の間を、クマ蔵君は途方に暮れてトボトボ歩き回った。
(ロンドン 「オペラ座の怪人」の広告のあるダブルデッカー)
しかし大規模ストライキの中でも、パリの人々はみんな余裕。エッフェル塔には「2012 PARIS」の文字。「2012年のオリンピックは、もうパリで決まり」「他の街なんかに負けるわけがない」という余裕が満ちあふれて、長い旅行の最終盤を迎えたクマ蔵なんかも、「ああ、そうなんだ、2012年はパリなんだ」と妙に納得したものである。
ところが、IOCの決定は「ロンドン」。あの頃は「は?なんでロンドン?」と多くのヒトが首を傾げたが、ホントに時の流れるのは速い。間違いなくあと1ヶ月で、ロンドンでオリンピックが始まるんでござるね。
(ウォータールー駅の「We will we will rock you」)
2009年、あの寒い夏を経験した今井君は、「本当に大丈夫?」「こんなに雨ばっかりの寒い夏にオリンピックをやって、みんな納得するの?」と疑い始めた。夏でもレインコートや防寒着が手放せないような気候で、選手たちはプールに飛び込み、歯を食いしばって42.195kmを走り抜くのだ。
ただ、9月7日にロンドンに着いてみて、「これならありかな?」という安心感に包まれたことも確かである。前の年、2008年のロンドン訪問はクリスマスの時期だったから、寒くて当たり前。2009年の夏は、「おや、ロンドンだけは快晴で、ここだけはホッと出来るほど暖かいんですね」と納得できた。
(夕暮れのウォータールー駅 1)
ロンドンがイングランドの首都になったのは、やはり偶然ではなかったのである。他の地域がどんなに雨に濡れていても、他の街がどんなに霧に閉ざされ重い雲に覆われていても、イングランドの中でロンドンだけは、明るい青空を仰ぐことが出来るのである。
ダブリン→ウィンダミア→エジンバラ、2週間にわたって雨と霧と雲と強風に耐えてきたクマにとって、ロンドンの青空と喧噪が嬉しかった。他の街のパブは静寂に閉ざされ、凍えた身体を黙りこくって暖める場所だったけれども、ロンドンのパブの喧噪は、南ヨーロッパのバルに決してヒケをとらない。
(夕暮れのウォータールー駅 2)
2階建ての真っ赤なバスはミュージカルの広告に覆われ、ウォータールー駅もヴィクトリア駅も、キングスクロス駅もチャリングクロス駅も、今井君の大好きな洪笑と雑踏に支配されている。こりゃいいや。
とにかく、まずパブで、冷えたビアでござるね。ラガービア、もちろんワンパイントでござるよ。いやはや、「キリッと冷えてて、実にうまい」と実感したのは、2週間ぶり。この2週間、スープで身体を暖めるほうが優先して、キリッと冷えたビアの旨さを心から実感できなかった。
9月7日の今井君は、昨年12月以来2回目の訪問となるパブ「シルバークロス」を選択。トラファルガースクエアのすぐそばである。諸君、オリンピックでロンドンを訪れる機会があったら、是非シルバークロスを試してみてくれたまえ。
(シルバークロスのフィッシュ&チップス)
別に、フードが旨いわけじゃない。フィッシュ&チップスは、ごらんの通り。その他なんだかよく分からないメトメトした料理も同じレベル。店員の応対は、料理と同じ程度であって、特筆すべきものは何もない。
しかし、そんなのはヨソの店だってみんな同じであって、「これは旨い!!」「ここは気持ちいい!!」と特筆すべき店なんか、探しているのは面倒だ。というより、そんなありふれた感動を求めているのは、旅の素人に過ぎない。
(シルバークロス)
ロンドンの店の楽しさは、とにかく入ってみること、とにかくガッカリしてみること、「何だこりゃ?」と失望のコトバを絶叫し、「何だこりゃ?」という呆気にとられたその驚きを、一瞬の間を置いて爆笑に変えることにある。
「何だこりゃ?」の失望が「何だこりゃ?」の爆笑に急激に変質するプロセスを、スローモーションで再現することが出来れば、キミにはおそらくシェイクスピアに負けない詩人の素質が備わっている。失望や落胆と、幸福な爆笑との距離は、驚くほど小さいのである。
(ロンドン THE HALL IN THE WALL 1)
さて、今井君はいま、東京でオリンピックがやりたくてやりたくてたまらない。ロンドンだって3回目だ。東京で2回目をやって悪いはずはない。ヨーロッパ中を旅しまくっている今井君が言うのだ。先進国のすべての大都市の中で、東京ほど美しい街は考えられない。
「そんなことより先に、もっとやるべきことがあるんじゃないでしょうか?」。おお、イヤだイヤだ。それって、宿題をやろうとしない息子や娘を叱りつける、ヒステリックなママのお小言の口調そのままじゃないか。
「そんなことより、宿題やったら?」なママ。「ツマランことしてないで、宿題をやれ」なパパ。「新幹線とかリニアとかより、他にやるべきことがあるんじゃないの?」「オリンピックより、もっとやるべき宿題が山積している」なマスメディア。みんな一緒でござる。
しかし、やるべきことがあろうがなかろうが、お祭りはメッタヤタラに楽しいものである。宿題があっても、ボクはサッカーやりたい。アタシはバンドやりたいし(Macくんは「鑓田医師」だが)、オレはダンスやりてぇ。「お祭りやサッカーより、宿題やれ」なんて、ずいぶんチマチマしてるじゃないか。
(ロンドン THE HALL IN THE WALL 2)
宿題なんか、お祭りやサッカーやダンスやバンドやったあとでいいんじゃないの? 長く教師を続けてきた今井君は、「宿題をたくさん出す先生って、どうなの?」という疑問をいだくようになった。宿題なしの教師のほうが、カッコいいんじゃないの?
宿題出さなきゃ、生徒の学力あげられない? 宿題出さないと、保護者の信頼を得られない? 「これも宿題だ」「あれも宿題だ」じゃ、先生、ホントにチャンと教えられてんの? 宿題出すより、授業だけで理解させ、授業だけで定着させ、授業以外の時間は生徒を学校の勉強から解放してあげるべきじゃないかい?
今の日本や今の東京に、「オリンピックより他にやるべきことがある」のは、百も二百も三百も承知。千も万も承知の上で、でも大っきなお祭りやりたいねぇ。世界中のヒトに、美しい東京の街を見せたいねえ。日本中の青年諸君に、訪れた世界のヒトのためにボランティアしてほしいねぇ。
そして、お祭りが終わってみたら、「あれれ、宿題は自然に出来ちゃってた!!」「やるべきことのうちいくつかは、いつの間にか終わってた」という驚きでいっぱい。受験勉強だって、予備校の授業だって、理想はそういう話に似ているのではあるまいか。
1E(Cd) Molajoli & Teatro alla Scala di Milano:LEONCAVALLO/I PAGLIACCI
2E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 1/2
3E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 2/2
4E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 1/2
5E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 2/2
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