Fri 120525 エジンバラ城 名物ハギスが好きになる (スコットランド周遊記15) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 120525 エジンバラ城 名物ハギスが好きになる (スコットランド周遊記15)

 9月4日、エジンバラ滞在の2日目は、さすがにまず定番のエジンバラ城を訪問しなければならない。名所旧跡がみっちり密集した「ロイヤルマイル」の西の端がエジンバラ城である。
 ロイヤルマイルはエジンバラ城から東に向かって一直線に延び、東の端にホーリールード宮殿が構えている。宮殿は今でもイギリス王室のスコットランド公邸である。
エジンバラ城1
(エジンバラ城 1)

 ガイドブックの地図でエジンバラ中心部をみると、だれでも「何だ、楽勝だ」「1日もあればラクラク歩き回れそう」と感じるだろう。確かに、訪問すべき場所はたった1マイルかそこらに密集している。
 しかし、それは甘いのである。ガイドブックの地図で見落としがちなのは、厳しいアップダウン。ブダペストでも、コートダジュールのフェズでも、ロマンティック街道のビュルツブルグでも、ポルトガルのポルトでも、地図を見る限りは、強烈なアップダウンを全く予想できない。
 真夏の険しい坂道を昇ったり降りたりすれば、汗が激流となって首から背中を流れ落ち、グレーのTシャツなんか、あっという間に汗で真っ黒に染まる。水を補給しなければ命の危険を感じるぐらいだ。ガイドブック編集者には、アップダウンの厳しさが伝わるような鳥瞰図の掲載を考えてほしい。
エジンバラ城2
(エジンバラ城 2)

 まあその点、エジンバラはいくらか楽である。アップダウンは厳しいが、9月上旬なのにみんなが防寒具を着用しているぐらいの寒さなら、坂道を登ってもシンドイだけ。激流の汗はかかない。
 9月4日のエジンバラは、吐く息が白くなるほどの寒さ。雨も強く降りしきった。滅多なことでは傘をささないクマ蔵どんも、さすがにこの雨で傘をささなければ、不審者扱いされそうだ。
 ご苦労なことに、こんな寒さも雨もものともせずに、エジンバラ城には多くの観光客が集まった。ま、これもウィンダミアと同じ「残り少ないバカンスを満喫しよう」ということなのだろう。
エジンバラ城3
(エジンバラ城 3)

 人々の表情は一様に暗く、ショップでもカフェでも笑い声はおろか話し声もほとんど聞こえない。ゴツゴツした黒い岩の薄暗い城の中を、黙々と人々は進み、粛々と見るべきものを見て、まるで流れ作業のように2時間ほどで城の外に押し出された。
 ゴツゴツ、黙々、粛々。どうやら、これがスコットランドの歴史と伝統のようである。城の外に押し出されて、ロイヤルマイルを東に進むと、周囲の人々も傘をさして黙々と流れに身を任せている。街の中でもやっぱり人々は多くを語らない。
エジンバラ城4
(エジンバラ城 4)

 寒いし、雨だし、お腹が減ってますます寒いから、メシと酒を求めて1軒のレストランに入った。店の名前はDEACON BRODIE’S TAVERN。小さな文字でRESTAURANT UPSTAIRSとある。1階は立ち飲みのパブスペースで、スコットランドのオジサンたちがおおぜい、黙りこくってビールを飲んでいる。
レストラン
(DEACON BRODIE’S TAVERN)

 そうですか、レストラン席は2階ですか。傘をすぼめて2階に上がると、1階とはうってかわって2階にはほとんど人影がない。静寂は同じことだが、1階は人の熱気でホンワカ、2階は人の気配が全くなくてヒンヤリ。同じ静寂でも、ぬくもりが全く違うのだ。
 スコットランドでもアイルランドでも、人々が楽しそうなのは1階のパブ。2階や3階のレストラン席などというのは、よほど変わった頓珍漢な人間の上がるところで、「何でそんなヒンヤリ冷えたテーブルで飲み食いしなきゃいけないんだ?」ということらしい。
パブ1
(パブは繁盛している)

 2階の床はさすがスコットランドの首都だけあって、美しいタータンチェックの絨毯が敷き詰められている。同じロイヤルマイルにはタータンチェックの布地専門店もあって、クマ蔵でさえ外から覗いて興味をもつほど美しい。このレストランの床はキレイな赤のチェック柄だった。
2階
(2階のレストランスペース)

 注文したのは、スコットランド名物「ハギス」など2~3皿と、白ワイン1本。昨日スコットランドに侵入したばかりで、昨夜の夕食はシーフードだったから、ハギスを目の前に見るのは初めてである。ハギスって? パリの街の風景画をたくさん描いた日本人? それはオギス。荻須高徳は大好きだが、オギスとハギスを混同してもらっては困る。
 では、ハギスとは? まあ諸君も、オリンピック観戦にロンドンに出かけたら、パブでハギスを注文してみたまえ。ロンドンのパブでは置いていない可能性が高いが、運がよければトライできる。
 いや、ハギス体験のためだけに、イギリスでの1日をエジンバラまで足を運んでみる価値はある。飛行機なら、ヒースロー空港からエジンバラまで1時間ちょい。電車ならロンドン・キングズクロス駅から5時間の旅だ。せっかくの機会だ、チャレンジしてくれたまえ。
ハギス
(スコットランド名物・ハギス)

 ただし、パブのカウンターにハギスが出て来た段階で「何、これ?」としばし呆然とすることは確実だ。まあ、上の写真をごらんあれ。これがハギスである。麦と肉と香辛料を混ぜて、ヒツジの胃袋に詰めて、茹でた結果のシロモノがこれである。
 混ぜて、詰めて、茹でた? とんでもないことをしてくれた。ガイドブックにはご丁寧にも「独特の香りと風味は日本人向きとは言えない」と注釈がついている。著者のライターさんも、よほどハギスが腹に据えかねたものと見える。
 ところがどっこい、今井君はクマ蔵どんだ。寒くて飢えたクマ蔵どんは、なんとコイツが旨くてたまらない。この店で大好きになったハギスちゃんを、エジンバラ滞在中いろんなお店で繰り返し繰り返しムサボった。日本人向きとは言えなくても、クマ蔵向きではあったのである。
パブ2
(夜は、別のパブに入ってみた)

 しかし、一緒に注文した白ワインが、明らかにおかしい。ウェイターが目の前で栓を抜いてくれたのに、飲んでみると石油の匂いがする。「は? 石油の匂い?」と自分でもビックリするほどビックリしながら、ウェイターを呼んで「変な匂いがする。石油の匂いだと思う。取りかえてくれないか?」と、あくまでおずおず尋ねてみた。
 まもなく、店の責任者と思われる40歳ぐらいの優しいオバサマが登場。「私たちは、ワインというものを滅多に飲まないので、石油の匂いがするかどうかはよくわからない」と笑った上で、別の銘柄の白ワインを新しく開けてくれた。今井君の長い長い人生で、ワインを取りかえてもらったのは初めての経験だ。
パブ3
(パブ、店内の風景)

 夜になって、「やっぱりレストランよりパブなんだな」と感じた今井君は、ロイヤルマイルを宮殿のほうに降りていったあたりの、薄暗いパブを試してみた。あまり高級な感じはしない店だが、夜7時、パブはやっぱり繁盛している。
 外は相変わらず強い雨。寒さはますます本格的になって、窓際の席ではガラス越しの空気がヒンヤリするほどである。それでも人々は冷たく冷えたビールしか飲まない。カウンターでワインを1瓶注文してみると、ここでもまた「何だ、そんな妙なもの飲むのか?」という怪訝な表情がウェイターの顔に浮かぶのであった。

1E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 3/4
2E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 4/4
3E(Cd) Krivine & Lyon:DEBUSSY/IMAGES
4E(Cd) Rogé:DEBUSSY/PIANO WORKS 1/2
5E(Cd) Rogé:DEBUSSY/PIANO WORKS 2/2
total m122 y769 d8664