Tue 120522 船橋で講演会 YouTube三昧 松原みきと田山雅充 樅の木は残った | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 120522 船橋で講演会 YouTube三昧 松原みきと田山雅充 樅の木は残った

 6月14日、千葉県船橋で講演会。19時半開始、21時終了、出席者約170名。いつもよりも若干マジメな授業部分を多くして、それでもいつもと同じ頻度の笑いを確保する。とにかく「ヒトは笑えば笑うほど進化し、進化するたびに笑う」である。
 120名から130名入れば満員御礼の教室だから、170名では完全にパンク状態である。特に教室後方の100名ほどには机すらなくて、イスのみ。何となく申し訳ないが、ムカついている生徒は1人も見当たらない。ついつい7分も延長してしまった。
 終了後、講師室を訪れた生徒たちと写真を撮ったり談笑したりしているうちに、いつの間にか22時を過ぎた。船橋を22時に出れば、代々木上原に帰り着くころは23時をとっくに過ぎている。どんなに楽しく過ごしても、ヘトヘトな表情のサラリーマン諸君と一緒に満員電車に乗って帰れば、クマ蔵どんにも彼らのヘトヘトぶりが伝染する。
船橋1
(船橋での講演会 1)

 こういう時は録画したサッカーの試合でも見ればいいのだが、この間の日本vsオーストラリア戦は90分ほとんど暗記してしまったので、「今夜はYouTube三昧」を決意する。1年に1度か2度なら、深夜から夜明けまでYouTubeをクリックし続けて過ごすのは悪くない。
 特に昨日のブログ記事で西城秀樹どんの「ギャランドゥ」に触れ、一昨日の記事で「fascination」の語源について書いた関係上、昨日のYouTube三昧は1980年代の音楽から始まった。正確には1970年代後半から80年代前半である。若い諸君も中年の読者諸君も、是非とも今井君の一夜を後から追跡し、追体験してくれたまえ。
 スタートは、門あさ美「Fascination」。おお、こりゃ名曲だ。YouTubeで門あさ美をクリックすれば最初に出てくる。若奥さまの入浴直後みたいな、ツルツル&テロテロな顔の門あさ美どんをぜひ目撃してほしい。
 こんなのを17歳や18歳の男子が見たら、年上女性との「ひと夏の愛」「ひと夏の経験」みたいな危険な火遊びに、思わず憧れてしまうに違いない。ま、仕方ないじゃないか。むかしから映画にも文学にも頻出する、人類永遠のテーマのうちの1つだ。
船橋2
(船橋での講演会 2)

 門あさ美に見とれた後は、松原みき「真夜中のドア~Stay with me」を聞きたまえ。残念ながら、実際に動いている松原みきはYouTubeを探しても見当たらないが、とにかく名曲中の名曲である。高校生諸君、キミたちのパパやママが大学生のころは、こんなにレベルの高い名曲が巷に溢れていたのだ。
 マコトに残念なことに、松原みきは若くしてガンに命を奪われてしまったが、これ以外の名曲も数多く残した。これをきっかけに彼女のファンになって、時の流れに埋もれつつある30年前の名曲をたくさん発掘してくれたまえ。
 すると今井クマ蔵の前の画面には田山雅充(たやま・まさみつ)の「春うらら」が現れた。昨夜のクマ蔵はこの名曲を4回繰り返して聴いた。まあ、描かれた世界はかぐや姫の「神田川」とほぼ等質の世界。「今夜もオフトン1組で」「キミとボクとで抱き合えば」「ポカリ♡ポカリ」。70年代から80年代の、学生の貧しい同棲生活を描いたものである。
 これもまた名曲と言っていい。安住財務相の国会答弁に、「フォークソングの『神田川』などを聴いてみると、若い世代は昔から貧しかった」「若い世代の貧しさは今に始まったことではない」という恐るべき大雑把な答弁があったそうだが、若い世代というものは、オカネなんか全くなくとも、やっぱりこんなに幸せなのである。
ケーキ
(船橋の講師控え室でいただいたケーキ)

 すると今井君は、若い世代よりもNHK大河ドラマ「平清盛」が心配になる。サッカーの視聴率が35%を超え、「梅ちゃん先生」だって20%を常に超えているのに、先週の平清盛を見ていたヒトは日本中で11%しかいないのである。
 NHK大河ドラマは、日本を代表する高視聴率を誇らなければならない。毎回毎回「今度こそヒト桁に転落するんじゃないか?」と、そっちのほうが話題になるのでは、キャストやスタッフも含めて制作サイドが可哀想だ。
 特に中高年の人々にとって、週末の大河ドラマと年末の紅白歌合戦は、「生きることそのもの」と言っていい一大イベントである。「大河ドラマを見ないんじゃ生きていても価値がない」というほど、待ちに待った夕食や風呂上がりのビールと同じぐらいに、欠かすことの出来ない日々の生活のクライマックスなのだ。
 例えば3年前、九州地方で今井講演会が大成功に終わった直後の「祝勝会」の真っ最中、主催してくれた塾の社長さんが「どうしても『篤姫』が見たい」と言い出した。今井君は一瞬目が点になったが、とにかく宴会の最中だろうと何だろうと、大河ドラマは見ないで済ますわけにはいかない。
 店の主人が気を利かせて、祝勝会中の大広間に大きなテレビが運び込まれ、宮崎あおいの篤姫が画面に現れた。酔っぱらった人々の声がウルサイから、当然「篤姫」も周囲を圧する大音量。今井講演会の大成功を篤姫と宮﨑あおいが祝福してくれるような、なかなかシュールな夜になった。
船橋3
(船橋での講演会 3)

 今井君には、平清盛の不調の原因が何となくわかっている。すでに1度指摘したが、「遊びをせんとや生まれけん」の歌がいちいち前面に出すぎて、陰気or説教くさいのだ。梁塵秘抄のファンとしては、「勝手にメロディなんかつけてもらっては困る」という部分もある。
 「白いゴハンでなければイヤだ」という瞬間があるじゃないか。旨い明太子がある、焼きたての焼きタラコがある、旬の塩鮭が皿の上で湯気を上げている。あとは白いゴハンさえあれば、他に何にもいらない。
 ところが、白いゴハンだけを楽しみにしているテーブルに、「今日はタケノコ御飯です」「鯛飯にしました」「栗ごはんですよぉ」といって、いかにも自慢気に混ぜ御飯なんかが運び込まれる。その瞬間を考えてみたまえ。「なんてことをしてくれたんだ?」という怒りで、両手がワナワナ震えてくるに違いない。
 「梁塵秘抄」、特に「遊びをせんとや」は、まさに白いゴハンなのであって、各人各様「こんな感じかな?」と自分の好きなメロディをつけて楽しんでいる。それをあんなふうに勝手に陰気くさく味付けされてはたまらない。ああいう押しつけ解釈をヤメにしたら、視聴率はぐんぐん上昇しそうに思えるのだが、そうでもないだろうか。
船橋4
(船橋での講演会 4)

 そこでYouTube三昧の続きは「昔の大河ドラマの音楽はどうだったっけ」に続いていく。1966年、尾上菊之助(現・菊五郎)主演の「源義経」のテーマ音楽担当は、武満徹である。1974年、松方弘樹主演の「勝海舟」の雄大な音楽は、冨田勲である。うにゃにゃ、日本文化の粋をすべて大河ドラマに詰め込もうとするような、恐るべき殺気を感じる。
 1970年、平均視聴率21%の「樅の木は残った」は、仙台伊達藩のお家騒動を描いた山本周五郎の小説が原作。歌舞伎の「伽羅先代萩」が下敷きだが、伊達政宗ならともかく、信長も秀吉も家康もとっくにこの世にオサラバした後の、地方藩のチマチマした権力争いのハナシである。それでも、21%の国民がドラマの行方を注視した。
 平幹二朗、吉永小百合、栗原小巻、志村喬、佐藤慶。国宝級といっていい出演者を見るに、この視聴率も不思議ではないが、諸君、YouTubeでテーマ音楽を聴いてみたまえ。うぉ、コワい。余りにコワい。コエー、コエー、おおコエーである。
 おお、ティンパニーの連打が恐ろしい。オソロシヤ&オソロシヤ。地獄の獄吏が罪人を打つムチの音にも、震え上がらずにいられない。「ああ、やっと許してもらえた」と胸をなでおろした人々を、最後の「ゾクゾク、ゾクゾクゾク」の音が追い打ちをかけ、とどめを刺す。こんなに恐ろしいんじゃ、毎回見ずには済ませられないだろう。
 これをフルスクリーンにして夜中に一人で見たら、まあトイレには行けなくなりますな。この迫力、まさに別世界。「遊びをせんとや生まれけん?」みたいな混ぜゴハン的音楽とは、どうやら格が違うように思うのは、クマ蔵だけかねぇ。
 恐怖に震え上がった今井君は、初夏の空が早くも白み始めたのに、そうカンタンには眠れなくなった。6月15日は午前中から奈良に移動して、夕方から公開授業があるのだが、眠れないものはどうにも仕方がない。
 こうして、深夜から早朝のYouTubeはまだまだ続くことになってしまった。したがって、当然ブログの中身も、このまま明日に続くことになる。

1E(Cd) Sarah Vaughan:SARAH VAUGHAN
2E(Cd) José James:BLACKMAGIC
3E(Cd) Billy Wooten:THE WOODEN GLASS Recorded live
4E(Cd) Kenny Wheeler:GNU HIGH
5E(Cd) Jan Garbarek:IN PRAISE OF DREAMS
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