Mon 120507 ただいま帰国 トルコで、トルコ人に、「トルコ人に似ている」と言われる | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 120507 ただいま帰国 トルコで、トルコ人に、「トルコ人に似ている」と言われる

 たったいま、トルコのイスタンブールから無事に帰京した。実に勤勉にブログの更新を続けていたから、まさか今井が現在イスタンブールにいるなどと気がついたヒトはいないだろう。
 5月17日に東京を出て、30日にミュンヘン経由で東京に戻るまで、まるまる2週間イスタンブールに腰を落ち着けて、見るべきもの全てをじっくりと見、食べるべき物をタップリ胃袋に詰め込んできた。毎日毎日ヒツジばかり食べていたから、今にも思わずメエーと絶叫しそうである。
トルコ国旗が翻る
(トルコの祝日、市内全域にトルコ国旗が翻った)

 滞在初日、ブルーモスクとハギアソフィアの間の広場で、いきなり「トルコ人に似てますね」とトルコ人に声をかけられた。トルコで、トルコ人に、トルコ人に似ていると指摘される。これほど名誉なことはない。
 そのとき決意したのが、「もっともっとトルコ人に似てしまおう」ということである。「郷に入っては郷に従え」であって、その模範的な姿は「トルコに入ってはトルコに従え」「トルコに入ったらトルコ人にそっくりになれ」である。
旅の初期
(初期の今井君)

 実は日本を出るときからそのつもりはあった。何のことはない、2週間ヒゲを一切剃らなかったらどうなるかに興味があっただけであるが、結果としては10日もしないうちにヒゲ生え放題のたいへんな顔になった。
 後はひたすら自分撮りである。こんなことばかりしているとナルシストちゃんかと思われるかもしれないが、まあいいじゃないか。「今井パシャ、おヒゲも伸びて自撮りパシャ」と唱えながら、来る日も来る日もパシャパシャ自分撮りに励んだ。
下からパシャ
(旅の後半、下からパシャ)

 なお、パシャとはオスマン帝国の高官または高級軍人の称号であって、トルコのサッカーチームにも「カシムパシャ」という強豪がある。それをいきなり今井パシャだなんて、ヒゲがちょっと伸びたぐらいで生意気だと怒る人もいるだろうが、まあそんなに難しいことは言いなさんな。
 何しろ14日間ずっとイスタンブールに滞在して、街の外にはほとんど出なかったから、人口1200万を数えるこの大都市で、観光客として見るべきものはスミズミまで見た自信がある。現在執筆中の「スコットランド周遊記」が終わり次第、微に入り細を穿って記録するつもりだ。
横からパシャ
(横からパシャ)

 気に入った同じ店に何度も通うのも、いつもの今井君の流儀であって、かつてはオリエント急行終着駅だったシルケジ駅付近のケバブ屋には、4回通ってヒツジを食べつくした。
 「食べつくす」という言葉は大袈裟ではないので、クマ蔵がいきなり3人前注文したりするから、あとからきた欧米人グループが「品切れです」と断られてしまったりした。焼けた鉄の串から、肉を口で直接モギとって食らう今井クマ蔵の豪快さには、トルコのケバブ屋の主人も従業員たちも腰を抜かしそうになった。
ケバブ
(沈黙の羊たち)

 普通の観光客の行かないところにも馴染みの店が出来て、そこには3回通った。ブルーモスクやハギアソフィアやトプカプ宮殿が立ち並ぶ旧市街から、ボスフォラスの海をわたった対岸、アジア側のカディキョイの街の店である。
 さすがにカディキョイまで行くと、もう東アジア人とは一人もお目にかからない。中国人も韓国人も日本人も、要するにテルマエ・ロマエの「平たい顔族」の姿は全く見えない。それどころか、欧米人観光客ともほとんど出会わない。
半正面パシャ
(半正面パシャ)

 歩くのもままならない大混雑のカディキョイで、トルコ人と似ているとトルコでトルコ人に指摘された今井君も、さすがにたじろいだ。周囲の100%がみんな中東系のヒトであって、「あれれ、ボクチンは久保田早紀『異邦人』の世界に紛れ込んじゃったの?」という緊張感である。
 ジャーミーからは祈りの声が大音量で流れ、花売りのオバサンたちが声を嗄らして薔薇の花束をかざす。魚屋に並ぶ見慣れないお魚のお腹には、赤いフジツボみたいなのがベッタリ&ビッシリ張りついて、これはまさに異文化を感じさせる。
とうもろこしパシャ
(名物とうもろこしパシャ。30分でワイン1本カラにした直後だが、自分撮りの鮮やかさはさすが修練のタマモノ。頭にトルコ国旗まで翻っている)

 出てくる料理はどれもこれも強烈に辛いか、酢が利きすぎて口がスボまるほど酸っぱい。街ゆく女性の7割は頭にスカーフをかぶり、初夏の陽気の中、クルブシまで届くコートを一切の乱れなく着こなしている。クラクションが絶え間なく響き、走るクルマを縫って、人々は抜け目なく赤信号の車道を横断する。
 この時初めて今井君は、ヨーロッパとアジアの接点に立っていたのである。すでにヨーロッパ側は、観光名所がズラリと並んだテーマパークと化している。カディキョイ、ユスキュダル、ボスフォラスの海をはさんでアジア側に入り浸らなければ、ヨーロッパとアジアの接点に立っていると本当に実感することはできない。
ルメリヒサル
(メフメット2世が築いた砦・ルメリ・ヒサル。ボスフォラス海峡にて)

 「イスタンブールに行ってくる」と友人や同僚に言うと、ほとんどのヒトが「ああ、『飛んでイスタンブール』か?」と反応するのに、今井君はホントに驚いてしまった。若い諸君は知らないだろうが、1978年、庄野真代というヒトが歌って大ヒットしたのが「飛んでイスタンブール」。作詞:ちあき哲也、作曲:筒美京平。おお、名コンビである。
 しかしいくら何でも、それってもう35年も前の話。シルクロードブームの最中で、若い読者諸君のパパやママが、まだ高校生や大学生だった頃のヒット曲でござる。山口百恵に桜田淳子が10代でござっての。西城秀樹が「ジャガー!!」だの「ローラ!!」だの絶叫に次ぐ絶叫でステージを飛び回っていたころの話でござるよ。
モスクたち1
(左がイェニ・ジャーミー。右手奥がスレイマン・ジャーミー)

 かつてのビザンチンであり、かつてのコンスタンティノープルであるこの大都会滞在記は、おそらく7月中旬から開始できると思う。今日はとりあえず「無事に帰ってきました」と報告するだけにして、この辺で記事を締めくくることにしたい。
モスクたち2
(ガラタの塔から、ブルーモスクとハギアソフィアを遠望する)

 実は、コンスタンティノープル紀行が始まる前に、読者諸君にも予習をしておいてほしいのである。塩野七生「コンスタンティノープルの陥落」(新潮文庫)を7月上旬までに読みあげてくれないだろうか。
 「ローマ人の物語」は単行本なら全巻15冊。文庫だと43冊。大部すぎてなかなか読めるものではないが、これならたった250ページ。アジアvsヨーロッパの血湧き肉躍る戦記小説仕立てで、読みやすい。3部作の「ロードス島戦記」「レパントの海戦」も読破すれば、ヨーロッパ歴女&歴男の完成だ。
ハギアソフィア
(ハギアソフィア)

 1453年5月29日、固い城壁の守りに攻めあぐんでいたメフメット2世のオスマントルコ軍が、ついに金角湾からコンスタンティノープルに殺到。1000年続いた東ローマ帝国は滅亡する。
 今井クマ蔵が旅してきたイスタンブールは、中世末期の東西対決のクライマックスの舞台だったのだ。その記念日の5月29日まで、今井君は鉄道と船を駆使してこの街を歩き回っていた。
ブルーモスク
(ブルーモスク)

 あらら、今井パシャとしたことが、自撮りパシャの写真を掲載しすぎて、短く終わるはずの記事は結局こんなに長くなっちゃった。やれやれ、時差ボケも、20時間にわたる長い移動の旅の疲れも、一切ものともせずにこんなに書きまくるのだ。さすが、今井パシャを名乗るだけのことはありますな。
 では、そろそろ寝ますかね。ハイディ、ヤッラー。

1E(Cd) Karajan & Berlin:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS②
2E(Cd) Karajan & Berlin:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS①
3E(Cd) Karajan & Berlin:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS②
4E(Cd) Karajan & Berlin:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS①
5E(Cd) Karajan & Berlin:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS②
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