Tue 120417 10年前の生徒が予備校講師になっちゃった 勇気をもって飛び込みたまえ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 120417 10年前の生徒が予備校講師になっちゃった 勇気をもって飛び込みたまえ

 連休明けの1週間、東京は毎日のように「雷雨だ、雹だ」「突風だ、竜巻だ」の警戒警報連発。ヒトビトは不安そうにお空を見上げ、テレビには繰り返し繰り返し竜巻の映像が生々しく流れつづけて、2004年の映画THE DAY AFTER TOMORROWの世界を地でいくような1週間だった。
 今井君の日々のほうは、天候とは正反対に平穏そのもの。7日はお休み。8日9日は「高3部活生招待講習」の収録で吉祥寺スタジオへ。10日11日は夕方から飲み会。外では雷雨が暴れつづけたが、こういう時こそ平凡で平穏な日々が大切だ。
思慮深さ1
(思慮深い表情をしてみる 1)

 10日は、大昔の代ゼミの生徒で今は中堅予備校で講師として活躍中の人間と、代々木上原「さつまおごじょ」で飲んだ。まだ30歳前だが、こんな少子化の時代に予備校の世界に飛び込むとは、なかなか勇気のある男である。
 他の先生がたからも、同じように冷やかされているらしい。あまり景気のよくない中堅の先生なんかは、その種の話をして新人講師を怖がらせるのが好きなのだ。
バンザイ
(バンザイ)

「若いうちはいいかもしれないが、ボクぐらいの年齢になるとだんだん人気がなくなってきてね。そこへ若いイケメン男子が講師として入ってくると、生徒をゴッソリ持っていかれて、教室はガラガラ。いつクビになるか、ヒヤヒヤものですよ」
「だって何しろ少子化でしょ。昔はここも景気が良くてね。どんな先生でもみんな満員締切だったんですよ。夏期講習の申し込み日なんか、前日の夜から生徒が門の前に列を作って並んだものだった。募集のチラシもイベントも一切なしで、受付開始2時間後にはみんな締切でね。いまじゃ、見る影もありませんね」
「若いのに、どうしてこの世界に入ったの? 結局イケメン競争ですよ。年とったら、お払い箱。ポイ捨て。ボクは大学の非常勤もやってるから大丈夫。もう少し状況悪くなったら、大学の世界に逃げますね。そっちが本職ですから」
バンザイ拡大図
(バンザイ拡大図)

 今井君が一流企業を捨てて予備校業界に入ったのは、今から数百年前の安土桃山時代。南蛮貿易と楽市楽座の時代だったので、世の中の雰囲気はバブル並みに花やか。それでも以上のようなオドカシの好きな中堅やベテランの先生がたくさん存在して、今井君も大いにオドカされ、ビクビクして過ごしたものである。
 まさか、このキウィかサトイモみたいな今井君を「イケメン」と思うヒトはいないだろうが、「若い」というだけで中堅の先生がたからは恐れられたのだ。
びっくり顔
(ナデシコ独特、びっくり顔)

 予備校で働き始めた初年度、確かに「生徒をゴッソリ奪う」みたいな結果になったイヤな思い出もある。2人の講師が隣同士の教室で、同じテキストをつかって授業をすれば、生徒たちだって良さそうなほうに自主的に移動する。移動は、初めは緩やかでも次第に「雪崩をうって」の感じになっていく。
 やがて6月初旬、ついに今井の21番教室はパンパンに膨れて300人。まさにハチ切れんばかり。一方お隣の22番教室は、3人。ホントに、3人。この業界にはよくあること、昔も今も残酷なのだ。当時の今井君は「市場原理だから仕方ない」と平然と言い放つような生意気盛りの新人だったが、今思えばホントに申し訳ない結果になった。
ビニールをかぶってみる1
(ビニールをかぶってみる 1)

 しかし諸君、今の世の中で新人講師をオドカスようなことをしても、何の意味もない。友人知人からは構造不況業種と冷笑され、家族にも彼女にも親戚にも「ヤメたほうがいい」と懸命に止められ、それでも思い切ってこの世界に飛び込んだ若者。クマ蔵はこの業界で数百年にわたって生き抜いたツワモノとして、そういう若者の勇気と自信を讃えたい。
ビニールをかぶってみる2
(ビニールをかぶってみる 2)

 「将来性がない」なんて、余計なお世話だ。「じゃあ、アンタの業界は確固とした将来性でもあるのかい?」と聞き返してやればいい。「もっと安定した職業を選ぶべきだ」も、ホントに余計なお世話。税理士も司法書士も就職難、司法試験にチャンと合格して弁護士になったって就職難じゃないか。
 地方公務員も国家公務員も世間の風当たりが強い。巨大メーカーだっていつ業績不振に陥るか知れたものじゃない。じゃ、証券? 銀行? 不動産? 電力会社? いったいどの業種なら安定していてやりがいがあるの?
思慮深さ2
(思慮深い表情をしてみる 2)

 むしろ、自分の腕1本に自信があって、ついでにイケメンぶりにも自信があって、ルックスもファッションセンスも(Macクン、「ファッション扇子」って、ヤメてくれないかな)よくて、60歳近くなっても30歳代前半に見間違えられるぐらい若々しくいられる自信があるなら、どんどんこの世界に飛び込んできたまえ。
 もちろん、頭が悪くちゃ困る。知らないことでも教えられるぐらいの臨機応変な知力がないと、せっかくのルックスも台無しだ。学力も一定以上は必要。資格試験にバリバリ挑戦して、試験を受ける立場のヒトの気持ちを忘れないように努力し続けたまえ。
 そういう努力を延々と続ける強い気持ちがあれば、少子化だろうと不景気だろうと、この業界で15年30年トップを張っていくことぐらい、きっと何とかなる。気持ちを強く持って、どんどんトップを目指したまえ。30歳になる前から安定を求め、「寄らば大樹の陰」なんてのは、つまらんのだよ。
 10日の飲み会で、クマ蔵どんは中堅予備校の新人講師に以上のように説いた。何しろ昔の生徒が相手だから、今井君はますます意気軒昂である。
虫を発見する
(虫を発見)

 「さつまおごじょ」は4~5年前までは超人気店で人気お笑い芸人などの姿もよく見かけたが、ブームも一応落ち着いて、とても雰囲気がいい。焼酎お湯割り10杯ほどを2時間かけて飲み干した。夜10時、話も盛り上がったし、もう1軒「笹吟」に移動して今度は日本酒を飲みながら話は続いた。
 彼の話の中に、むかしむかしそのむかし新人だった今井君が「この先生には勝てないかもしれないな」と思ったことのある某先生の名前が登場。年齢は今井君とほぼ同じぐらいのヒトだが、何か事情があって巨大予備校に移籍せず、地元の予備校で「知る人ぞ知る」という大御所の立場を築き上げているとのこと。
 なるほど、彼は彼で素晴らしい生き方をしたのである。「ビシビシ生徒にあてまくる」という授業スタイルなので、巨大予備校の大教室や、我々の映像授業システムには馴染まないけれども、予備校が縮小して40人から50人の教室がほとんどになってくると、彼みたいなヒトがいよいよクローズアップされるかもしれない。
 「おお、懐かしいね。近いうち、彼と酒でも飲みたいね。今井が予備校講師を始めて幾星霜、『もしかしたらこのヒトには勝てないかもしれない』と感じた講師は3~4人しかいない。その先生はそのうちの1人だよ」と語ると、元生徒はビックリ仰天。あれま、意外にスゴいヒトが身近にいるもんですな。

1E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 2/9
2E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 3/9
3E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 4/9
4E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 5/9
5E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 6/9
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