Mon 120409 ホテルリッツのスイートルームに2連泊する(サンティアゴ巡礼予行記27)
「ダブル・アップグレードしました。スイートルームにご案内いたします」。Rが全部キツい巻き舌になる聴き取りにくい英語だが、彼は間違いなくそう言った。年配のホテルマン、おそらくホテルリッツ・マドリードの中でも地位の相当高いオジサマである。
「ホントですか? 間違いではありませんか?」。クマ蔵の声も興奮で甲高くなった。ホテルリッツは、もちろんマドリードで最も格の高いホテル。大通りをはさんでパラスホテルと覇を競っている。東京でいえば要するに帝国ホテルであって、そのスイートルームにダブルアップグレードとは、まさに夢のような話である。
ホントに、ホントに、ホントかい? ホントに間違いでも何でもないの? 何度かそう尋ねたが、オジサマは満面に笑みで「ホントに&ホントに、ホントのスイートルームです」と答えた。Rは相変わらずキツい巻き舌だが、ウソをついているような表情ではない。
この15分ほど前、クマ蔵はフロントでこのオジサマに「ジュニアスイートにアップグレードしました」と告げられた。すでにその段階でたいへんな幸運なので、「ほほお、リッツのジュニアスートに宿泊とは、オレもすいぶん出世したもんだな」と、チェシャ・キャットよろしく口が耳まで裂けそうになるほど、ダラしないニタニタ笑いを止められなかった。
![ホテル内のクリスマス](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/f7/34/j/o0360027011954570338.jpg?caw=800)
しかし、キーを持ったオジサマと一緒に2階のジュニアスイートに上がってみると、ドアには「Do not disturb」のカードがかかっている。チェックアウトした前夜の客がカードを外し忘れたか、それとも何かの事情でまだチェックアウトしていないか、そのどちらかである。「I'm confused」とオジサマは肩をすくめて陽気に笑ってみせた。
1階に戻り、カフェに案内され「何でもお好きなものをどうぞ。すぐに状況を調べて、対処いたします」と告げられた。「何でもお好きなものを」なら、もちろん注文はビール。だって、この日(12月22日)は朝7時にグラナダのパラドールをチェックアウト。朝9時のバスに乗り込み、5時間近い長旅の果てにマドリードにたどり着いたところだったのだ。
![ホテル外のクリスマス](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/2e/90/j/o0269036011954570376.jpg?caw=800)
(ホテルの外側も、ますます花やかである)
グラナダは南スペイン。ヨーロッパどころか、アメリカの人の憧れでさえある。つい最近見た芝居のセリフの中にも、「南スペイン、コスタ・デル・ソルでサングリアを飲もう」というクドキ文句があった。50歳過ぎた男が、40歳を過ぎた女性をクドくセリフがそれなのだ。どれほど南スペインが憧れの土地なのか、そんなところでも痛感する。
しかしスペインの冬の夜明けは遅い。午前7時は「深い夜の中に、ほんのわずか朝の気配が混じっているかもしれない」という程度。薄暗いのではなくて、まだ真っ暗なフロントでチェックアウト、呼んでもらったタクシーでバスターミナルに向かった。
同じ時刻、イタリアのベローナでは、ジュリエットの部屋で一夜をともにしたロミオが、朝の近づく気配に気づいてやっと目を覚ます時刻である。「ほら、一番鶏が鳴いている」「いいえ、あれはナイチンゲール。まだ帰らないで、ここにいてくださいまし」。そういう時刻である。
![スイート応接室1](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/df/f3/j/o0360027011954570417.jpg?caw=800)
(ホテルリッツ、スイートルームの応接間)
マドリード行きのバスは、来るときと同じ「Supra」。革張りの豪華なシート、横3列でゆったり。チケットは5日前にマドリードで往復を買っておいたから、心配なしである。ヨーロッパでは鉄道もバスも往復チケットが圧倒的にお得。日本では往復キップを買っても片道×2と大して変わらないが、欧米の往復運賃は片道×1.2ぐらいの感覚だ。
![早朝のパラドール1](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/ff/03/j/o0360027011954570446.jpg?caw=800)
(夜明け前のパラドール グラナダで)
彼らにとって往復チケットを買うことは、「旅の自由を束縛されること」らしい。帰りの日付も時刻もルートも、全て縛られてしまう。自由を犠牲にするのだから、それなりの代償は確保して当然だ。だからこそ、往復割引は大きくなければ割に合わないと考えるのだ。
旅の自由とは、「いつ帰ってもいい」「どんなルートで帰ってもいい」「美しい場所を見つけたら、気ままにそこに滞在してもいい」ということである。極端に言えば、「帰りたくなくなったら帰らなくてもいいという自由」「旅先で運命のヒトに出会う可能性」まで含まれる。
![早朝のパラドール2](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/ee/e3/j/o0348036011954570490.jpg?caw=800)
(グラナダ、早朝のパラドールで)
往復キップで束縛されるのは、いわば人生の自由そのものである。げほ&がほ。そんな大事なものを犠牲にするんだから、よほど安くしてもらわなけりゃ、引き合わないじゃないか。
もちろん運命のヒトに出会うとか、旅が放浪に変質して帰りつくことを目標としなくなるとか、そんな劇的なことが起こる可能性はほとんどない。しかしとにかく可能性を排除するなら、その代償はキチンと求める。それほどに彼らは可能性と自由を大切に考えるのだ。
![控えの間から応接室1](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/55/f7/j/o0269036011954570531.jpg?caw=800)
(ホテルリッツ、応接間の風景 1)
マドリードに帰るバスの中で、薄っぺらい往復キップを握りしめながら今井君が考えていたのは、以上のようなことである。高速をひた走って、マドリード南バスターミナル着、14時。気温が20℃まで上がった温かい日で、真冬のコートでは背中をダラダラ汗が流れた。
南バスターミナルからホテルリッツまではタクシー。8ユーロ。車窓から眺めると、マドリードのヒトたちも多くがコートを脱いで腕にかかえている。クリスマス直前にこんな暖かいんじゃ、気分もあんまり盛り上がらない。ウィーンやブダペストやプラハのクリスマスに比較して飾り付けが少々地味なのは、単に「経済危機だから」というワケでもないのかもしれない。
![スイート応接室2](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/b9/a4/j/o0360027011954570548.jpg?caw=800)
(ホテルリッツ、応接間の風景 2)
こうして、まるまる1週間の身辺雑記が続いて、今井ブログは久しぶりに「サンティアゴ巡礼予行記」に戻る。グラナダの4日間が終わってマドリードに戻り、クリスマス間近のマドリードで2日過ごした後、いよいよ最終目的地サンティアゴ・デ・コンポステラに向かう。
もちろん、ブログの舞台はスペインに戻るが、今井自身はチャンと東京にいて、身辺雑記に書くべきいろいろな行動や出会いを、今日も今日とて積み上げている。
![スイート応接室3](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/2d/6c/j/o0360027011954570585.jpg?caw=800)
(ホテルリッツ、応接間の風景 3)
今後も、美術館や芝居に出かければその話を挿入するし、下北沢や三軒茶屋や六本木で飲んでいて「今井先生ですか?」の諸君と遭遇すれば、その様子を微に入り細を穿って描写する。「身辺雑記にしか興味がない」というヒトも、心配しないでくれたまえ。
さて、「ダブル・アップグレードいたしました。スイートルームにご案内いたします」という今日の冒頭のシーンに戻ってきた。確かに、他の部屋はドア1つ。オジサマに案内された今井君がいま目の前に立った部屋は、デカい豪華なドアが2枚、観音開きになっている。「観音開き」が分からないヒトは、今すぐググってくださいまし。
![観音開き](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/ab/6b/j/o0269036011954570657.jpg?caw=800)
(スイートルーム、観音開きのドア)
諸君、これはたいへんなことである。ホントに&ホントに、何の間違いもなく、リッツのスイートである。たとえばマドリードでヨーロッパ首脳会談が開催されたとする。フランスやドイツの首脳が宿泊するのは、リッツかパラスか、そのどちらかである。
うにゃ。ということは、いま今井クマ蔵が足を踏み入れようとするこの同じ部屋に、例えばシラクが、ジスカールデスタンが、ミッテランが、例えばサッチャーが、ブレアが、例えばブラントが、ヴァイツゼッカーが、宿泊した可能性が大なのだ。
さすがに今井君は知的な♨人物であるから、こういう時も「有名タレントやシンガーが泊まったんだな」という感慨より、こうしてズラズラ昔の首脳の名前が溢れ出てくる。諸君。ここはフランコ時代から東西冷戦時代にかけて、人類全体の運命を左右したかもしれないほど緊迫したヨーロッパ政治の、まさに表舞台だったのだ。
![控えの間から応接室2](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/54/19/j/o0269036011954570694.jpg?caw=800)
(控えの間から応接室を望む)
観音開きのドアを開くと、まず控えの間。控えの間から右方向は、10人ぐらい大の字で眠れるぐらいのドデカイ寝室。左が応接室。ジュータンはフカフカ&フワフワ、ソファもフカフカ&フワフワ。
おお、こりゃ世界中の疲れきったVIPを迎え続け、これからも迎え続ける部屋である。「さあ、眠りなさい。疲れきった身体を投げ出して」。まさに「聖母たちのララバイ」の世界。「出来るならば、あなたの母になって」というぐらい、フトコロの広い優しい部屋である。
![エスプレッソカプセル](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/6f/30/j/o0269036011954570742.jpg?caw=800)
ただ問題は、宿泊することになった今井クマ蔵がほとんど疲労を感じていないということかもしれない。ボクは、どうしても今すぐ意地でも鶏の丸焼きが食べたい。うーん。クマというものは、ホントに困った生き物である。
どうしてもMINGOの陽気なウェイターに囲まれて、陽気に鶏の丸焼きを食べたい。その欲望が抑えきれなくなって、クマ蔵はクリスマス直前のマドリードの街に短い足を踏み出した。
1E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 5/5
2E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 1/11
3E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 2/11
4E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 3/11
5E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 4/11
total m47 y545 d8440
「ホントですか? 間違いではありませんか?」。クマ蔵の声も興奮で甲高くなった。ホテルリッツは、もちろんマドリードで最も格の高いホテル。大通りをはさんでパラスホテルと覇を競っている。東京でいえば要するに帝国ホテルであって、そのスイートルームにダブルアップグレードとは、まさに夢のような話である。
ホントに、ホントに、ホントかい? ホントに間違いでも何でもないの? 何度かそう尋ねたが、オジサマは満面に笑みで「ホントに&ホントに、ホントのスイートルームです」と答えた。Rは相変わらずキツい巻き舌だが、ウソをついているような表情ではない。
この15分ほど前、クマ蔵はフロントでこのオジサマに「ジュニアスイートにアップグレードしました」と告げられた。すでにその段階でたいへんな幸運なので、「ほほお、リッツのジュニアスートに宿泊とは、オレもすいぶん出世したもんだな」と、チェシャ・キャットよろしく口が耳まで裂けそうになるほど、ダラしないニタニタ笑いを止められなかった。
![ホテル内のクリスマス](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/f7/34/j/o0360027011954570338.jpg?caw=800)
(ホテルリッツ。クリスマス・デコレーションもますます豪華になった)
しかし、キーを持ったオジサマと一緒に2階のジュニアスイートに上がってみると、ドアには「Do not disturb」のカードがかかっている。チェックアウトした前夜の客がカードを外し忘れたか、それとも何かの事情でまだチェックアウトしていないか、そのどちらかである。「I'm confused」とオジサマは肩をすくめて陽気に笑ってみせた。
1階に戻り、カフェに案内され「何でもお好きなものをどうぞ。すぐに状況を調べて、対処いたします」と告げられた。「何でもお好きなものを」なら、もちろん注文はビール。だって、この日(12月22日)は朝7時にグラナダのパラドールをチェックアウト。朝9時のバスに乗り込み、5時間近い長旅の果てにマドリードにたどり着いたところだったのだ。
![ホテル外のクリスマス](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/2e/90/j/o0269036011954570376.jpg?caw=800)
(ホテルの外側も、ますます花やかである)
グラナダは南スペイン。ヨーロッパどころか、アメリカの人の憧れでさえある。つい最近見た芝居のセリフの中にも、「南スペイン、コスタ・デル・ソルでサングリアを飲もう」というクドキ文句があった。50歳過ぎた男が、40歳を過ぎた女性をクドくセリフがそれなのだ。どれほど南スペインが憧れの土地なのか、そんなところでも痛感する。
しかしスペインの冬の夜明けは遅い。午前7時は「深い夜の中に、ほんのわずか朝の気配が混じっているかもしれない」という程度。薄暗いのではなくて、まだ真っ暗なフロントでチェックアウト、呼んでもらったタクシーでバスターミナルに向かった。
同じ時刻、イタリアのベローナでは、ジュリエットの部屋で一夜をともにしたロミオが、朝の近づく気配に気づいてやっと目を覚ます時刻である。「ほら、一番鶏が鳴いている」「いいえ、あれはナイチンゲール。まだ帰らないで、ここにいてくださいまし」。そういう時刻である。
![スイート応接室1](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/df/f3/j/o0360027011954570417.jpg?caw=800)
(ホテルリッツ、スイートルームの応接間)
マドリード行きのバスは、来るときと同じ「Supra」。革張りの豪華なシート、横3列でゆったり。チケットは5日前にマドリードで往復を買っておいたから、心配なしである。ヨーロッパでは鉄道もバスも往復チケットが圧倒的にお得。日本では往復キップを買っても片道×2と大して変わらないが、欧米の往復運賃は片道×1.2ぐらいの感覚だ。
![早朝のパラドール1](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/ff/03/j/o0360027011954570446.jpg?caw=800)
(夜明け前のパラドール グラナダで)
彼らにとって往復チケットを買うことは、「旅の自由を束縛されること」らしい。帰りの日付も時刻もルートも、全て縛られてしまう。自由を犠牲にするのだから、それなりの代償は確保して当然だ。だからこそ、往復割引は大きくなければ割に合わないと考えるのだ。
旅の自由とは、「いつ帰ってもいい」「どんなルートで帰ってもいい」「美しい場所を見つけたら、気ままにそこに滞在してもいい」ということである。極端に言えば、「帰りたくなくなったら帰らなくてもいいという自由」「旅先で運命のヒトに出会う可能性」まで含まれる。
![早朝のパラドール2](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/ee/e3/j/o0348036011954570490.jpg?caw=800)
(グラナダ、早朝のパラドールで)
往復キップで束縛されるのは、いわば人生の自由そのものである。げほ&がほ。そんな大事なものを犠牲にするんだから、よほど安くしてもらわなけりゃ、引き合わないじゃないか。
もちろん運命のヒトに出会うとか、旅が放浪に変質して帰りつくことを目標としなくなるとか、そんな劇的なことが起こる可能性はほとんどない。しかしとにかく可能性を排除するなら、その代償はキチンと求める。それほどに彼らは可能性と自由を大切に考えるのだ。
![控えの間から応接室1](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/55/f7/j/o0269036011954570531.jpg?caw=800)
(ホテルリッツ、応接間の風景 1)
マドリードに帰るバスの中で、薄っぺらい往復キップを握りしめながら今井君が考えていたのは、以上のようなことである。高速をひた走って、マドリード南バスターミナル着、14時。気温が20℃まで上がった温かい日で、真冬のコートでは背中をダラダラ汗が流れた。
南バスターミナルからホテルリッツまではタクシー。8ユーロ。車窓から眺めると、マドリードのヒトたちも多くがコートを脱いで腕にかかえている。クリスマス直前にこんな暖かいんじゃ、気分もあんまり盛り上がらない。ウィーンやブダペストやプラハのクリスマスに比較して飾り付けが少々地味なのは、単に「経済危機だから」というワケでもないのかもしれない。
![スイート応接室2](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/b9/a4/j/o0360027011954570548.jpg?caw=800)
(ホテルリッツ、応接間の風景 2)
こうして、まるまる1週間の身辺雑記が続いて、今井ブログは久しぶりに「サンティアゴ巡礼予行記」に戻る。グラナダの4日間が終わってマドリードに戻り、クリスマス間近のマドリードで2日過ごした後、いよいよ最終目的地サンティアゴ・デ・コンポステラに向かう。
もちろん、ブログの舞台はスペインに戻るが、今井自身はチャンと東京にいて、身辺雑記に書くべきいろいろな行動や出会いを、今日も今日とて積み上げている。
![スイート応接室3](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/2d/6c/j/o0360027011954570585.jpg?caw=800)
(ホテルリッツ、応接間の風景 3)
今後も、美術館や芝居に出かければその話を挿入するし、下北沢や三軒茶屋や六本木で飲んでいて「今井先生ですか?」の諸君と遭遇すれば、その様子を微に入り細を穿って描写する。「身辺雑記にしか興味がない」というヒトも、心配しないでくれたまえ。
さて、「ダブル・アップグレードいたしました。スイートルームにご案内いたします」という今日の冒頭のシーンに戻ってきた。確かに、他の部屋はドア1つ。オジサマに案内された今井君がいま目の前に立った部屋は、デカい豪華なドアが2枚、観音開きになっている。「観音開き」が分からないヒトは、今すぐググってくださいまし。
![観音開き](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/ab/6b/j/o0269036011954570657.jpg?caw=800)
(スイートルーム、観音開きのドア)
諸君、これはたいへんなことである。ホントに&ホントに、何の間違いもなく、リッツのスイートである。たとえばマドリードでヨーロッパ首脳会談が開催されたとする。フランスやドイツの首脳が宿泊するのは、リッツかパラスか、そのどちらかである。
うにゃ。ということは、いま今井クマ蔵が足を踏み入れようとするこの同じ部屋に、例えばシラクが、ジスカールデスタンが、ミッテランが、例えばサッチャーが、ブレアが、例えばブラントが、ヴァイツゼッカーが、宿泊した可能性が大なのだ。
さすがに今井君は知的な♨人物であるから、こういう時も「有名タレントやシンガーが泊まったんだな」という感慨より、こうしてズラズラ昔の首脳の名前が溢れ出てくる。諸君。ここはフランコ時代から東西冷戦時代にかけて、人類全体の運命を左右したかもしれないほど緊迫したヨーロッパ政治の、まさに表舞台だったのだ。
![控えの間から応接室2](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/54/19/j/o0269036011954570694.jpg?caw=800)
(控えの間から応接室を望む)
観音開きのドアを開くと、まず控えの間。控えの間から右方向は、10人ぐらい大の字で眠れるぐらいのドデカイ寝室。左が応接室。ジュータンはフカフカ&フワフワ、ソファもフカフカ&フワフワ。
おお、こりゃ世界中の疲れきったVIPを迎え続け、これからも迎え続ける部屋である。「さあ、眠りなさい。疲れきった身体を投げ出して」。まさに「聖母たちのララバイ」の世界。「出来るならば、あなたの母になって」というぐらい、フトコロの広い優しい部屋である。
![エスプレッソカプセル](https://stat.ameba.jp/user_images/20120505/04/imai-hiroshi/6f/30/j/o0269036011954570742.jpg?caw=800)
(ジョージ・クルーニーが広告するエスプレッソも、この部屋では飲み放題だった)
ただ問題は、宿泊することになった今井クマ蔵がほとんど疲労を感じていないということかもしれない。ボクは、どうしても今すぐ意地でも鶏の丸焼きが食べたい。うーん。クマというものは、ホントに困った生き物である。
どうしてもMINGOの陽気なウェイターに囲まれて、陽気に鶏の丸焼きを食べたい。その欲望が抑えきれなくなって、クマ蔵はクリスマス直前のマドリードの街に短い足を踏み出した。
1E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 5/5
2E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 1/11
3E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 2/11
4E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 3/11
5E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 4/11
total m47 y545 d8440