Fri 120406 負傷者16人 4月は充実していた 長いスパンで、リバウンドしない努力 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 120406 負傷者16人 4月は充実していた 長いスパンで、リバウンドしない努力

 4月30日は、初台の新国立劇場で芝居を観た。28日から29日にかけて東京も初夏のような陽気になり、今井君も部屋ではTシャツ1枚。先週までモコモコのセーターで縮こまっていたのがウソみたいである。
 新国立劇場にはホンの半月前に来たばかりで、あの時はヴェルディのオペラ「オテロ」だった。さすがにオペラパレスは2000人近いヒトを収容する大劇場だが、今日のクマ蔵が訪れたのは新国立劇場の中でも一番小さい「小劇場」。350人程度しか入らない。
 もちろん「350人しか」というのはオペラと比較した場合であって、今井君自身の講演会に350名も集まってくれたら、そりゃ大威張りでブログにも書きまくり、写真だって5枚も6枚も掲載しまくるに決まっている。むかし通った渋谷ジャンジャンは160名収容だったし、下北沢のザ・スズナリだと230。今日のは「意外に大きな小劇場」なのである。
とんかつ1
(芝居の後はトンカツがいい1 モリモリ食べなければ芝居のエネルギーに負けてしまう)

 観た芝居は、「負傷者16人」。演出・宮田慶子。主演・井上芳雄/益岡徹。2004年にニューヨーク・ブロードウェイで好評だった「SIXTEEN WOUNDED」を、日本語に翻訳しての上演である。5月半ばまで東京、そのあと兵庫県に回るから、首都圏や関西圏で興味のあるヒトは観にいくといい。
 ただし、A席5250円はさすがに若いヒトたちには高すぎる。高すぎ晋作である。3時間座席に縛りつけられたまま、20世紀と21世紀の最もシリアスな諸問題を3時間に凝縮して突きつけられ、それで娯楽映画の2倍以上のオカネがかかるんじゃ、観客の年齢層が上がるのも当然かもしれない。
 劇場を見渡したところ、40歳代より上が70%。大学生とか高校生は「散見される」という感じ。ま、これなら「あ、今井だ!!」「今井、発見!!」「すげ♡すげ♡すげ」の大騒ぎになることはまず考えられないからヒト安心ではあるが、若干の寂しさはある。若い諸君、バイトしてでもいいから、時間のタップリあるうちにもっと演劇の世界に足を運びたまえ。
とんかつ2
(芝居の後はトンカツがいい2 新宿NSビル29階「とんかつ伊勢」はサイドメニューも充実している)

 では「20世紀と21世紀の最もシリアスな諸問題とは何か」であるが、パレスチナ問題と、自爆テロと、ナチスによるホロコーストである。たくさんの固有名詞がナマのママで舞台をとびかい、観客が「それって、言っちゃって大丈夫?」とハラハラするほど。これは、中高年よりも若い人たちがこぞって見に行くべき演劇である。
 詳しいストーリーや今井君の拙い感想は、今日は省くことにする。読者諸君が劇場に足を運んで、自分の目と耳と肉体で直接体験したほうがいい。
チケット
(SIXTEEN WOUNDED チケット)

 パレスチナの青年とユダヤ人の中年男が日本語で激論を交わし、パレスチナ青年とアムステルダムのダンサーが日本語で愛を語り合う様子に違和感を感じないことはないが、まあ贅沢を言いなさんな。たった5人の俳優で、マコトに緊張感あふれる迫力の演劇空間を作り上げた力ワザに感激したまえ、である。
 どれほど緊迫した舞台空間だったかは、「カーテンコールしていいのかどうか」を観客がみんな一瞬ためらってしまったことからもわかる。これほどシリアスな現実を凝縮して見せられて、まさか立ち上がって「ブラボー」でもないじゃないか。最も正しい反応は、誰も席を立たず、みんな打ちのめされて床を見つめ、俳優たちへの喝采も忘れて重い沈黙のうちに10分も15分も経過していくことなのかもしれなかった。
とんかつ3
(芝居の後はトンカツがいい3 どんなに重いテーマの芝居を観ても、たくさん食べて元気を出さなきゃ始まらない)

 さて、こうして4月が終わって、「うむ、なかなか充実した4月だった」という実感がある。「具体的に何か成果があったのか?」と問われれば、「別に何にも」と肩をすくめてエリカさまをやるしかないが、とにかくあらゆる面で4月は充実していたのである。
 「具体的に何をやり遂げたのか」「どういう実績を上げたのか」、そういう質問を自分に浴びせるのは単なる自虐趣味であって、成果とか結果とかいう直接的なものばかり追いかける人生は窮屈である。何も成果は出なくても「充実していた」という実感をいだく経験は誰にでもあるだろう。
 上司と部下の関係なら、「結果が全てだ」「実績が上がってなかったら、どんな充実感も自己満足に過ぎない」「いいから数字をもってこい、数字を」などの罵声を、ポジティブに「叱咤激励」と言い換えることもできる。「パワハラ寸前じゃん?」の一言を部下がグッと抑えて、数字稼ぎに駆け回ることも、またその人の成長につながるのかもしれない。
 しかし自分で自分の上司になって、数字が上がらないといって自ら叱咤し、具体的な成果や結果が見えないと激しく自分を責めるのでは、心も身体も縮み上がるばかりで、大きな成長の可能性まで台無しにしてしまう。
知的なネコを目指す1
(知的ネコめざして 1)

 成長とか成功とかいうものは、1週間や1ヶ月や1学期の短期間で数字化すべきものではない。自分に対してはせめて半年、出来れば1年の時間を与えて、半年前や1年前の自分と対比してみる余裕が必要である。
 目指す事柄によっては10年以上の長いスパンで考えることさえ必要。大きな余裕のないところに大きな成長はない。①窮屈に自分を縛って短期間で向上し、短期間でカンタンに元に戻っちゃうのか、②余裕を大きくとってリバウンドのない大きな向上を選ぶかであるが、今井君の自分にも他人にも求めるのは、何がどうあっても後者②である。
知的なネコを目指す2
(知的ネコめざして 2)

 5月になると「なかなか成績が上がりません」という相談が増えるのだが、1か月や2か月の短いスパンで向上した成績は、同じ1か月や2か月の短いスパンで急激に降下する可能性が高い。
 上がったり、上がらなかったり、下がったり、下がらなかったり、いくつもいくつも波を乗り越えて半年経ってみたら、半年前の自分がはるか眼下に見える。「あんなことにあんなに苦しんでいたのか」と笑いたくなるほど、半年前の自分が愚かで滑稽に見える。
 成長とはそのようなことを言うので、そういう長いスパンの成長を経験したヒトは、決して惨めなリバウンド・スパイラルに陥らない。「前回の模試と比較して偏差値が1.3下がりました」などというミミッチイことで一喜一憂しているのは、おそらく周囲のオトナがミミッチイのである。
 だから、「うぉ、4月は充実していたな」とクマ蔵が実感するとき、数字とか結果とか実績をウンヌンしているのではない。受験生も大学生も社会人諸君も、余裕を大きくとって「リバウンドしない大きな成長」を心がけてほしい。ヨワイ数百歳を迎えた超ベテラン・クマ蔵が言うのだ。おそらくそんなに間違ってはいない。
下界を睥睨する
(下界を睥睨する)

 予備校の世界にはさまざまなスンバラシイ名言があって、「今頑張れないヤツは、一生頑張れない」「じゃあいつやるんだ? 今でしょう」の2つはその代表格と言っていい。
 この場合、「今」という言葉を「今だけ」「今週だけ」「今月だけ」みたいに捉えるのが誤りなのは言わずもがなであって、実際には「今」は永遠に続くのだ。来月になれば来月こそが今であり、半年後には半年後が今である。ずっと今が続くとしたら、我々の努力もずっと続かなければならない。
 物事を長いスパンで考えられないヒトには、どんな名言もチャンと理解できない。「今頑張れ」「今やりなさい」とは、「今、直ちに始めて、その努力を長く地道に継続しなさい」ということであって、短兵急に「月末までに結果を出せ」とか「次回の模試で結果が出なければ意味がない」とか、そんな異様にセカセカした話ではないのだ。
耳をかく
(つらい時には、耳のうしろでも掻いてみればいい)

 5月になって、思ったように成績が伸びなくて焦りはじめている諸君は、是非とも以上のような悠然とした発想をもって、半年後を見据えたまえ。徹底的に基礎を繰り返して、基礎を徹底して鍛えたまえ。大学生や社会人ならもっとスパンが長くなって、「3年後を見据えまヒョ」でも構わない。ま、「すぐに始めて」だけは絶対条件ですけどね。

1E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 5/10
2E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 6/10
3E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 7/10
4E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 8/10
5E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 9/10
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