Sun 120401 バッカリ食べについて エダマメ帝国とズンダ餅トルネード イマイカレー | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 120401 バッカリ食べについて エダマメ帝国とズンダ餅トルネード イマイカレー

 一つのものを気に入って食べはじめると、もう自分でもどうにもならなくなって、ひたすら同じ食べ物ばかり食べ続けるクセがある。30年も昔「ニッチモサッチモどうにもブルドッグ♨ ハ!!」というのがあったが、一昨日はそれが「ニッチモサッチモどうにも枝豆♨ ハ!!」であり、昨日は「ニッチモサッチモどうにもアボカド♨ ハ!!」であった。
にゃご1
(あいかわらず、ニャゴロワどんは元気である 1)

 ひたすら枝豆ばかり食べたのは、代々木上原駅からちょっと離れた薄暗い通りにある、急な階段を降りた半地下の薄暗い店。中年の陽気な大将が1人でやっていて、日本酒の種類が豊富に揃い、何より料理がどれもこれも絶品。「平凡なものがとにかく旨い」という今井君好みの店である。
 今井君のお気に入りは「揚げ餅バター醤油」。9年前に代々木上原に引っ越してきた頃、あまりに揚げ餅バター醤油が気に入って、それを食べるためだけにこの店に通った。その頻度はほぼ3日に1回、1回につき揚げ餅バター醤油を3回は注文したから、あの頃クマ蔵の肉体の30%はお餅とバターと醤油で出来ていたはずだ。
 しかしさすがの今井君でも、同じ食品をその頻度で食べまくれば、肉体が「もう勘弁してくれ」と悲鳴を上げる。いや、この悲鳴はむしろ「共食いはヤメてくれ!!」という悲鳴なのだと表現した方が正しい。
 肉体の30%が揚げ餅バター醤油で出来ているとすれば、目の前に置かれた揚げ餅バター醤油は、クマ蔵の肉体の3割にとってまさに同族同類なのである。牛に牛肉を食べさせる、ヘチマにヘチマの水を与える、豚に温かい豚まんを与える。その全ては共食いの強要であって、揚げ餅に揚げ餅を食わせるのは、この世で最も深い罪に当たる。
にゃご2
(あいかわらず、ニャゴロワどんは元気である 2)

 以上のようなたいへん難しい経緯があって、今井君の足はこの薄暗い店に向かわなくなった。訳あって店の名前は言えないが、かれこれ5~6年、店の大将にも揚げ餅バター醤油にも挨拶しないままに空しく経過した。
 何かのハズミで久しぶりにこの店を尋ねたのは、昨年秋のことである。どういうハズミだったか全く記憶にないが、中年男とは、何とはなしにフト「薄暗い通りの、薄暗い店の、薄暗い片隅で、静かに日本酒の酔いを楽しみたい」という薄暗い気分になる生き物なのである。
 きっとクマ蔵の肉体から9年前の揚げ餅バター醤油がようやくすべて排泄され、共食いの嫌悪感が消えたのだ。久しぶりにアイツを食べてみたい。アイツの香ばしい香りとカリカリ&モチモチの食感が、あまりにも懐かしく脳裏に蘇り、太古の昔の恐竜時代から付きあっている友人とともに、矢も盾もたまらずに薄暗い階段を降りた。半年前のことである。
 復活した最初の夜は、店の大将の頭に今井君の記憶は蘇らなかったけれども、3度4度と回を重ねるうちに「ああああ、ああああ、今井サンだ、あの頃の今井サンだ」と嬉しそうに笑ってくれるようになった。こうなればシメたもので、「午後12時閉店」という店を恐竜時代の友人3人で午前3時まで占拠して、デロデロになるまで酔っぱらったりした。
にゃご3
(あいかわらず、たいへん不思議なネコである)

 今ではもう、恐竜時代の友人以外でも「静かで旨い店があるんですよ」と、自信をもって引っ張っていける。一昨日はそういう一夜だったので、揚げ餅バター醤油は遠慮して、とりあえずタコの刺身とマグロの刺身を注文した。
 その時「ついでだから」と付け加えたのが、茹でた枝豆である。それがあっという間に「ニッチモサッチモどうにも枝豆♨ ハ!!」という、まさにこの日の主役の座に駆け上がった。3人が3人とも「旨い!!」「これは旨い!!」「こりゃ旨いぜ!!」と叫び、「大将、これは旨いね!!」と呼びかけると、大将は「茹でた人間がいいんですよ」と破顔大笑した。
 大皿にタップリの枝豆だったけれども、3回オカワリしたから、合計4皿の枝豆を食べつくしたわけだ。3人のうちの1人はすでに口も回らない泥酔直前状態だったから、実際には残った2人で大皿4皿分の枝豆を胃袋に詰め込んだことになる。
 諸君、それで他に何を食べたかと言えば、ホントに完全にそれだけだったのである。タコとマグロのお刺身は残った1名が食べつくしたから、今井君のお腹の中は完全に枝豆のみ。他は一切ナシ。うにゃにゃ、である。
 ちょっと想像してみたまえ。3人でワイン2本カラッポにした後、そこから今井君だけ分離独立して日本酒に切り替え、温かい日本酒を2合徳利3本。それ以外は、まさに完全にエダマメ帝国、エダマメ民主共和国、エダマメ憲法制定バンザイ!!というアリサマ。今井エダマメ共和国である。
にゃご4
(クマの健康を案ずる優しいネコでもある)

 もし人体がダイソンの掃除機みたいな透明樹脂で出来ていれば、いま今井君の食道から胃袋、十二指腸あたりにいたるまで、日本酒に浸された枝豆の緑一色に染まり、緑の竜巻が発生しているのだ。名づけて「エダマメ・トルネード」。仙台名物ズンダ餅みたいな、まさに新緑の季節に相応しい素晴らしい色彩感覚である。
 「最初に飲んだ赤ワインは?」と尋ねるヒトもあるだろう。もちろんその鮮やかな桜色は、桜前線の北上よろしく胃袋から曲がりくねった小腸へと南下。林立する柔突起のあたりにホンノリ桜色がからみつく頃、今井君ご一行は「そろそろ引き上げますか?」ということになった。
 外は予想もしなかった雨が降りだし、重苦しい雷鳴が続けざまに轟いた。駅の近くまで出ると、何だかカレーが食べたくなった。だって諸君、小腸の柔突起はピンク、胃袋は胃袋の形のズンダ餅トルネードである。こんな桜餅みたいな鮮やかな肉体では、何だか無性にお腹が減るじゃないか。
 代々木上原駅前で手っ取り早くカレーを食べるには、駅ビルの中のCoCo壱番屋か、牛丼の松屋か、どちらかである。迷いに迷ったまさにその時、今井君の酔った目の前に、あれれ、夢ではないか、「フレッシュ イマイカレー」の文字がハタメイている。
イマイカレー
(フレッシュ イマイカレー)

 春雷に打たれ、春の雨に濡れたノボリに染めぬかれた文字は、どうしても「イマイカレー」。驚いた今井君は、さっそくまずノボリを写真に収め、あるしっかりした人物に電話をかけて「イマイカレー」というものが存在することを伝え、食べて帰るべきかどうかを相談した。
 相談の結果は、「それはイマイカレーではなく、単なるトマトカレーである。トマトの文字がイマイに見えるほどの泥酔なら、食べずにサッサとネグラに帰って寝た方が身のためである」という、マコトにマジメで品行方正な、面白くも何ともない結論であった。
 あれれ、昨日の「ニッチモサッチモどうにもアボカド♨ ハ!!」の話は? しまった、書き忘れた。ということで、明日はその話を書きまくることになる。

1E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.5
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