Sat 120317 アランフエスとグラナダ パラドール ポサーダ(サンティアゴ巡礼予行記15) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 120317 アランフエスとグラナダ パラドール ポサーダ(サンティアゴ巡礼予行記15)

 本来ならグラナダは、最初のスペイン旅行で訪れるべき町。昔なら「いの一番に」というところである。マドリードは後回しにしても、まずグラナダ。バルセロナより、とにかくグラナダ。グラナダの前では、プラド美術館もサグラダファミリアもすべて顔色を失うのだ。
 グラナダは、もちろんアルハンブラ宮殿の町である。アルハンブラ宮殿に何があるのか、そもそもアルハンブラ宮殿って、いつ/誰が/何のために作ったのか、そういう5W1Hは知らなくても、日本人なら誰でも名曲「アルハンブラ宮殿の思い出」を知っている。
カルロス5世宮殿
(アルハンブラ宮殿内、カルロス5世宮殿)

 「そんなの知らないよ」と強情にシラを切るヒトもいるだろう。「知らねーぜ」「知るもんか」「知ってたら、何の得があるっつーの?」と無我夢中で否定しようとする人もいるだろう。仕方がない、YouTubeで「アルハンブラ宮殿の思い出」を検索したまえ。
 おお、チャーラぷーるリー、チャーラぷーるリー、チャーラぷーるぷりー、チャーラぷーるぷりー。何と物哀しいメロディ。「夏休み、あと5日しか残っていないよぉ」「もうすぐ学校が始まっちゃうよぉ」、そういう悲しい日の昼下がり、この曲を聴いて涙しないヒトがいるだろうか。
 19世紀の人タレガ(Francisco Tárrega)の作曲。トレモロで有名。タレガって、だれ? 確かにあんまり有名な作曲家じゃないけど、試しにタレガをググってみると、「お、この顔どこかで見たことあるな」と諸君も思うに違いない。アルハンブラは、このチャーラぷーるリーな名曲の舞台である。
サンタマリア教会
(アルハンブラ宮殿内、サンタマリア教会)

 マドリード近郊にアランフエスという町もある。今回の旅の後半ではアランフエス日帰り旅行も予定しているが、アランフエスもまた音楽で有名。ホアキン・ロドリーゴ作曲「アランフエス協奏曲」で誰ひとり知らぬ者はない。
 ホアキンねぇ。ホアキン・フェニックスという映画俳優もいるね。「グラディエーター」の憎まれ役の皇帝コモドゥス、「ホテル・ルワンダ」のちょっと女グセの悪いジャーナリスト役など。あらら、悪い癖でどんどん話がそれて行きますな。
アルハンブラのネコ1
(アルハンブラ宮殿のネコ 1)

 アランフエス協奏曲はさすがに名曲だから、村治香織あたりで是非CD1枚購入したまえ。「チャラプー、チャラリプラロ、チャラプー」である。そこへわざわざ歌詞をつけて歌っちゃったヒトもいる。「恋のアランフエス」「我が心のアランフエス」など、いろんなタイトルがついている。「チャラプー」のところは、「モナムー」である。これもググってYouTubeに行ってみたまえ。
 フィギュアスケートの安藤美姫どんもアランフェス協奏曲をエキシビションに採用。「恋のアランフエス」のほうは、ギタリストのクロード・チアリも参戦。クロード・チアリのお嬢さまクリステル・チアリさんは、東京の地下鉄やJRの車内英語アナウンスを担当。地名だけ完璧な日本語になる、あれだ。
 諸君、アランフエス1つで、これだけいろんなヒトが関わってくるのだから、まさにスペイン恐るべし、スペイン侮るなかれである。もっともっとスペインを知り、もっともっとスペインを訪れるべきなのだ。
アルハンブラのネコ2
(アルハンブラ宮殿のネコ 2)

 さて、グラナダであるが、アランフエスでもグラナダでも、最後の最後まで美味しいものをとっておくのが、今井君の生き方の基本である。寿司をセットで注文すれば、一番好きなウニとエビを最後に残さなければ、寿司そのものが無意味だと信じる。
 だからスペインの今井君にとって、最大のウニ/最大のイクラ/最大のエビとして最後に残したのが、グラナダとサンティアゴ・デ・コンポステラ。チャンと最後まで残したからには、宿泊先も普通のホテルではなくパラドールにしなければならない。
プエルタレアル
(グラナダ市街、プエルタレアル)

 パラドールとは、スペイン独特の国営宿泊施設。大昔の修道院とか病院とか、宮殿とか古城とか、普通なら泊まれない由緒ある建物をホテルに改修して、国が責任をもって運営するものである。
 スペイン国内に約100箇所あって、特に有名なのがシグエンサとサラゴサと、グラナダとサンティアゴ・デ・コンポステラ。サンティアゴ・デ・コンポステラのパラドールは、長旅に疲れた巡礼さんを対象にした大きな病院を改修したものである。
 グラナダのパラドールは元フランシスコ会修道院だが、何しろアルハンブラ宮殿の中にあって、ライトアップしたアルハンブラを一晩中眺められる。スペインのパラドールの中でも、完全に別格の存在だ。
 夏の観光シーズンには予約不可能だから、今井君はあえてクリスマス直前のこの時期を選んだ。タクシーの運転手さんも「パラドール・デ・グラナダ」と言っただけで態度が一変する。誰が何と言おうと、「せっかくグラナダに泊まるなら、ココしかないでしょ」である。
サービス
(さすがパラドール・デ・グラナダ。シャンペンが1本サービスされていた)

 チェックイン後、いろんなネコたちの闊歩する宮殿内を、まずゆっくりと散歩。こういう時、今井君はふと涙もろくなる。「ニャゴロワ、ナデシコ。キミたちも一緒に来られたらよかったのにね」「クマどんだけスペインのネコたちと遊んでて、ホントにゴメンネ」みたいな、ごくごく気持ち悪いクマどんに変身してそこいらを彷徨するのである。
 ま、何はともあれ晩飯を食わなきゃならん。パラドール内で食べられないことはないが、せっかくだからクリスマスのグラナダ市街に出てみることにした。アルハンブラバスの路線に沿ってどこまでも坂道を下っていくと、賑やかなプエルタ・レアルに出る。
ポサーダ店内
(元闘牛士がオーナー、ポサーダ・デル・ドゥエンテ)

 クリスマスの飾り付けもすっかり終わって、夕暮れの町はパーティーに向かう着飾った男女で混雑している。夕暮れとは言っても、何しろすぐそこはアフリカだ。遠くの空にはシエラネバダ山脈の白い雪が夕陽を浴び、ピンクというかオレンジというか、何とも形容しがたい美しい色に染まっている。
 こんな美しい町にも、意地でも大きなコルテ・イングレスがあり、その正面から右に入った暗い横丁に、「ポサーダ・デル・ドゥエンテ」を発見。オーナーは元闘牛士で、闘牛士の仲間もよく訪れるという。
マメのスープ
(名物、マメのスープ)

 入ってみると、おなじみ「エントランス付近は立ち飲みの男子で超満員」(昨日の記事参照)。ここで「うわ、ここは満員、立錐の余地もない」と慌てずに、勇気を奮い起こしてズンズン中に踏み込んで行けばいい。エントランスの雑踏がどんなにタジタジとするほどであっても、中は「もう閉店ですか?」と尋ねたくなるぐらいのガラガラであることが多い。
 このポサーダもご他聞に漏れず、20ほどのテーブルが並んでいるが店内はガラガラ。今井君の他にお客は2組だけである。そのうちの1組はもうお勘定を済ませて帰る直前。「ギリギリで間に合った」という感じであった。
ヒツジのステーキ
(メインディッシュ、ヒツジのステーキ。オコメの山が余りにも可愛い)

 元闘牛士のオーナーも丁寧に挨拶に来てくれる厚遇ぶりの中、今井君が注文したのは、まずマメをタップリ煮込んで生卵を落とした名物スープ。ついでにヒツジ肉のステーキ。安い赤ワインをボトル1本とビール2~3杯は、もちろん不可欠である。
 食後のエスプレッソも、この2~3年の今井君の定番。むかしは「デザートは?」と尋ねられて「何もいらない」と答え、ウェイターの奇異の視線にさらされていたが、「では、エスプレッソを」と笑顔で呟くようになってからは、ウェイターさんたちともすっかり仲良しである。
食後酒とエスプレッソ
(サービスの食後酒と、エスプレッソ)

 「店のサービスです」と言って、食後の強烈なお酒を1杯もってきてくれた。スゴく甘くて口が痺れるほどだが、その甘さの陰に強烈なアルコールが隠れていて、日本の酒豪・今井君にはまさにもってこいの食後酒である。何という名前の酒だったか忘れてしまったのが、返す返すも残念でならない。

1E(Cd) Argerich:SCHUMANN/KINDERSZERNEN
2E(Cd) Zagrosek & DSO Berlin:F.SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN
3E(Cd) Zagrosek & DSO Berlin:F.SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN
4E(Cd) Zagrosek & DSO Berlin:F.SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN
5E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES②
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