Fri 120302 サンティアゴへの予行演習 4つの星から放射状の旅(サンティアゴ巡礼記1) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 120302 サンティアゴへの予行演習 4つの星から放射状の旅(サンティアゴ巡礼記1)

 2011年12月、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼を思い立った。サンティアゴは、ローマ・エルサレムと並ぶキリスト教の3大聖地であって、最盛期には年間50万人ものヒトが巡礼に訪れたという。
 もちろん今回のクマどんの巡礼は、ニセの巡礼にすぎない。ホントに本格的なサンティアゴ巡礼をしようというなら、たった2週間のスペイン旅行では不可能である。1日30kmずつ踏破しても1ヶ月以上かかる過酷な道のりであって、チョイ旅行には不似合いな心の準備も必要だ。
 サンティアゴ・デ・コンポステラへのホンモノの巡礼は、ピレネー山脈の西端、フランスとスペインの国境の町からスタートする。右に大西洋のビスケー湾が見え隠れする厳しい山道を、ひたすら西に向かって1ヶ月歩き通すと、ついにサンティアゴの町と大聖堂がはるかに姿を現す。昔は山賊も横行した道だ。
おやまたですか
(おや、またヨーロッパですか?)

 考えてみるだけでワクワクするじゃないか。サンティアゴとは、英語で言えばセント・イアーゴであって、キリスト教の世界では「聖ヤコブ」。コンポステラは、コンポ「野」とステラ「星」の合成語であって、「聖ヤコブの墓がある、星がいっぱいの野原」。ヨーロッパ大好きの今井君がいかにも好きそうな町であり、旅である。
 そんなワクワクするような旅を、カンタンに実現してしまいたくない。少なくとも60歳すぎて俗世間からの卒業が近づくまで年齢まで、引き出しの底に大切にしまっておきたい。「いつか実現できたらいいな」という、夢の旅に留めておいたほうがよさそうだと思うのだ。
 夢とは、大きなアメ玉みたいに大事に大事にしゃぶるものであって、せっかちにガリガリ噛んで飲み込んでしまったら、むしろ喪失感のほうが大きくなる。今井君の60歳までは、まだ数百年かかるから、マコトにありがたいことにその実現は、ホントに遠い将来のことである。
よくあきませんね
(よく飽きませんね)

 したがって今回は、あくまで数百年後に向けた予行演習の旅である。本来ならサンティアゴの町には、巡礼の杖をつき巡礼の印のホタテ貝を腰につけて、疲労しきった足を引きずりながら徒歩でたどり着くべきだ。
 しかし予行演習の今回はマドリードから空を飛んで、悠々と余裕の笑顔で入っていく。巡礼の象徴のホタテ貝も、タパス屋の焼ホタテのカラで済ますことにした。ただし、何しろサンティアゴ到着は12月24日。クリスマスのサンティアゴで、滅多にみられない「揺れるボタフメイロ」を目撃することになる。予行演習のクセに、こんなにゼイタクな旅も珍しい。
焼きホタテ
(巡礼予行の友、タパス屋の焼きホタテ)

 ニセ巡礼の旅の記録に、何故あえて「サンティアゴ巡礼記」のタイトルをつけるのか。その釈明は以下の通りである。 
 この4年、イベリア半島をタップリ、クマのくせに「クマなく」旅してきた♡ イベリア半島を4年で4回訪れ、滞在は4回×15日=60日に及ぶ。その60日で訪れたイベリアの町は、総計24。詳細は以下の通りである。
2008年11月:マドリード セゴビア コルドバ コンスエグラ
       セビージャ トレド
2010年5月:リシュボア ポルト コインブラ エボラ
       シントラ カシュカイシュ
2010年9月:バルセロナ タラゴーナ フィゲラス
       パルマ・デ・マジョルカ バルデモサ
       ジローナ バレンシア モンセラート
2012年12月:再びマドリード アランフエス グラナダ
       サラマンカ 

 とすれば、そろそろ「中間のまとめ」をしておいたほうがいいのではないか。本格的サンティアゴ巡礼なら約30日、約30の山間の町を歩く。クマ蔵のニセ巡礼は、60日、25の街を訪ねる。旅に費やす時間も、訪ねる街の数も、本格的巡礼に決して劣るものではない。
私はボールと
(私はボール君と居眠りして待ってます)

 ハッキリ違う点が2つあって、1つは旅する者の信仰心。もう1つは移動の形式である。信仰心や宗教心が違うのは、そりゃやむを得ないので、中世ルネサンスの敬虔なキリスト教徒レベルを、日本の中年グマに求めるのは余りに酷である。
 チャンとした巡礼のヒトにだって観光客気分は十分に混じり込んでいるはずで、ガイドブックで「サンティアゴ巡礼のススメ」みたいなページを眺めると「一味違ったスペイン旅行の思い出が出来るはずだ」などとヌカしている。宗教色ヌキでも、十分に本格的巡礼は可能なのだ。
美白
(美白しながら、寝て待ってます)

 クマのニセ巡礼でホンモノと違う第2点は、「直線的の旅か、放射状の旅か」という問題である。ホンモノのほうは、ピレネーの西の麓からひたすら西に向かう直線的な旅。信仰心とは、神やホトケに向かって迷いなく直線的に進むものであって、旅の仕方も最短距離を求める直線状になって当然だ。
 ところがクマのニセ巡礼は、放射状の旅を4つ重ねることになる。2008年は、マドリードを起点に、トレド/セゴビア/セビージャ/コルドバ/コンスエグラへと放射状の小旅行を繰り返した。マドリードを1つの星と見なせば、小旅行は明るく輝く星からいくつもの光線が放射しているイメージである。
 2010年5月にはリシュボアから、9月にはバルセロナから、同じことを繰り返した。2012年12月、再びマドリードを起点に、放射状の小旅行を行う。目的地は、サラマンカ、グラナダ、アランフエス、そして締めくくりがサンティアゴ・デ・コンポステラとなるわけである。
目的地
(目的地・サンティアゴの大聖堂前で自分撮りする)

 しかし諸君、輝く4つの星からたくさんの光が放射状に伸びている情景は、いかにも美しい絵のようではないか。「コンポステラ=星の野」そのものと言っていい。「ニセの巡礼」と少し卑屈な自己紹介はしたが、ホンモノのサンティアゴ巡礼の予行演習としては、十分にやりごたえのある巡礼の旅となった。
 以上、サンティアゴ巡礼記の前置きである。昨日も書いた通り、今日から記事を短く簡潔にまとめる。文体も少し素っ気なくなるが、しばらくこの素っ気ないスタイルを試行させてくれたまえ。

1E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 3/3
2E(Cd) Harnoncourt:BACH/WEIHNACHTSORATORIUM 1/2
3E(Cd) Harnoncourt:BACH/WEIHNACHTSORATORIUM 2/2
4E(Cd) Eduardo Egüez:THE LUTE MUSIC OF J.S.BACH vol.1
5E(Cd) CHOPIN FAVORITE PIANO PIECES
total m10 y349 d8244