Sat 120225 クマのリニューアル計画 大英博物館とブルームズベリ(ロンドン滞在記17) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 120225 クマのリニューアル計画 大英博物館とブルームズベリ(ロンドン滞在記17)

 タイトルもトップページのデザインも、ネコたちの写真も新しくして、ブログをリニューアルする計画について昨日書いたけれども、リニューアルという話になれば、今井君自身のあり方についてもリニューアルが必要になってきているように感じる。
 この2ヶ月の祝勝会の連続で、少々太りすぎたようである。そりゃそうだ。毎日毎晩ご馳走が並び、目の前に日本酒が林立する。聞けば、日本酒というのは一合徳利1本につきゴハン茶碗2杯分、カロリーがタップリ詰まっているらしい。
 特に3月中旬の1週間あまり、その「ゴハン茶碗2杯分」を連日×10飲み続けた。×10とは、要するに10合=1升である。こりゃ、たまらない。
キングスクロス1
(キングズクロス駅付近で 1)

 知らぬ間に目の前に徳利が5本立ち並び、「あああ、今夜も5本飲んじゃった。5合は飲み過ぎだな」と思って確認すると、「先生、それは全部2合徳利ですよ」と呆れられる。今井君自身ビックリして店のヒトに確認すると「はい、確かに2合徳利でございます」と、向こうもまた苦笑いを返してくる。
 つまり今井クマ蔵は約1週間にわたって、ゴハン茶碗2杯分×10=20杯分のカロリーを摂取し続けたわけだ。日本中の栄養士さんが残らず腰を抜かすような食生活を続けて、それで太らずにいられるワケがない。
キングスクロス2
(キングズクロス駅付近で 2)

 何よりイケナイのは、「それだけ飲んでもちっとも酔わない」ということである。1升を2時間で飲んで酔わないはずはないが、ホントにちっとも酔っていない。「ご機嫌が良くなる程度」がせいぜいで、酔って前後不覚になるとか、千鳥足になるとか、イヤらしくカラむカラミ酒だの、泣き上戸だの、そういうこともない。
 「どうやって帰ったのか記憶にない」という経験もこの10年は全くなくて、ホテルや自宅まで帰った経路の詳細な記憶については、一緒に祝勝会に参加し「クルマですから」とウーロン茶しか飲まなかったヒトの記憶よりも、遥かにハッキリしている。
図書館
(British Library)

 酔わないから、すすめられる。すすめてもすすめても、ちっとも断らないしちっとも様子が変わらないから、ますますすすめたくなる。すすめられれば気持ちいいから、どんどんピッチが上がって、周囲のヒトビトもそのピッチの快さに驚き呆れ、またまたすすめずにいられなくなる。速いほうが快いのは当たり前で、だからこそ快速電車というものが存在する。
 こうして、快速・今井クマ号は、太るほうも快速になっていく。「酒が翌日まで残っている」という二日酔い現象とも、快速グマはほぼ無縁。快速グマは1日ゴハン茶碗20杯ぶんのカロリーを摂取して、快速カロリー号に成り果てる。
ディケンズの家
(ブルームズベリ、ディケンズの家)

 しかし気がつけばもうすぐ4月である。春になれば新学期が始まり、新学期が始まれば桜が咲き乱れてたいへんおめでたい。「世の中に絶えて桜がなかりせば、春の心はのどけからまし」ではあるだろうが、春も桜も新入生も大いにおめでたい。
 しかしタップリ太った状態で春を迎えることになった快速・今井号にとっては、新入生と満開の桜はリニューアルの号砲になる。春になれば、スタジオでの授業収録が始まる。長く使用する収録授業に、カロリータップリのデップリグマになって登場するのは、いかにも見苦しい。
 タダでさえ、収録画面は横長に見えるのだ。講演会でナマの今井君を見て、「ホンモノだ!!」「ホンモノだ!!」とひとしきり大騒ぎになったあと、「今井先生って、ホンモノはケッコ細いんですね」「もっと太ってると思ってました」「けっこ、スリム」なんですね」という慨嘆が渦を巻くほどである。
電話ボックス
(いかにもロンドンな電話ボックス)

 すると、快速カロリー号のままで2012年の収録を始めてしまった場合、画面上の今井君は相当デップリ太って見えることになってしまう。うにゃにゃ、その事態は何としても避けなければならない。ここはリニューアルが是非とも必要だ。
 こうして、快速・今井号の快速&韋駄天ぶりは、方向性を完全に逆転させてダイエット快速に変身になければならない。諸君、3月30日まではある事情で変身不可能なので、3月31日から4月10日まで、禁酒を含むダイエットに全力を注ぐことにする。うぉ、禁酒。2010年11月、網膜剥離の手術のために1週間入院して以来、ホントに久しぶりの禁酒である。
ブルームズベリ
(いかにもロンドンな、ブルームズベリのタウンハウス群)

 さて、12月23日のロンドンであるが、今井君はブルームズベリを探検しに出かけた。キングズクロス駅の南側、大英博物館のあるあたりである。
 と言っても、別に大英博物館を見に行ったのではない。いつも言っている通り、今井君は欧米の巨大美術館は大キライ。1週間かけても見て回れないほど大量の美術品を収蔵して「どうだ、スゴいだろ」と威張ってみせるのは単なる悪趣味であり、侘びと寂びを好む平安のヒトなら「成金趣味」と一笑に付したはずである。
 理想の美術館は、「2時間でじっくり眺められる」である。2時間以上も立ったままでは、楽しく美を感じることは出来ない。作者と作品に対しても失礼であって、少なくとも画家本人は「2時間以上も立ちんぼでイライラした精神のヒトビトが、ムカつきながら通り過ぎていく」という鑑賞のあり方は望まなかったはずだ。
 コドモたちがわめきながら走り過ぎ、中高生が先生の説明にアクビを繰り返し、オトナたちは食事と酒のことしか考えていない。入場券を購入するのにさえ、30分も1時間も長蛇の列に並ばなければならない。そういう騒然とした巨大美術館の中に1世紀も2世紀も並べられるために、画家たちは絵を描いたのではない。
パブ
(目星をつけた地元パブRocket)

 美術館の適正規模は、「2時間で回れる」「出口から1歩踏み出したときに、『ああ、ちょっと疲れた。エスプレッソでも飲むかな』と思わず呟いてしまう」という大きさだと思う。松濤美術館、上野の国立西洋美術館常設展、ブリヂストン美術館常設展、今井君の好みはそのあたりである。
 だからルーブルもオルセーもプラドも「話のために1回だけ」ならいいが、「パリを訪れたら必ず」「プラドを見るためにマドリードへ」などというのはゴメンである。12月23日に大英博物館付近をウロウロしたのは、どうやら強迫観念に負けてしまったに過ぎない。「何で行かなかったの?」と皆に驚かれるのがイヤだっただけである。
パブ内部
(パブRocket内部)

 さらに深く自己分析すれば、「わざわざ12月23日を選んだ」あたりが、実はたいへん怪しいのであって、「23日だったら、うまくいけばお休みかもしれない」と無意識のうちに考えていたフシがある。
 そして案の定、大英博物館の鉄の門は無情にも固く閉ざされており、「ゲロ、せっかくここまできたのに休みとは。ツイてないな」と心で呟きながら、しかしクマの口はハッキリと耳まで裂け、ニカーッと笑ったその表情は、大好物を発見した真夜中のニャゴロワとソックリだったはずだ。
大英博物館
(休館日だった大英博物館)

 「そういうことなら24日とか25日、クリスマス当日に訪れたほうがいいはずじゃないか」と指摘する諸君。諸君はまだ考えが浅いのだ。そんな日に休みなのは当たり前。「開いてるかな、と思って行ってみたけど、残念ながら閉まってた。23日ならやってると思ったのにな」と他人に苦笑してみせるには、23日以外のタイミングはなかったのだ。
ダブルデッカー1
(ダブルデッカーの2階を満喫する)

 シメシメ、良かった良かった、閉まってた。閉まってたからこそ、ブルームズベリの雰囲気のいいタウンハウス街を、タップリ散策することができた。犬を連れて散歩するおじいちゃん。おじいちゃんを笑顔でせき立てながらショッピングに急ぐおばあちゃん。上品な中年カップル。行き交うヒトビトの雰囲気が、いかにもロンドンらしい。
 恐る恐る入ってみた地元パブは、予想どおりジモティ専用。「何で、日本人観光客がこんな店に!?」という迷惑そうな&物珍しげな視線に辟易して、ビール2杯飲んだだけで退散した。
ダブルデッカー2
(ダブルデッカー2階からクリスマスのロンドンの雑踏を望む)

 外に出ると、すでに3時を過ぎたロンドンは夕暮れである。ちょうどそこにやってきたダブルデッカーに乗り込んで、2階の最前列に陣取った。諸君、いい年をした日本の中年グマが、2階建てバスを乗り回してクリスマスのロンドンを満喫する。おお、これこそ「風吹かば倒る」という発想の真髄なのである。

1E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES③
2E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES④
3E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES⑤
4E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES⑥
5E(Cd) CHOPIN FAVORITE PIANO PIECES
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