Tue 120221 仙台の一夜 熊谷で7回目の講演会 合計4722名が出席の春を締めくくる | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 120221 仙台の一夜 熊谷で7回目の講演会 合計4722名が出席の春を締めくくる

 3月22日、白石蔵王から最終1本前の新幹線で仙台に戻った。23時を過ぎても、ウェスティン仙台の従業員はまだ「ひそひそ」な感じで、お互いの耳打ちや囁きを継続していらっしゃる。
 マコトにご苦労なことだが、宿泊客の印象はその熱心さに反比例して悪くなる。昨日も書いたことだが、客はホテルにくつろぎを求めて宿泊している。何をそんなに警戒しているんだが知らないが、もっと鷹揚にかまえてゆったり対応すべきなんじゃないか。油断もスキもない視線の応酬は、税務署や警察のヒトビトに任せておけばいい。
 白石蔵王のしっとりした祝勝会に参加してきたばかりではあったが、さすがにたった40分では飲みたりないし食べたりないから、深夜の仙台にブラリと出てみることにした。ホテル従業員の厳しい視線と囁きの中、何だか肩身の狭い思いで、まだ賑やかな仙台駅前に出た。
熊谷1
(3月23日、熊谷で講演会 1)

 今井君は昔から地味な性格で、「いかにも豪遊っぽい豪遊」は出来ないタチである。「夜の仙台にぶらり」などと言えば、「なるほど、そういうことか」という誤解を受けがちだろうし、「社長、社長、面白い店ありますよ」みたいな声だってかかる。
 ムキになって否定する必要はないが、今井君はその類いに一切興味がない。完全にゼロ、むしろマイナスと言ったほうがいい。おそらく一生縁がないので、できれば永遠に敬して遠ざけておきたい。「そういう世界もあるそうだね」で済ませられるなら、それがベストである。
 この夜の今井君が選んだのは、仙台駅前「坐・和民」である。あまり親しくない同年輩の知人にこんなことを言うと、「はぁ? 今井さんって、オカネたくさん稼いでるじゃないんですか」と不思議そうに首を傾げたりする。いやはや、中年を過ぎても、ヒトとの付き合いは難しい。
 仕方ないじゃないか。確かにいくらかオカネは稼いでるけど、ボクは夜の街の「面白い店」などというものに、ホントにホントに一切の関心がないのだ。清廉潔白ぶるわけではないが、「坐・和民」みたいな店にダラしなく座り込んで、安い酒に安い料理でいつまでもダラしなく過ごすのが好きなのだ。
熊谷2
(3月23日、熊谷で講演会 2)

 入店が23時過ぎ。店の出入り口が異様に混雑していると思ったら、仙台ではちょうどこの時間帯が終電の時間。東北線や仙山線や市営地下鉄や、とにかく「電車で帰らなきゃ」というマトモなヒトが、こぞってお会計を済ませて家路を急ぐ時間帯であった。
 卒業式や謝恩会の季節だから、ますますそういう若者が多い。「このまま、朝まで」という元気なヒトもいるにはいるだろうが、無理するのは禁物。やっと大学を卒業し、厳しいシューカツ戦線を勝ち抜いてついに社会人になる直前、こんなところで急性アルコール中毒で命を落とすような愚をおかすことはない。
 深酒は、とかく悲劇のもとである。2年も3年もの浪人の末やっと医学部に合格したのに、入学後のパーティーでそんなことになったら泣いても泣ききれない。3月から4月にかけて、無理している若者を見るたびに、クマ蔵はむしろ温かい視線を向ける。
「さ、もう十分飲んだんだから、そろそろ帰りたまえ」
「酒なら、また明日でも飲めるだろ」
「キミたちはチャンと電車で帰りたまえ。タクシーなんか、30歳過ぎるまでは早すぎる」
である。ついこの間までは、飲みすぎて乱れている若者たちにはもっとキツい視線を向けていた。クマどんもすっかり年をとったのである。
熊谷3
(3月23日、熊谷で講演会 3)

 そういう時間帯に入店したから、店に残ったお客さんは多くが中年オジサマ集団である。お隣のテーブルも、そのまたお隣のテーブルも、話し声はすこぶる穏やか。しっとりと話す声を聞くうちに、ふと夢の中にいるように手許が曖昧になる。
 内田百閒「冥途」の冒頭がそうである。長く暗い土手の道を歩いて入った「一膳めし屋」で、隣の客の話に耳を傾け、向こう側の客と目が合ううちに、話し声がうつろに滲み、店の灯りも薄暗く滲み、手許が曖昧になっていく。
 もっとも、クマ蔵君はそんなに文学的な人間ではないから、うつろな話し声を遮るように、バターコーンにヤキソバに串焼きの類いを注文した。手許が曖昧にならないように、テーブルの上にあったラー油を大量にヤキソバに絡め、口も喉も食道もホッホするほど辛くして啜り込んだ。おお、胃袋の形がレントゲンで写したほど明確に分かる、激しい辛さである。
 ホテルに帰ったのは午前2時近くであるが、ウェスティン仙台の従業員たちはまだ厳しい監視の最中だった。マコトにご苦労なことである。
熊谷4
(3月23日、熊谷で講演会 4)

 翌日は埼玉県熊谷で講演会。仙台から大宮まで東北新幹線で南下。大宮で上越新幹線に乗り換えて、V字型の大移動を敢行した。大移動に備え、仙台「利久」で牛タン定食を満喫。「利久」はウェスティンホテル裏の支店であったが、1600円の一番高い定食に、辛味大根のシラスおろしまでつけて、たいへん豪華な昼食にした。
 熊谷は雨。大した雨ではないから、この春の締めくくりの講演会に影響を与える恐れはない。18時10分開始、19時40分終了。熊谷には毎年春におジャマして、東進移籍以来7年で7回目の講演会になる。スタッフの皆さんとも、代表や副代表とも、すっかり顔なじみである。
熊谷5
(3月23日、熊谷で講演会 5)

 こうなると、クマどんにも何だか「勝手知ったる」という安定感があって、その盛り上がりは最高潮に達した。大相撲で言えば、春場所千秋楽・優勝決定戦というところ。ポスターには「80名で締切」とあるが、実際の出席者160名。どのぐらいのパンパンだったか、この数字だけで分かるというものだ。
 何度もおジャマしている加盟校が好調に規模拡大を続けているのもうれしい。7年前の熊谷周辺校舎は、深谷・寄居・松山ぐらいだったが、いまや前橋・高崎・上田にも校舎を展開。近く熊谷駅の目の前にも新校舎がオープンとのことだ。こういう好調ぶりを聞くと、毎年おジャマしている講師としても、何だか鼻が高くなる。
熊谷6
(熊谷でも、花束をもらう)

 祝勝会も楽しかった。顔なじみのスタッフがほぼ全員出席し、乾杯の音頭として「2012年春・今井先生28回分の祝勝会の総まとめ」である旨も宣言していただいた。なるほど、春の総まとめか、そりゃ気づかなかった。今年の春は終盤にかけて肉体的に少し息切れの感があったが、その分かえって感慨も深い。
 祝勝会続きですっかり太ってしまった今井君は、この日は日本酒を断念した。赤ワインのボトル1本をあてがってもらって、2時間で1本のペース。すっかり宴が乱れたところで、12時、常識的な時間で無事散会となった。
大網白里
(千葉・大網白里から、講演会の記憶をまとめた小冊子が届いた)

 ブログを非常に丹念に読んでくれているヒトがいて、「2月3月の講演会に出席したヒトの総数」の計算してくれた。その数、一昨日の静岡までで4402名。昨日の白石と今日の熊谷、各160名をプラスすると、最終的に4722名。2ヶ月で5000名に迫るほどのヒトたちと直接出会ったわけである。
 そのほとんどが来年の受験生であるが、保護者、卒業生、新高2生、高校入試が終わったばかりの新高1生の出席も多かった。全ての皆さんがこれから素晴らしい1年を送ってくれることを祈って、春の講演会記録を締めくくることにする。

1E(Cd) Corboz & Lausanne:MONTEVERDI/ORFEO 2/2
2E(Cd) Festival International de Sofia:PROKOFIEV/IVAN LE TERRIBLE
3E(Cd) Schüchter:ROSSINI/DER BARBIER VON SEVILLA
4E(Cd) Cohen:L’HOMME ARMÉ
5E(Cd) Vellard:DUFAY/MISSA ECCE ANCILLA DOMINI
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