Tue 120207 3月6日、小田原で講演会 久しぶりでチャンと要点を書いてみる | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 120207 3月6日、小田原で講演会 久しぶりでチャンと要点を書いてみる

 現在5泊6日で、大阪から長崎へと講演旅行中である。さすがに時間がないので、今日は短く記事をまとめたい。というか、時間があろうがなかろうが、最近またまた記事がどんどん長くなって、忙しい読者の皆様にすっかり迷惑をかけている。要点をズバリと書いて、さっさと切り上げる努力を心がけたほうがいい。
 ただし問題なのは「要点をズバリと」も何も、今井君の生き方には要点というものがないのだ。サトイモがないのに「サトイモの煮っころがしが食べたい」と駄々をこねるのは、そりゃ無理と言うもの。要点のない旅や要点のない日々の記録を読んで、「要点は何なんだ?」「さっさと要点を述べたまえ」と要求するのは、ただの駄々っ子である。
 しかも「さっさと要点を書いて仕事に出かけなきゃ」と焦るクマ蔵をせせら笑うように、我が友Mac君が脇から混ぜっ返してくる。面白い冗談を書いているつもりで「イモの煮っころがし」を例に出した途端、それを「鋳物ニッコロ菓子」と変換されたんじゃ、Mac君に対する今井君の競争心は火と燃え、闘争心を抑えることは困難を極めるのである。
ホテルクマ
(ホテルぐま 鏡に映して自分撮りを試みる。手にしているのが愛用のカメラ)

 諸君、例えば昨日の記事である。読みながら腹を立てない人が、果たしてこの世の中に存在するだろうか。忙しい日本人はとにかく要点を求め、「いったいイングランドのクマはいつ、どこで、何を、なぜ、どんなふうにしたのか」を読み取ろうと努めるはずだ。少なくとも小学校や中学校で教わる読解の方法はそれだ。
 予備校の現代文テキストや参考書にも「奇跡の読解テクニック」とか「驚異の読解必須アイテム」とか「超速!!これでキミは読解王」とか、その種の神業が満載されているけれども、ほぼ例外なく「まず5W1Hを読み取ろう♡」的、きわめて真っ当な方法をちょっとイカレタ口語体で説明したものにすぎない。「さあ、いいかい? 読解で大切なのは、筆者が何を言いたいのか、それを把握することなんだ。わかるよね?」である。
 そうやってマジメに正統派の読解を学んできた諸君、メシを食べる時間もないほど忙しい諸君が、メシも食べず睡眠時間も削りながら今井ブログを読んでくれる。するとそこには、そもそも要点というものが存在しないし、「筆者が言いたいこと」も何も、「言いたいこと」などという押し付けがましいものなんか一つもないのだ。
小田原1
(小田原での講演会 1)

 「物を書くヒトには、何か言いたいことがあるはずだ」という前提で生きているなら、その前提を疑ってみるべきだと思う。「歌を歌う人には、訴えかけたいことがある」「料理する人は、料理を通じて主張したいことがある」「旅する人には、旅の目的があるはず」とマジメに信じ込んでいるのでは、あまりにナイーブである。
 無目的の読書、無目的の高歌放吟、無目的の旅や放浪。そういうものを一切認めないで、いちいち「いったい何が言いたいんだ!?」と怒り狂っているのは、あまり趣味がいいとは言えない。
月の黒うさぎ
(小田原 黒いうさぎ)

 おまんじゅうやおせんべいにいちいち目的や要点を求めるのは、人生を焦り過ぎ。おまんじゅうはフカフカあったかくて、中のアンコが程よく甘ければそれでいい。おせんべいはパリパリ塩辛ければ、それ以上を求めない。「どう旨いか」「他とどう違うか」の説明なんか余計なお世話であって、むしろ味に自信がない証拠であることが多い。
 同じように文章だって、「何かを伝えたい」「伝えなきゃ」と気張って肩肘張るより、読みながら何だか分からないが顔がほころび、何を読んだか分からないけれども「とにかく面白かった」「楽しい10分が過ごせた」という味が捨てがたいのである。
小田原2
(小田原での講演会 2)

 さて、ボクチンは今日こそ要点を手短に書いて、サッサと仕事に出かけなければならないのであった。現在クマ蔵は長崎のホテルに滞在中。今日はこれから佐世保で講演会があり、あと1時間すると会社のヒトたちがホテルのロビーまで迎えに来てくれる予定だ。
 講演会は19時から20時半まで。その後は恒例の祝勝会があって、長崎のホテルに帰ってくるのは深夜、下手をすると日付がかわった後だ。早く記事をアップしないと、久しぶりに「更新なし」の1日が発生する。今井君はマジメなクマなので、更新なしなどというのは「歯を磨かなかった」「お風呂に入らなかった」と同じぐらいキモチが悪いのである。
月のうさぎ
(小田原 白いうさぎ)

 で、要点を書いておく。3月6日、神奈川県小田原で講演会。19時半開始、21時終了、会場は小田原駅前にある国際医療福祉大学の大教室。約130名もの出席者があって、会場は補助椅子も準備される大盛況であった。
 今井君は講演と呼んでいるが、正式名称「公開授業」なので、バカ話だけで終わるワケにはいかない。テキストには文法問題を約15問掲載してあって、授業だってチャンと行うのである。授業をキチンとこなすには、大きな黒板のある大学の教室は会場としてベストであって、60秒に1回の爆笑ペースはキチンと保ちながら、たいへん気持ちよく講演できた。
 終了後、中年のオジサマ4名で23時まで楽しい祝勝会。ついこの間の平塚での祝勝会とメンバーはほぼ同じであるが、とにかく大盛況&大成功の直後の祝勝会にまさる楽しみはない。つい遅くまで長居して、最終電車に乗り遅れそうになったけれども、「こんなに楽しいなら小田原に1泊するのも悪くなかったな」である。
花束
(最後に花束をもらう)

 小田原から代々木上原に帰る最終電車は、小田急線の急行である。小田原発23時05分、代々木上原着24時半。チャンと日付が変わっていて、おなじみ「ごぜんさま」というヤツになった。
 深夜の小田急線で、停車するたびに「これが新宿までの最終電車です」「お乗り遅れのないようにご注意ください」のアナウンスが聞こえる切迫感は、いやはや何とも懐かしい。大学生時代の今井君も、サラリーマン時代の今井君も、ほとんど毎晩この切迫感の中で生きていた。
 まるで人の命でもかかっているかのような、ほとんど絶叫に近いアナウンスがホームで繰り返され、最後に発車を告げる鋭い笛が曲線的クレッシェンドで吹き鳴らされ、ゆっくりとドアが閉まる。
 電車が走り出すと、一気に車内から切迫感が消え、マバラな乗客は再び深い深い居眠りに戻っていく。向かいのホームの下り電車が超満員なのを眺めながら、こんな時間に新宿行き上り電車で居眠りしている幸福の大きさを感じつつ、今井君もまた祝勝会の名残をかみしめながら居眠りの群れに加わるのであった。

1E(Cd) José James:BLACKMAGIC
2E(Cd) Radka Toneff/Steve Dobrogosz:FAIRYTALES
3E(Cd) Billy Wooten:THE WOODEN GLASS Recorded live
4E(Cd) Kenny Wheeler:GNU HIGH
5E(Cd) Jan Garbarek:IN PRAISE OF DREAMS
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