Thu 120109 さて、仕事だ 千葉県蘇我で優秀者限定の公開授業 笑え&笑え&笑え | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 120109 さて、仕事だ 千葉県蘇我で優秀者限定の公開授業 笑え&笑え&笑え

 バルセロナ滞在記も書き終えて、さて、そろそろ仕事である。1月のクマ蔵は仕事もあんまりなくて、吉祥寺スタジオに出向いて収録したのは、1分半の受験生激励番組2本だけだった。
 今井君はあまりにも優秀だから♡、1分半の番組収録には1分半しかかからない。プロのタレントでさえも、失敗したり、口ごもったり、1分半と言われているのに3分も5分も喋っちゃって「最初から撮り直し」ということになったり、いろいろスッタモンダを繰り返し、結局1時間かかっていたりするが、今井君にはそういうことは一切ありえない。常に一発合格だ。
蘇我1
(2月6日、千葉県蘇我で講演会)

 諸君、スッタモンダとは、正確にどういうことかと言うと=「擦った♡揉んだ♡」である。品位と品性を保たなければならない予備校講師のブログとしては、これ以上その語源に立ち入ることは出来ないから、諸君自身で語源を探ってくれたまえ。
 もちろん、検索&クリック→クリックの連続で語源を探していっても、なかなか正確な語源を知ることはできない。「トランプのジャックは、クラブとダイヤは正面向きなのに、どうしてハートとスペードは横向きなの?」という疑問には答えてくれても、「擦った揉んだ」の正確な語源に至ることは、ニッポンという上品な社会ではなかなか困難なのだ。
 ま、教えてあげないから、頑張っていろいろ調べてみたまえ。下手をすると、そこから学部の卒業論文ぐらいはデッチ上げられるかもしれない。民俗学? 社会学? 文化人類学? 「擦った揉んだ」の同義語や類義語を世界中から収集して、「ははあ、そういうことか!!」と納得できる論文が書ければ、キミはアッパレ山口昌男の後継者だ。
蘇我2
(今年初めての講演会。強い雨だったが、満員御礼だった)

 もっとも最近では、文化人類学にもかつての勢いがない。昔は「今を時めく」と形容された山口昌男だって、下手をすればヤマグチマサオ/Who?ということになりかねない。
 今や大学院に残るのにも、「役に立たない分野はイヤ」という人が多くて、直接カネにならない分野を研究する奇特な人は少ない。「スッタモンダについて、今さら世界中から類義語を集めて比較分析するなんて、何の役に立つんだ?」である。
 「役に立つかどうかは、別の人が後から考える」というのが学問の世界のルールと言ってよくて、それは微分積分でも天文学でも全く同じことだったはず。それなのに、いったん不況とデフレスパイラルに落ち込むと、国中が貧すれば鈍する。「極める人」と「何の役に立つか考える人」とが混同されるのだ。
わかしお1
(蘇我までは京葉線でもいいが、クマ蔵は特急「わかしお」を利用した)

 ワラジを作る人と、そのワラジで旅する人。旨いメシを作る人と、旨いメシを食べる人。書いて肉体の奥底から快感を感じる人と、人の書いたものを読んで肉体の奥底が震える人。そういう役割分担は人類始まって以来連綿と続くものであって、粗忽な現代人が「双方向」の一言でブチコワシに出来るものではない。
 今井君は、あんまり役に立たないものを深く愛するのである。人形浄瑠璃。文化人類学。スッタモンダの語源探求。予備校講師のクセにエッセイスト気取りで書き続ける脱線だらけの旅行記。英語帝国主義の中でのスペイン語やイタリア語講座、ましてロシア語にアラビア語にチェコ語なんかは、まさに究極の贅沢である。
 そういう贅沢を諌めて「もったいない!!」などと肩をすくめるのは、視野が狭すぎるのだ。当面の役に立たないものこそ100年後や500年後の花形なのであって、スッタモンダが人類の歴史で果たしてきた地道な役割があるからこそ、人類は今の繁栄を築けたのだ。
わかしお2
(東京駅京葉線ホームの「わかしお」。「もったいない」と言うなかれ)

 あれま、今日の記事でこんなことを書く予定ではなかった。ただ単に「今井君は余りにも優秀だから、1分半の番組を収録するのには1分半しかかからない」→「したがって、1月の労働時間は1分半×2=3分であった」→「給与明細を見たとき、3分に対する給与に慌てふためいた」。つまり「1秒でいくら?」と計算すると「おやおや、たいへんだ♨」なのである。
 しかしまあ、仕方ないといえば仕方ないのだ。「1分半」と言われて、その1分半で「これ以上は考えられない」という最高の激励が出来れば、それをそれ以上どうすることも出来ない。意地でもヘリクダって「まだまだダメです」と撮り直しを要求するのは、要するに迷惑な人間である。
蘇我3
(千葉県蘇我、「優秀者限定」の公開授業)

 そういう話は、収録授業ばかりではなくて公開授業や講演会にも通ずる。2月6日、千葉県蘇我で講演会。19時開始、20時半終了、出席者80名強。欠席者も遅刻者も殆どなく、私語も完全にシャットアウト。たいへん気持ちのいい公開授業だった。
 「あれれ、今井先生にしては出席者が少ないですね」と言うなかれ。今回の会場は「泣く子も黙る」かどうか分からないが、千葉県立千葉高校の生徒を中心にした「東大志望など優秀者限定」で「100%授業オンリー」の公開授業。したがって、会場も80名で完全に満席。それ以上の人数を詰め込むことが、最初から不可能な会場であった。
 「泣く子も黙る」と入力して「泣く薦田丸」と変換してくるmac君の才能にも感動するけれども、千葉県蘇我の生徒諸君も、なかなか講師を感動させる諸君であった。「100%授業オンリー」という表現でどんな授業を期待するかはその人次第であるが、いやはや、みんなよく笑ってくれた。
蘇我4
(蘇我公開授業。楽しかった)

 スンバラスイ授業を受けた人間は、ひたすら笑うしかないのである。「今まで自分は何とアホだったんだ」とビックリすれば、人はただ笑うしかない。「今まで何とバカバカしい授業を受けていたんだ」と気づけば、爆笑する以外の反応は考えられない。
 それより何より、前置詞のことでも冠詞のことでも、「何だ、そんなにカンタンな話なのか!!」とわかって、それで頬の筋肉が笑いに緩まなかったら、大した授業ではない証拠なのである。「ガリ勉クラブ」や「東大&医学部ステージ」の諸君も、今井君のマジメな授業で思うぞんぶん笑いこけていた。
 「東大を受験するから常にKUSO-MAJIME」「医学部志望だから年がら年中ムクレ顔」。そういうのは、人生に対する勘違い、人類についての誤解、世界観と宇宙観の歪曲か矮小化に過ぎない。我々は、ホモサピエンスであり、ホモルーデンスでもあって、笑う生物であり、進化するたびに笑い、笑うたびに進化する生物である。

1E(Cd) Yohichi Murata:SOLID BRASS Ⅱ
2E(Cd) CHET BAKER SINGS
3E(Cd) Art Pepper:SHOW TIME
4E(Cd) Maceo Parker:SOUTHERN EXPOSURE
5E(Cd) Max Roach:DRUMS UNLIMITED
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