Tue 111206 ははあ派 イベリア半島を救う 2週間の概要(バルセロナ滞在記2) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 111206 ははあ派 イベリア半島を救う 2週間の概要(バルセロナ滞在記2)

 「ガウディが好きでもないのにバルセロナに行く」「バルセロナに2週間滞在してガウディが好きになれるかどうか試してみる」と、自分の激しいアマノジャクぶりを吐露してみせても、それでもワケ知り顔で「ははあ」とうなずく人は少なくない。
「ははあ、アナタはダリ派なんですね」
「ははあ、じゃ、キミはミロを見に行くんですね」
「ははあ&ははあ」
みたいな感じで、日本には「ははあ派」というか、「何でもいいから美術館派」が多い。何とも知的で、恐れ入谷の鬼子母神である。
 確かに、要所要所にガウディの建築が配置され、地下鉄で10分、郊外に出てモンジュイックの丘に登ればミロ美術館がある。ちょっと治安が悪いのを我慢して近郊電車に2時間揺られ、フィゲラスの街まで行けばダリ美術館も楽しめる。
サグラダファミリア駅
(バルセロナ地下鉄、サグラダ・ファミリア駅)

 「街全体が美術館♡」「地域がみんな美術館♡」なのであって、「バルセロナに滞在します」→「ははあ♡」という反応は、当たり障りのない挨拶としては、まさにその通りなのである。しかし諸君、主人公は世界で1or2を競うアマノジャク=今井クマ蔵である。そうは問屋が卸さない。
 今回クマ蔵がバルセロナを目指したのは、あくまで「バランスをとる」が目当てなのである。今ここに1人の欧米人旅行者がいて「TOKYOニハ行キマシタガ、KYOTOニハ行キマセンデシタ」と告白したとする。キミの反応は間違いなく
「ああ、それは残念でしたね」
「日本を旅行するには、著しくバランスを欠いていましたね」
という苦笑いだろう。バランスを欠くのは、旅人として好ましいことではないのだ。
 同じように、「リオデジャネイロには行きましたが、サンパウロは見てません」「ミュンヘンは楽しかったですが、ベルリンにもドレスデンにも行ってません」「最高だったな、ローマとフィレンツェ。でもヴェネツィアには立ち寄れなかった」などは、全てバランスを欠いた旅人であって、一生の後悔のモトになりかねない。
地下鉄1
(バルセロナ地下鉄。スッキリしたデザインが美しい)

 クマ蔵は、すでに2008年秋にマドリード滞在、2010年春にリスボン滞在を経験している。言わば、イベリア半島の真ん中と西の端っこにドッカと重たい文鎮を置いて、東の地中海側をないがしろにしているのだ。
 いま、大きな水槽の上にイベリア半島の形のボール紙を浮かべ、その真ん中と西の端とに重い分銅を置いたと想像してみたまえ。ボール紙は甚だしくバランスを失い、キミが作ったボール紙のイベリア半島はあっという間に水の中に没してしまわないだろうか。いや、そのイベリア半島に引きずられて、ヨーロッパ全体が危機にさらされる。欧州財政危機の本質とは、そのようなことかもしれない。
 2010年夏の今井君を襲ったのは、以上のような不安定感である。イベリア半島のバルセロナ付近に、可及的速やかに2週間分の重石なり分銅なりを置いて、バランスをとりたい。今井君のミッションは、半島の水没を身をもって防ぐことなのである。
地下鉄2
(バルセロナ地下鉄。治安情報は多いが、とても快適である)

 以上、「ははあ、ガウディですね?」「ははあ、ミロとダリですか?」というワケ知り顔の人々に、「クマ蔵は、その種の日本人的&美術館的知性に動かされて行動しているのではありません」と分かってもらうための、苦しい言い訳である。
 これからバルセロナで、ありとあらゆるバカげた行動をとる。この有名な美食の都で、来る日も来る日もドンブリ入りの硬いハムをかじり、おかしな形の貝の肉を食み、日本人ワイン通が歯牙にもかけないロゼワインをガブ飲みし、知的日本人が入り浸るオペラ座「リセウ」を完全に無視して2週間を過ごす。
 おそらく、マジメな日本のオトナたちは「何てバカげたヤツなんだ」と呆れてしまうだろうけれども、何しろ単に「イベリア半島の水没を防ぐミッション」のためにだけ出かけたのだ。このクマ蔵のバカバカしい日々を、笑って許していただきたい。
地下鉄3
(地下鉄内で分厚い本に読みふける人が目立った。スペイン人には読書家が多いようだ)

 以下、まずバルセロナ2週間の行動の概要を示しておく。

9月3日 バルセロナ市街の概要を把握
9月4日 バルセロナ近郊 モンジュイックの丘 ミロ美術館
9月5日 バルセロナ市街 グエル公園 バルセロネータ
9月6日 バルセロナ市街 カサ・バトリョ カサ・ミラ
9月7日 モンセラート
9月8日 バルセロナ市街 市場 サグラダ・ファミリア
9月9日 バレンシア
9月10日 フィゲラス
9月11日 バルセロナ市街 もう1度サグラダ・ファミリア
9月12日 ジローナ
9月13日 マジョルカ島
9月14日 タラゴーナ
9月15日 バルセロナ 仕上げにもう1度サグラダ・ファミリア

 もちろん、こういうプランを事前に作って忠実に実行していったのではない。前日は深夜までレストランで酔っぱらい、昼近くになってノコノコ起きだして、アクビしながら「今日は何をしようかな」「今日はどこへ行こうかな」と考えながらの行動を積み重ねたら、いつの間にかこんなに充実した日々になっていた。旅でも、人生でも、実はこういうのが理想であって、行き当たりばったりだからこそ、旅の終わりに「楽しかった」「充実していた」と心からうなずけるのである。
ディエスヴィアヘス
(10回回数券ディエス・ヴィアヘス)

 さて、宿泊はランブラス通りに面したル・メリディアン。毎日使う地下鉄駅は徒歩3分の「リセウ」、または「カタルーニャ」。スペインでは圧倒的に頼りになるスーパーマーケット「コルテ・イングレス」もすぐ近くだ。
 リセウの駅で10回回数券「ディエス・ヴィアヘス」を購入して、いよいよ今井君はバルセロナの街に出る。治安危険情報♨山盛りで気にならないことはないが、まあとにかく、思い切って歩いてみることだ。

1E(Cd) Nanae Mimura:UNIVERSE
2E(Cd) Barenboim/Zukerman/Du Pré:BEETHOVEN/PIANOTRIOS⑦
3E(Cd) Hilary Hahn:BACH/PARTITAS Nos.2&3 SONATA No.3
4E(Cd) Joe Sample:RAINBOW SEEKER
5E(Cd) Patricia Barber:NIGHTCLUB
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