Mon 111121 アテネ食肉市場へ フリーハグ集団との遭遇(ギリシャ紀行31)
9月2日、朝シャンペンに若干酔っぱらい気味のクマ蔵は、「今日は市場を見に行こう」と思い立った。食肉や鮮魚を売りさばく市場は、どの街でも一番の活気に溢れる場所の一つ。築地ならメインはお魚だが、ヨーロッパなら何と言っても食肉市場の活気に浸りたい。
一昨年12月のブダペストでも、昨年9月のバルセロナでも、何だかちょっと寂しくなるとクマ蔵は市場に出かける。すると「何だ、この街はこんなに元気じゃないか」と、むしろこちらが励まされるのである。
ただし、その光景は「残酷ここに極まれり」というコトバのピッタリ当てはまる、血と肉と骨の入り乱れる世界。しかし今井君は幼い頃から秋田市民市場に頻繁に出入りして、その精神は強靭である。ちょっとやそっとの残酷物語でヘコたれるような、ヤワな人間ではない。
![市場1](https://stat.ameba.jp/user_images/20111220/07/imai-hiroshi/a9/f0/j/o0360027011682238619.jpg?caw=800)
(アテネ食肉市場の光景 1)
シンタグマから地下鉄で一駅、モナスティラキの駅で降りる。アテネの食肉&鮮魚市場は、ここから北の方角に徒歩15分ほどである。ただし、「モナスティラキから北に徒歩15分」は、それなりに危機感をもつ必要があって、その先には「治安情報の数知れず、危険情報まさに多種多様」のオモニア地区が横たわっている。
ガイドブックによれば「夜間はもちろん、昼間でも決して近寄ってはならない」「女性の一人歩きなんかもってのほか、男性でも極めて危険」なのである。「なら、どうしてその地区のど真ん中にユースホステルがあるんですか?」と尋ねたくなるが、こここそまさに「君子、危うきに近寄らず」と唱えながら、自ら律して君子たるべき地区である。
クマ君子も、たくさんの生徒が授業を受講している偉い先生であって、ガイドブック著者や外務省のお歴々がせっかく「近寄るな!!」と警告してくれた場所にノコノコ入り込んで、「パスポート奪われました」「首絞め強盗に遭いました」「有りガネみんなとられちゃいました」というわけにはいかない。そんなことじゃ川崎大師→西新井大師(→佐野厄よけ大師)と回った大師シリーズが泣くというものである。クマ大師は「オモニアに興味はあるが、実際の接近は極力我慢する」を行動指針とした。
![市場2](https://stat.ameba.jp/user_images/20111220/07/imai-hiroshi/f6/ee/j/o0360027011682239527.jpg?caw=800)
(アテネ食肉市場の光景 2)
モナスティラキの広場では、今日も灼熱の太陽のモト、大学生&高校生と思われる若者たちが大量に集まっている。こちらはデモではない。フリーハグ大集会である。「誰でもいいからハグしましょう」という、心温まる大集会だ。
「ハグ」が「剥ぐ」に変化すれば身の毛もよだつ恐怖に変わるが、彼ら彼女らの天真爛漫ぶりを見れば、フリーハグから「フリー剥ぐ」の落花狼藉に至る危険は少なそうであって、周囲の大人も笑顔で「まあ遠慮します」と早足でその場を立ち去るばかりである。
![フリーハグ](https://stat.ameba.jp/user_images/20111220/07/imai-hiroshi/65/82/j/o0360027011682239993.jpg?caw=800)
(フリー・ハグの若者たち)
このあたりで、タベルナの店主に声をかけられた。「あいてますよ、あいてますよ。入れますよ」と、満面の笑顔で誘いかけてくるのだ。店の雰囲気も、クマ蔵的にはちょうどいい。高級すぎず、ノンビリ一杯やっていくのには悪くない。
しかしクマ蔵は先を急ぐ身である。何しろ目的地は食肉&鮮魚市場。昼を過ぎれば張りつめた活気を失って、清少納言じゃなくても「昼になりぬれば、ゆるくぬるびもてゆきて…わろし」である。
わろし君は、早く市場に到着したい。店主には笑顔で軽く会釈して断った。すると、店主の口から驚くべき人種差別的暴言が飛び出した。軽く呟く程度だったから、ケンカを売るつもりはなかったのだろうが、ギリシャ語でなく英語で言ったのだから「相手をしっかり傷つけよう」という悪意だけはチャンとあったのだ。その暴言とは、
「あいてますよ。誰でもはいれます。日本人でも、中国人でも、○○でも△△でも、何でもOKです」
というのである。○○と△△は、ブログの格調を保つために伏せ字のママにしておくが、この種の人種差別的発言や行動は、ウィーンと、ポルトガルのエボラ以来、ホントに久しぶり。驚きを通り越して「なかなか正直じゃないか」とウキウキするほどであった。
![水道専門店](https://stat.ameba.jp/user_images/20111220/07/imai-hiroshi/c1/71/j/o0360027011682240375.jpg?caw=800)
(水道まわり用品専門店)
モナスティラキから市場までは、昔の秋葉原と合羽橋を一緒にしたみたいな専門店街である。ガラス容器の専門店あり、水道まわり部品の専門店あり、香辛料をキレイに並べた店もある。これもまた見ていて見飽きない。先を急ぐ身のわろし君でさえなければ、ここで1日費やしてもいいぐらいであった。
アテネの市民は、こんなふうにチャンと生活していた。テレビ画面にはシンタグマ広場前でデモ隊と警官隊が応酬する暴力的な場面しか映らないが、それこそ「わずか1%」なのである。他の99%の人々は早朝から職場に急ぎ、フリーハグに集い、時代錯誤なバカバカしい人種差別に酔い、専門店で商いを続けている。
深刻なヨーロッパ危機で、ヨーロッパ中がみんな眉間に皺を寄せ、地味で地道な生活を放棄し、デモやストライキに夢中になっているなどということは、決してないのだ。99%は、むしろそういう事態をこそ憂慮しているのである。
![香辛料専門店](https://stat.ameba.jp/user_images/20111220/07/imai-hiroshi/43/e2/j/o0270036011682240887.jpg?caw=800)
(香辛料専門店)
1E(Cd) Argerich:RAVMANINOV No.3 & TCHAIKOVSKY No. 1
2E(Cd) Jandó(p) Ligeti & Hungarius:MOZART/Complete Piano Concertos①
3E(Cd) Jandó(p) Ligeti & Hungarius:MOZART/Complete Piano Concertos②
4E(Cd) Dutoit & Montréal:RESPIGHI/LA BOUTIQUE FANTASTIQUE
5E(Cd) CHOPIN FAVORITE PIANO PIECES
total m105 y1591 d7548
一昨年12月のブダペストでも、昨年9月のバルセロナでも、何だかちょっと寂しくなるとクマ蔵は市場に出かける。すると「何だ、この街はこんなに元気じゃないか」と、むしろこちらが励まされるのである。
ただし、その光景は「残酷ここに極まれり」というコトバのピッタリ当てはまる、血と肉と骨の入り乱れる世界。しかし今井君は幼い頃から秋田市民市場に頻繁に出入りして、その精神は強靭である。ちょっとやそっとの残酷物語でヘコたれるような、ヤワな人間ではない。
![市場1](https://stat.ameba.jp/user_images/20111220/07/imai-hiroshi/a9/f0/j/o0360027011682238619.jpg?caw=800)
(アテネ食肉市場の光景 1)
シンタグマから地下鉄で一駅、モナスティラキの駅で降りる。アテネの食肉&鮮魚市場は、ここから北の方角に徒歩15分ほどである。ただし、「モナスティラキから北に徒歩15分」は、それなりに危機感をもつ必要があって、その先には「治安情報の数知れず、危険情報まさに多種多様」のオモニア地区が横たわっている。
ガイドブックによれば「夜間はもちろん、昼間でも決して近寄ってはならない」「女性の一人歩きなんかもってのほか、男性でも極めて危険」なのである。「なら、どうしてその地区のど真ん中にユースホステルがあるんですか?」と尋ねたくなるが、こここそまさに「君子、危うきに近寄らず」と唱えながら、自ら律して君子たるべき地区である。
クマ君子も、たくさんの生徒が授業を受講している偉い先生であって、ガイドブック著者や外務省のお歴々がせっかく「近寄るな!!」と警告してくれた場所にノコノコ入り込んで、「パスポート奪われました」「首絞め強盗に遭いました」「有りガネみんなとられちゃいました」というわけにはいかない。そんなことじゃ川崎大師→西新井大師(→佐野厄よけ大師)と回った大師シリーズが泣くというものである。クマ大師は「オモニアに興味はあるが、実際の接近は極力我慢する」を行動指針とした。
![市場2](https://stat.ameba.jp/user_images/20111220/07/imai-hiroshi/f6/ee/j/o0360027011682239527.jpg?caw=800)
(アテネ食肉市場の光景 2)
モナスティラキの広場では、今日も灼熱の太陽のモト、大学生&高校生と思われる若者たちが大量に集まっている。こちらはデモではない。フリーハグ大集会である。「誰でもいいからハグしましょう」という、心温まる大集会だ。
「ハグ」が「剥ぐ」に変化すれば身の毛もよだつ恐怖に変わるが、彼ら彼女らの天真爛漫ぶりを見れば、フリーハグから「フリー剥ぐ」の落花狼藉に至る危険は少なそうであって、周囲の大人も笑顔で「まあ遠慮します」と早足でその場を立ち去るばかりである。
![フリーハグ](https://stat.ameba.jp/user_images/20111220/07/imai-hiroshi/65/82/j/o0360027011682239993.jpg?caw=800)
(フリー・ハグの若者たち)
このあたりで、タベルナの店主に声をかけられた。「あいてますよ、あいてますよ。入れますよ」と、満面の笑顔で誘いかけてくるのだ。店の雰囲気も、クマ蔵的にはちょうどいい。高級すぎず、ノンビリ一杯やっていくのには悪くない。
しかしクマ蔵は先を急ぐ身である。何しろ目的地は食肉&鮮魚市場。昼を過ぎれば張りつめた活気を失って、清少納言じゃなくても「昼になりぬれば、ゆるくぬるびもてゆきて…わろし」である。
わろし君は、早く市場に到着したい。店主には笑顔で軽く会釈して断った。すると、店主の口から驚くべき人種差別的暴言が飛び出した。軽く呟く程度だったから、ケンカを売るつもりはなかったのだろうが、ギリシャ語でなく英語で言ったのだから「相手をしっかり傷つけよう」という悪意だけはチャンとあったのだ。その暴言とは、
「あいてますよ。誰でもはいれます。日本人でも、中国人でも、○○でも△△でも、何でもOKです」
というのである。○○と△△は、ブログの格調を保つために伏せ字のママにしておくが、この種の人種差別的発言や行動は、ウィーンと、ポルトガルのエボラ以来、ホントに久しぶり。驚きを通り越して「なかなか正直じゃないか」とウキウキするほどであった。
![水道専門店](https://stat.ameba.jp/user_images/20111220/07/imai-hiroshi/c1/71/j/o0360027011682240375.jpg?caw=800)
(水道まわり用品専門店)
モナスティラキから市場までは、昔の秋葉原と合羽橋を一緒にしたみたいな専門店街である。ガラス容器の専門店あり、水道まわり部品の専門店あり、香辛料をキレイに並べた店もある。これもまた見ていて見飽きない。先を急ぐ身のわろし君でさえなければ、ここで1日費やしてもいいぐらいであった。
アテネの市民は、こんなふうにチャンと生活していた。テレビ画面にはシンタグマ広場前でデモ隊と警官隊が応酬する暴力的な場面しか映らないが、それこそ「わずか1%」なのである。他の99%の人々は早朝から職場に急ぎ、フリーハグに集い、時代錯誤なバカバカしい人種差別に酔い、専門店で商いを続けている。
深刻なヨーロッパ危機で、ヨーロッパ中がみんな眉間に皺を寄せ、地味で地道な生活を放棄し、デモやストライキに夢中になっているなどということは、決してないのだ。99%は、むしろそういう事態をこそ憂慮しているのである。
![香辛料専門店](https://stat.ameba.jp/user_images/20111220/07/imai-hiroshi/43/e2/j/o0270036011682240887.jpg?caw=800)
(香辛料専門店)
1E(Cd) Argerich:RAVMANINOV No.3 & TCHAIKOVSKY No. 1
2E(Cd) Jandó(p) Ligeti & Hungarius:MOZART/Complete Piano Concertos①
3E(Cd) Jandó(p) Ligeti & Hungarius:MOZART/Complete Piano Concertos②
4E(Cd) Dutoit & Montréal:RESPIGHI/LA BOUTIQUE FANTASTIQUE
5E(Cd) CHOPIN FAVORITE PIANO PIECES
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