Fri 111028 函館に向かう 先輩と後輩で前代未聞に盛り上がる 「男爵倶楽部」に宿泊 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 111028 函館に向かう 先輩と後輩で前代未聞に盛り上がる 「男爵倶楽部」に宿泊

 11月19日、午後17時の飛行機で北海道・函館に向かう。翌20日に早い時間帯からの講演会なので、念のため前日から函館入りするのである。
 この時期の北海道出張は、服装に少なからず困ってしまう。すでに北海道は何度か本格的な積雪があって、もちろん真冬の寒さである。一方の東京は、温暖化のメッカみたいにまだ「夏日」で、気温が25℃まで上昇したりする。
 北海道仕様の真冬コートを着込んだクマが、夏日の東京を闊歩するのは、まあ異様な風体であって「おやおや、これから冬眠ですか?」と声をかけられることもしばしばだ(もちろんウソです)し、「夏日に浮かれたクマが東京に出現」と慌てた地元猟友会の人々が、猟銃を手に集合したりする(もちろんウソです)。
 19日は夏日ではなかったが、その前触れみたいに、生ぬるい低気圧が2つも接近していた。北の日本海上に1つ、南の海上に1つ。有名な「2つ玉低気圧」である。昼過ぎから東京は激しい風雨にさらされ、気温も上昇した。
函館講演1
(函館での講演会。大盛況だった。詳細は明日)

 この風雨の中を、クマ蔵どんは予約しておいたタクシーで羽田空港に向かった。タクシーは贅沢だが、1時間前に予約して「羽田定額タクシー」と言えば、6000円+高速代金700円で済む。普通にメーターを回して代々木上原から羽田までなら9000円するから、なかなかお得感が大きい。
 今井君は、真冬コートもイッチョーラ、スーツも一張羅、革靴も1足しかもっていない。服や靴を買いに行くのが苦手なタイプだし、乱暴に買って粗雑に消費するのはイヤなのだ。真冬コートなんか、25年前に買ったのをまだ着ている。革靴はイギリスのCHURCH製で、これは一昨年おろしたばかりだが、おそらく修理に修理を重ねて、あと10年は大事に履くつもりだ。こんなベチャベチャしたヌルい雨に濡らしたくない。
講演会場
(函館会場は、北海道教育大学。大学の教室はとても使いやすい)

 代々木上原には柳井社長のユニクロ御殿があり、ついこのあいだ大学生が御殿に侵入して話題になった。御殿は、今井君のお散歩コースであって、朝4時ごろに御殿近くにいれば、高速でウォーキングする今井君の勇姿を眺められるかもしれない。
 しかし、代々木上原の住民がみんなお金持ちな訳ではない。今井君みたいに、一張羅が雨に濡れれば、明日から着ていく服&履くべき靴にも困るような人間も住んでいる。「だからタクシー」という論理は成り立たないような気もするが、講演会で出張続き、さすがの今井君も疲れ気味なのだ。タクシーぐらい大目に見たまえ。
控え室の黒板
(控え室も北海道教育大学の教室。おお、昔懐かしい黒板だ)

 羽田到着午後3時。あれれ、ずいぶん早く着いてしまって、飛行機の時間まで2時間もある。しかも雨と風のせいで、この日の羽田発着便はみんな20分も30分も遅れている。クマどんは空いた時間を利用して、ANAラウンジでブログを1本仕上げてしまうことにした。一昨日のSASA’の記事である。
 函館到着、19時半。講演会主催の塾長先生がわざわざ空港まで迎えにいらっしゃっていて、「夕食でも」ということになった。塾長は、我が母校・秋田高校の先輩であって、先輩に対して変に遠慮するのは、むしろ無礼にあたる。早速「では、遠慮なく」と答えて、カニしゃぶしゃぶの鍋を囲むことになった。
 「ボクはもっと遠慮すべきかもね」とも思ったが、そこはクマのことだ、これまた大目に見たまえ。気がつくと、日本酒6合1人で空けた今井君は、塾長と声を合わせて秋田高校校歌を歌っていた。
ビアホール
(講演終了後、飛行機を待つ間もビアホールで盛り上がった)

 秋田高校の校歌は、短く、素っ気ない。ゆっくりめに歌っても、15秒で終わってしまう。早稲田みたいに、6回も7回も「早稲田、早稲田」を繰り返したりしないのだ。さすがは明治6年創立。「古けりゃいい」とは言わないが、すでに歴史は140年。長い伝統は、カンタンにバカにできるものではない。作詞・土井晩翠である。

     天上遥かに太平山の
     姿はけだけし三千余尺
     長江流れて六十幾里
     海へと馳せ行く雄物川波

 甲子園で勝利して「校歌斉唱」ということになっても、あっという間に終わってしまう。観客だって、手拍子を始めたと思ったらもう終わりなので、「あれれ、故障?」と思うぐらいである。準優勝1回、ベスト4も2回。輝かしい戦績であるが、何回勝利しても「校歌斉唱」の感動のシーンは、15秒で空しく過ぎ去ってしまう。
 せっかくなので、先輩と後輩の2人で3回も校歌を斉唱し、それでも足りないので「秋田市民の歌」も歌ってみた。諸君、今の時代に、飲み会の席でアカペラで熱唱&合唱する人々が存在することに、呆然としたまえ。

     工業地帯、海に沿い
     資源に溢れる油田の地
     稲田、緑に輝くところ
     北日本を開きゆく使命に燃える
     大秋田

 諸君、耳を疑ってはならない。「大秋田」である。だって、昭和初期までは石油がそこいら中の田んぼから噴き出し、川となって流れていたのだ。草生津川(くそうずがわ)である。いつかも書いたが、「くそうず」とは「臭水」。古文の世界では、①石油 ②温泉を意味し、温泉は「草津」に転訛する。
 「資源に溢れる油田の地」は、秋田の人々のプライドをたった1行で表現した、涙々の一節である。銅も銀も大量に産出して驚くほど豊かだった過去の栄光が、こんなところでまだ鈍く光っているのだ。
 上記は2番の歌詞であるが、「稲田、緑に輝くところ」の部分は、1番では「羽越・奥羽の交わるところ」。何のことはない、国鉄の線路の合流地点だったというだけのことで、うーん、こっちは、うんと恥ずかしいでござるね。
函館講演2
(函館講演会。保護者や高校の先生がたの姿も目立った)

 それにしても、秋田の地を離れて数百年、いまだに校歌を斉唱、市民の歌を熱唱できる。さすがに「アカペラで高歌放吟」というバンカラな行動には到らなかったが、わが愛校心と愛郷心は余すところなく発揮された。そばで見守る人々や店員さんたちの呆れ顔もまた一興である。
 宿泊したホテルは「男爵倶楽部」。何だそりゃ? これまた耳を疑うが、函館としては「ロワジール」「ラビスタ」と同格の一流ホテル。もちろん、あくまで「函館としては」という留保条件がつくので、あんまり多くのことを期待して宿泊すれば、さまざまに裏切られる可能性もある。ま、諸君も、あくまでat your own riskで宿泊してみるなら、それもまた一興だ。
函館山
(男爵倶楽部から箱館山を望む)


1E(Cd) Earl Klugh:FINGER PAINTINGS
2E(Cd) Brian Bromberg:PORTRAIT OF JAKO
3E(Cd) John Coltrane:IMPRESSION
4E(Cd) John Coltrane:SUN SHIP
5E(Cd) John Coltrane:JUPITER VARIATION
total m140 y1471 d7432