Wed 111019 アテネからミコノスへ タクシー争奪戦とKIVOTOS(ギリシャ紀行11) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 111019 アテネからミコノスへ タクシー争奪戦とKIVOTOS(ギリシャ紀行11)

 8月26日、朝早くDIVANI CARAVELをチェックアウトして、タクシーでアテネ空港に向かった。ホテルは最後の最後まで凍りついたように静まり返って、他に宿泊客が存在する気配さえない。
 ところが、フロントにタクシーの手配をお願いして待っていると、エントランスの前にたくさんのスーツケースが積み上げられて、迎えのバスの到着を待っている。スーツケースの山のそばには誰もいないが、ぶら下げられたタグに「JTB」を発見した。
 おお、日本人団体はたくましい。この危機と争乱と不安の真っただ中、日本人観光客は団体のスクラムを組んで突っ切ろうというのである。そういえば、さっきからフロントやエントランスの周囲で、日本の上品な熟年女性や、その娘と思われる若い女子が見え隠れしていたようだ。危機の街を、中国や韓国のヒトは顧みなくても、日本のヒトビトは我慢強く見守っているのである。
風車遠景
(ミコノスと言えば、とりあえず「6つの風車」である)

 タクシーが来て、アテネ空港まで快晴の朝を快走する。途中の車窓からは、当然「観光地でないアテネ」の素顔を眺めることになる。別に貧しさは感じないが、ヨーロッパの街なら必ず通る移民街が見当たらない。アフリカ系の人もほとんど見かけない。
 フランクフルトやミュンヘンにはトルコ人街もインド人街も中国人街もあるのに、アテネとリスボンの看板にはトルコ語も中国語も目立たない。遠い国からの移民も、もう南欧にやってこないのかもしれない。東欧やロシアのコトバも、南欧ではほとんど耳に入らない。
風車
(ミコノスの風車、近景)

 アテネ空港はストライキなし。正常に機能していて、ミコノスやサントリーニに向かう便はほぼ満員のようである。この日の今井君が搭乗するのはAEGEAN航空。まあ、「エーゲ海航空」であって、一応STAR ALLIANCEメンバーである。
 アテネを中心に、エーゲ海の島々を結ぶのだから、どんなフライトも1時間程度。思わず「大丈夫?」と訪ねたくなるような危うさを感じるが、これを利用しないとすれば船に揺られて行くしかない。アテネ近郊ピレウスの港から丸1日かけて移動する覚悟がないなら、「大丈夫?」と苦笑いしつつ、1時間足らずでミコノスに降り立つほうがいい。
 この日のエーゲ海は快晴。しかし強風が吹き荒れ、今井君の搭乗したAEGEAN機は大揺れに揺れた。特に命の危険を感じたのは、ミコノス空港着陸時である。クマ蔵の長い長い搭乗経験で、この時ほど強く横風に煽られた経験は初めてだし、飛行機が止まりきれずに滑走路をオーバーランしたのも初体験である。
キボトス付近のネコ
(ミコノスと言えば、風車の次にネコ。KIVOTOS付近で)

 諸君、ミコノス空港で、飛行機は間違いなくオーバーランしたのだ。停止するかしないかで、飛行機はクルリと右回りの小さな円を描いてUターンした。滑走路上のUターンだなんて聞いたことがないが、エーゲ海の島々を結ぶ路線の小型機なら、こんな小回りもカンタンにできるのである。
 周囲の欧米人も苦笑しているし、口笛を吹いて小さく喝采しているオジサンもいる。確かに、この強風の中、激しく砂ボコリの舞う狭い滑走路で、一発でスムーズに着陸できなくったって、仕方ないじゃないか。
 パイロットもアテンダントも全く気にする様子がなくて、「スミマセンでした」的なアナウンスもないまま、乗客はみんなタラップを降りた。こうなると、もう全てアバウトに進行する。手荷物も、他の飛行機からのものと一切区別なしに同じベルトの上を回ってくる。
 今井君は「STAR ALLIANCE PLATINUM MEMBER♡」というヤンゴトナキ人物であるから♨、エコノミークラスで旅しても荷物にはFirst Classのタグがつけられ、荷物が出てくる順番も一般客より先。飛行機に乗るたびに、そういうマコトに下らん優越感にひたるのだが、ミコノスではそんな優遇措置は一切ナシ。First Classのタグなんか完全に無視して「みんないっしょ」&「みんな平等」。要するにゴチャゴチャである。
車窓からエージアン
(AEGEAN航空機。アテネ空港で)

 ミコノスで驚くのは、そのタクシーの少なさである。どこの空港でも、「乗客数<タクシー数」が当然であって、タクシーが客待ちで長い列を作ることはあっても、タクシー待ちの乗客が列を作って待たなければならないのは、災害や大雪の時に限られる。
 しかし、ミコノスでは状況が全く違う。どういうわけか、この島にはタクシーが決定的に不足していて、クマ蔵のニラんだところ、島全体で10数台しか存在しないようである。空港でさえ、写真のようなタクシー待ちの客の列ができる。圧倒的に「乗客数>タクシー数」である。
タクシー待ちの行列
(ミコノス空港、タクシー待ちの長い列)

 宿泊予定のホテルはKIVOTOS。タクシーの列に並んでしばらく待ってみたが、一向にラチがあかないので、空港出口に立っていたKIVOTOSの従業員に掛け合って、ホテルの送迎車に乗せてもらうことにした。ありがたや&ありがたや。大いに助かりの介である。
 なお、タクシーが少なければ、運転手さんの態度も自然に横柄になるし、客どうしのタクシー争奪戦も勃発する。欧米のお金持ちがたくさん集まるこの島で、どんなタクシー争奪戦の悲劇が起こるか。その件については明日の記事で「アメリカおばさま、怒髪天を突く」を書くから、ぜひ熟読してほしい。
リトルベネチア
(ミコノス、リトル・ヴェネツィアから見た風車群)

 KIVOTOSは、ミコノス中心部からクルマで10分ほど。オルノス海岸を見下ろす新しいホテルである。ミコノスタウンにはとても徒歩で往復できる距離ではない(片道1時間もかかりそうだ)し、近くのオルノス海岸にも住宅街を突っ切って10分はかかるから、あまり立地はよくない。
部屋から
(KIVOTOS、部屋のバルコニーからオルノス海岸方面を望む)

 まあ「そのぶん静かでいいか」と思ったのだが、うーん、どうもサービスが押し付けがましい。館内にはのべつまくなし音楽が流され、しかもその音楽が「よく聞こえないが、無視することもできない」という微妙なボリュームなのである。
 趣味も一定していなくて、ジャズだったり、ポップスだったり、ヒップホップだったり、何をどう聞かせたいのかハッキリしない。メチャメチャに選曲したiPodをシャッフルしたあげく、一番イライラする音量を選んで、宿泊客の神経を逆撫でしているようなものだ。
エントランスから
(KIVOTOS、エントランスからオルノス海岸方面を望む)

 ついでに、海をはさんだ向こう側のオルノス海岸が大きな海水浴場で、そちらからも大音量の音楽が風に乗ってやってくる。こちらは圧倒的にハードロックである。朝8時に始まった音楽は、深夜2時か3時まで鳴り止むことがない。
 村上春樹なんかも長期滞在する有名リゾートにやってきた欧米の若者が、心行くまで酒に酔い、心行くまで踊りまくり、深夜だろうと何だろうと海に飛び込み、海から上がっては大歓声で走り回る。そういう若者たちを囃し立てるには、大音量のハードロックは不可欠なのだ。
キボトスからの夜景
(KIVOTOS、部屋のバルコニーからの夜景)

 KIVOTOSに入った瞬間から「こりゃ、失敗」がハッキリしてしまった。2つの音源から溢れる2種類の音楽が、ともに半端な音量でクマどんを苦しめる。ここに4泊する予定、ということは、4日間徹底的に神経を逆撫でされることになる。
 さすがに、超有名観光地のミコノスで「当日のキャンセル」は不可能。4泊分全額の支払いを要求されるだろう。別のホテルに移動するにしても「当日のご予約」はまず不可能。ま、我慢&我慢。できるだけミコノス中心部に出て、ホテル滞在時間を減らす努力をするしかなさそうだ。
海岸から
(KIVOTOS、ホテル近くの海岸風景)


1E(Cd) Take 6:BEAUTIFUL WORLD
2E(Cd) Kazuhiko Komatu & Saint Petersburg:貴志康一/SYMPHONY ”BUDDHA”
3E(Cd) Akiko Suwanai, Dutoit & NHK響:武満徹 ”FAR CALLS” ”REQUIEM FOR STRINGS”etc
4E(Cd) Amalia Rodrigues:SUPERNOW
5E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 1/18
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