Sat 111015 11月5日、雨の藤沢で講演会 土曜日夕方の電車の喧噪 息苦しいほどの熱気 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 111015 11月5日、雨の藤沢で講演会 土曜日夕方の電車の喧噪 息苦しいほどの熱気

 11月5日土曜日、19時半から神奈川県藤沢で講演会があるので、夕方5時の電車に乗ってはるばる藤沢に向かった。
 うまくいかない時は、どんな些細なことでもうまくいかないもので、乗るべき電車の選択も間違ったりする。普段ならまず東京駅に出て、東京始発の東海道線グリーン車に乗るところ、何だか面倒になって小田急線下りの急行電車に乗り込んだ。
 それがケチのつきはじめである。土曜日の夕方だから、平日の通勤ラッシュみたいな混雑になるとは考えなかったのだ。藤沢まで1時間ちょっと、余裕で座っていけると思っていたのが、代々木上原ですでに立錐の余地のない混雑である。下北沢、経堂、成城学園と南西に進むうちに、混雑にますます拍車がかかった。
 しかもこの混雑は、平日朝や夕方の通勤ラッシュとは明らかに異質である。朝の日本人サラリーマンの行儀の良さは、まさに驚嘆すべきであって、日本が世界に誇れるものの最高位にしてあげてもいい。決して列を乱すことなく、指揮する者が誰もいないのに、マスゲームよろしく整然と集団行動をとる。
 叫喚とか、奪い合いとか、その類いのワイルドな要素はほぼ完全に排除される。ヘッドフォンプレイヤーのシャカシャカ音さえ、見事に自主規制が働いている。車両全体をシャカシャカ音が交錯し、列は乱れ、争奪戦に明け暮れるヨーロッパの電車とは天と地の差と言っていい。
藤沢1
(11月5日、藤沢での講演会。大盛況だった)

 ところが、土曜日夕方の電車のアリサマは「これが同じ日本なのか?」と疑いたくなるような、寂しいかぎりの情景である。まず、座席の争奪戦が激しい。争奪戦に参戦するのは、買い物帰りのママたち、部活帰りの高校生たち、バイト帰りの大学生に、何してきたんだかイミフなパパたち、その他モロモロである。
 次々と乗り込んでくるベビーカーが彼ら彼女らの足や腰に押し付けられ、そのたびに無遠慮な舌打ちの音が響き、高齢者が前に立てば若者はタヌキ寝入り。オニギリ片手にマンガをめくるオヤジ、菓子パンをムシャムシャ貪り食う男子中学生集団、分厚い化粧の上からさらにまだ塗り固めているオネエサマ。車内はニンゲン動物園の態をなしてくる。
 町田、相模大野、中央林間、大和と電車が進むに連れて、ワイルドさはますます高まっていく。大和で大半の客が降りて、ようやく車内は静まった。思えば、たった今の小田急線車内は、南欧の電車以上に騒音と叫喚とシャカシャカ音に、そして何よりも、互いに対する敵意と悪意に支配されていたようである。
藤沢2
(大盛況の藤沢・公開授業)

 藤沢到着、18時15分。公開授業開始が19時30分だから、十分な余裕を持って藤沢に着いたわけである。東進移籍以来、藤沢では毎年最低1回の公開授業を実施。すでに10回近く訪問を繰り返してきた校舎であって、ま、「勝手知ったる我が校舎」のうちの1つと言っていい。
 外は強めの雨が降り出した。駅前では大量のムクドリが鳴き交わして周囲を圧する勢い。藤沢校は駅南口すぐ、小田急百貨店の裏手にあたるから、少々の雨が降っても出席状況に影響はない。予定は130名。営業面でもよく頑張ってくれた。
 ところが、元あった場所に校舎が見当たらない。今日の講演は「東進ハイスクール」なのだが、元あった場所には「東進衛星予備校」の看板がかかっている。このあたりの事情は分かりにくい話なので説明は省略するが、今日これから今井君が講演をする校舎は、どこか別の場所に移転してしまったのだ。
 強く降り出した雨の中、困り果てて頭をめぐらせると、駅の反対側のビルの窓に「東進ハイスクール」の見慣れた看板を発見。服もカバンも靴もビショ濡れに濡れながら、混雑する藤沢を南から北に横断して、ようやく講演会場・ハイスクール藤沢校に入った。時計を見ると18時45分。「1時間前に会場入り」という、自らに課している原則を破ることになってしまった。
藤沢3
(藤沢で。別に土俵入りのマネをしているのではない)

 藤沢校には、湘南高校や鎌倉高校など、この地域の名門高校の生徒が多い。湘南白百合高校のお嬢サマもたくさん通っていて、田舎育ちの今井君なんかは少々浮き足立つ思いがする。
 中でも湘南高校は、今井君が高校生の頃には全国に名を馳せていた、知らぬ者のない超名門高校である。最近ちょっと私立に押されてしまっているかもしれないが、大学進学実績でちょっとぐらい負けても、新興の私立には滅多なことでは追いつけない伝統の力がある。
 その湘南高校に、どういうわけか今井ファンが多い。鎌倉高校もそうだし、湘南白百合も同じである。自分でいうのもチョイ恥ずかしいけれども、日本中、優秀な伝統校に時ならぬ「今井ブーム」が湧き上がることがあって、その多くが長い伝統をもつ伝統校である。伝統校の生徒ほど「基礎重視」の大切さを知っているからだろうが、ありがたや、ありがたや&ありがたや、であるね。
 藤沢での講演会、19時半開始、21時終了、出席者131名。湘南高校から30名もの出席があったのもたいへん嬉しいし、90分間、ほぼ全ての生徒が実に明るく熱心に聞き入ってくれたのも、若い職員諸君の普段の指導の賜物だと信じる。
 ただし、会場がどうしても狭すぎる。「70人入れるかどうか」という容積の教室から、机を全て片付けて椅子だけの会場にし、何とか130人詰め込んだ。教壇もないから、後方の生徒はボードがほとんど見えない。「後方の生徒」どころか、5列目ぐらいから後ろの生徒はボードの下半分を見るのは困難である。
 「ボードの上のほう30cmほどしか使えない」の状況では、どんなに巧みな今井君でも授業らしい授業は出来ない。そこで話は勢い大爆笑系のものが多くならざるを得ない。これほどギューギュー♨パンパンに詰め込んだ教室で「今井による大爆笑」が炸裂を続けると、ホンキで、ホントに、心の底から、酸素の欠乏が心配になる。
藤沢4
(大盛況の藤沢講演会。酸素の欠乏がホンキで心配になる)

 だって、今井自身がすでに息苦しいのである。最前列の生徒は今井から1mも距離がないところまで迫り、お互いに吐息を感じ、唾がかかりそうな、激しい緊張感の中で90分を過ごす。
 こりゃ、外部会場を借りて実施することを、もはや真剣に考慮したほうがいい。いや、「…ほうがいい」などという生易しい話ではなくて、講演の効果を高め、生徒のやる気をもっと引き出すためにも、絶対に外部会場実施が必要だ。
 実は、今井君は心配なのである。同じ校舎内で、高3生たちが必死で受験勉強の追い込みに入っている。今日の今井講演会に出席できるのは、高1生高2生のみなのである。
 同じビルの同じフロアに高1高2が130名も集まって、酸欠寸前の大爆笑を続けているのに、受験直前で悩みも多い高3生諸君が、その爆笑の気配を間近に感じながら、苦しい努力を続けなければならない。何だか、可哀想である。
 可哀想というか、むしろ「迷惑がかからなければいいが」「勉強の邪魔になるんじゃないかな」という懸念もある。目の前の生徒たちの大爆笑を全身で受け止めながら、思わず「しーっ。高3生が迷惑するよ。静かに。笑いは、もっと控えめに!!」と、盛り上がる生徒たちを抑制しなければならない、ツライ気分になるのであった。
 
1E(Cd) David Sanborn:TIME AGAIN
2E(Cd) David Sanborn:LOVE SONGS
3E(Cd) David Sanborn:HIDEAWAY
4E(Cd) Jaco Pastorios:WORD OF MOUTH
5E(Cd) Anita Baker:RAPTURE
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