Thu 110908 調布で保護者向け講演会 大昔の生徒も出席 教師としての誕生前と誕生後 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 110908 調布で保護者向け講演会 大昔の生徒も出席 教師としての誕生前と誕生後

 10月2日、今にも雨が降り出しそうな重苦しい曇天の午後、保護者向けの講演会があって、京王線で調布に向かった。今井君の自宅から調布まで、うまく急行電車がくれば20分足らずの道のりであるが、昨日乗ったのは急行より一つ格下の「快速」。駅3つのうち2つの割合で停車する。まあ「準各駅停車」みたいな、「イミわかんねくね?」と叫びたくなる妙竹林な電車。快速の割に、ちっとも快くないのだ。
調布保護者
(10月2日、調布・保護者対象講演会)

 調布に到着、13時50分。クマ蔵はso偉いので、that講演会場には1時間以上前に必ず到着する。おお、so…that構文の見本のような講師である。講演開始15時、終了17時、出席者60名弱。興が乗りすぎて、今井君としては珍しく10分ほど延長してしまった。
 申込者と実際の出席者の数に若干の違いがあって、まあ保護者はいろいろな事情でチョー忙しいから、申し込んでいても急遽欠席する方も1割ぐらいはいらっしゃる。遅刻して出席される方もあって、開始直後は40名足らずだったろうか。
 会場がパンパンになって「もうこれ以上入れない」「これ以上ヒトが入ったら酸欠で倒れるヒトが出る」という常におなじみの大盛況は、この日はナシ。写真で見る通り「あれま、寂しいね」の状態であるが、タマにはこういうのも、まあ悪くはない。逆に妙なほど盛り上がってしまい、いつもならしない話も混じえ、それが10分延長の原因になった。
語るクマ1
(熱心に語るクマ 1)

 出席者の中に、大昔に教えた生徒が1名混じっていた。40歳になった元生徒、M島君である。まだ生徒の保護者になったわけではないが、テレビCMで今井君を見かけて、余りに懐かしくてネットを検索しているうちに今井ブログを発見、それ以来毎日のようにブログをチェックしてくれているのだそうだ。
 開成高校出身、今は超一流商社に勤務している。うーん、これからはこういう出会いが増えるのかもしれない。余りの懐かしさに、今井君も思わず感激。「いやあ、懐かしいですね」「いやはや、懐かしいねぇ」と頷きあいながら、時の流れの速さに苦笑しあった。
 よく見れば、もう40歳過ぎのオジサマだ。いつか書いたジョバンニやジョゼッペやアドリアーノのことも彼はよく記憶していたから、「是非、近いうちに一緒に飲みにでも行きましょう」とその場で相談がまとまった。
語るクマ2
(熱心に語るクマ 2)

 彼を教えたのはいったい何世紀前だろうか。あんまり大昔なので、もしかしたら今井君自身がこの世に誕生する以前のことだったかもしれない。
 諸君、「何をバカげたこと言ってるんだ、オマエが生まれる前にどうやって他人を教えられるんだ?」などと、愚かしい反応をしてはならない。「ヒトがヒトを教える理想的な時期は、教師として誕生する前段階なのだ」というのが、むしろ教育学の最先端である。
 誰でも分かるように単純に言えば、教師が教師として誕生してしまった後は、教師は「自分を超えられないように」しか生徒を教育できなくなる。ある教科について、明解で理解しやすい説明をする能力は、生徒を教師の能力の中に閉じ込めてしまう運命にあり、「どうしても先生を超えられません」という生徒が続出するのだ。
 それはちょうど、高層ビルのエレベーターに生徒を乗せ、生徒たちが大歓声をあげる光景に似ている。生徒は明解な説明を聞きながら快感に酔いしれ、その能力は見る間に向上&上昇していくが、彼ら彼女らは結局その高層ビルの最上階以上の見晴らしを得ることはできない。
 「教師を超えられない」とはそのようなことであり、優れた教授を揃えた日本の超一流大学から、恐れずに天空に上昇していく生徒や学生がなかなか現れない原因は、教師が教師として優れすぎているせいである。
ナデシコには余裕
(ナデシコは余裕で入れる箱も...)

 本来の教師とは、生徒が自分を超えていくことを常に念願すべきものであって、自分を超えられる教育をこそ理想とすべきである。今井君は「今井のB組 英語実力アップ教室」1学期10講の中で、確か学習院大学の読解問題を使いながら、そのあたりについて力説している。
 受験生諸君はこれからでもB組を受講すればいいし、そんなの面倒だというヒトはジャック・ランシエール「無知な教師」(法政大学出版局・梶田&堀訳)を読めば、もっとずっと面倒くさくその事情を説明している。
 今井君が「教師として誕生する前」と言うのは、「まだ無知な教師だったころ」のことであって、M島君が授業に出ていた数百年以前のほうが、クマ蔵は実は理想的な先生だったのかもしれない、ということである。
 今のクマ蔵の授業は余りに分かりやすすぎて、高速エレベーターか高速ゴンドラと同じ。高層ビルの屋上や山の頂点にたやすく立たせて上げることはできても、月まで行ける能力とか、金星を目指す意欲とか、他の銀河を夢みる能力とか、そういうものを育てるには遥かに及ばない。反省すべきことは、いくらでも存在するのだ。
ニャゴにはパンパン
(ニャゴにはパンパンだ)

 何だかガックリ疲れてしまって代々木上原に戻った。疲れたときはたくさん食べて勢いをつけるのがベストだから、自宅近くに先月オープンしたばかりのバンバーグの店に入った。「疲れたら食うべし、ガックリしたら食べるべし」である
 注文したのは「1日分の野菜のとれるハンバーグ定食」と「カリカリチーズのポテト鉄板焼き」、それに生ビールとグラスワイン。ついでに「ごっつう太い海老フライ」もトッピング。隣のテーブルのカップルが「よくそんなに飲み食いできるね」と驚くほどの量である。
 しかし諸君、そこで隣のカップルをもっと驚かせる事態になった。おなじみ「今井先生ですか?」である。大学生と一目で分かるウェイトレスが近づいてきて「今井先生ですか? 愛知県春日井の校舎で、C組とB組を受講していました」と大喜びなのだ。
 春日井と言えば、ついこの間の台風15号の大雨で被害の出た地域だが、彼女は元気一杯である。「明治大学政経学部に通っています」「今井先生のおかげです」「驚くぐらい成績が上がりました」と、飛び上がらんばかりに喜んでいる。
 何のことはない。「無知な教師」から脱皮して「分かりやすすぎる教師」にワンステップ成長したおかげで、全国各地でこんなに喜んでもらえる。1日1回の割合でこういう出会いがあるなら、教師としての誕生前の混沌とした悪戦苦闘を懐かしむ必要はないのだ。

1E(Cd) Solti & Chicago:MAHLER/SYMPHONY No.8 2/2
2E(Cd) Barbirolli & Berliner:MAHLER/SYMPHONY No.9
3E(Cd) Rattle & Bournmouth:MAHLER/SYMPHONY No.10
4E(Cd) Goldberg & Lupu:SCHUBERT/MUSIC FOR VIOLIN & PIANO 1/2
5E(Cd) Goldberg & Lupu:SCHUBERT/MUSIC FOR VIOLIN & PIANO 2/2
total m40 y1226 d7187