Wed 110831 のぞみ90分は速すぎる アズレージョ博物館への道のり(リシュボア紀行16) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 110831 のぞみ90分は速すぎる アズレージョ博物館への道のり(リシュボア紀行16)

 9月25日、岐阜での講演会の後は、会場の都ホテルでそのままお食事会になった。今井の公開授業の前に高校入試について立派な講演を行った先生など、5人が出席。ただし、さすがにまだ真っ昼間、他の先生がたは「この後も授業がありますから」とマジメな顔でおっしゃる。
 そこで今井君は小さくなって、一人でビールを2杯だけ飲みましたとさ。しかしさすがに何となく他の4人の視線が気になって、2杯でヤメときましたとさ。
 まあ、それが「常識の範囲内」であって、万が一「では、せっかくだから日本酒も!!」などという愚挙or暴挙に出れば、「今井は、これから授業だというマジメな先生がたを目の前に、ビールばかりか日本酒も、グビグビやるようなダラしないヤツだ」というウワサ話が、子々孫々、末代までも残りかねない。
悪うさぎ
(岐阜の日本酒「悪うさぎ」のラベル)

 そこで、帰りの新幹線では心置きなく飲むことにして、まずは生ビールから。続いて、白ワイン1ボトル。名古屋の新幹線ホームでは、ホントに冷たく冷えたホンモノの生ビールを1杯500円で売っている(東京方面・9号車付近)。
 疲れたサラリーマンにとっては、最上のサービスである。生ぬるい缶ビールを「プシュー」では、1日の労苦を癒すことはできない。しかもこの冷え冷え生ビール、黒ビールやハーフ&ハーフも選択できる。
 気分的には「普通の生ビール」だったので、それに六合ハムのサラミソーセージと白ワインをボトル1本購入すれば、1時間半の新幹線の旅には十分だ。
 問題は、「新幹線の旅1時間半では、疲れを癒すのに十分ではない」ということである。昔は「夢の超特急ひかり号」で名古屋から東京までキチンと2時間かかってくれた。2時間かかれば、「新幹線空間は、まさに夢そのもの」。ビュッフェや食堂車まであって、夢はますます大きく膨らんだ。
ごきげんくまさん
(例えば、こんなにノリノリで自分撮りしたりしているとする)

 それなのに、たった1時間半で降りなければならないのでは、夢を見る前に旅は終わってしまう。諸君、「移動手段は、速ければいい」というものではないのだ。汗水垂らして丸1日労働したサラリーマンにとって、帰りの新幹線での癒しの旅には、どうしても2時間は必要だ。「あーあ、せっかくいいところなのに、もう着いちゃうの?」である。
 だからこの日もクマ太郎は「小田原を通過しました。あと10分ほどで新横浜です」というアナウンスが寂しく、悲しかった。もちろんクマ君は終点・東京まで乗るのであるが、せっかくノリノリのところに、新横浜、品川、まるでムクれたクマを急かすように、コマゴマ&コマギレに停車してみせる意地悪・のぞみチャンが恨めしかったのである。
地下鉄路線図
(リシュボア地下鉄路線図)

 さて、リシュボア紀行であるが、5月16日も前日に引き続いて終日リシュボア散歩。リスボン観光の定番・ジェロニモス修道院と、「ええっ、何でそんなところに行くの?」的な驚きの対象・アズレージョ博物館を見てくることにした。
 ジェロニモス修道院については、ポルトガルを代表する堂々たる世界遺産であって、何もクマ蔵くんがここで取り立てて書くほどのことはない。その美しい姿は、一昨日の記事の写真を参照のこと。
バイシャシアード
(リシュボアの大手町、バイシャ・シアード)

 何しろ、日本人団体旅行がポルトガルを訪れるとなれば、押しも押されもしない定番中の定番だ。どこまでも続く白い壁が印象的。「クラブツーリズム」も、「めっちゃ関西」で「むちゃくちゃ関西」なTrapicsも、リスボンはジェロニモス修道院だけ嵐のような速攻で立ち寄って、あとは「バスの車窓からご鑑賞」で済ませたりするようである。
地下鉄
(リシュボア地下鉄)

 一方のアズレージョ博物館は、市街地中心部から外れた場所にあって、ジェロニモスとは比較にならないほど閑散としている。ウフィツィやオルセーみたいに団体ツアーバスがやってくるほどの定番でないのはもちろん、街の中心から遠すぎて個人客も遠慮するのである。
 5月半ばのリシュボアの暑さは、すでに日本の南国の真夏のイメージである。照りつける真昼の陽光は、熱中症よりむしろ日射病の危険を感じるほど。炎暑とか、油照りとか、その類いのコトバがピッタリである。
エボラ市街の炎暑
(ポルトガル、エボラ市街の炎暑の風景。おお、火がつきそうだ)

 まず地下鉄の終点サンタ・アポローニャ駅で降りる。しかしバスに乗り継ごうにも、そのバスはめったに来ないから「たった2kmだ、歩いても大丈夫」と誰でも考える。しかしその判断が甘いのだ。貨物列車がたくさん並ぶ荒んだ線路脇を延々と歩いて、それでもまだ影も形も見えない。汗を拭き拭き、自問自答が始まる。
「まだか?」
「道を間違えたか?」
「もうあきらめようか?」
「それより、その辺の店に入ってビールでも飲んだほうががよくないか?」
「飲んだ方がいい、じゃなくて、飲まなきゃ日射病の危険を感じるな…」
以上のような自問自答を5回か6回繰り返し、しかし「その辺の店」は皆シエスタ中か、あるいは既につぶれてしまっていて、「ビールでも」などという甘い話は、最初からありえないのである。
エボラ・カテドラル
(エボラ、カテドラルの炎暑。これも火がつきそうでござる)

 同じ方向に向かって歩いている他の欧米人観光客も、おそらく同じような自問自答を繰り返している。みんな「まだか?」「そもそも、そんなもの自体がないんじゃいないか?」「それにしても、みなさんよく耐えますね!?」という顔で、お互い見交わす顔は苦笑に満ちている。
 悪戦苦闘の末、ついにたどり着いた午後のアズレージョ博物館は、まさに閑古鳥が鳴いている。あんまり静かだから、今度は「やってるの?」「今日は日曜だし、お休みなんじゃないの?」「採算が合わないので閉館になったんじゃないの?」の不安感に苛まれる。
 コワゴワ中をのぞき込み、「帰った方が常識的なんじゃないか?」と思い始めたあたりで、やっと入場券売り場が見つかる。この日、入場券を購入したヒトはどのぐらいいたのだろうか。合計100人いたかどうか、微妙なところだと思う。
リスボン地下鉄シート
(リシュボア地下鉄のシート)

 ただし、展示されているアズレージョはツッコミどころ満載、あんまり面白いので、キャラとしてツッコミでもボケでも両刀使いのクマどんは、2時間近くをここで費やして疲れることはなかった。これもまた一昨日の記事写真を参照してほしい。
 諸君、背も高く身体もデカイ欧米人団体に巻き込まれ、観たいものの半分も観られない大混雑の定番美術館なんか、ほとんど時間のムダである。そのぐらいなら、ぜひリシュボアのアズレージョ博物館を探し当てたまえ。行きつくまでの暑さを体験するだけでも、マドリッド・プラド美術館で足を棒にするより、ずっと南ヨーロッパがよく理解できると信じる。

1E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 5/9
2E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 6/9
3E(Cd) THE WORLD ROOTS MUSIC LIBRARY トルコの軍楽
4E(Cd) THE WORLD ROOTS MUSIC LIBRARY トルコの軍楽
5E(Cd) THE WORLD ROOTS MUSIC LIBRARY トルコの軍楽
155G(Stay15) Athens /Mykonos/Santorini 110824 110907
total m313  y1186 d7147