Mon 110718 小松左京、伊良部秀輝、豪雨と台風 合宿3日目、生徒たちは一気に伸びる | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 110718 小松左京、伊良部秀輝、豪雨と台風 合宿3日目、生徒たちは一気に伸びる

 河口湖で合宿に夢中になっているうちにも、世の中はどんどん動いていく。作家・小松左京が亡くなり、伊良部秀輝の死去が伝えられ、円は対ドル76円台まで高騰し、つい10日前に講演会だった新潟県長岡付近がゲリラ豪雨に襲われた。

 小松左京「日本沈没」が大ブームになったのは、今井君が中学生の頃。子供時代には映画というものをほとんど見せてもらえなかったから、クラスの友人たちが大騒ぎしているのを眺めながら、「何だ、くだらん空想映画か」とホザいていたものだった。

 30年後、草彅剛に柴咲コウで再度映画化されても、子供の頃の悔しさがこみ上げてきて、クマ蔵は再び「何だ、くだらん」でパス。やっとチャンと見たのはWOWOWだったかCSの日本映画専門チャンネルだったかである。

 小松左京はエッセイも書いたので、高校3年のとき現代文の教科書で彼のエッセイを読まされた。当時は現代文とは呼ばず「現代国語」といったが、担当の近藤先生と意見が合わず、小松左京はますますキライになった。数学はスカのくせに現代文ばっかり妙に出来る今井君が、近藤先生は余りお好みでなかったようである。
夕方の富士山
(7月28日、夕方の富士山)

 伊良部については、香川・尽誠学園高校時代からのファン。彼の投げる160km近い剛速球は、イケメン投手でないぶん、いっそう威力と迫力が増した。メジャーリーグ時代も、マウンドに唾を吐いたり、ベンチへの不満を表情と態度に露骨に表したりするヒールぶりが大好きだった。

 昔の映画監督なら、ヒールやアンチヒーローは格好の素材にしたものである。「うどん屋の経営」あたりは余り気に入らないけれども、その辺は省略して誰か若手の映画監督に90分か100分ぐらいの歯切れのいい映画にしてほしい、素晴らしい男だったと思う。
夕暮れの河口湖
(夕暮れの河口湖)

 台風9号が発生して、北上中。8月3日あたりから影響を受けそうである。クマ蔵は、2日神戸、3日岡崎、4日熊谷、5日高松で講演会の予定。台風9号どんとほぼ足並みを揃え、仲良く日本列島を右往左往する。

 進路予想からすると、熊谷から高松への移動あたりがチョイと心配だが、諸君、何ということはない。今井君には、どこへでも平然とたどり着く能力がある。むしろ心配なのは、8月10日の沖縄での公開授業である。いつどこで新しい台風が発生するかわからない季節。さすがのクマ蔵でも、話が沖縄になると、飛行機しか移動手段がないのだ。
ばっどとろ
(合宿中は、こんなカッコで授業をする 1)

 というふうで、新聞をめくったりヤフーニュースを見たりすると、合宿に夢中になっている自分が浦島太郎のように思えてくる。別にカメを助けてあげたのでもないし、「ホテル美富士園」がタイやヒラメの舞い踊る竜宮城みたいな夢の世界であるわけでもない。しかしこのままでは、最終日に乙姫サマが現れて玉手箱を渡されそうな、浮世離れした日々が続いている。
黒猫
(合宿中は、こんなカッコで授業をする 2)

 講師がそんなことを暢気に考えていていいのか。スタッフ諸君があんなに焦っているのに、伊良部や小松左京やゲリラ豪雨のニュースを追いかけていていいのか。生徒指導に100%熱中すべきではないのか。そういう思いもなくはないが、クマ蔵は生徒たちの自立の能力を普通のヒト以上に深く信じているのである。

 そばのオトナがつきっきりで面倒を見なくても、高校生にはいくらでも伸びシロがある。
「どうして生まれかわれないんだ?」
「限界を超えるためにここに来たんじゃないのか?」
「ただ満点を取っただけじゃダメなんだ。マグレかもしれないじゃないか。マグレ満点じゃなくて、ホンモノの完璧満点を目指せ」
「登山に例えれば、合宿3日目の今日はまだ5合目。いよいよこれから苦しくなっていくぞ」
以上、生徒指導に夢中のスタッフは、目を充血させ、声を嗄らして、絶えず叱咤激励する。

 生徒たちもさすがに睡眠不足だが、スタッフはこの3日間マトモな睡眠がほとんど取れていない。フラフラになりながら、それでも若さに任せて指導に邁進する。美富士園組のスタッフは50人ほどであるが、彼ら彼女らの努力はまさに称賛に値する。
シマシマ
(合宿中は、こんなカッコで授業をする 3)

 叱咤激励される側の生徒たちを、今井君だけはしっかり甘やかしてあげる。イイトコドリのお父さんみたいな、ズルくてお得な役である。

 もちろん「甘やかす」と言ったって、厳しい私語厳禁は継続中だし、90分の授業を120分に延長しての熱誠指導が続く。「自信のあるヒトは、テキストを見ないで音読してごらん」などという厳しいハードルも課し続けている。
テキストなし
(自信があったら、テキストなしで音読する)

 じゃあ、どんなところが「甘やかす」なのかと言えば、
① 授業はできるだけ楽しく、「60秒に1回」はムリであるとしても、「3分に1回」ぐらいは爆笑が出るような授業を心がける。

② 積極的にホメる。ホメすぎると「気色悪い」という顔をする生徒もいるから限度はあるが、確認テストの結果については必ず言及してホメまくる。

③ いつもの授業収録はスーツにネクタイの正装を外さない今井君なのに、合宿では究極のクールビズ。生徒から見た目にもリラックスした雰囲気を作る。もちろん、これで「ビズ」名に値するかどうかは疑問だが、生徒も気が楽になることは間違いない。

④ 思わず居眠りしても、叱らない。その代わり、つねにスタッフに机間巡視してもらって、居眠りしそうな生徒の背中をたたいてもらう。背中をたたかれた生徒の、眠そうだが嬉しそうな笑顔が、また頼もしい。
この種の甘やかし方である。
ズボン
(合宿中は、こんなカッコで授業をする 4)

 そんなことをしているうちに、3日目の午後あたりから、生徒たちの学力も集中力も目に見えて向上してくる。「みんな、オトナになったな」と実感する瞬間が増えるのだ。この変化はテストの結果に如実に現れるので、クラス平均点が98.9点という奇跡的な結果が出たり、成績優秀者の一覧表(88%の得点者は貼り出すことにしている)が長くなりすぎて、とうとう天井のほうまで伸びていったりする。
天井へ
(優秀者表が長くなりすぎて、天井のほうにハミ出した)

 第2期、3日目最後の確認テストでは、88%以上得点の優秀者が98人中98人。要するに「全員がランキング入り」の快挙を実現。晴れやかな表情でその知らせを発表しながら、若い男子スタッフが一瞬声を詰まらせたのを、今井君は聞き逃さなかった。

 なかなか燃え上がらない高校生を見ながら、スタッフとして焦りと欲求不満が高まっていた翌日だけに、彼ら彼女らの感動は強く、深い。このまま最終日になだれ込んで、スタッフ全員が生徒の前で号泣するシナリオが、すでに3日目の夜には準備されているのである。
サンダル
(合宿中は、こんなカッコで授業をする 5)


1E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART/46 SYMPHONIEN⑩
2E(Cd) Hilary Hahn:BACH/PARTITAS Nos.2&3 SONATA No.3
3E(Cd) Corboz & Lausanne:VIVALDI/GLOLIA KYRIE CREDO
4E(Cd) Bill Evans:GETTING SENTIMENTAL
5E(Cd) Art Pepper:SHOW TIME
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