Fri 110715 合宿が始まる 確認テスト集計と一喜一憂 音読リード役は下手でかまわない | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 110715 合宿が始まる 確認テスト集計と一喜一憂 音読リード役は下手でかまわない

 こういうふうだから(スミマセン、昨日の続きです)、スタッフの仕事として最も大事なのは確認テストの採点と集計である。採点や集計にミスがあったら、生徒の高揚感は一気に薄れてしまう。

 採点集計にはスピードも大切。一昔前の模擬試験みたいに、結果が返ってくるのに1ヶ月もかかったら、シラケるだけだ。たった1時間前のテストの結果が教室の壁に貼り出されると、自分の名前が入っているかどうか、生徒たちは食い入るように高得点者表を見つめるのである。21世紀生まれの熱くなりにくい高校生としては、驚くべき熱さである。
クラス開校式
(全体開講式が始まる直前。すでに音読が始まっている。「美富士園」だけでもこんなに生徒がいる。これを2回繰り返す)

 90人を6つの班に分けて、班ごとに得点を競わせるような工夫もする。班の平均点順位をテスト1時間後に発表して、その順位で席替えをしてから次の授業に入るのだ。1位の班から前の席になり、最下位の班は一番後ろの席になってしまう。

 そんなことで一喜一憂するのはバカバカしいはずだが、いつのまにかみんな真剣に得点の勝ち負けを競っている。順位が発表されるたびに、大喝采と歓声が起こり、深い落胆の溜め息が漏れる。「テストの点数なんかで、俺たちは燃えないぜ」は30年前のタノキン時代のものでしかない。

 最下位になって後ろの席に移動しながら、涙を流さんばかりに悔しがる子供たちを、担当スタッフが「次回こそは頑張ろうね」と慰めていたりする。その姿を尻目に、最前列に移りつつコブシを打ちあわせ、遠慮なしにガッツポーズをとる生徒たちもまた頼もしい。

 こんなふうに、「勝った♡負けた」で熱くなっている若者を眺めているのは楽しいものである。冷淡に「何だ、下らん」と言ってしまえばそれまでだが、山車でも神輿でもダンジリでもボンデンでも、祭りの若者が頼もしく見えるのは「何だ、下らん」と唾を吐くのをヤメて、下らんことに夢中で全力を尽くすときなのである。
クラス開校式2
(クラス開講式。1期90名、2期98名だった)

 4泊5日の合宿で、生徒たちに与えられる教材の分量は、文法問題220問、読解問題11問、ディクテーション55問、確認テスト14回、終了判定テスト1回。普通に塾や予備校に通ったとして、1学期2講座分を優に超える。

 普通の予備校なら、現役高校生の英語の授業は1週間に1回か2回しかない。しかも1週間に2回、4月から7月まで予備校通いを毎週続けるのは、想像する以上にたいへんだ。病気で欠席したり、部活のせいで遅刻することもある。

 雨が降っただけで欠席者が増え、講師のご機嫌が悪かったりもする。「定期テストの前日だ♨前々日だ」と言って予備校の授業をパスすることには、ほとんど罪悪感さえ感じない。

 ところがこの合宿では、わずか4日間でその1学期分を一気に駆け抜ける。しかも、ここで重要なことは、授業の復習を徹底的かつ強制的にやらされることである。
7月26日
(今井君の部屋から見た富士&河口湖)

 高校生は「復習」を余りやろうとしない。予習はするけれども、その理由は「授業中に恥をかくのはイヤだから」。復習をしなくても恥は恥をかくことはあまりないから、そんな面倒なことは、する気にならない。

 しかし予習は時間がかかるだけで、学力を高める効果は薄い。無責任な予備校講師にありがちな発言が
「授業が理解できないとしたら、それは予習が足りないんだ」
「予習してこないからわからないんだ」
の類い。マトモな先生なら、予習してこない生徒にも100%理解させる能力があるはずなのに、生徒の予習にそんなに依存していたら、講師として成長できない。

「予習しないと、自分で問題を解く力がつかない」
という発言には一理あるかもしれないが、「自分で解く力」はキチンとした問題演習でつけるのが本筋だ。授業をよく理解したあと、その理解を前提に自力で問題集1冊解くことで身に付けるもの。基礎も理解していない分野の予習でムカつき、時間を無駄にするのとは全く別の次元の話だ。
1階ロビーから
(美富士園1階ロビーからの富士山と河口湖)

 ホントに学力がつくのは復習である。だからこそ、授業が終わった直後にキツメの確認テストを設定し、個人単位ばかりでなく班単位でも競って、1時間半の復習に全力尽くすのである。普通の高校生がしたがらない復習を、こうして強制的に終わらせてしまう。

 しかも復習の制限時間は1時間半。それ以上の時間を与えると、「ノートをキレイに整理し直す」類いの無駄な作業に夢中になりやすい。

 2年前だったか「東大合格生のノートは必ず美しい」(太田あや)が流行して以来、その「美しさ」を誤解した高校生のノートは7色のサインペンで美しく飾られるようになってしまったが、「必ず美しい」の美しさの本質を取り違えたヒトが多かったワケだ。

 1時間半に時間を制限された復習は、「ほぼ音読のみ」という最も効果的な学習になる。今井君のハイレベルクラスでは、それに「書く」作業が加わるが、声を出して読んでは書く、その繰り返しに集中できる時間は1時間半が限界。1時間半を超えると、夕食のことを考えながら音読したり、カレシやカノジョの言動を思い出しながら音読したり、そういう散漫な精神状態に堕してしまう。
廊下で
(個別学習時間、廊下で音読に励むヒトビト)

 こういうふうで、若いスタッフ諸君のもう1つの大事な仕事は「音読のリード」である。90名の生徒たちが声を合わせて音読する時、スタッフがリード役になって英文を音読、それに続いて生徒が声を合わせる。

 スタッフの音読は、下手で構わない。むしろ下手な方が望ましいぐらいだ。リード役がネイティブ並みに上手だと、生徒たちが萎縮してしまって元気が出ない。元気のないところに向上はないのだ。

 スタッフは、例えピエロを演じてでも生徒の元気を引き出す役に徹する。元気さえ出てしまえば、もちろんネイティブによる録音のCDも揃っているから、様子を見ながら次第にリード役をネイティブCDに移行していくのである。

1E(Cd) Jandó(p) Ligeti & Hungarius:MOZART/Complete Piano Concertos③
2E(Cd) David Sanborn:LOVE SONGS
3E(Cd) David Sanborn:INSIDE
4E(Cd) Joe Sample & David T. Walker:SWING STREET CAFE
5E(Cd) Larry Carlton:FIGERPRINTS
total m74 y689 d6654