Thu 110714 異常な低温の中、河口湖合宿始まる 90分授業3コマが何故キツいのか | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 110714 異常な低温の中、河口湖合宿始まる 90分授業3コマが何故キツいのか

 書いている時点で7月25日午後13時である。恒例の東進・夏期河口湖合宿のうち、第1期5日間がたったいま無事に終了。これから閉講式があって、首都圏などに帰る生徒たちをバスに乗せる。

 生徒やスタッフは「ついに合宿をやり遂げた」という大きな達成感に浸っているが、講師はこのあと引き続いて「第2期5日間」が待っている。生徒もスタッフも全て入れ替わるが、講師の入れ替わりはないのである。

 参加する生徒は合計2000名であるが、その2000名を、第1期で約1000名と第2期約1000名の2つに分け、さらに河口湖周辺のホテルや旅館に分散させる。

 それでも完全に満員締め切り。今時の予備校業界では考えられない人気ぶりで、「キャンセル待ち」の生徒も少なくない。「河口湖の旅館では東進合宿のおかげで食材が不足する」というにわかには信じがたいウワサがあるぐらいだ。

 1期2期とも、クマ蔵は「ホテル美富士園」組、約300名。これを講師4名で分担する。第1期の今井クラスは90名。「ハイレベルクラス」という名前になっていて、実際に授業をしてみると、確かになかなかのハイレベル。センター模試での平均得点が160点弱のクラスである。
富士山1
(河口湖の向こうに富士山は見えない)

 第1期は、異常とも思える低温の中で始まった。7月21日、河口湖駅に降り立ってみると、ポロシャツでは明らかに寒い。思わず「おお、寒いや」と大きな声が出るぐらいである。駅から美富士園に向かうタクシーの運転手さんに尋ねてみると「いま、16℃だそうです」とのことであった。

 初日の夜は13℃まで気温が下がったし、その翌日の最高気温も20℃程度。やっと夏らしい30℃超えの日がやってきたのは、合宿4日目の7月24日であった。

 河口湖は内陸だから、標高が高い割に気温が上がりやすい。一昨年の7月25日、どうしても床屋さんに行きたくて、ネットで調べた「梶原作男理容室」を探しあぐね、湖のほとりをさまよい歩いた日は35℃の猛暑。ほとんど熱中症になりかけるほどだった。

 なお、全く興味のないヒトも、右欄「ブログ内検索」で「梶原作男」を検索してみることをお勧めする。今井君がこの床屋さんをついに発見し、店の奥深くまで侵入しながら、ついに散髪をあきらめた経緯は、いま自分で読んでも余りにも面白い。

 あげくの果てに、自分でかけた電話に自分で出なければならなくなるのだが、「もしもし」「はいはい」の両方を一人一役でこなす河口湖グマの困惑を、新しい読者諸君にも是非楽しんでもらいたい。
富士山2
(河口湖の向こうに富士山が姿を現し始めた)

 寒さのせいか、駅前に欧米人の姿がほとんど見当たらない。青い富士の姿が美しい夏の河口湖は、例年なら日本人より欧米人観光客のほうが目立つぐらいなのに、デカイ地図や分厚いガイドブック(欧米のものは日本のものよりはるかにデカイし分厚いのだ)を広げて右往左往している欧米人が、全く見当たらない。

 地震と津波と原子力発電所のショッキングな映像がネットを支配していれば、慎重な欧米人が日本渡航を自粛するのはフシギではない。平和で長閑な河口湖にまで、東日本大震災の影響は深く及んでいるのだった。
富士山3
(ますます富士山は堂々と姿を現す)

 合宿での今井君の仕事はそれほど多いわけではない。1日に90分授業を3コマこなすだけである。代ゼミ時代には1日に90分授業5コマ、それが一週間に6日続き、名古屋や横浜への移動時間も含めれば、たいへんな重労働だった。「合宿、ホントにご苦労様です」と東進の職員に頭を下げられるたびに、「いいえ、そんなことないです」と申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 ただし、その「1コマ90分」で消化しなければならない教材の分量は半端ではない。ハイレベルクラスのテキストだと、最初にディクテーション5問。そのあとハイレベルな文法問題が20問。それが終わると、25行程度の読解問題を1問。毎回、内容一致の英文選択肢が7つついている。

 これを90分の中で完璧に解説し切らなければならない。生徒たちはみんな10万円もの高い授業料を払って参加している。やり残しがあったり、解説が不完全な問題があったり、「ココがよく理解できなかったので、もう1回説明してください」という質問の生徒が列を作るようなダラしない授業は絶対にできない。
快晴の富士
(快晴の富士山。昨年より残雪が少ない)

 しかも、生徒たちは「予習一切ナシ」で合宿に参加する。合宿1講目の冒頭に、初めてテキストを手渡されるので、予習なんか出来るはずがないのだ。だから、授業は全て演習形式。解いては解説、解いては解説。生徒たちの集中力はイヤが上にも高まっていく

 文法問題は5問ずつ1分半、フリーハンドで解かせてから解説。読解問題は、さっき言った通り「25行+英文選択肢7つ」の問題を制限時間8分で解かせてからの解説。すべて辞書ナシで解かなければならない。1コマ90分からこの演習時間を差し引くと、講師が解説に使える時間は70分程度しかない。

 70分でこの分量の解説を完璧にこなし、しかも疑問や質問が一切出ない高レベルの解説に心がけなければならない。講師としては非常に高いレベルの技能が要求される。

 昔から予備校にありがちな、好き放題に話したいことを話し、チャイムが鳴れば長文問題に途中でも平気で授業を打ち切り、「量より質」と称してテキストを半分ちょっとしか消化せず、「残りはプリント配布」みたいな、その種のダラしない授業とは、完全に別格。というか次元が違うのである。
合宿1
(合宿第1期、第1日。90名が参加していた)

 やり残しなし(Mac君の変換は「槍の腰なし」だ)が必須なのは、授業終了1時間半後に「確認テスト」があるからである。

 確認テストには、その時間で講義した内容がまんべんなく織り込まれているので、万が一「やり残し」や「この問題は省略しちゃおう」なんかがあれば、生徒たちの不満がどんどん募るのだ。

 スタッフも、講師である我々も、「確認テストで満点を取りつづけることが何より大事」「そういう徹底的な基礎演習の連続で、英語を血液にしてしまうことこそがホンモノのハイレベル」と繰り返し説きつづける。驚くほど素直な生徒が多いので、クラスの雰囲気はあっという間に「確認テストで満点を取り続けよう」の一色に染まる。
合宿2
(合宿の教室。優秀者一覧表がどんどん長くなっていく)

 確認テストは制限時間も短く、レベル的にも決して易しいとは言えない問題がズラリと並んでいる。しかし、授業を100%こなし、授業後の1時間半で徹底的に音読を重ねた諸君はキチンと満点を取りつづける。

 第1期、90名のハイレベルクラス諸君は、ほとんどの生徒が95%以上の得点を確保し続けた。4日目の確認テストでは100点が46名、99点以上は87名であった。問題を見てみれば、この成績がどれほど驚異的なことか、納得がいくと思う。

1E(Cd) Barenboim/Zukerman/Du Pré:BEETHOVEN/PIANOTRIOS⑧
2E(Cd) Kirk Whalum:COLORS
3E(Cd) Kirk Whalum:COLORS
4E(Cd) Kirk Whalum:COLORS
5E(Cd) Dorati & Detroit :STRAVINSKY/THE RITE OF SPRING
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