Tue 110628 博多から鹿児島の九州新幹線 大昔のこととか、いろいろなことを考えた | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 110628 博多から鹿児島の九州新幹線 大昔のこととか、いろいろなことを考えた

 7月3日、朝10時半にホテルを出て、九州新幹線で鹿児島に向かう。日曜日のお昼近く、博多の駅前には山笠も勇ましく飾られて、すでに活気に溢れている。九州新幹線が開通して、すでに4ヶ月近くが経過した。
 大震災のせいで、開業当時の祝賀ムードはすっかり水を差されてしまったが、新幹線ホームに上がると、今でもホントに嬉しそうな笑顔があふれている。もともと西日本は団体旅行が大好きな地域。オジサンとオバサンの団体がそこいら中にウヨウヨしていて、ホームは足の踏み場もない。みんな大挙して熊本を鹿児島を目指すようである。
 今井君の乗るのは6号車。諸君、グリーン車♡である。繰り返すが、鹿児島までずっとグリーン車である。かっかっか。何も、伝統的日本人独特の謙虚とか謙遜とか、そういうものを持ち出す必要はない。乗り鉄どんが、新しく開業した鉄道に張り切って乗るとき、グリーン車ぐらいの贅沢は、しない方がむしろ鉄道に対して失礼である。
 断っておくが、今井君は決して「乗り鉄」ではない。偶然に偶然が重なって、鉄道旅行が多くなるだけである。ドイツでも、ハンガリーでも、アイルランドでも、ポルトガルでも、あれれ、気がつくと電車の中にいる。しかし、だからといって「乗り鉄だ」と決めてしまうのは、まさに軽率というものである。
太古の昔1
(太古の昔、鹿児島の友人宅で「さつま白波」に泥酔した大学4年の今井君)

 今井君の大学生時代と比較すれば、隔世の感が深い。大学4年の夏休み、クマ蔵は友人4名と九州に旅行した。目指したのは鹿児島の友人の実家である。夜行急行「かいもん」に乗って、鹿児島から博多まで6時間かけて移動した。
 西鹿児島を出発して2時間経過しても伊集院→市来→串木野→阿久根→川内(順番が違ってたらスミマセン)と薄暗い駅に延々と停車。「え、まだ鹿児島県?」と寝ぼけマナコで呻いたものである。
 博多発L特急「有明」で4時間半かけて西鹿児島に向かったこともある。当時はまだ鉄道が大混雑の時代で、自由席の通路も乗客でごった返した。せっかく博多で買った駅弁を開くのも、赤い星のマークのサッポロ缶ビールを開けるのも、大いに遠慮したものである。あれと比べれば、さすがに新幹線。まさに天国のような旅であった。
太古の昔2
(太古の昔、桜島を訪れた大学4年の今井君)

 乗ったのは、新大阪から来る「さくら」。もっと上級の「みずほ」なら鹿児島までの停車駅は熊本だけだが、「さくら」は熊本から先の全駅に停車する。八代にも、水俣にも、出水にも、とにかく全部停車する。そのせいで鹿児島まで100分近くかかって、ありゃりゃ、期待したほど「こりゃ速いね♨」という実感はない。
 もちろん「みずほ」のほうがいいのだが、1日に2本しかないらしいので、まあ仕方ない。しかし「何でいちいち銀行の名前みたいなの?」である。そのうち「あさひ」に「太陽神戸」に「りそな」まで走り出しそうな勢いだ。
 ついでに「何でいちいち新大阪から来る必要があるの?」という疑問も拭えない。小倉からでいいだろうし、せいぜいでも広島ぐらいからで十分な気がするのは、クマ蔵だけかねえ。だって、乗客は博多でゴッソリ入れ替わったでござるよ。
 JR西日本としては、こういうダイヤで西日本の活性化を考えたのかも知れないが、どうも無理があるような気がしてならない。ポスターには「鹿児島-関西、一直線」とあるが、九州のヒトは(チーム・ドラゴンと一緒にされては困るだろうが)九州のチームワークが大好き。九州の懐に大阪とか関西とかが手を差し込んでくるのは、気色悪いと感じるヒトが多いように思う。
 博多駅の駅ビルに入った百貨店も関西系「阪急」だが、福岡のヒトたちの多くは、「当初の予定通り『伊勢丹』がはいってくれていたらどんなに良かったか」と、実は今でもウワサしあっている。
太古の昔3
(太古の昔、山陽新幹線で博多に移動中の今井君)

 荒唐無稽ではあるが、山手線みたいな「九州ぐるり一周」の九州新幹線を作った方が、九州のチームワークは高揚したと思う。完全に切り捨てられてしまった大分と宮崎は、今頃おそらく黙ってムクれている。
 CMではいかにも「九州は1つ」「まとまって感動」という演出をしているが、「関西一直線の新幹線」じゃ、全然「1つ」なんかじゃない。大分も宮崎も長崎も、ただ単に「国家軸から外れていた」という理由で、今後100年も200年も高速輸送網から置き去りにされるのだ。小倉から大きく東に折れて、日豊本線方面に丸くつながる方が、チーム九州の喜びも、成長への貢献もずっと大きかったように思う。
太古の昔4
(太古の昔の今井君。指宿の海を眺める頼もしい後ろ姿)

 で、グリーン車であるが、6号車の半分がグリーン車、残り半分が普通車指定席。JR九州の得意技で、車両を2分割してしまった。だから、何とも狭苦しい。昔の学生アパートによくあった「6畳一間」の空間感覚である。視線をどこに向けても、すぐそこに壁がある。何でこんな狭苦しい空間を作っちゃうのか、どうも理解できない。
グリーン車内
(九州新幹線クリーン車の狭苦しい空間)

 で、これまたJR九州の得意中の得意「やたらに丁寧な車内放送」が、鹿児島までの100分間、コヤミなく狭苦しい客室を占拠する。駅を出るたびに、バカ丁寧な日本語の案内放送が3分。同じ内容を英訳した英語放送が2分。「やっと終わった」とホッとする間もなく、同じ内容を韓国語と中国語でも放送しなければならない。
 「ありがとうございました」「Thank you very much」「カムサハムニダ」「シェシェ」の順番で、鹿児島に到着するまでいったい何回深く感謝されたかわからないぐらいである。グリーン車の乗客には上品に皮肉を飛ばすヒトが少なくなくて、終いにはそこいら中でスーツ姿のオジサンたちが「シェシェ」「シェシェ」「カムサハムニダ」と車内放送のマネを始め、お互い苦笑いの視線を交わすようになった。
鹿児島到着
(鹿児島中央駅に到着した「さくら」)

 掛け算すれば60回近いアリガトウになるが、これに「車内販売からのお知らせ」が4回加わってくる。さすがにこちらの方は日本語だけだが、これもJR九州独特・修飾語洪水である。
「スッキリしたのどごしで人気の、アサヒスーパードライ」
「厳選したコーヒー豆から丁寧にいれた、特選コーヒー」
「九州限定販売で新幹線でも大好評の、鯛飯弁当」
などをお持ちして車内におジャマいたします、そういう来襲予告が、やはり鹿児島に到着するまで4回繰り返される。ま、全ての名詞に長い長い形容詞をくっつけないと気が済まないということであるね。
 しかも「おジャマするまで少々時間を要することがございます」ので「あらかじめご承知おきください」である。こうして、車内放送洪水にフラフラになりながら、13時ちょっと前に鹿児島中央駅に到着した。さて、これから講演会である。

1E(Cd) Yohichi Murata:SOLID BRASS Ⅱ
2E(Cd) CHET BAKER SINGS
3E(Cd) Art Pepper:SHOW TIME
4E(Cd) Maceo Parker:SOUTHERN EXPOSURE
5E(Cd) Max Roach:DRUMS UNLIMITED
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