Sun 110626 入試英語についての話がまだ続く クマ蔵のさまざまな記憶もよみがえる | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 110626 入試英語についての話がまだ続く クマ蔵のさまざまな記憶もよみがえる

 これに対して(スミマセン、昨日の続きです)、長文読解問題は比較にならないほどの難問である。
 「普通に公立高校で3年間、予習復習を怠けずにマジメに勉強してきた受験生なら、全力を尽くせば7割とれる」ぐらいが正しい入学試験のガイドラインだとクマ蔵は考えている。不合格者も含めた全員の平均が5割しかないとか、合格者平均得点が6割を切るとか、そういう難問になると、実力が正しく反映されない恐れが出てくる。
 では、早大法学部の長文読解問題を、落ち着いて素直な心でよく見てみたまえ。「素直な心」とは、「高校英語教育は今すぐ全て英語で行うべきだ」とか「直ちに社内公用語を英語にすべきだ」とか、およそ現実から懸け離れた妙な理想論をいったん脇に置いて、意地を張らないで、ということである。
 「素直な心」をもっと具体的に言えば、「もしあなたが受験生だったとして、この読解問題1問を30分で解かされたとしたら、あなたは7割とれますか?」ということである。今井君は正直者だからハッキリ言うが、今から数百年前、秋田県立秋田高校で勉強していた頃の今井君だったら、おそらく7割は無理。「5割とれるかどうか」というラインであったと思う。
お手上げ1
(お手上げだ 1)

 ただし今井君はあまりマジメに勉強した記憶がない。高3の11月まで全く受験勉強をせずにいて、11月3日に初めて受けた駿台模試の偏差値43.9に一驚を喫し、切羽詰まった11月末日、ついに受験勉強に目覚めた。中3の模擬試験では全県5位を堅持していたわけだから、高校生活3年間で完全パー化してしまったのである。
 焦りの中で、「とりあえず英語かね?」と考えて高校の教科書の音読に励んだ。高1から高3までのREADERの教科書3冊を机の前に並べ、
「1日1冊音読すれば、これから12月・1月・2月の3ヶ月で『のべ90冊音読』ということになるじゃないか」
「高1の教科書を30回、高2の教科書を30回、高3の教科書を30回。その音読効果で、最悪でも早稲田政経と早稲田法ぐらいは合格できるだろう」
「あわよくば東大もいけるかも」
とホクソ笑んだ。ついでだから古文と漢文と日本史史料集も同じペースで音読しようと計画したのだ。
 当時の早稲田は2月22日が政経、23日が法学部。すでに6冊の教科書全てを30回ずつ音読した今井君は、まさに自信満々。「早稲田政経と法は、落ちるはずはない」という自信のカタマリになって早稲田に向かった。その経緯は「今度こそ『英語は、大丈夫』」(東進ブックス)に詳しく書いたから、ぜひ読んでくんなまし。
お手上げ2
(お手上げだ 2)

 しかし、今ここにあの頃の受験生・若き日の今井クマ蔵君が登場したとして、2011年早大法の長文読解で7割得点できるだろうか。うにゃにゃ、素直な今井君は素直な心で答えよう。「ま、せいぜい4割かね。いや、途中で腹をたてて棄権したかもしれない」である。
 だって、第1問から第7問までの合計で、全受験生の平均がたった5割。合格者の平均得点が59%に過ぎない。第3問から第6問までの文法語法作文セクションが、昨日書いたように形骸化した残骸として、あまりにもイージー=「おそらく合格者のほぼ全員が満点」と予測されることを考えあわせれば、
「合格者でも長文読解セクションは4割程度しか得点できてないんじゃないか」
「不合格者は2~3割、それも偶然マルになったものばかりじゃないのか」
この2点を勘ぐるのは容易である。正解率2割から4割のところで合否が決まるようでは、マジメに努力してきた受験生を尻目に、マグレ当たりで合格しちゃった受験生もたくさん存在するんじゃないか。
 分量ばかりか、内容も半端ではない。第1問は、20世紀後半のアメリカ農業政策の転換がもたらした(1)家計収入の低下と農業構造の崩壊(2)食の安全性の崩壊(3)コミュニケーションの劣化について。問題文100行、選択肢の英文60行。これにかけられる時間は約30分しかない。
早稲田法
(これ1問30分。無理なんじゃないか?)

 これは明らかに無理している。というか、数百年前に今井君が早稲田に通っていた頃、合計160行もの時事英文を30分でキチンと読みこなし、15問もの設問を解きこなすほどの学生は、政経学部にも法学部にも見かけなかった。
 もっと言ってしまえば、そんな優秀な学生をキチンと教えられるような教授もあまり見たことはないし、実際の授業は公立高校の授業とちっとも変わらない暢気なレベル。英語で自己紹介するとか、「ノミナライゼーション(Mac君は「飲み習いゼーション」と変換してくれた)」と称し、普通の英文を名詞構文に変換する練習を丸1年続けるとか、その程度の授業ばかりであった。
 ポーの小説を1年かけて30ページばかり訳読する、困った授業もあった。「授業料を返せ」と言うよりも、むしろ「ボクの青春を返せ」と叫びたいほどである。しかも、この教授の英語の発音が一驚に値する特殊なシロモノで、学生は誰一人聞き取れず、目を白黒させるばかり。いやはや、あの場にネイティブスピーカーがいたら、一緒に目をクリクリさせながら「この特殊な言語は、世界のどの地域の言語ですか?」と真顔で尋ねたことだろう。
手も足も

ふくろにはいる
(自分で入っちゃった袋猫・手も足も出ない)

 第2問は、内容的にはある程度ラクかもしれない。ケータイ電話の使い方が社会的慣習と文化によってどう違ってくるかの社会学的分析である。日本、マレーシア、北欧4国、フランス、アメリカ、イタリアを比較し、通話とメールの使用法がどう違うか、具体例を示しながら解説する。ケータイの話だし、具体例が多いから、受験生にも興味深く読めたことだろう。
 ただし、分量は問題文100行、選択肢の英文80行。合計180行と、第1問よりも若干増える。これもやっぱり30分でこなさなきゃならない。第1問♨第2問のダブルパンチで、スキヤキと天ぷらで腹一杯のところに、サシのタップリ入ったジューシーなステーキ500gがドカンと出てきたようなものだ。
涼しくねんね
(面倒なことは忘れて、涼しく寝んねする)

 体力的にもなかなかもちそうにない。貧血気味の貧血に、ぜんそく気味のヒトはぜんそくに、いろいろ気を配るべきである。「チャンと朝ゴハン食べていったかどうか」も大事になってくるが、普段食べつけない朝ゴハンを、ママやパパにせかされるままに無理して食べていったら、試験中に吐き気に襲われることになりかねない。
 ママは優しすぎるから、試験当日の朝ゴハンに納豆や生卵や山芋やオクラをウンと食べさせて「大切なのはネバリよ」とか、無理なことを言う。お弁当に入れたカツの残りも「せっかくだから、朝にも2切れ食べていきなさい。朝もカツ♡昼もカツ、ダブルカツよ」、またまた無理を言う。正直に言って、早大法の今の英語の出題は、そういう暖かい家庭の朝のヒトコマを台無しにするような、たくさんの問題点を含んでいるように思う。
 それにしても、2011年の今井君の恐るべき神業はどうだ? これ1問60分でチャンと解説を完了、2問で120分。別に「答えを言っただけ」とか、情けないことは一切していない。さすが、CMにバンバン顔を出すだけのことはあるでござるね。

1E(Cd) Bill Evans:GETTING SENTIMENTAL
2E(Cd) George Duke:COOL
3E(Cd) Joe Sample:RAINBOW SEEKER
4E(Cd) Joe Sample & Lalah Hathaway:THE SONG LIVES ON
5E(Cd) Marc Antoine:MADRID
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