Sun 110619 暑さが耐えがたくなったクマは湘南の海へ 湘南の高級レストランに挑戦する | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 110619 暑さが耐えがたくなったクマは湘南の海へ 湘南の高級レストランに挑戦する

 6月22日、首都圏周辺は驚くほどよく晴れた。群馬県で36℃とか37℃とか、暑さに溶解しやすいクマさんが悲鳴をあげそうな数値が出始めたので、クマさんはためらうことなく、湘南の海に出かけることにした。代々木上原は便利な所で、新宿発の小田急線・快速急行に乗れば、たった1時間でもう目の前は江ノ島。短足ではあるが、クマ蔵は意外な湘南ボーイなのである。
 ここで、クマ蔵の行動を詳しくフォローしているヒトなら「あれれ、クマさんは先週も湘南に出かけたんじゃありませんか?」と尋ねるはずだ。おぉ、あなたはもう、立派な「クマ蔵オッカケ」である。優秀なフォロワーとして表彰状をあげてもいい。
 確かに、何を隠そう、1週間前にも湘南・江ノ島にクマは出た。しかし、こんなに蒸し暑かったら、クマだって繰り返し繰り返し爽やかな海岸に姿を現したくなる。「2週間連続・湘南の海」に何のフシギもない。何か、悪いですか?
 しかも、22日の湘南グマには「先週のリベンジ」という固い決意があった。
「何が何でも、焼きハマグリ」
「意地でも、天地がひっくり返っても、サザエのつぼ焼き」
「出来ることなら、サザエ丸焼きに、アジのタタキ」
以上が、我が固い決意の内容の詳細である。
絶景
(江ノ島からの夏の絶景。相模湾と丹沢山系を望む)

 実は、先週15日のクマ蔵は、湘南の超有名店を襲撃してみることにした。ありゃま、テレビで引っ張りダコになっている超有名シェフのイタリア料理であるよ。
「コリャ行ってミニャなんねえべさ」
「コリャ試してミニャ、アホンダラだっぺさ」
と判断したワケだ。
 だって、クマ君は今やそこいら中の注目の的だ。テレビCMはガンガン流れつづける。今日も吉祥寺で3回も「今井先生ですか」があった。一人は「明治大学に通ってます」、もう一人は「成蹊大学に行ってます」、最後の2人連れは「すげ、すげ、すげ」を連呼しながら、井の頭線方面にフェードアウトしていった。
 この状況で、「今井が安い居酒屋でトグロを巻いてたぜ」「エイヒレと枝豆でビールがぶ飲みしてたぜ」と言われるより、「湘南の高級イタリアンで高そうなワイン飲んでたぜ」と言われたいじゃないか。
 そう考えているところに、「湘南なら、有名なイタリアンがありますよ」「紹介しましょうか」と、某先生から情報が入ったとしたまえ。今井に似合いの居酒屋を捨てて、高級有名店を選ぶのは当然の成り行きじゃないか。こういうのを昔から一般に「魔がさす」と言う。
態度の悪い湘南猫
(態度が悪い江ノ島の野良猫。ネコは態度が悪いのが最高だ)

 さて、では「何故、リベンジ?」であるが、簡単に言えば「超有名シェフの店のせいで、湘南の磯臭い料理が食べられなかった」ということである。先週は、せっかく湘南に来たのに、サザエやハマグリの磯臭さをちっとも味わわずに空しく帰ることになった。それが、この1週間我慢できないほど悔しかった。
 先週の今井クマ蔵が求めていたのは、タダ一つ=磯臭さである。イカやアジや金目鯛でさえ、今井君の設定する磯臭さの高いハードルは超えられない。
 必須条件は、ハマグリ、サザエ、カツカレー。何だ?「カツカレー」ってのは。諸君、わかってくれたまえ。アルミの皿の熱いカツカレーを、薄っぺらいアルミのスプーンで一気にかき込む、あの体育会系の激しさ&汗臭さ。あれこそが、夏の湘南の絶対不可欠な構成要素なのだ。
 ところが、先週15日のクマは、葉山だか逗子だかマリーナだか、まあ正直言って面倒な高級店に迷い込んで、クマに似合わぬひどく神妙な表情で「ワインリストください」などとフヌケタことをヌカしていたのである。
 窓の外には、相模湾の向こうに江ノ島が浮かび、丹沢山系の方角に初夏の夕陽が沈んでいくのが見えた。さすが有名シェフの店、風景はたいへん優雅。しかし、こういう優雅な雰囲気は、ワタクシとは異質の別世界である。
 前菜はまあ無難にこなしたが、2品目「野菜のフリット」のシッカリしたアブラで、胃袋はすでに言語道断にモッタリと疲れきった。オジサマは、もうシッカリとした本格的オジサマだから、胃袋のアブラ許容量が想像を絶するほどに小さいのである。
 そこへ、3品目「クリームパスタ」のアブラが胃の壁を容赦なく攻撃する。ドロドロのクリームが絡まったモチモチのきしめんモドキを何とか半分ほど平らげたが、そこですでに今井君は青息吐息、まさに息も絶え絶えである。「もしこれ以上無理をしたら、きっと吐き気に勝てなくなる」というギリギリの窮地に追い込まれた。
 そこへ「石鯛のソテー」が運ばれ、窮地はすでにある一線を超えた。何でこんなにアブラ責めなんだ? おそらく鏡に映してみたら、窮地のクマどんの顔は青紫か赤紫に膨れ上がっていただろう。窮鼠(キュウソ)は猫を噛むが、「窮クマ、鯛を半分残す」ということになった。
 さらに驚くなかれ、アブラ&アブラのアブラ責めに立ちすくむクマどんの目の前に、トドメをさす「自慢の葉山牛ロース、とろとろミディアムレア」が運ばれてきた。昔むかし、河合塾に峨家(がけ)先生という名物講師がいて「トドメを刺す英語」という単科講座がまあ人気だったが、これはまさに「トドメを刺すアブラ肉」である。
湘南あじさい
(江ノ島、アジサイは盛りを迎えていた)

 おお、私が悪うございました。ノコノコ代々木上原のネグラから出てやってきた意地汚いクマが悪うございました。アブラまみれの今井君の胃袋は、今にも裏返ろう裏返ろうと機をうかがい、目の前の葉山牛ステーキは一目見るだに恐ろしいアブラまみれである。
 どう言ったらいいのか、巨大な6切れの肉は、全て弾力みなぎるアブラである。透き通っている。皿の上でバウンドする。ウソじゃないよ、ホントだもん。店の人がテーブルに置いた時、お皿の上でボヨヨンとバウンドするのを見たもん。アブラを固めた煮コゴリみたいなんだもん。これって、ボヨヨン牛っていうブランドじゃないの?
 万が一、この肉のヒト切れでも口に入れたら、確実に胃袋は裏返る。香りを1dl(懐かしいね、デシリットル)嗅いだだけでも、いや、半透明のボヨヨン肉の姿を視界の片隅に入れるだけでも、恐ろしさに鳥肌が立つ。
「ジューシーな、あまーい肉汁が、口の中全体にフワッと来て、アレレ、もう融けちゃったぁー」
と思っただけで、気の弱い胃袋君は「ちょっと1回裏返ってみましょうか?」と囁きかけてくる。
 礼儀を何よりも重視する今井君は、アブラ肉6切れの処理に悩んで地球を七回り半した。食べ残すこと自体すでに礼儀に反するが、万が一「ゲロゾー君」とか「ゲロ山ゲロ太君」などが登場すれば、周囲の上品なお客様たちの手前、申し訳が立たない。「九死に一生」の思いで、ホントに情けないとは思ったが、サラダの野菜で肉を包んでゴマカすことに成功した。
 ただし、間違えないでほしい。これはホントに高級ブランド肉であり、美味の極致であり、アブラが大好きな人にとってはおそらく垂涎の的なのだ。店の名前は書かないでおくが、どんどんボヨヨン牛を食べに湘南のこの高級店を探しに出かけてほしい。テーブルについたらすぐに、「ボヨヨンってバウンドする美味しい肉が食べたいです」と、ニッコリ注文すればいいのだ。
オブジェ
(小田急・片瀬江ノ島駅前の困ったオブジェ「雲の形」)

 もっとも、「英語メニューがない」というのは、大丈夫? 隣のテーブルにやってきた欧米人3人連れは、英語メニューを求め、ウェイターとヒト悶着になっていた。従業員自身も、英語に対応できない。湘南を代表する高級店で、こんなのは恥ずかしくないか。
 ポルトガルとかハンガリーを旅行していて、やっとレストランにたどり着いたのに「ポルトガル語メニューしかない」「メニューはハンガリー語だけ」「従業員もハンガリー語しかわからない」という事態を想像してみたまえ。そりゃヒト悶着も起こるはずだ。
 今井君は英語帝国主義は大キライだから、何でもかんでも英語でなくてちっとも構わない。しかし、せっかく有名シェフ監修のイタリアンなんだから、メニューにイタリア語ぐらいあってもいいんじゃないか。「英語メニューはありませんが、イタリア語メニューならあります。ウチはイタリアンですから」と胸を張ったら、さぞかしカッコいいだろうと思うのだ。
 ついでに、食後にリモンチェッロを注文した今井君の前には、自慢げにグラッパが出てきた。こりゃ、こっちのものだ。「これはグラッパ。リモンチェッロを注文したはずですよ」、優しくそう言って、ニヤッと笑えば、もちろん両方とも今井君の手に入る。うーん、どうも従業員の教育がうまくいっていないようであるね(明日に続く)。

1E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 9/18
2E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 14/18
3E(Cd) Preston:BACH/ORGAN WORKS 3/6
4E(Cd) Sinitta:TOY BOY
5E(Cd) Jessica Simpson:IRRESISTIBLE
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