Mon 110530 激しい怒りと失望のせいで、朝4時に起きて歩き回ったクマの物語(前編) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 110530 激しい怒りと失望のせいで、朝4時に起きて歩き回ったクマの物語(前編)

 6月2日は、どうやら長く我々の国辱記念日になりそうな1日だった。今井君は仕事が休みだったので、正午のニュースが始まってから午後5時まで、ずっとソファに寝そべって国会中継を眺めて過ごしていた。
 自分自身にとっても、歯ぎしりするほど恥に溢れた一日。18歳の3月、19歳の3月、連続して東京大学に不合格になった日々に負けないほど、自分の恥の記憶に残る1日と言っていい。たかが予備校講師が政治に関わる話に言及するのは避けるべきだとは思うが、余りの屈辱感に、発言を慎む気力さえない。
 というより、たくさんの受験生を前に授業をしなければならない予備校講師としては、「こんなありさまを、若い人たちに見せてはならない」の思いでいっぱいである。ハッキリ国辱ものの数時間の中で、今井君が大キライになった1つ1つを、出来る限り克明に書き記しておきたい。
叫びたい
(怒りをコトバにかえ、今日はニャゴロワも叫ぶ)

 (1)まず何よりも、マスメディアの軽率さがキライ。何故あの時点であのテロップが出たのか、サッパリわからない。首相の発言は、「大震災への取り組みに一定のメドがついた段階で…若い世代の皆さんに責任を引き継いでいただきたい」。その次の瞬間、画面下の通常字幕にも、画面上のニュース速報にも「首相、退陣の意向を表明」のテロップが出た。
 ごく冷静に聞いていても、いま読み返してみても、首相のコトバに「退陣の意向」なんか微塵も感じられない。不誠実なニヤニヤ笑いから、そんなことは誰でも察することが出来る。「原子力発電所が冷温停止になるまで」と強弁すれば、いくらでも強弁できる程度のエゲツナイ延命発言に過ぎない。
 どう拙劣に要約しても「退陣の意向」はムリ。もし入試問題で「要約せよ」と言われたら、今井君は「退陣します」ではなくて「しがみつきます」としか要約できない。要するに、事前にメディアへのリークがあって、どのタイミングでテロップが流れるか、お互いにみんな知り抜いた出来レースだったのだ。
 その後、各新聞社が号外を出したのも、明らかに拙速。「首相、辞任の意向」って、正午からの代議士会での首相のどのコトバからそんな結論を導きだしたのか。各紙の判断基準を問いたい。
 「問いたい」って、たかが予備校講師がそんなこと言ったって、もちろん誰も相手にしてくれないだろうが、誰かがメディアを強引に操作して「ならば続投でもいいじゃないか」という一定の世論を醸成する意図があったと感じざるを得ない。
アタマをかかえる1
(あまりのことにアタマをかかえる)

(2)その直後、民主党代議士会では「続いて、質疑応答に移ります」のコトバとともに、画面で見る限り10名程度の手が挙がった。その中からいきなり鳩山氏、次に原口氏を指名した議長の長老・山岡氏がキライ。なぜ10名の中から、ノータイムでこの2名を選択したのか。他の議員は挙手したのになぜ無視され、しかもなぜ強硬に発言を求めなかったのか。
 これは完全に民主主義のニセモノである。自由に発言できるように見せかけて、実は最初からシナリオが決まっていた。手をあげても発言を許されないヒトと、優先してマイクが手渡されるヒトが、最初からハッキリ決められていたのだ。
 それは民主主義でも、自由でも、正義でもない。これこそが昨日ブログで書いたニセモノの自由。ニセモノの自由の蔓延に手を貸してきたメディアが、あの民主党代議士会の茶番に言及できなかったのも当然だ。
アタマをかかえる2
(アタマをかかえる・拡大図)

(3)「腹案がある」のハトどんvs「メドがついたら」のカンちゃんのファジーなお芝居がキライ。去年も腹案なんかなかったし、今年もメドなんか当分つきはしないのだ。
 「いまカンサンは重大な決意を述べられた」とフシギな要約をしたフクアンちゃん。「紙に書かれていないから、署名もしていないから、後からいくらでも言いくるめられる」と腹で笑っていた腹黒カンチャン。どっちが悪質かは明らかとして、どちらもウソを言っていた。
ナデシコも
(ナデシコだって、アタマをかかえる)

(4)鳩山腹案どんは、甘チャンすぎてキライ。いったん政界引退を表明したクセにノコノコ復活したことは、まあいいとしよう。「翻意」ということは誰にでもある。でも、いい年をして、署名を要求することもなく、しっかり確認もせず、ハンコも押させず、「おヤメになるとおっしゃった」「ウソはいけません」で済むような、一筋縄でいく正直な相手ではないことを見抜けない。
 きっと昔話に花が咲いて、情にほだされてダマされたのだが、それじゃ甘チャンの謗りを免れない。ウマくスルリと出し抜かれて後でホゾを噛むのでは、リア王みたいな甘チャンの典型。育ちのいいボッチャマをダマすなんて赤児の手を捻るようなものだったのだ。
 ただし今井君は、「甘チャン」というコトバを余り使ったことがない。初めて目にしたのは、駿台・奥井師の授業を受けたとき。何の教材だったか忘れたが、奥井先生の訳文で「私はかつて、その程度の甘チャンであった」というのがあって、「ほほお、古くさい訳語を使うヒトがいるもんだ」と舌を出したのを覚えている。今井君の受験生時代、おお、太古の昔であるね。
 うにゃ。話がそれてはイケナイ。しかしいくら何でも「口約束でしょ」「解釈に齟齬があった」「紙に書かれていない」「署名もしていない」「えー、そんなこと、一言も言ってないですゥ」「ハンコ、押しましたっけ?」でゴマカされ、うやむやにされて、「うそつき」「たいへん不快です」と地団駄を踏んでいるようでは、そりゃどうしたって甘チャンだ。
 悪質な不動産屋にダマされた学部生。美味しそうな投資話にマンマと出し抜かれた主婦。結婚詐欺に見事引っかかった中年男。「腹案のあるハトどん」の唖然とした表情は、まさにそういう風情。ああいうのを昔から「ハトが豆鉄砲を食らったみたいな」と表現するのである。
「メドがたったら、首相の座からお引き取りいただくということに、首相は『結構だ』と言った。卑怯で姑息なペテン師だ」
うーん。ダマされた後でミエを切るのはマコトにマヌケな話。その程度の甘チャンがシャシャリでて、悪質不動産屋の跋扈を許してしまった。
ふと考え込む
(ふと、考え込んでしまう)

(5)本会議が始まって、自民党の対案のない演説が全部キライ。不信任案とは要するに個人攻撃であるが、個人攻撃を個人攻撃と感じさせないテクニックがなければ、その演説は拙劣である。
 カエサル暗殺後のブルータス演説でさえ、個人攻撃に徹した退屈な演説では、聞かされるほうはみんな居眠りしてしまう。ましてや演者は大島どん。議場の半分は確かに眠っていた。
 「カンサン、あなたの問題点は8つある」。で、その8つを箇条書きにした大島副総裁の演説はあまりにも冗漫。3つ目ぐらいでアクビがもれ、5つ目で飽き飽きし、7つ目で味方からも「まだ、あるのかよ。しつこいね」の失笑がおきる。
 これは、演者の未熟と、演者選択のミス。せめて共感の呼べる風貌のヒトを選んで、選ばれたヒトはポイントを3つ程度に絞ろうじゃないか。戦術的に愚劣&拙劣すぎて、大キライ。激しい野次に我慢できなくて、演説しながら野次にいちいち反応してしまっていた態度も愚劣&拙劣。決然と1度だけ叱り飛ばすような、鬼気迫る気力&迫力が欠如している。
こういうことですか
(つまり、こういうことですか?)

(6)演壇で土下座のマネをした民主党ヤマノイ某は、あれは見苦しいの一言。感情や人情に訴えるのは、まあいい。カエサル暗殺後のアントニー演説タイプを狙ったわけだ。しかし比較にならないほど迫力に欠ける。勝利が裏取引で確定した後のデモンストレーションなら、被災者をダシにするのはヤメるべきだ。
 「ダシにする」の話ついでに、テレビ各局、新聞各紙とも、被災者をダシにして上から目線の報道をするのがキライ。あのカンサンが副代表格の民主党に「一度やらせてみよう」と、2年前に煽ったのはメディアの諸君。「辞任の意向」と早とちりして、腹黒い筋書きに手を貸したのもメディアの諸君だ。
 議場のテイタラクを前に「被災者はすっかり呆れています」「被災地では怒りの声が上がっています」まではいいとして「いったい、何をやってるんでしょうねえ、はあー」と嘆いてみせる資格はないはずだ。
 「はあー」はむしろメディアに突きつけられているのであって、2年前に煽りに煽ったテレビ雛壇芸人に対しても「はあー」であり「はあー」であって「はあー」である。(スミマセン、怒りと絶望が強烈すぎて、まだまだ明日に続きます。しつこさに呆れてください)。

1E(Cd) Harnoncourt:BACH/WEINACHTSORATORIUM1/2
2E(Cd) Harnoncourt:BACH/WEINACHTSORATORIUM 2/2
3E(Cd) 村田陽一&Solid Brass:DOUBLE EDGE
4E(Cd) 村田陽一&Solid Brass:DOUBLE EDGE
5E(Cd) Perlea & Bamberg:RIMSKY-KORSAKOV/SCHEHERAZADE
total m133 y460 d6425