Thu 110428 セビージャへ なぜ日帰り旅行を連続するか 首絞めちゃんとニセ警官どん | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 110428 セビージャへ なぜ日帰り旅行を連続するか 首絞めちゃんとニセ警官どん

 マドリード滞在8日目は、朝早く起きてセビージャに向かう。セビージャまでは、マドリード・アトーチャ駅から新幹線AVEで2時間半ちょっと。昨日日帰りしたコルドバのお隣だから、傍目から見ればこのスケジュールは何とも効率が悪い。一見、明らかに馬鹿げたルートである。
 例えば、東京から京都まで日帰りで旅行した翌日、東京から神戸に日帰り旅行をする、そういうヒトがいたら、誰だってポンと背中をたたいて、ニヤニヤからかってみたくなるだろう。「キミキミ、だったら京都か大阪か神戸に、ゆっくり1泊したほうがいいんじゃないの?」ということである。
セビージャ駅
(セビージャ駅)

 ところがそういう旅行の仕方は、旅慣れた今井君からみると、あんまり利口じゃないのだ。「つまりあなた、あのデカいスーツケースをいつもゴロゴロ転がして歩けって、そう言うんですか?」である。マドリードのホテルにスーツケースを置いたままにして、いつもほとんど手ぶらで身軽に歩き回る方が楽に決まっている。
 「だって、電車賃がかかるじゃないか」とも思うが、少々の電車賃より、スーツケースなしの手ぶら旅行の気楽さを優先する。何しろ、日本人を専門に狙う首絞め強盗と、日本人がお得意様のニセ警官とが、財布以上に「日本人のパスポート狙い」で横行しているというのだから、いつだってスタコラ優先。「ヤバくね?」と感じたら直ちにスタコラ作戦に出るには、重たいスーツケースは最悪のアイテムである。
セビージャ大学
(セビージャ大学。「カルメン」の舞台・旧タバコ工場である)

 しかも諸君、大事なことを忘れている。常にスーツケースをゴロゴロ転がしながらの旅行ということは、ホテルをチェックアウトするたびに荷造りをし、チェックインするごとに荷解きをしなければならない。せっかくの旅行で、毎朝毎晩スーツケース相手に格闘を繰り返し、荷造り→荷解き→荷造り→荷解きの連続では、ハッキリ時間の無駄である。
 というわけで、今井君の理想は1カ所滞在タイプ。荷解きは日本からの到着時に1回だけ。荷造りも、日本に帰る日の早朝に悲しい気持ちで溜め息をつきつつ1回だけ。そういう方針である。
 ホテルにチェックインしたら、ほとんど引っ越し当日のような気分で、まず歯ブラシ/ハミガキ/カミソリ/入浴剤/タオル/マウスウォッシュを浴室に整理。続いて、着替えのパンツとシャツと靴下をタンスに整理する。
 持参の食料も、こんなにたくさん海外旅行を繰り返していると、いつの間に一定してくる。でん六豆/グリーン豆/たまごスープ/ココナッツサブレ/みそ汁/うす焼きせんべい/お茶の詰め合わせ、そういうものを旅行用ポットとともに冷蔵庫の上にセット。割り箸に、カップに、プラスチックのスプーン&フォークも忘れない。これで15日の滞在はウィークリーマンション感覚になる。
スペイン広場
(セビージャ・スペイン広場)

 AVEのチケットを買うには、ホントはスペイン国鉄renfeの窓口にパスポートを提出しなければならない。ヨーロッパの多くの国で、旅行者はパスポートを常に携帯することを義務づけられていて、警察官に提示を求められて提示を拒めば、厳しく拘留される可能性だってある。
 そこにつけ込むのが「ニセ警官」である。警官そっくりのコスチュームで現れ、駅とかバスターミナルでキョロキョロしている観光客に、「パスポート、パスポート」と要求するわけだ。もし彼がホンモノなら、提示を拒めば逮捕されかねないし、異国の地で暢気に逮捕なんかされるわけにはいかないから、仕方なくパスポートを手渡すことになる。
 ニセ警官自身がイチロー顔負けの韋駄天で、手渡されたパスポートを手に脱兎のごとく走って逃走する場合もある。しかし多くの場合は3~4人でグルになっていて、パスポートは次から次へと韋駄天たちの手にわたり、あっという間に誰が持っているのかわからなくなってしまう。
 当然のことだが、韋駄天たちはクモの子を散らしたように四方八方に散らばるから、哀れな日本人旅行者は天を仰いで不幸を嘆くしかない。彼に残されるのは、スーツケースと言う足枷だけである。
 むかし代ゼミで「訳文を添削してください」というマジメな生徒がきて、ノートには「蜂の子を散らすように逃走した」とあった。諸君、「蜂の子」はウネウネうごめくばかりで(この場合「ピクピクうごめく」でもいいが、余りにオゾマしいのでウネウネにしておく)、なかなか四方八方に散らばったりしない。クモとハチを間違っただけで意味不明になるから、訳文を書く時はイヤが上にも要注意。大学教官の笑い者になるのだけは気をつけたまえ。
カテドラル
(セビージャ、カテドラルとヒラルダの塔)

 さて、パスポートに話を戻すと、こうして暢気な日本人ばかりが、そこいら中で狙いを付けられ、そこいら中で見事にしてやられ、そこいら中で天を仰いで絶望ばかりしているものだから、とうとう当局者も呆れ果て、ヨーロッパ各地で「日本人だけの特例」が作られることになった。
「日本人に限り、パスポート本体を持ち歩く必要はない。コピーでOK。カラーコピーならなおのことOK」
という特例措置である。おお、ありがたい。ありがたき幸せである。ただし、何だかバカにされているような、コドモ扱いされているような、「キミたちは絶望しやすいから、特別でちゅよ」となだめすかされているような、寂しい気持ちにならないこともない。
 ユーレイルパスに該当する鉄道パスとしては「スペイン・ポルトガル鉄道パス」みたいなものがあるけれども、今井君はあまり鉄道パスを持ち歩かない。「今、自分はパスポートをポケットに入れている」という精神的重圧を嫌うからである。
 鉄道パスは、パスポート本体を持参することが原則、コピーではダメなので、「ボクを、狙ってちょ」「今ボクは、ポケットにキミたちがほしがる品物を持ってまちゅよ」と誇示しながら、イベリア半島を闊歩することになる。
 そういう勇気は、今のボクチンにはない。もともと、たった1週間足らずのパスでは、金額的に大した得にもならないのである。2005年、ヨーロッパを40日に渡って闊歩したときのユーレイルパスは役立ったが、短期の滞在に鉄道パスは無用の長物である。
ヒラルダからの風景
(ヒラルダの塔上から見たアンダルシアの風景)

 こうして、朝8時半にアトーチャをでて、セビージャには11時前に到着。セビージャ大学、ヒラルダの塔、アルカサル、その庭園、本来ならとても日帰りでは済まないほど、見るべき場所は多い。しかも諸君、今井君はここでもまた大酒を飲もうと決めているのである。

1E(Cd) Incognito:FUTURE REMIXED
2E(Cd) Incognito:ADVENTURES IN BLACK SUNSHINE
3E(Cd) Incognito:WHO NEEDS LOVE
4E(Cd) Incognito:NO TIME LIKE THE FUTURE
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