Sun 110424 浅草の床屋へ jimiestな床屋さんが大好きだ 浅草のドジョウ屋に入る | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 110424 浅草の床屋へ jimiestな床屋さんが大好きだ 浅草のドジョウ屋に入る

 4月26日のサトイモどんは、昼から浅草に出かけることにした。今日はその話を書くので、マドリード紀行の最終盤2日分は、残念ながら明日以降に持ち越しである。
 よく晴れた上に、ほっかほかの南風が吹き込んで、東京の気温はみるみる上昇。昼過ぎには25℃近くまで上昇して、節電のため空調の止まった地下鉄・銀座線の蒸し暑さは、どうも暑がりのサトイモどんには、そろそろ限界、4月ですでに煮えそうだ。それでも地下鉄内には、コートを着た男性やらマフラーをした女性やら、まさに多種多様、いろんなヒトがいらっしゃる。
観音通りのニャゴロワ
(浅草・観音通りのニャゴロワさん)

 「何で浅草なの?」といえば、「毛刈りのため」である。毛刈りとは、もちろん床屋のこと、丸刈りにしている関係上、1ヶ月に1回は毛刈りにいかないと、あっという間に亀の子タワシみたいになってしまう。
 そのとき問題なのは、今井君が言語道断に気難しいことである。コドモの頃から気に入った床屋さんを見つけるのに苦労ばかりしていて、好きな床屋さんがなかなか見つからない。
 2月末だったか、春日部「ラホール」にカレーを食べに行った帰りに偶然立ち寄った浅草の床屋さんが、珍しく1回でとても気に入ってしまった。だからこの2~3か月、「これからは絶対、浅草ね!!」と周囲にもその決意を熱く語っていた。
 そういうわけで、たかが毛刈りのために、ご苦労千万にも代々木上原から地下鉄を乗り継いで40分、はるばる浅草まで出かけて行く。言語道断に気難しいクマであり、歴史上最もワガママなサトイモである。
たつみや
(浅草、ドジョウのたつみ屋。東南と書いて「たつみ」と読む)

 しかし諸君、たかが床屋と言うかもしれないが、1ヶ月に1回1時間、1年に12回12時間、80年生きるとすれば960時間。合計40日分を床屋さんで過ごすのだ。気難しく店の選択をしないのは、それこそ怠惰な態度と言わざるを得ない。
 先月は妥協して世田谷の床屋に入り、バリカンが充電式のせいで毛刈りに迫力が感じられず、「もうあの店はイヤだ」と一人で駄々をこねた。うーん、あの怠惰な妥協が、どうしても悔しいのだ。筋力バリバリであるべきバリカンが、充電式で弱々しくメソメソ言ってるなんて、どうしても許せない。
 では、サトイモさんがそうまで厳選した浅草の床屋さんとは、いったいどんな絶品の床屋なのか。おそらく、みんなひっくり返ってしまうほどの地味&地味な床屋さんでしかない。jimiを規則活用して、jimi<jimier<jimiest。間違いなく最上級jimiestに該当するような、超地味バーバーなのだ。
 今井君が気に入ったのは、「主人が無口だ」という一点である。無駄なことは一切シャベらない、世間話の「せ」の字もない、ホントに寡黙なヒトなのだ。やはりkamoku<kamokuer<kamokuestと規則活用して、明らかに最上級kamokuestの栄冠に輝くヒトである。
たつみやのお福さん
(浅草、たつみ屋のお福さん)

 ラジオはかかっているが、聞こえないほど音量は低く抑えている。店は浅草の地下鉄駅構内であるから、電車の走る音と乗客の靴音とだけが遠くから響いて、あとはリズミカルなハサミの音と、よく研がれた剃刀が滑る音と、バリカンの乾いた音とが心地よく混じりあって、「おお、自分は床屋にいて、人生40日分のいくつかを満喫しているんだな」と実感できる。おお、気難しいイモである。
 しかしせっかく暑苦しい思いをして浅草まできたのだから、何か浅草らしいこともして帰りたい。世間的に見て、「浅草に来て浅草寺に行かなかった」「雷門を見なかった」というのは、「箱根に出かけて温泉に入らなかった」「銭湯に行って湯船につからなかった」「パリに行ってルーブルに入らなかった」のと同レベル。善良な世間サマに楯突く、許しがたい反逆行為と言われてしまう。
ドジョウの水槽
(浅草、たつみ屋のドジョウの水槽。こりゃ食べていくしかありません)

 今井君の100倍も気難しい内田百閒なら、おそらくこのまま帰るのである。「浅草に来たから浅草らしいことを」とか、そんな軟弱なことを言って浅草寺だの雷門だのにイソイソ出かけるようなヤカラについては、百閒先生は例の長い顔を歪めて鼻で笑いとばし、ホントに鼻息で吹き飛ばしてしまう。そうしておいて、5年も経過してから、絶品の随筆の中でもう一回笑い飛ばす。百閒先生は、実にイヤミなガンコじいさんなのだ。
 そこで、そこまでイヤなガンコじいさんになりきれていない今井君は、浅草に到着するなり、まず手近なドジョウ屋に入った。浅草観音通り「たつみ屋」である。床屋さんは逃げていかないから、後回しにできることは、後回しにすればいい。

1E(Rc) Darati & Detroit:STRAVINSKY/THE RITE OF SPRING
2E(Cd) 東京交響楽団:芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽・エローラ交響曲
3E(Cd) デュトワ&モントリオール:ロッシーニ序曲集
4E(Cd) S.フランソワ& クリュイタンス・パリ音楽院:ラヴェル/ピアノ協奏曲
5E(Cd) Paco de Lucia:ANTOLOGIA
total m107 y301 d6266