Fri 110401 地下鉄の薄暗さを絶賛 相互乗入中止もいいね 暑がりません、克つまでは
4月7日、とてもよく晴れて、東京の気温は20℃を超えた。昼11時ずぎ、代々木上原から地下鉄千代田線に乗って、日比谷に向かった。大震災以来、地下鉄の構内は照明が半分で薄暗くなったが、この薄暗さが妙に懐かしい。おお、これはまさにヨーロッパの地下鉄の気分である。
パリでもロンドンでも、マドリードでもバルセロナでも、ベルリンでもリスボンでも、ウィーンでもブダペストでもプラハでも、地下鉄というものは、本来どこでもこのぐらい薄暗い。今までが明るすぎたので、何もスミズミのゴミまでシッカリ目に見えるほど煌煌と照らす必要はない。
せっかくだから、できれば車内アナウンスもヨーロッパ並みに遠慮がちにやってほしい。日本の車内アナウンスがどれほどウルサイか、このブログで2年半、事あるごとに書き続けてきた。
一つ一つの放送に悪意なんか一切ないのだ。しかし
「あれも放送しなくちゃ」
「これも放送した方がよくないか」
「すべてはお客様の便宜のために」
という善意に善意が重なって、ほとんどミルフィーユ状態。今や東京の地下鉄は、始発駅を出て終着駅に着くまで、止むことのない車内放送が続く。線路はどこまでも続いていいが、「放送はつづくよ、どこまでも」では困るのである。
特に、東京メトロのアニメ声の録音放送、あれはヤメにした方がいい。「節電のため」などという高尚なことではなくて、「放送を多くすればするほどサービス向上だ」という誤解がこれ以上蔓延するのは、日本のためにならない。
電車の中は、読書するか、「何もしない」をするか、ほのぼの会話するか、百歩ゆずってスマホいじりに励むか、そういう場所であるべきだ。車内放送があれほどウルサイのでは、そのどれ一つにも熱中しにくいじゃないか。
電車が動き出せば、まず「お待たせいたしました」。懇切丁寧な乗り換えのご案内。「電車とホームの間が広くあいている」「だから、足許に気をつけなければならない」というご注意。続いて、ほぼ同じ内容を英語放送でご案内。録音の定型放送がやっと終わると、今度は車掌さんの肉声での放送が、再び「お待たせいたしました」で、録音アニメ声と同じ内容を繰り返す。
「おお、終わった」と思う間もなく駅に到着。停車中は駅の構内放送が延々と何やら怒鳴り立て、発車が近づけばホームのベルが鳴り、構内放送が「閉まるドアに気をつけなければならない」と注意を促し、ドアどんたちもピンポン&ピンポン騒ぎだす。
(東京メトロ、車内マナー向上を呼びかけるポスター)
ドアが閉まれば、再びアニメ声。ところが、それをいったん止めてでも、車掌の肉声放送が、差し迫った危険を告げる緊張した声で「駆け込み乗車が、なぜ危険なのか」を説明にかかる。
「ドアが閉まりかけてから駆け込み乗車をなさいますと、思わぬケガをなさることがございます。また、電車の遅れにもつながり、他のお客様のご迷惑になることがございます。たいへん危険ですから、ドアが閉まりかけてからの駆け込み乗車は、絶対におヤメください」
である。
ご丁寧に「皆様のご理解とご協力をお願いいたします」もくっついて、まさに車内放送♡満艦飾。おやおや、と思っていると、アニメ声再開。これほどご丁寧な電車は、世界中どこへ行ってもなかなか見かけることがない。
「節電にご協力」をいい機会に、この過剰放送を見直して、もっと静かな車内環境を目指してもらいたい。車内放送風に言えば
「過剰な車内放送をなさいますと、車内でのケータイ電話ご使用よりも、もっと騒がしい環境となり、お客様全員のご迷惑になります。また、騒々しさが原因で、お客様の気分も悪くなる恐れがあります。地下鉄当局者の皆様のご理解ご協力をお願いいたします」
というところか。
実は、今井君がいま危惧しているのは、中国語と韓国語での車内放送の開始である。JR九州では始まってしまった。東京の地下鉄だって、駅名表示には中&韓の文字がすでにチャンと入っている。日本語と英語だけでもこれほど騒々しいのだ。ここにもう2カ国語プラスになれば、そりゃもう、車内での読書なんか、夢のまた夢になってしまう。
余計な相互乗り入れが中止になったのも、懐かしいと言えば懐かしかった。都営新宿線はみんな笹塚までで、乗客は一斉に京王線に乗り換え。千代田線もみんな代々木上原止まりで、乗客はこれまたこぞって小田急線に乗り換える。
やっぱりどの路線も「こぞって」がいいじゃないか。何でもかんでも思いつきで路線をつなぎ放題つないでしまい、もう乗客も、何が何だかわからない。運転する側も
「神奈川の人身事故で、埼玉でも運転見合わせ」
「栃木の信号故障で、横浜の電車が立ち往生」
「千葉で突風が吹いたせいで、町田の電車が動かない」
そういうメンドクサイことでひたすら頭を下げなくていいのは、かえってスッキリしていていいじゃないか。
要するに、30年昔に帰ったのだ。駅は薄暗くてヨーロッパ並み、それでもさすがにマルセイユの地下鉄ほどコワくはない。相互乗り入れの多くも中止で、おばあちゃんにもおじいちゃんにもわかりやすい路線図が復活。これで節電になるなら、そんな悲観的な顔をしている必要なんかないような気がする。
(千鳥ヶ淵は8分咲きだった)
とは言え、今の東京都内の地下鉄はたいへんな蒸し暑さである。節電ということで、空調は「切」の設定にしているのだと、車内放送が入る。千代田線も、半蔵門線も、銀座線も、このごろ乗った地下鉄は4月上旬の段階ですでに、「蒸し暑さ、別世界」である。
暖房を入れたから、あるいは暖房を切っていないから、それで熱いというのではない。空調が『切』の設定になっているから、蒸し暑い。春のコートのお姉さんたちも、いまだにスーツに真冬のコートのオジサマたちも、大汗をかき両手で顔を煽ぎながら、目的地到着をひたすら待ちわびる。欧米人注目&絶賛の「忍耐強い日本人」「暑さ何するものぞ、の大和魂」、今や満開の桜以上に全開になっている。
しかし、おお、この状況が特に改善されないまま、電力不足の夏が迫る。「猛暑に向かって国民総攻撃」「暑がりません、克つまでは」になりそうだ。暑がりクマ蔵としては、相当の覚悟をもってこの夏に臨まなくてはならないようである。
1E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBELIUS/SYMPHONIES 3/4
2E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBELIUS/SYMPHONIES 4/4
3E(Cd) Münchinger:BACH/MUSICAL OFFERING
4E(Cd) Münchinger:BACH/MUSICAL OFFERING
total m4 y198 d6163
パリでもロンドンでも、マドリードでもバルセロナでも、ベルリンでもリスボンでも、ウィーンでもブダペストでもプラハでも、地下鉄というものは、本来どこでもこのぐらい薄暗い。今までが明るすぎたので、何もスミズミのゴミまでシッカリ目に見えるほど煌煌と照らす必要はない。
せっかくだから、できれば車内アナウンスもヨーロッパ並みに遠慮がちにやってほしい。日本の車内アナウンスがどれほどウルサイか、このブログで2年半、事あるごとに書き続けてきた。
一つ一つの放送に悪意なんか一切ないのだ。しかし
「あれも放送しなくちゃ」
「これも放送した方がよくないか」
「すべてはお客様の便宜のために」
という善意に善意が重なって、ほとんどミルフィーユ状態。今や東京の地下鉄は、始発駅を出て終着駅に着くまで、止むことのない車内放送が続く。線路はどこまでも続いていいが、「放送はつづくよ、どこまでも」では困るのである。
(皇居大手門付近の枝垂れ桜。千代田のお城も、地震で壁が一部崩れたままだ)
特に、東京メトロのアニメ声の録音放送、あれはヤメにした方がいい。「節電のため」などという高尚なことではなくて、「放送を多くすればするほどサービス向上だ」という誤解がこれ以上蔓延するのは、日本のためにならない。
電車の中は、読書するか、「何もしない」をするか、ほのぼの会話するか、百歩ゆずってスマホいじりに励むか、そういう場所であるべきだ。車内放送があれほどウルサイのでは、そのどれ一つにも熱中しにくいじゃないか。
電車が動き出せば、まず「お待たせいたしました」。懇切丁寧な乗り換えのご案内。「電車とホームの間が広くあいている」「だから、足許に気をつけなければならない」というご注意。続いて、ほぼ同じ内容を英語放送でご案内。録音の定型放送がやっと終わると、今度は車掌さんの肉声での放送が、再び「お待たせいたしました」で、録音アニメ声と同じ内容を繰り返す。
「おお、終わった」と思う間もなく駅に到着。停車中は駅の構内放送が延々と何やら怒鳴り立て、発車が近づけばホームのベルが鳴り、構内放送が「閉まるドアに気をつけなければならない」と注意を促し、ドアどんたちもピンポン&ピンポン騒ぎだす。
(東京メトロ、車内マナー向上を呼びかけるポスター)
ドアが閉まれば、再びアニメ声。ところが、それをいったん止めてでも、車掌の肉声放送が、差し迫った危険を告げる緊張した声で「駆け込み乗車が、なぜ危険なのか」を説明にかかる。
「ドアが閉まりかけてから駆け込み乗車をなさいますと、思わぬケガをなさることがございます。また、電車の遅れにもつながり、他のお客様のご迷惑になることがございます。たいへん危険ですから、ドアが閉まりかけてからの駆け込み乗車は、絶対におヤメください」
である。
ご丁寧に「皆様のご理解とご協力をお願いいたします」もくっついて、まさに車内放送♡満艦飾。おやおや、と思っていると、アニメ声再開。これほどご丁寧な電車は、世界中どこへ行ってもなかなか見かけることがない。
「節電にご協力」をいい機会に、この過剰放送を見直して、もっと静かな車内環境を目指してもらいたい。車内放送風に言えば
「過剰な車内放送をなさいますと、車内でのケータイ電話ご使用よりも、もっと騒がしい環境となり、お客様全員のご迷惑になります。また、騒々しさが原因で、お客様の気分も悪くなる恐れがあります。地下鉄当局者の皆様のご理解ご協力をお願いいたします」
というところか。
実は、今井君がいま危惧しているのは、中国語と韓国語での車内放送の開始である。JR九州では始まってしまった。東京の地下鉄だって、駅名表示には中&韓の文字がすでにチャンと入っている。日本語と英語だけでもこれほど騒々しいのだ。ここにもう2カ国語プラスになれば、そりゃもう、車内での読書なんか、夢のまた夢になってしまう。
(千鳥ヶ淵には、中高年が圧倒的に目立つ。若い諸君もどんどん花見に出たまえ)
余計な相互乗り入れが中止になったのも、懐かしいと言えば懐かしかった。都営新宿線はみんな笹塚までで、乗客は一斉に京王線に乗り換え。千代田線もみんな代々木上原止まりで、乗客はこれまたこぞって小田急線に乗り換える。
やっぱりどの路線も「こぞって」がいいじゃないか。何でもかんでも思いつきで路線をつなぎ放題つないでしまい、もう乗客も、何が何だかわからない。運転する側も
「神奈川の人身事故で、埼玉でも運転見合わせ」
「栃木の信号故障で、横浜の電車が立ち往生」
「千葉で突風が吹いたせいで、町田の電車が動かない」
そういうメンドクサイことでひたすら頭を下げなくていいのは、かえってスッキリしていていいじゃないか。
要するに、30年昔に帰ったのだ。駅は薄暗くてヨーロッパ並み、それでもさすがにマルセイユの地下鉄ほどコワくはない。相互乗り入れの多くも中止で、おばあちゃんにもおじいちゃんにもわかりやすい路線図が復活。これで節電になるなら、そんな悲観的な顔をしている必要なんかないような気がする。
(千鳥ヶ淵は8分咲きだった)
とは言え、今の東京都内の地下鉄はたいへんな蒸し暑さである。節電ということで、空調は「切」の設定にしているのだと、車内放送が入る。千代田線も、半蔵門線も、銀座線も、このごろ乗った地下鉄は4月上旬の段階ですでに、「蒸し暑さ、別世界」である。
暖房を入れたから、あるいは暖房を切っていないから、それで熱いというのではない。空調が『切』の設定になっているから、蒸し暑い。春のコートのお姉さんたちも、いまだにスーツに真冬のコートのオジサマたちも、大汗をかき両手で顔を煽ぎながら、目的地到着をひたすら待ちわびる。欧米人注目&絶賛の「忍耐強い日本人」「暑さ何するものぞ、の大和魂」、今や満開の桜以上に全開になっている。
しかし、おお、この状況が特に改善されないまま、電力不足の夏が迫る。「猛暑に向かって国民総攻撃」「暑がりません、克つまでは」になりそうだ。暑がりクマ蔵としては、相当の覚悟をもってこの夏に臨まなくてはならないようである。
1E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBELIUS/SYMPHONIES 3/4
2E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBELIUS/SYMPHONIES 4/4
3E(Cd) Münchinger:BACH/MUSICAL OFFERING
4E(Cd) Münchinger:BACH/MUSICAL OFFERING
total m4 y198 d6163