Wed 110330 大きな余震と重苦しい徒労感 さあこれからと思ったのに 下北沢講演会 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 110330 大きな余震と重苦しい徒労感 さあこれからと思ったのに 下北沢講演会

 昨夜(4月7日)遅く、またもや大きな地震が発生して、仙台の実家にも被害があった。本震時と比較すれば、実家の被害はあくまで軽微なものである。3月11日の本震ではことごとく倒れてしまった家具類もとりあえず無事だったし、電気もガスも水道も全て無事であった。
 しかし「実家の被害は軽微」で済んだが、マグニチュード7.4、死者4人負傷者140人以上、これは巨大地震である。これを「余震です」と言って涼しい顔で済ませてしまっていいのか。さらに、本震での仙台市の震度を、これからでも決して遅くない、震度7にでも8にでも訂正すべきではないのか。
 昨夜の余震のもたらした「また?」という徒労感は大きく、重い。実家でも、大震災から1ヶ月を費やしてやっと元の位置に戻した家具が、食器戸棚も本棚も、昨日の地震の揺れで再び大きく移動してしまった。ガラスや瀬戸物類がたくさん割れて、せっかく掃除を終えた床に、再び破片が散乱した。またまた大掃除の開始である。
 整理し直した本棚の書籍が床に落ちて、これもまた散乱。柳行李に詰め込んで応急整理しておいた文庫本の山は、苦心の末にようやく取り戻した秩序を失って、もろくも崩落した。さすがの快傑ババサマも、さっき電話したところでは、重苦しい徒労感に負け、思わず座り込んでいる様子であった。近いうちにクマ蔵も、再び宮城県仙台に足を運ぶことになりそうだ。
 仙台に入るのは、今もなおカンタンではない。新幹線は、もちろん不通のまま。実家近くの長町駅付近で急停車した1編成は、すでに1ヶ月立ち往生したまま動けない。昨夜の巨大余震で仙台駅にまた被害があったから、「4月下旬には全線開通」と復旧予定が大きく新聞の見出しになったのに、空しく延期されてしまう可能性がある。
 こういうところにも「せっかくここまで立ち直ったのに」という徒労感が溢れてしまう。電話で尋ねたところでは、昨日あたり、仙台の人たちには笑顔が戻っていたのだそうだ。知らないどうしでも声を掛け合い
「もう、余震はほとんど収まりましたね」
「片付けも順調に進んで、家の中も元に戻りましたね」
「さあ、いよいよ、これからですね」
「がんばりましょう」「がんばりましょう」
と、笑顔で挨拶を交わすようになっていたと言うのだ。それなのに今日は「さあこれからという矢先に、元の木阿弥になっちゃった」と深い溜め息をついている。唯一、羽田から仙台空港への空路が開いたのが今日の明るい話題。山形からでは、さすがに遠すぎた。仙台空港なら、タクシーを使っても3000円もあれば仙台市内に入ることができる。
下北沢1
(下北沢での講演会 1)

 さて、3月22日の下北沢講演会の記録をキチンと書いておかなければならない。翌日23日には、被災後初めての仙台入りが控えていた。下北沢に出かける前に、スーツケースいっぱいに物資をつめこんで、その重さにビックリしていた。米とキャベツとリンゴとインスタントみそ汁と、そういうものが集まると20kgを軽く超えてしまうのである。
 当日の下北沢は、弱い雨模様。「傘が必要かどうか、微妙」という程度だったが、何しろ連日の放射能報道で怯えていた頃である。「怯えていた」というのは正しくない。放射能のことに無知な今井君の頭は、見えないものを怖がるほど精緻に出来ていない。全然コワくないと言うより、怖がる能力が欠けたのんきグマなのである。
下北沢2
(下北沢での講演会 2)

 それでも、テレビに出演する偉い学者先生たちが、せっかくこぞって「安全なレベル」「直ちに影響があるわけではない」と口を揃えてくれているのに、暢気な今井グマにも気づかせてあげようと手ぐすね引いている人たちも少なくなくて、雑誌やらネットやらで収集してきたいろんな情報を組み合わせて、怖がらないクマどんを啓蒙しようとする。
 しかしクマどんの暢気さも鷹揚さも今や無限大であって、滅多なことでは震え上がったりはしない。そういう情報を1つ1つマジメに受信して震え上がっていると、放射能より何より、ストレスで命が危険にさらされかねない。
 最初だけ「お、頼れるヒトだな♡」と人気が急上昇したのに、あとは何だか情報隠蔽の象徴みたいにされてしまった枝野官房長官だって、のんきに聞いていれば、ホントのこともきっといくつか言っている。
 保安院の例の日に焼けた笑顔のオジサンだって、メディアの話題はむしろ彼自身の頭のてっぺんあたりに集中しているのであって、「ウソばかり言ってる」みたいな言い方は酷すぎる。彼らの言葉と態度から、ホントの部分だけを聞き取る能力と鷹揚さを持てばいいのだ。
下北沢3
(下北沢での講演会 3)

 下北沢での講演会、19時半開始、21時半終了、出席者100名弱。三軒茶屋校、渋谷校、自由が丘校、この辺りは屈指の高級住宅地であって、決して「おとなしい」というのではないが、いかにも上品なムード。笑いも最初のうちは抑え気味、あくまで穏やかな感じの「笑い♡さざめき」である。
 それが30分経過し、60分経過して、授業にホントの熱が入ってくると、上品な雰囲気の中からワイルドなやる気が正面にグッと姿を現して、おお、あとは一気呵成にクライマックスに登りつめていく。この春、35回のうち3回が大震災のせいで中止になってしまったが、合計32回の講演をこなした。その締めくくりとして、まさに最高の出来になった。
下北沢4
(下北沢での講演会 4)

 終了後、一昨年の生徒で「昨年から下北沢校で助手をしています」という女子が挨拶にきた。昨年の生徒で、横浜国立大学に進学が決まったという男子もきてくれた。彼ら彼女らと話しながら、今井君が力説したのが「これからの1ヶ月がどれほど重要か」。大学1年でも2年でも、「春休みにどれほど努力したか」が、その後を大きく左右する。
 本来なら、「この1ヶ月で、アナタとして前代未聞なぐらい、英語を思い切りやってみたまえ」と説くところであるが、今年はもちろん状況が違う。早稲田も慶応も新学期の始まりは5月にずれ込むとのこと。ならば、若い諸君が今年の春に全力を尽くすべきことは、怖がる能力のない愚かなクマ蔵なんかがいちいち言わなくても、誰にでも明らかなはずである。

1E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBELIUS/SYMPHONIES 2/4
2E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBELIUS/SYMPHONIES 2/4
3E(Cd) Madredeus:ANTOLOGIA
4E(Cd) Walt Dickerson:SERENDIPITY
total m72 y190 d6155