Thu 110324 京都で講演会 優秀な雰囲気も大好き このヒト、ホントのことを言っている | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 110324 京都で講演会 優秀な雰囲気も大好き このヒト、ホントのことを言っている

 3月20日、17時に東進スタッフと待ち合わせ、いったん東進の京都駅前校に入った。いまや京都駅は、南の八条口も、北の烏丸口も、どこを向いても塾と予備校だらけ。他に目立つのは電気量販店と巨大スーパーであって、少なくとも駅前に「奥ゆかしい古都の面影」はほとんど見当たらない。
 京都駅前校は、京都で一番有名な中学受験塾・成基学園が母体である。「京都で中学受験するならココ」の名門塾として、全国的に有名、現在の実績もトップ。京都周辺で有名中学受験を目指すということになれば、何と言ってもまずこの塾の門をたたく。
 そういう中学受験塾が母体だから、大学受験の年齢になっても、優秀な生徒たちがみんな戻ってきてくれる。昨年2月もそうだったが、今年の今井講演会も「京都大学と大阪大学志望者が主体」という、なかなかの高級ムードが溢れている。
 今井君も、もともと駿台お茶の水本部校舎で「東大スーパークラス」を何年にもわたって担当してきたツワモノである。優秀な生徒が集結した雰囲気は大好き、「お手のもの」「任しといてください」である。講演会前に講師室を訪れてくれた男女6名の生徒諸君も、態度も言葉遣いもたいへん素直で、今井のバカ話に付き合う余裕の表情は、風格さえ感じさせるほどである。
京都1
(京都で講演会 3月20日)

 予備校講師になりたての頃の今井君は、「高学力層を担当すること」に夢中になっていた。「東大クラス」「医学部クラス」、それがダメでも「早慶上智クラス」。そこを担当するのが一流のステイタスと信じていたし、予備校の経営陣も、時間割作成時には人気講師を、まず高学力クラスに配置する。講師の多くが、いまだにそういう感覚でいるはずだ。
 「私大文系」「地方国公立クラス」みたいな中間層の庶民的クラスを人気講師に依頼するとき、経営側は「ホントにスミマセン」「申し訳ありません」「お願いできますでしょうか」と謝罪しながら頼み込む。講師の方も「仕方ありませんね」「どうしても、ということなら、まあ」「うーん、今回だけなら、我慢しますか」と、いかにも「渋々」という態度で承知する。
 さらに言えば、そういうクラス担当を承知しながら、「もしかして、自分の立場がマズいんじゃないか」「人気が落ちてきてるんじゃないか」「クビの危機が迫ってるかも」と不安になり、同僚を酒か食事に誘って、愚痴をこぼす。「オレって、そろそろダメなのかな。一般私大文系クラス担当だって」。同僚も「お、気をつけた方がいいな」と、心配げに酒を注いだりする。
京都2
(クマ蔵、京都でいつも以上に熱く語る)

 かく言う今井君は、代ゼミに移籍したあたりから、高学力層を担当することに余りこだわらなくなった。むしろ、高学力層担当にこだわる講師が、時代遅れに思えるぐらいだ。
「優秀な生徒って、別にこのクマ蔵が教えなくても、自分でどんどん勉強して、自分で進路を切り開いていくじゃないか。そういうクラスの担当は、教える力のまだ未熟な、始めたばかりの若手講師でいいんじゃないか」
「むしろ、英語学習に苦労している学力層に力を傾注すべきなんじゃないか。今井君独特の異様にわかりやすい授業をホントに必要としているのは、そういうゾーンの生徒たちなんじゃないか」
という意見に変わったのが、10年ほど前。「B組」や「C組」の生徒たちの表情が、授業が進むにつれて自信に満ちていく様子は、胸のすく思いであった。
京都3
(熱く語りすぎて、暑さに袖をまくる)

 しかし、この日の京都駅前校のように「京都大学と大阪大学の志望者ばかり200名集まりました」ということになれば、駿台時代の今井君にたちまちタイムスリップして、高級感溢れる授業を展開することに、ちっとも困難を感じない。楽しくて楽しくてたまらない。目の前の生徒たちの様子に合わせて、まさにカメレオンのように巧みに七変化するのである。
 京都駅前校の講演会、19時半開始、21時終了、出席者230名。会場は昨年と同じ「キャンパスプラザ京都」。新しくてとてもキレイな会場だが、「満員になっても補助椅子を入れることは厳禁」。外の雨にも関わらず、予定以上に生徒が集まってしまい♡♡♡、最初から20名ほどの立ち見が出た。90分に渡ってクマ蔵の授業を立ちん坊のまま聞いた諸君には、申し訳ないことをした。
 この夜の大喝采は、いつもに増して嬉しかった。来てくれた生徒諸君の中に「今井の実家が仙台で、津波もスレスレ、家中メチャメチャらしい」と知っていたらしいヒトもいたし、今井自身の消息を案じてくれたヒトも存在したのである。
京都4
(最後に花束をもらい、思わず泣きそうになる)

 この夜、今井が説いたのは
「難問が出題されるからと言って、1年間難問に苦しみ呻吟し続けることの愚かさ」
「難問が出題されるからこそ、夏までは基礎力を徹底して研ぎすますことの重要性」
要するに、単語をたくさん精密に記憶することと、平易な例文を飽きるほど音読して英語を血液にしてしまうこと。「和文和訳」だの「こなれた日本語」だの、関西の受験界に長年トグロを巻いている古くさい迷信から、出来るだけ早く脱却することである。
 「迷信からの脱却」は、優秀な生徒ほど大きな困難を感じるものである。今までその迷信どおりにやって、高校のセンセイたちに褒められ、予備校の講師たちにも褒められ、試験の成績も悪くなかったのである。
 「ケッコ、うまくいっている」のに、そこへ得体の知れないクマ男が舞い降りて、「和文和訳も、こなれた日本語も、愚かな迷信に過ぎない。早くそこから脱出しなさい」と警告する。そこに発生しがちなのは、反感であり、反発であり、猜疑心である。中途半端に優秀な子供たちの反発と猜疑心は、すぐさま「失笑」「冷笑」「何様のつもりだよ」の類いの拒絶の態度に直結する。
 ところが、この日の京都も昨年と同様、230名の生徒たちの表情には大きな感動が感じられ、拍手の大きさも大爆笑の頻度も、普段の今井講演会をさらに凌ぐものになった。というより、「このヒト、反発も拒絶も恐れずに、あくまでホントのことを、勇気を持って説いているんだな」と、心の底から理解してくれた、暖かくて&熱い反応だったのである。

1E(Cd) Reiner & Wien:VERDI/REQUIEM 2/2
2E(Cd) Mravinsky & Leningrad:SHOSTAKOVICH/SYMPHONY No.5
3E(Cd) Maggini String Quartet:ELGAR/STRING QUARTET in E MINOR & PIANO QUINTET in A MINOR
4E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 1/2
total m48 y166 d6131