Wed 110309 実家が被災地域のど真ん中 家具はひっくり返ったまま とにかく片付ける | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 110309 実家が被災地域のど真ん中 家具はひっくり返ったまま とにかく片付ける

 3月17日、異様に寒い日で、晴れてはいたけれども、昨日からの強風が今日も吹き荒れていた。仙台の実家は、被災から1週間。割れたガラスと瀬戸物を片付け、何とか生活できる部屋を一部屋だけ確保して、大人しくしゃがんでいるだけなら、まあ不自由はないのだという。
 被災地域のど真ん中なのに、電気も復旧、水道も復旧。あと来ないのはガスだけだというのだから、ライフラインはほぼ大丈夫である。仙台は寒いところで、今朝は気温が氷点下まで下がったらしいが、暖房はうまく機能しなくても、電気の明かりがあるだけで、いくらか暖かい気分になるのだそうだ。
 問題は、食料である。大地震に遭遇したのが、スーパーマーケットのレジに並んでいる最中だったというから、まさに目の前のカゴに食料と飲料が満載されている状況。それを全部置き去りにして、遠い津波を逃れ、避難所に直行したらしい。ならば、避難所からマンションの部屋に戻っても、食料がないのが道理である。
通天閣1
(日本は、へこたれない。大阪・通天閣はシャンと立っていた)

 それでも、避難用リュックの中には缶詰もあればカンパンもあった。「サトウのゴハン」みたいなものもあれば、昔のヒトだから氷砂糖も入っていた。あとは冷蔵庫の中にタマゴ数個やキャベツ1/4も残っていて、まあここまでは、何とかかんとか食いつないでこられた。
 しかし、そろそろ食料が底を尽きそうなのである。米びつにはコメがあって、あと5~6日はもつそうだ。近くのコンビニに行っても、「食料がない」どころか「すでに営業が終わっている」。スーパーも同様。うにゃにゃ。後は、息子であるこの今井クマ蔵が、おっきなリュックに米や味噌や野菜を満載して、東京からやってくるのを待ちわびるばかりなのである。
通天閣2
(大阪・新世界「づぼらや」のフグの向こうの通天閣)

 しかし、今井君はそうカンタンに仙台に向かうことが出来ない。20日には京都、21日には福井、22日には下北沢で講演会が待っている。本日17日には綾瀬が予定されていた。18日の南浦和、19日の千葉は、ともに東京電力の計画停電の影響で「公開授業中止」が決まったが、中止決定のメールが来たのは昨日16日の16時だから、もうバスも飛行機も全て超満員で、今さらどうしようもない。
 予定では、来週23日水曜日、新潟回りで仙台に向かう。上越新幹線から仙台行き高速バスに乗り継いで、コメと野菜と味噌を満載したクマ蔵は、一路北上するのである。新潟-仙台のバスは、23日以降ならまだ予約が取れる。新潟から仙台まで、上越と東北の山々を突っ切って、バスは4時間かかる。
 行って、帰る、それだけであるが、少なくとも倒れた本棚を助け起こすことはできる。倒れた本棚の下では、今井君の少年時代の愛読書クンたちがたくさん、きっとヨレヨレになって待っていてくれる。
通天閣3
(日本はまだまだ元気である)

 文庫本は、きっとホントにヨレヨレである。まあそれは仕方ない。中央公論社「日本の文学」全80巻などというのもある。あれは全部ケース入りだから、まだ大丈夫だろう。本棚を起こせば、家の中は片付く。片付けば、やる気も勇気も沸くものである。米や野菜より、まず何よりも片付けることである。
 食器戸棚もひっくり返ったままだという。物持ちのいい家庭なので、今井君が小学生のころ使っていた茶碗やコップやお皿も、ついこの間までまだ立派に現役を続けていた。ほとんど古代遺跡からの出土品みたいなものであるが、おそらくみんなコナゴナに割れてしまっている。クマ蔵は、彼らの破片を片付けるためにも、どうしても仙台に向かう。ま、1週間先のことである。
 さて、しばらくブログを短めにする。今は、何よりも節電。書く方も、読む方も、自分のアイデンティティの発露を押さえてでも、電力の消費は縮減すべき時である。書く方は2/3 に抑え、読む方も2/3に抑制すれば、「行ったと来たの違い」。節電効果も二重に高まるはずである。