Fri 110225 (第996回 カウントダウン4) 生放送の余韻 巨大予備校文化の終焉かね | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 110225 (第996回 カウントダウン4) 生放送の余韻 巨大予備校文化の終焉かね

 やあ諸君、ラジオ生放送行ってきた。さすがに昨夜は疲労が激しくて、ビール1本→日本酒2合→焼酎お湯割り(特大)2杯→赤ワイン(激安)2杯、そこまで飲んだところで前後不覚に寝入ってしまった。

 今井君は実はたいへん繊細に出来ているので、生放送で「言ってはいけないことを口走ってしまう恐怖」に疲労したのである。思ってみないほどたくさんの反響が寄せられるのをオンタイムで眺めながら、TOKYO-FM「スクール・オブ・ロック」の影響力の強さと大きさに驚きっぱなしだった。

 しかも、言わなければならない告知を忘れず、広告宣伝の言葉も忘れず、タレントさんたちのハイテンションをジャマしないように、同じレベルのノリノリを演じるのは、トーシローの今井君には至難のワザ。ブログ読者の多くがラジオまたはradikoに耳を傾けてくれたと思うが、
「ちょっと緊張気味でしたね?」
「ちょっと無理してたんじゃないですか?」
の類いのニヤニヤ笑いはよしてくれたまえ。あの場では「トーシローであること」を演ずるのが今井クマ蔵の役割と考えての、自己演出だったのである。
福岡1
(2月28日、福岡での講演会。こんなところでも板書にはスクールオブロックの大宣伝が)

 緊張していなくても、それでも緊張を少しだけ表面にみせてあげるのがベストなのだ。ガチガチの緊張は論外だが、完全クロートの海千山千では、新鮮味に欠ける。シロートではないが、クロートでもない。その微妙なラインを保ちながら、「緊張気味の先生が明るくクロートたちに混じって笑っている」というスタンスを見せる。しかも
「言ってはならないことを言わない」
「告知と広告宣伝と『東大現役合格の5人に1人は東進』の一言を埋め込む」
そういう難しい役割を、見事に果たしたという自負で、昨夜のクマ蔵はヨダレをタップリ流しながら眠ったのである。

 昨夜の土産話は、明日か明後日の記事に詳細を書こうと思う。「校長」「教頭」と記念写真も撮ってもらった。サインももらった。Webページ用にと、カメラマンが動き回っていたから、1枚なり2枚なり、今井君のヒゲで短足な笑顔が番組Webページに掲載されると思う。今は、そういうのを見ながら、楽しんでいてくれたまえ。
福岡2
(福岡講演会。番組告知は最後まで黒板に残しておいた。諸君。手前の少年を見たまえ。爆笑で顔がはじけそうだ)
 
 話題は変わる。いやはや、京大入試流出事件は、今井君の生活する予備校の世界でも激しい反響を巻き起こしている。新聞もテレビも犯人探しに夢中。予備校は「新年度生募集」という、生き残りのかかった1年で一番大切な時期なのに、犯人探しの一端を担わなくてはならなくなってしまった。

 諸君。ボクチンが一番驚いたのは「河合塾の受講生数」である。ああいうものを新聞にデカデカと掲載されて、大丈夫なんだろうか。3月1日付の朝日新聞朝刊1面によれば、
「河合塾の冬期講習『京大英語』は、全国の16校舎で受講者数559名」
「河合塾の冬期講習『京大文系数学』は、全国の15校舎で受講者数225名」
おお。まず今井クマ蔵がガックリと肩を落とさざるを得なかったのは、「巨大予備校文化の終焉」についてである。

 割り算してみたまえ。その後で、河合塾の巨大校舎を眺めに行きたまえ。これは明らかにミスマッチである。
「河合塾1校舎あたり、『京大英語』は559÷16=35名」
「河合塾1校舎あたり、『京大文系数学』は225÷15=15名」
見たまえ。この厳しい現実を。昔の予備校を記憶しているヒトなら、誰でも信じがたい思いに打たれるはずだ。

 200人も300人も入る教室に、15名とか30名。そういう人数がパラパラorチョボチョボっと入って、遠慮がちに授業を受けている光景。派手なルックスの講師が、申し訳なさそうにボソボソ話す姿。15名しかいないのに、何故かマイクを使う講師と、空しく大音量が響く教室。寂しさを通り過ぎて、空虚さに呆然とする。(なお、数学が1校舎少ないのは、どこか1校舎で文系数学0名だったものと思われる)
福岡3
(今井君の公開授業at福岡。詳細は明後日)

 しかもそれは冬期講習である。以前なら
「申し込むこと自体が困難」
「立ち見も当たり前」
「前日から、泊まり込み。寝袋持参で申し込みの列に並ぶ」
「申し込み開始10分後に満員締め切り」
「東京本校は〆切っちゃった。横浜校なら、まだ空いてるかも。行く?」
「名古屋はもう〆切り。浜松に走れ」
とか、そういう世界だったのだ。「ツワモノどもが夢の跡」。今ではそこに15人。国破れて、巨大校舎あり。城春にして、校舎だけ立派。おお、空虚である。

 あれは、何だったのだろう。そして、生徒は消えて、巨大校舎のみが残った。大昔の大河ドラマで「樅の木は残った」(平幹二朗/栗原小巻/佐藤慶)というのがあったが、予備校バブルがはじけた後は「巨大校舎だけが残った」である。

 まあ、「ヨソの予備校の経営を心配しているヒマがあったら、自分の足許でも見てなさい」「じゃあ、オメエんところはどうなんだよ?」と罵声を浴びそうだから、河合塾の心配はこのぐらいにしておこう。

 ただし、一応今井君の状況だけ書いておけば、
「200人教室に30人とか15人とか、そういうことはありません」
「200名教室なら、チャンと200名います。ご安心を」
「だから、安心して、どんどん今井を受講してください」
である。

 明日か明後日に詳細を書くが、27日の福岡講演会もまた、予想を上回る満員御礼。「椅子が足りなくなるかも」という恐怖が先に立つ、昔懐かしい予備校風景が目の前に展開されていた。
福岡4
(もう1度、今井君の公開授業at福岡。詳細はおそらく明後日)

 ついでに、河合塾の京大講座受講者数を見ながら、「京都大学の人気凋落」についても心配になった。仮にもかつて「3大予備校」とうたわれた予備校の冬期直前講習で、「全国で559人」しか受講者がいなかったのだ。単純に×3して、3大予備校の京大志望者って1500人ちょっと。あらら。東大に比較して、余りにも人気がなさ過ぎるんじゃないの? 「東大京大」って並べておいて、果たして大丈夫なの? 

 こうして、下卑た今井君は「入試制度の根幹を揺るがす大事件」を眺めながら、こういう下卑たことばかり考えてしまう。うにゃにゃ。申し訳ない。講師たるもの、もっと高潔でいるべきなのだろうが、生出演後の疲労が噴き出してきて、本来あるべき高潔な発想が枯渇した状態なのだ。許してくれたまえ。

 それにしても、河合塾って大丈夫? 京都大学って、大丈夫? おっとまたゲビタ君が顔を出す。押さえとこっと。ムギュ。