Tue 110201 2月12日、三軒茶屋で講演会 優秀な生徒ほど、オーソドックスが好き | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 110201 2月12日、三軒茶屋で講演会 優秀な生徒ほど、オーソドックスが好き

 2月12日、三軒茶屋で講演会。名古屋から東京に着くと、東京は冷たい雨である。雨ならまだ何とかなるが、この雨が雪に変わったりすると、講演会の出席者が予定の8ガケとか7ガケとか、寂しいことになりかねない。受講生の帰宅だって心配になる。何とか天気がもってくれるように、まさに天に祈るばかりである。
 いったん代々木上原に戻って、ゆっくりお風呂に浸かる。約1時間半、お風呂の中で文学全集を読む。この奇妙な習慣がもう4年も続いているので、名古屋から三軒茶屋に直接行けばいいものを、たった2時間しか余裕がなくても、こうやって家に戻る。ニャゴロワが出てきて、「あーら、またお風呂ですか」「またポッポ♨グマになって講演会に出かけるんですか」と、呆れ顔でアクビする。
 そんなことをしているうちに、5時半を過ぎてしまった。三軒茶屋は、以前住んでいた下北沢の家のすぐそばだから、土地勘もあり、代々木上原からも近い。歩いても30分程度。しかし、相変わらず冷たい雨が降り、油断しているうちに公開授業1時間前になってしまったので、仕方ない、タクシーで向かうことにした。
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(三軒茶屋での講演会1 開始直後の風景)

 幸い、雪にはならなかった。途中、タクシーは茶沢通りを南下。三軒茶屋の「茶」と下北沢の「沢」をくっつけて茶沢通り、ベタな命名もいいところだが、その代沢交差点付近が、今井君の8年前までの住処である。
 すぐそばの広大なお屋敷には、90歳すぎのおじいちゃんが一人で住んでいた。東京・世田谷の真ん中にこんな大きなお屋敷を構えるなんて、いったいどんなヤンゴトナキ♡オカタなの?と思っていたものだが、そのおじいちゃんが亡くなったのだろうか、先月ブルドーザーが入って、お屋敷は跡形もなく取り壊されてしまった。
 お屋敷の跡には、マンションが建つらしい。まるで都会のオアシスみたいだった広大な庭の樹木はみんな切り倒され、高級低層マンション(macどんは「貞操マンション」。なかなかセクシーな変換だ)のシリーズ「PROUD」建設予告が出ている。野村不動産である。これでまた1つ、世田谷のオアシスが消えていく。
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(三軒茶屋での講演会2 イジけてみせる)

 三軒茶屋講演会、19時開始、21時終了。出席者80名。6年前、東進に移籍してすぐの三軒茶屋では「出席者16名」という恐るべき体験をしたから、80名の参加で立錐の余地もない狭い教室を眺めながら、隔世の感があった。
 諸君、5倍に増加したのである。三軒茶屋という立地(macどんは「三軒茶屋というリッチ」→なかなか正確だ)、昔は2階が焼き肉屋だった雑居ビルの3階(焼き肉屋「満堂」は2年前に撤退)、今も他の塾が同じビルに入居しているという環境、それらを総合的に考えると、冷たい雨の降りしきる夜に「高1高2だけで80名」「昔の5倍」はお世辞ヌキに大したものである。
 しかも、一昨日の自由が丘校や、14日バレンタインデーに講演会実施の市ヶ谷校と並んで、三軒茶屋校は優秀な生徒の比率が高い。通っている高校名でそう判断してしまうのは軽率かもしれないが、出席者名簿をみると、「御三家」「新御三家」みたいなヤンゴトナキ高校の生徒がズラリと並ぶ。渋谷校、下北沢校、このあたりの校舎はみんなそうである。
 御三家に追いつき、すでに追い越した感のある高校名もズラリ。近くには東大合格率の極めて高い憧れの国立大学付属高が複数存在するので、「ホントに、今井君なんかの講演を聴く必要があるの?」という、優秀なムードと優秀なオーラが教室を支配。ご父母の参加もあって、パパ1名&ママ3名が狭い教室の後方に席を占め、ノッケから真っ赤な顔で爆笑している。
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(三軒茶屋での講演会3 終了間際の熱弁)

 三軒茶屋からは、渋谷まで5分。新宿まで15分。周辺にはいくらでも予備校や塾があって、デカイ立派な建物で「おいで&おいで」をしたり、「受験を超えた教材で大学レベルの授業をしています」という難しさで「おいでおいで」をしたり、いろんなチョウチンアンコウが提灯ブラブラで手招きしている。
 それでも目の前の80名は、雑居ビルの中の今井君を選んでくれたのだ。だから、物事がよくわかっている大人の生徒が多い。受験に大切なのは、「デカイ建物」ではない。建物のデカさは、中身の充実と反比例しかねない危険性を伴う。それを知っているからこそ、今井君の話を聞きにきてくれたのだ。
 受験にとって一番有害なのは、「見栄」である。「大学レベルだ」「いや、大学院レベルだ」などという見栄を、予備校側が高校生に押し付けるのは、まさに愚の骨頂。県立や都立府立高校の教科書をチャンと理解して、標準的な問題の演習をチャンと繰り返せば、東大でも京大でも、医学部でも早慶でも、難なく合格できる。
 「ウチは受験を超えたレベルです」などという看板は、イコール「教科書レベルの理解と演習をキチンとやっていない」という、愚かな告白に過ぎない。超有名進学高に通っていると、ついつい周囲の雰囲気はそっちに流れ、学力はあっても判断力が大人になりきれていないコドモたちは、その雰囲気にのまれて、基礎や基本を疎かにしがちだ。
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(三軒茶屋での講演会4 最後に花束をもらう)

 しかし諸君。マドンナ先生も繰り返している通り「基礎の基礎が一番コワいってこと」を、今井君も何度も繰り返させていただきます。というわけで、数学オリンピックで金メダル銀メダルを獲得する天才児と日々机を並べているような高校生たちなのに、余りにもオーソドックスな今井クマ蔵のアドバイスに、100分間熱心に耳を傾けてくれた。
 アドバイスは、「単語と文法をキチンと繰り返しやりなさい」「単語集の例文の音読を中心に、書いて書いて書きまくって勉強しなさい」「わかりやすい先生(=今井先生♡)に習いなさい」の3点。あらま、なんて昭和なの? それどころか、なんて大正時代なの? しかし、優秀な高校生ほど、この種のオーソドックスなアドバイスに笑顔で深く頷き、先読みできるギャグにも大爆笑で応えてくれるのである。
 終了後、サイン会。猛スピードで「宇宙征服」を書きまくり、20分ほどで終了。結局、冷たい雨は雪には変わらなかった。

1E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 2/10
2E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 3/10
3E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 4/10
4E(Cd) Madredeus:ANTOLOGIA
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